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第二章 魔導帝国オルテアガ編
発導機起動実験 〜クラリス博士視点〜
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ウォンウォン・・・。
帝都リスラムの帝国魔導アカデミー内にある、魔導省魔導兵器研究所のとある実験施設では、様々な魔導式演算機の稼働音が響き渡っていた。
その研究所内で一人の若い少女が、目の前に鎮座する大型の発導機と見られる機械を眺めていた。
彼女は名を『クラリス・フォン・レゾニア』と言い、十九歳と言う若さで帝国一の名を恣にしてきた若き天才技術者である。
クラリスは栗色の長い髪をツインテールにまとめており、くりっとした同じく栗色の大きな瞳をした美少女であった。
そして、彼女は白のノースリーブのシャツに赤いプリーツのミニスカート、黒のニーハイブーツというラフな格好の上に肩から白衣を羽織るといういかにも研究者な出で立ちをしていた。
「・・・始めるわよ」
クラリスは腕を組みながら、静かに隣の席で魔導演算機を操作している女性の助手に指示を出した。
それを聞いた実験施設内の作業員たちが、鎮座している発導機の周りで慌ただしく動き始めた。
「これより、第五十二回『マギフォーミュラ・マナ・ジェネレーター』の起動実験を行います」
助手が言葉と共に魔導演算機のコンソールにある球体部分を両手で包んでマナを込め始めた。
ヴヴヴヴ・・・。
「発導機始動用マナ入力開始、初期始動用魔導式発動します」
「・・初期始動用魔導正常発動、続いてエーテル収束フェーズに移行します」
「空間エーテル収束率三十五パーセント。エーテル・マナ変換術式発動開始します」
「そのままの収束率でマナ変換をお願い」
「わかりました」
クラリスの指示を聞きながら、助手は引き続きコンソールを操作していた。
(今回はエーテル・マナ変換術式のスクロール躯体に純粋魔導銀を用いている・・・)
(いままで躯体が発生マナの膨大なマナ抵抗に耐えれる素材は無かった・・・)
(今回は莫大な費用を投じて人類が錬金できるもので最もマナ抵抗が少ない材料を惜しみなく用いた・・)
(もし、今回の実験でも躯体が負荷に耐えられなかったら、マナ・ジェネレーターの理論は暗礁に乗り上げるわ・・)
(だからうまくいって!お願い!)
クラリスは両手を組みながら実験の成功を祈った。
「エーテル・マナ変換術式正常発動!マナ出力四十五サイクラ!尚も上昇中!」
『サイクラ』とはマナ出力を定義した単位で、『一サイクラ』が概ね平均的な魔導士一人分の瞬間マナ出力に相当し、帝国で流通する発導機の使用に対するマナ消費量の目安になるものである。
また、『サイクラ』に単位時間を乗じた『サイクラ時』というものが魔導結晶に貯蓄可能なマナ総量の目安として用いられる。
「システム内のマナ抵抗値上昇中。躯体発生熱上昇中です!」
「・・・」
クラリスは実験の様子を息を飲みながら眺めていた。
すると、目の前にあった発導機の一部が赤く発光し始めた。
「!マナ抵抗急激に上昇し始めました!変換術式スクロール躯体に著しい劣化が始まっています!」
「・・・発導機本体の急速劣化が止まりません!!システム温度尚上昇中!」
そして、いよいよ発導機から白煙がのぼり始めた。
「くっ!これ以上はダメね!発導機緊急停止!実験は中止よ!」
「わかりました!実験中止します!」
シュウウウウ・・・。
助手が機械を止めると、発導機は煙を上げながら停止した。
「・・・結果は?」
クラリスが助手に尋ねると、彼女はコンソールに置いてあった懐中時計の文字盤を見た。
「最大出力五十二サイクラ、発動時間およそ一分三十秒ですね」
「・・やはり、人工的にマナを精製するのは不可能なのかしら・・・」
そう言いながらクラリスは項垂れた。
バシュウウウ・・・。
「うう・・熱!」
発導機の側にいた作業員がコアの部分を解放すると、高温の煙を放ちながら純粋魔導銀製の変換術式スクロール躯体が露出した。
しかし、露出したそれは無残にも黒ずんで変形してしまっていた。
「やはり二アール博士が提唱する大型の魔導結晶からマナを供給する方式が現実的なのでしょうか・・」
「魔導機甲がまともに動作するにはどう見繕ったって百サイクラ程のマナ出力がいるわ。そんな大容量のマナを蓄える魔導結晶がどこにあるっていうのよ。馬車くらいの大きさの魔導結晶でも探すっていうの?」
「それは・・そうですが・・」
「私のエーテル・マナ変換術式の理論は間違い無いわ。あとは出力した大容量マナに耐えうる躯体を作るだけなのに!」
バンッ!
そう言いうとクラリスは悔しさでコンソール拳を落とした。
「『神白銀』さえあれば・・・」
「・・・他の国が信仰している『女神教』にでてくる架空の物質ですよね?マナ抵抗が全くない神々が作った素材とか・・まさに空想の話ですね」
助手はやれやれと言った感じでため息を漏らした。
「・・いずれにしても純粋魔導銀で無理なら打つ手なしね」
「あとは魔導機甲本体のマナ消費量を削減する方向でいくしかないわね・・それも現実的じゃないけど・・」
「マナ・ジェネレーター搭載魔導車ならなんとか作れそうですけどね」
「大した距離を走ることなく劣化した純粋魔導銀製のマナ出力スクロールをわざわざ定期的に入れ換えて?そんな金ばかりかかるもの誰が買うのよ・・」
「・・・はあ、しばらく研究はストップね・・軍務卿に報告するのが気が重いわ・・今日は片付けたらお開きね。お疲れ様・・」
「私はちょっと休むわ・・」
「お疲れ様です。あまり気を落とさないでくださいね?」
「ええ、ありがとう・・あとはお願いね」
「はい!わかりました!」
クラリスはそう言いながら手をひらひらさせて実験施設を後にした。
帝都リスラムの帝国魔導アカデミー内にある、魔導省魔導兵器研究所のとある実験施設では、様々な魔導式演算機の稼働音が響き渡っていた。
その研究所内で一人の若い少女が、目の前に鎮座する大型の発導機と見られる機械を眺めていた。
彼女は名を『クラリス・フォン・レゾニア』と言い、十九歳と言う若さで帝国一の名を恣にしてきた若き天才技術者である。
クラリスは栗色の長い髪をツインテールにまとめており、くりっとした同じく栗色の大きな瞳をした美少女であった。
そして、彼女は白のノースリーブのシャツに赤いプリーツのミニスカート、黒のニーハイブーツというラフな格好の上に肩から白衣を羽織るといういかにも研究者な出で立ちをしていた。
「・・・始めるわよ」
クラリスは腕を組みながら、静かに隣の席で魔導演算機を操作している女性の助手に指示を出した。
それを聞いた実験施設内の作業員たちが、鎮座している発導機の周りで慌ただしく動き始めた。
「これより、第五十二回『マギフォーミュラ・マナ・ジェネレーター』の起動実験を行います」
助手が言葉と共に魔導演算機のコンソールにある球体部分を両手で包んでマナを込め始めた。
ヴヴヴヴ・・・。
「発導機始動用マナ入力開始、初期始動用魔導式発動します」
「・・初期始動用魔導正常発動、続いてエーテル収束フェーズに移行します」
「空間エーテル収束率三十五パーセント。エーテル・マナ変換術式発動開始します」
「そのままの収束率でマナ変換をお願い」
「わかりました」
クラリスの指示を聞きながら、助手は引き続きコンソールを操作していた。
(今回はエーテル・マナ変換術式のスクロール躯体に純粋魔導銀を用いている・・・)
(いままで躯体が発生マナの膨大なマナ抵抗に耐えれる素材は無かった・・・)
(今回は莫大な費用を投じて人類が錬金できるもので最もマナ抵抗が少ない材料を惜しみなく用いた・・)
(もし、今回の実験でも躯体が負荷に耐えられなかったら、マナ・ジェネレーターの理論は暗礁に乗り上げるわ・・)
(だからうまくいって!お願い!)
クラリスは両手を組みながら実験の成功を祈った。
「エーテル・マナ変換術式正常発動!マナ出力四十五サイクラ!尚も上昇中!」
『サイクラ』とはマナ出力を定義した単位で、『一サイクラ』が概ね平均的な魔導士一人分の瞬間マナ出力に相当し、帝国で流通する発導機の使用に対するマナ消費量の目安になるものである。
また、『サイクラ』に単位時間を乗じた『サイクラ時』というものが魔導結晶に貯蓄可能なマナ総量の目安として用いられる。
「システム内のマナ抵抗値上昇中。躯体発生熱上昇中です!」
「・・・」
クラリスは実験の様子を息を飲みながら眺めていた。
すると、目の前にあった発導機の一部が赤く発光し始めた。
「!マナ抵抗急激に上昇し始めました!変換術式スクロール躯体に著しい劣化が始まっています!」
「・・・発導機本体の急速劣化が止まりません!!システム温度尚上昇中!」
そして、いよいよ発導機から白煙がのぼり始めた。
「くっ!これ以上はダメね!発導機緊急停止!実験は中止よ!」
「わかりました!実験中止します!」
シュウウウウ・・・。
助手が機械を止めると、発導機は煙を上げながら停止した。
「・・・結果は?」
クラリスが助手に尋ねると、彼女はコンソールに置いてあった懐中時計の文字盤を見た。
「最大出力五十二サイクラ、発動時間およそ一分三十秒ですね」
「・・やはり、人工的にマナを精製するのは不可能なのかしら・・・」
そう言いながらクラリスは項垂れた。
バシュウウウ・・・。
「うう・・熱!」
発導機の側にいた作業員がコアの部分を解放すると、高温の煙を放ちながら純粋魔導銀製の変換術式スクロール躯体が露出した。
しかし、露出したそれは無残にも黒ずんで変形してしまっていた。
「やはり二アール博士が提唱する大型の魔導結晶からマナを供給する方式が現実的なのでしょうか・・」
「魔導機甲がまともに動作するにはどう見繕ったって百サイクラ程のマナ出力がいるわ。そんな大容量のマナを蓄える魔導結晶がどこにあるっていうのよ。馬車くらいの大きさの魔導結晶でも探すっていうの?」
「それは・・そうですが・・」
「私のエーテル・マナ変換術式の理論は間違い無いわ。あとは出力した大容量マナに耐えうる躯体を作るだけなのに!」
バンッ!
そう言いうとクラリスは悔しさでコンソール拳を落とした。
「『神白銀』さえあれば・・・」
「・・・他の国が信仰している『女神教』にでてくる架空の物質ですよね?マナ抵抗が全くない神々が作った素材とか・・まさに空想の話ですね」
助手はやれやれと言った感じでため息を漏らした。
「・・いずれにしても純粋魔導銀で無理なら打つ手なしね」
「あとは魔導機甲本体のマナ消費量を削減する方向でいくしかないわね・・それも現実的じゃないけど・・」
「マナ・ジェネレーター搭載魔導車ならなんとか作れそうですけどね」
「大した距離を走ることなく劣化した純粋魔導銀製のマナ出力スクロールをわざわざ定期的に入れ換えて?そんな金ばかりかかるもの誰が買うのよ・・」
「・・・はあ、しばらく研究はストップね・・軍務卿に報告するのが気が重いわ・・今日は片付けたらお開きね。お疲れ様・・」
「私はちょっと休むわ・・」
「お疲れ様です。あまり気を落とさないでくださいね?」
「ええ、ありがとう・・あとはお願いね」
「はい!わかりました!」
クラリスはそう言いながら手をひらひらさせて実験施設を後にした。
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