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第一章 神聖イルティア王国編
別れの時
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満ち溢れる白銀の光が全て収まった頃、本礼拝堂の中心では、涙を流しながら佇むハーティがいた。
イラとの戦いによって本礼拝堂の屋根は大きく穴が開いており、そこから差し込む光がハーティを照らすことにより、その神秘さを増していた。
「デビッド・・・」
本礼拝堂には静寂が訪れ、ただ今は亡きデビッドを偲ぶハーティの声のみが響き渡った。
「・・・ブーストが・・」
ハーティの神技によって周囲のエーテルが一時的に無くなっている為、ユナのブーストは自動的に解除されていた。
そして、先程まで輝きながら浮いていたハーティもまた、あらゆる魔導の効果が切れて今はただの白銀色の髪をした少女のようであった。
「う・・っく!ハーティルティア様!!」
目の前の風景に感極まったリリスは、ハーティの側に歩み寄って『最敬礼』をした。
それを見るや、ユナやマクスウェル達も同じく『最敬礼』をする。
「おおおお・・・女神ハーティルティア様!!」
そして、国王陛下や王妃陛下、国の重臣達も涙を流しながら跪いた。
それらは伝播していき、本礼拝堂にいた数千人の人間全てがハーティの周囲で跪いた。
「女神ハーティルティア様が再びこの世界に顕現され、この国を救っていただいたことは感謝に絶えません。国の代表として、心より御礼申し上げます」
「・・・・」
ハーティは国王陛下の隣で跪く王妃陛下に歩み寄った。
そして、王妃陛下の前でハーティも跪いた。
「この度のデビッド殿下の件、救うことができずに申し訳ありませんでした」
そしてハーティが頭を下げると、その場にいる皆が驚愕の表情を上げて、さらに平伏した。
無論、王妃陛下や国王陛下まで平伏する。
「そんなことはございません!確かに息子を失ったことはとても悲しいことです・・・しばらくはつらい心になると思います」
「・・・ですが!!最後にデビッドは女神ハーティルティア様に救われました!ですから顔を上げてください!お願いします!」
王妃陛下は必死な様子で声を上げていた。
「あの、いえ・・反対に私が居た堪れないので皆様には立ち上がって頂きたいのですが・・」
「な、なにをおっしゃいまする!至高の存在であらせられる女神ハーティルティア様の前では貴賎などなく人間は皆平伏すものなのです!」
「どうか!どうか顔を上げてください!でなければここに居る皆はいつまでも平伏すこととなります!」
「え・・それは・・わ、わかりました」
そう言うと、ハーティは立ち上がった。
すると平伏していた人達が再び『最敬礼』の姿勢に戻った。
「女神ハーティルティア様!是非!これからもこの国を導いてください!
そう言いながら、国王陛下が再び平伏した。
「私からもお願いします」
そう言いながら平伏したのは女神教会の総司祭であった。
「老体に鞭打ちながら女神教の教えを説いてきた我が身が女神様に逢い見えたことは恐悦至極に存じます。何卒、これからも女神教会を導いて頂きたく存じます」
「え・・いや・・その・・」
(困ったわ・・)
(邪神は『黒の魔導結晶』は他にもあると言っていた・・)
(だけど・・この世界で今確認できる、かつての『神族』の生まれ変わりは私とリリスのみ・・)
(そして実質、女神の力を使えるのは私だけだわ)
(もし、この世界で『邪神デスティウルス』が復活すれば、今度こそ『邪神』に対抗する手段は存在しないはず)
(となれば、私はひとまず世界各地に散らばるとされる『黒の魔導結晶』を見つけ出して、一つずつデビッドの時と同じように浄化しないといけない!)
(それにいずれにしても、女神の力がバレてしまった以上、もうこの国にはいられないわ・・)
「あの・・・女神ハーティルティア様??」
国王陛下と総司祭は、ハーティが突然押し黙ったことに疑問を浮かべている様子であった。
(こうなれば・・みんなには申し訳ないけど、一芝居打つしかないわね・・これも世界の為だから!)
ハーティがそう思案していると、失われたエーテルが周囲から流入して回復してきたのか、再びハーティの体から淡い光が出始めた。
「・・その願い、聞き入れられません」
「「「そんな!」」」
ハーティの言葉を聞いた人々は、もはやこの世の終わりであると言うような表情になった。
「女神様に見放されれば、もはやこの国はおしまいだ・・」
そして国王陛下にいたっては急激に顔が青白くなって頭を抱えながら震えていた。
そして何を思ったか、懐から護身用の短剣を取り出した。
「もし、この粗末な首でよければ供物として差し出します故、何卒御加護を・・・」
そう言いながら国王陛下は自らの首を掻き切ろうとした。
「わわわわ!待ってください!そう言う意味じゃありません!」
ハーティは慌てて国王陛下の手を掴んだ。
「では何故・・・?」
そう言ってハーティに尋ねた総司祭までも絶望の表情をしていた。
「私は『邪神』じゃないんですから、そんな供物は要りません!」
「それにあの・・落ち着いて聞いてくださいね・・私はちゃんとこの国を愛していますし、護りたいと思っていますよ!」
「では!!」
それを聞いた国王陛下は満面の笑みを浮かべた。
「・・・ですが、前回の『世界創造』まではいかなくとも、今回の件で私は『女神の力』を使い果たしました」
(本当はそんなことないのだけれど・・・)
「故に、再び私は眠りについて、力を回復しなければなりません」
「・・・ですがもし、この国に再び厄災が訪れた時は、再び私が顕現して皆様に救いの手を差し伸べることでしょう」
「・・・それまでは、しばらくお別れとなりますが、私はいつまでも皆様のことを見守っていきます」
「「「女神ハーティルティア様!」」」
その言葉を聞いた人々は咽び泣きながら平伏した。
そして、ハーティはリリスに顔を向けた。
「聖女リリスよ」
「はい」
「あなたに私から神託を授けるわ」
「・・勿体なき名誉にございます」
「あなたにはこれからも『聖女』として、女神教会を引っ張って、被災した王都の復旧に尽力してほしい」
「あなたとは、しばらくのお別れになるけど、よろしくね」
(きっとリリスであれば私の意図が理解できるはずだわ。そもそも力を使い果たしたというのが嘘だと知っている筈だしね)
「・・・かしこまりました。私リリスは『聖女』の名に懸けて、女神様の神託を全うします」
そして、リリスは微笑んだ。
「女神様の御帰還を心よりお待ちしております」
そして次に、ハーティは王族や重臣達に目を向けた。
「国王陛下、王妃陛下、側姫殿下、王宮のみなさん・・いままで、私を優しく迎えてくださってありがとうございました」
「『王太子妃』としては未熟だったかもしれませんが・・ここで『ハーティ』として過ごしてきた思い出は、決して忘れません」
「ハーティちゃ・・ハーティルティア様!」
「余はジル・グレイル・サークレット・イルティアの名に懸けて、末長く平和にこの国を統治していくことを誓います。どうか、再びお力が戻られたらこの国をお導きください」
「私はいつまでも『ハーティちゃん』の帰りを待っています!」
そう言いながら、国王陛下達は微笑んだ。
すると、感極まったマクスウェルが立ち上がった。
「ハーティ!私は・・・私は本当に君のことを愛しているんだ!」
「これ、マクスウェル!女神様に頭が高いぞ!」
「いいえ、父上!これだけは言わせて頂きたい!」
「・・ハーティ、私はいつまでも君を待っている」
「君の居場所を作って待っているから!君も私のことを忘れずにいてほしい!」
その言葉を聞いたハーティは、マクスウェルの手を取った。
「もちろんよマクスウェル。あなたのことは大好きだし、決して忘れないわ」
「だけど、あなたの人生を縛りたくないの。だからこの国にとって最善の選択をしてほしいの。その時は、お願いね?」
その言葉を聞いたマクスウェルは顔をくしゃくしゃにして涙を流した。
「君は・・昔から変わらないな・・わたしもとてつもない『女神』に惚れてしまったものだ」
ハーティとマクスウェルが話をしていると、レイノスが歩み寄ってきた。
「ハーティ!」
「お父様!」
「はは・・本当に驚きだよ。・・まさか我が娘が女神様だったとは・・」
「お父様・・今まで大切に育てて頂いて、ありがとうございました。この15年を『ハーティ』として過ごしたこと、決して忘れません」
「お母様とラクナウェルにお別れが言えないのが残念ですが・・・」
「本当だ・・ユリアーナもラクナウェルも悲しむぞ。慰める私の身も・・・っくううう」
そう言いながらレイノスは泣き始めた。
「お父様・・愛しています」
そして、二人は静かに抱き合った。
「お嬢様!!」
そして、とうとうユナが駆け寄ってきた。
「嫌です!お嬢様!行かないでください!」
(くっ、ずっと側で支えてくれたユナに嘘を言うのはつらいわ!)
(でも・・これからの『邪神』との戦いにユナを巻き込みたくない!)
(これも世界を救う為・・ごめんなさい、ユナ・・・)
「ユナ、あなたには本当に沢山のものを貰ったわ。ありがとう」
「あなたのおかげて『ハーティ』は救われたわ」
「私はいつまでもあなたの心の中で見守っているから・・」
「あなたには『心の剣』を持ってほしい。あなたなら、きっとこれからどんな困難にも立ち向かって行けるわ」
「だから、その『神剣』に恥じないような気高い人間になって、自分のために人生の幸せを掴んでね」
「・・・うぅ、お嬢様ぁぁ」
ユナはハーティの言葉を聞いて、顔をくしゃくしゃにしながら抱きついた。
ハーティもそれを見て、思わずもらい泣きをした。
(このままでは別れが辛くなる・・そろそろ行かなくちゃ!)
「ユナ・・・あなたのことは忘れないわ!!!ありがとう!!元気でね!!」
そう思ったハーティは『飛翔』の魔導でゆっくりと浮かび上がった。
「お嬢さま!!!!!」
そして、徐々に高度を上げていく。
「神聖イルティア王国の皆さん今までありがとうございました。皆様とは暫くのお別れです」
「どうかこの国の国民たち皆々が幸せでありますように!」
「「「ハーティルティア様ーーー!」」」
そして、地上から肉眼で見えないほどの高度に達した後、ハーティは光魔導を効果代わりに放ちながら、王都から離れるために飛び去った。
「「「ハーティルティア様・・・」」」
本礼拝堂の人々は、その後もしばらく晴天の空を仰いでいた。
イラとの戦いによって本礼拝堂の屋根は大きく穴が開いており、そこから差し込む光がハーティを照らすことにより、その神秘さを増していた。
「デビッド・・・」
本礼拝堂には静寂が訪れ、ただ今は亡きデビッドを偲ぶハーティの声のみが響き渡った。
「・・・ブーストが・・」
ハーティの神技によって周囲のエーテルが一時的に無くなっている為、ユナのブーストは自動的に解除されていた。
そして、先程まで輝きながら浮いていたハーティもまた、あらゆる魔導の効果が切れて今はただの白銀色の髪をした少女のようであった。
「う・・っく!ハーティルティア様!!」
目の前の風景に感極まったリリスは、ハーティの側に歩み寄って『最敬礼』をした。
それを見るや、ユナやマクスウェル達も同じく『最敬礼』をする。
「おおおお・・・女神ハーティルティア様!!」
そして、国王陛下や王妃陛下、国の重臣達も涙を流しながら跪いた。
それらは伝播していき、本礼拝堂にいた数千人の人間全てがハーティの周囲で跪いた。
「女神ハーティルティア様が再びこの世界に顕現され、この国を救っていただいたことは感謝に絶えません。国の代表として、心より御礼申し上げます」
「・・・・」
ハーティは国王陛下の隣で跪く王妃陛下に歩み寄った。
そして、王妃陛下の前でハーティも跪いた。
「この度のデビッド殿下の件、救うことができずに申し訳ありませんでした」
そしてハーティが頭を下げると、その場にいる皆が驚愕の表情を上げて、さらに平伏した。
無論、王妃陛下や国王陛下まで平伏する。
「そんなことはございません!確かに息子を失ったことはとても悲しいことです・・・しばらくはつらい心になると思います」
「・・・ですが!!最後にデビッドは女神ハーティルティア様に救われました!ですから顔を上げてください!お願いします!」
王妃陛下は必死な様子で声を上げていた。
「あの、いえ・・反対に私が居た堪れないので皆様には立ち上がって頂きたいのですが・・」
「な、なにをおっしゃいまする!至高の存在であらせられる女神ハーティルティア様の前では貴賎などなく人間は皆平伏すものなのです!」
「どうか!どうか顔を上げてください!でなければここに居る皆はいつまでも平伏すこととなります!」
「え・・それは・・わ、わかりました」
そう言うと、ハーティは立ち上がった。
すると平伏していた人達が再び『最敬礼』の姿勢に戻った。
「女神ハーティルティア様!是非!これからもこの国を導いてください!
そう言いながら、国王陛下が再び平伏した。
「私からもお願いします」
そう言いながら平伏したのは女神教会の総司祭であった。
「老体に鞭打ちながら女神教の教えを説いてきた我が身が女神様に逢い見えたことは恐悦至極に存じます。何卒、これからも女神教会を導いて頂きたく存じます」
「え・・いや・・その・・」
(困ったわ・・)
(邪神は『黒の魔導結晶』は他にもあると言っていた・・)
(だけど・・この世界で今確認できる、かつての『神族』の生まれ変わりは私とリリスのみ・・)
(そして実質、女神の力を使えるのは私だけだわ)
(もし、この世界で『邪神デスティウルス』が復活すれば、今度こそ『邪神』に対抗する手段は存在しないはず)
(となれば、私はひとまず世界各地に散らばるとされる『黒の魔導結晶』を見つけ出して、一つずつデビッドの時と同じように浄化しないといけない!)
(それにいずれにしても、女神の力がバレてしまった以上、もうこの国にはいられないわ・・)
「あの・・・女神ハーティルティア様??」
国王陛下と総司祭は、ハーティが突然押し黙ったことに疑問を浮かべている様子であった。
(こうなれば・・みんなには申し訳ないけど、一芝居打つしかないわね・・これも世界の為だから!)
ハーティがそう思案していると、失われたエーテルが周囲から流入して回復してきたのか、再びハーティの体から淡い光が出始めた。
「・・その願い、聞き入れられません」
「「「そんな!」」」
ハーティの言葉を聞いた人々は、もはやこの世の終わりであると言うような表情になった。
「女神様に見放されれば、もはやこの国はおしまいだ・・」
そして国王陛下にいたっては急激に顔が青白くなって頭を抱えながら震えていた。
そして何を思ったか、懐から護身用の短剣を取り出した。
「もし、この粗末な首でよければ供物として差し出します故、何卒御加護を・・・」
そう言いながら国王陛下は自らの首を掻き切ろうとした。
「わわわわ!待ってください!そう言う意味じゃありません!」
ハーティは慌てて国王陛下の手を掴んだ。
「では何故・・・?」
そう言ってハーティに尋ねた総司祭までも絶望の表情をしていた。
「私は『邪神』じゃないんですから、そんな供物は要りません!」
「それにあの・・落ち着いて聞いてくださいね・・私はちゃんとこの国を愛していますし、護りたいと思っていますよ!」
「では!!」
それを聞いた国王陛下は満面の笑みを浮かべた。
「・・・ですが、前回の『世界創造』まではいかなくとも、今回の件で私は『女神の力』を使い果たしました」
(本当はそんなことないのだけれど・・・)
「故に、再び私は眠りについて、力を回復しなければなりません」
「・・・ですがもし、この国に再び厄災が訪れた時は、再び私が顕現して皆様に救いの手を差し伸べることでしょう」
「・・・それまでは、しばらくお別れとなりますが、私はいつまでも皆様のことを見守っていきます」
「「「女神ハーティルティア様!」」」
その言葉を聞いた人々は咽び泣きながら平伏した。
そして、ハーティはリリスに顔を向けた。
「聖女リリスよ」
「はい」
「あなたに私から神託を授けるわ」
「・・勿体なき名誉にございます」
「あなたにはこれからも『聖女』として、女神教会を引っ張って、被災した王都の復旧に尽力してほしい」
「あなたとは、しばらくのお別れになるけど、よろしくね」
(きっとリリスであれば私の意図が理解できるはずだわ。そもそも力を使い果たしたというのが嘘だと知っている筈だしね)
「・・・かしこまりました。私リリスは『聖女』の名に懸けて、女神様の神託を全うします」
そして、リリスは微笑んだ。
「女神様の御帰還を心よりお待ちしております」
そして次に、ハーティは王族や重臣達に目を向けた。
「国王陛下、王妃陛下、側姫殿下、王宮のみなさん・・いままで、私を優しく迎えてくださってありがとうございました」
「『王太子妃』としては未熟だったかもしれませんが・・ここで『ハーティ』として過ごしてきた思い出は、決して忘れません」
「ハーティちゃ・・ハーティルティア様!」
「余はジル・グレイル・サークレット・イルティアの名に懸けて、末長く平和にこの国を統治していくことを誓います。どうか、再びお力が戻られたらこの国をお導きください」
「私はいつまでも『ハーティちゃん』の帰りを待っています!」
そう言いながら、国王陛下達は微笑んだ。
すると、感極まったマクスウェルが立ち上がった。
「ハーティ!私は・・・私は本当に君のことを愛しているんだ!」
「これ、マクスウェル!女神様に頭が高いぞ!」
「いいえ、父上!これだけは言わせて頂きたい!」
「・・ハーティ、私はいつまでも君を待っている」
「君の居場所を作って待っているから!君も私のことを忘れずにいてほしい!」
その言葉を聞いたハーティは、マクスウェルの手を取った。
「もちろんよマクスウェル。あなたのことは大好きだし、決して忘れないわ」
「だけど、あなたの人生を縛りたくないの。だからこの国にとって最善の選択をしてほしいの。その時は、お願いね?」
その言葉を聞いたマクスウェルは顔をくしゃくしゃにして涙を流した。
「君は・・昔から変わらないな・・わたしもとてつもない『女神』に惚れてしまったものだ」
ハーティとマクスウェルが話をしていると、レイノスが歩み寄ってきた。
「ハーティ!」
「お父様!」
「はは・・本当に驚きだよ。・・まさか我が娘が女神様だったとは・・」
「お父様・・今まで大切に育てて頂いて、ありがとうございました。この15年を『ハーティ』として過ごしたこと、決して忘れません」
「お母様とラクナウェルにお別れが言えないのが残念ですが・・・」
「本当だ・・ユリアーナもラクナウェルも悲しむぞ。慰める私の身も・・・っくううう」
そう言いながらレイノスは泣き始めた。
「お父様・・愛しています」
そして、二人は静かに抱き合った。
「お嬢様!!」
そして、とうとうユナが駆け寄ってきた。
「嫌です!お嬢様!行かないでください!」
(くっ、ずっと側で支えてくれたユナに嘘を言うのはつらいわ!)
(でも・・これからの『邪神』との戦いにユナを巻き込みたくない!)
(これも世界を救う為・・ごめんなさい、ユナ・・・)
「ユナ、あなたには本当に沢山のものを貰ったわ。ありがとう」
「あなたのおかげて『ハーティ』は救われたわ」
「私はいつまでもあなたの心の中で見守っているから・・」
「あなたには『心の剣』を持ってほしい。あなたなら、きっとこれからどんな困難にも立ち向かって行けるわ」
「だから、その『神剣』に恥じないような気高い人間になって、自分のために人生の幸せを掴んでね」
「・・・うぅ、お嬢様ぁぁ」
ユナはハーティの言葉を聞いて、顔をくしゃくしゃにしながら抱きついた。
ハーティもそれを見て、思わずもらい泣きをした。
(このままでは別れが辛くなる・・そろそろ行かなくちゃ!)
「ユナ・・・あなたのことは忘れないわ!!!ありがとう!!元気でね!!」
そう思ったハーティは『飛翔』の魔導でゆっくりと浮かび上がった。
「お嬢さま!!!!!」
そして、徐々に高度を上げていく。
「神聖イルティア王国の皆さん今までありがとうございました。皆様とは暫くのお別れです」
「どうかこの国の国民たち皆々が幸せでありますように!」
「「「ハーティルティア様ーーー!」」」
そして、地上から肉眼で見えないほどの高度に達した後、ハーティは光魔導を効果代わりに放ちながら、王都から離れるために飛び去った。
「「「ハーティルティア様・・・」」」
本礼拝堂の人々は、その後もしばらく晴天の空を仰いでいた。
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