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第二章 魔導帝国オルテアガ編
帝都捜索 〜ユナ視点〜
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王都イルティアを出発したユナは途中休憩を挟みながらも『ブースト』を使いながら走り続け、およそ半日という異常な早さで帝都リスラムまで到着した。
『二級冒険者』のギルドカードを提示したユナは検閲もすんなりとくぐり抜けて、いよいよ街のメインストリートに到着したのだが・・。
「・・本当に『女神教会』も『女神ハーティルティア像』も全くないですね・・」
「女神ハーティルティア様を崇拝しないなどという愚かな民族がこの世界に存在していたとは・・」
ユナは嘆かわしいと言わんばかりの表情で、胸元にある女神ハーティルティアを模したペンダントを握りしめた。
これはユナが『女神教』を本気で信仰し始めた時になけなしのお金で買った安物を、王都決戦の直前にハーティが神白銀に『練金』した物である。
「・・もし機会があるなら、この国にも『女神教』を広めたいですね・・」
そう言いながら、ユナは帝都を練り歩いていた。
「お嬢様は着の身着のまま飛び出して行きましたし、もしこの街にたどり着いていらっしゃるなら、ひとまずは路銀を稼がないといけないはずですね・・・」
ユナは雑踏の中に立ち止まって顎に手をやりながら思案した。
「・・と、すれば手っ取り早くは冒険者になることでしょうか。冒険者であれば、『黒の魔導結晶』の手がかりも掴めると考えるはずですしね」
流石といったところか、ユナの推測したハーティの思考はほぼ間違いなかった。
「ああ・・嘆かわしい・・至尊なる女神様が冒険者として日銭を稼ぐことになるなど・・」
そう言いながらユナは涙を流しかけた瞳をぐっと閉じると首をふるふると横に振った。
「・・まあ、お嬢様が賊や魔獣如きにどうにかなるとは思いませんが・・・」
「道中、此処への一本道にある谷で明らかに規模が異常な魔導による破壊の痕跡があったので、お嬢様が何かやらかした後にこの街にたどり着いたのは間違いないはずですが・・」
ユナは『西の谷』でハーティが放った魔弾の跡を見ると、すぐさまそれがハーティの仕業であると推測した。
「お嬢様はちゃんと食べてらっしゃるのでしょうか。身なりは整えてらっしゃるのでしょうか。きっちり寝れているのでしょうか・・」
「・・初めて二人で王都に行った時は市井の食に非常に興味を示していらっしゃったので、そっち方面は大丈夫そうですが・・・」
「一刻もはやく見つけ出してお嬢様のお世話をしなければなりませんね」
そして、ユナは帝都の冒険者ギルドに到着した。
「お嬢様はあれほどのお方です・・たとえこの国が『女神教』を信仰しないなどという愚かな国で、王都での輝かしい実績と奇跡の所業が伝わっていない可哀想な街であっても、冒険者ギルドで聞き込みをすれば、必ず何らかの情報はあるはずです」
「・・・というよりも早速いろいろやらかしてお嬢様の名前が既にギルドで轟いている予感しかしません・・」
ユナが到着した時には既に日が暮れかかる時間になっており、今日のクエストを終えた冒険者達がクエスト報告をする為に冒険者ギルドに戻ってきており、辺りは非常に賑わっていた。
ユナは早速ハーティについての情報を探るべく、真っ直ぐ受付ロビー正門玄関に向かって歩いていた。
ザザ・・・。
「へへへ」
「ぐへへへ」
「・・・・・・」
すると、ユナは屈強な体つきの冒険者複数人に囲まれたのであった。
「お嬢ちゃん、一人で冒険者デビューってわけかい?」
「そのピカピカな魔導銀の剣や装備はパパに買ってもらったのかーい?」
「「ギャハハ」」
それを聞いた周りの人間たちが大声で笑い出した。
「嬢ちゃんみたいな子が親のお金で装備を買ってもらって、ままごとみたいな事をして生きていける程冒険者って仕事は甘くないんだよ、わかる??」
「なんなら、俺たちがいろいろ教えてあげてもいいぜえ?どう?俺らのパーティに入るってのは?可愛がってやんよ。勿論、断るなんてしねえよなぁ?」
「「「ヒャヒャヒャ」」」
ユナの正面にいる男が凄みながら脅していると、合いの手を入れるように周りの男達も下卑た笑いをあげた。
「・・・邪魔です。失せてくださいな」
しかし、ユナはその能面のような顔を微動だにせずに氷のような冷たい口調で言い放った。
それを聞いた男達が一気に青筋を立てた。
「あぁ?邪魔だぁ?・・テメェ今の自分の状況をわかってねえようだな・・なんなら今その体に直接たた・・・」
「状況がわかってねぇのはテメェの方だボケェ!」
バッキャア!
「ホンゲァァァァ!」
向かいの男がユナにかけた更なる脅しの文句は、突如やってきた男の飛び蹴りによって遮られた。
「お前らその人をよく見てみろ!ピカピカの装備に魔導銀剣を持った、ソロの美少女冒険者!まんま『ハーティ様』と特徴が一緒じゃねぇか!」
「こりゃ何かあるっておもわねぇのか!!この俺『マックス』の本能は、この方がヤベェ人間だって信号をビンビン発してるぜ!」
飛び蹴りを放ったのは『ブラックスミス』のリーダーであるマックスだった。
「下手に脅したら返り討ちに遭うのが目に見え・・・」
シュイイイン。
マックスが言葉を途中で詰まらせたのには理由があった。
何故なら、いままで皆で囲んでいたユナが目の前に存在せず、確かな殺気を放ちながらマックスの背後にいたからだ。
そしてユナは背後からマックスの首筋に、白銀に発光する『女神の絆』のブレードを向けていた。
「あなた、今『ハーティ様』・・と確かに言いましたね?もしかして以前『ハーティ様』と出会って何か揉め事を起こしたのでは?」
マックスはユナに背後からブレードを向けられて、短い呼吸を「はっはっ」と吐きながらおびただしい汗を額から流していた。
「答えなさい!」
「・・・ほら、言わんこっちゃねぇじゃないか」
マックスは自分の冒険者としてのカンが鈍っていない事を喜びながらも、いろいろ諦めて両手を挙げると、静かに瞳を閉じたのであった。
『二級冒険者』のギルドカードを提示したユナは検閲もすんなりとくぐり抜けて、いよいよ街のメインストリートに到着したのだが・・。
「・・本当に『女神教会』も『女神ハーティルティア像』も全くないですね・・」
「女神ハーティルティア様を崇拝しないなどという愚かな民族がこの世界に存在していたとは・・」
ユナは嘆かわしいと言わんばかりの表情で、胸元にある女神ハーティルティアを模したペンダントを握りしめた。
これはユナが『女神教』を本気で信仰し始めた時になけなしのお金で買った安物を、王都決戦の直前にハーティが神白銀に『練金』した物である。
「・・もし機会があるなら、この国にも『女神教』を広めたいですね・・」
そう言いながら、ユナは帝都を練り歩いていた。
「お嬢様は着の身着のまま飛び出して行きましたし、もしこの街にたどり着いていらっしゃるなら、ひとまずは路銀を稼がないといけないはずですね・・・」
ユナは雑踏の中に立ち止まって顎に手をやりながら思案した。
「・・と、すれば手っ取り早くは冒険者になることでしょうか。冒険者であれば、『黒の魔導結晶』の手がかりも掴めると考えるはずですしね」
流石といったところか、ユナの推測したハーティの思考はほぼ間違いなかった。
「ああ・・嘆かわしい・・至尊なる女神様が冒険者として日銭を稼ぐことになるなど・・」
そう言いながらユナは涙を流しかけた瞳をぐっと閉じると首をふるふると横に振った。
「・・まあ、お嬢様が賊や魔獣如きにどうにかなるとは思いませんが・・・」
「道中、此処への一本道にある谷で明らかに規模が異常な魔導による破壊の痕跡があったので、お嬢様が何かやらかした後にこの街にたどり着いたのは間違いないはずですが・・」
ユナは『西の谷』でハーティが放った魔弾の跡を見ると、すぐさまそれがハーティの仕業であると推測した。
「お嬢様はちゃんと食べてらっしゃるのでしょうか。身なりは整えてらっしゃるのでしょうか。きっちり寝れているのでしょうか・・」
「・・初めて二人で王都に行った時は市井の食に非常に興味を示していらっしゃったので、そっち方面は大丈夫そうですが・・・」
「一刻もはやく見つけ出してお嬢様のお世話をしなければなりませんね」
そして、ユナは帝都の冒険者ギルドに到着した。
「お嬢様はあれほどのお方です・・たとえこの国が『女神教』を信仰しないなどという愚かな国で、王都での輝かしい実績と奇跡の所業が伝わっていない可哀想な街であっても、冒険者ギルドで聞き込みをすれば、必ず何らかの情報はあるはずです」
「・・・というよりも早速いろいろやらかしてお嬢様の名前が既にギルドで轟いている予感しかしません・・」
ユナが到着した時には既に日が暮れかかる時間になっており、今日のクエストを終えた冒険者達がクエスト報告をする為に冒険者ギルドに戻ってきており、辺りは非常に賑わっていた。
ユナは早速ハーティについての情報を探るべく、真っ直ぐ受付ロビー正門玄関に向かって歩いていた。
ザザ・・・。
「へへへ」
「ぐへへへ」
「・・・・・・」
すると、ユナは屈強な体つきの冒険者複数人に囲まれたのであった。
「お嬢ちゃん、一人で冒険者デビューってわけかい?」
「そのピカピカな魔導銀の剣や装備はパパに買ってもらったのかーい?」
「「ギャハハ」」
それを聞いた周りの人間たちが大声で笑い出した。
「嬢ちゃんみたいな子が親のお金で装備を買ってもらって、ままごとみたいな事をして生きていける程冒険者って仕事は甘くないんだよ、わかる??」
「なんなら、俺たちがいろいろ教えてあげてもいいぜえ?どう?俺らのパーティに入るってのは?可愛がってやんよ。勿論、断るなんてしねえよなぁ?」
「「「ヒャヒャヒャ」」」
ユナの正面にいる男が凄みながら脅していると、合いの手を入れるように周りの男達も下卑た笑いをあげた。
「・・・邪魔です。失せてくださいな」
しかし、ユナはその能面のような顔を微動だにせずに氷のような冷たい口調で言い放った。
それを聞いた男達が一気に青筋を立てた。
「あぁ?邪魔だぁ?・・テメェ今の自分の状況をわかってねえようだな・・なんなら今その体に直接たた・・・」
「状況がわかってねぇのはテメェの方だボケェ!」
バッキャア!
「ホンゲァァァァ!」
向かいの男がユナにかけた更なる脅しの文句は、突如やってきた男の飛び蹴りによって遮られた。
「お前らその人をよく見てみろ!ピカピカの装備に魔導銀剣を持った、ソロの美少女冒険者!まんま『ハーティ様』と特徴が一緒じゃねぇか!」
「こりゃ何かあるっておもわねぇのか!!この俺『マックス』の本能は、この方がヤベェ人間だって信号をビンビン発してるぜ!」
飛び蹴りを放ったのは『ブラックスミス』のリーダーであるマックスだった。
「下手に脅したら返り討ちに遭うのが目に見え・・・」
シュイイイン。
マックスが言葉を途中で詰まらせたのには理由があった。
何故なら、いままで皆で囲んでいたユナが目の前に存在せず、確かな殺気を放ちながらマックスの背後にいたからだ。
そしてユナは背後からマックスの首筋に、白銀に発光する『女神の絆』のブレードを向けていた。
「あなた、今『ハーティ様』・・と確かに言いましたね?もしかして以前『ハーティ様』と出会って何か揉め事を起こしたのでは?」
マックスはユナに背後からブレードを向けられて、短い呼吸を「はっはっ」と吐きながらおびただしい汗を額から流していた。
「答えなさい!」
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