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第二章 魔導帝国オルテアガ編
ユナとの再会
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「・・・・答えられないということですね」
ユナが柄を持つ手を更に握りしめて、さらなる殺気を放つ。
その殺気にあてられて、周りにいた無関係の冒険者達までが何事かと現状を息を飲むように見つめていた。
「・・ならば!!」
そして、ユナが何かを決意して行動に移そうとしたその時。
「ちょーーーと待ったぁぁぁ!!」
ユナ達の前に猛スピードで『桃色の塊』が飛来した。
『桃色の塊』とはもちろん、ハーティのことである。
ハーティはたまたま冒険者ギルドから宿への帰路へと向かおうとしたときに騒ぎを目撃した。
そしてその中心に何故かユナが居るのを見かけたのだが、その表情を見て無心で飛び出したのであった。
ハーティは、ユナが自分に対して異常な忠誠心を持っているのを痛いほど知っている。
こと『ハーティ』に関わることになると、ユナは冷静さを欠いて何をしでかすかわからなかった。
なので、ユナの表情と凄まじい殺気を見た瞬間に、再会の喜びよりも「早く止めないと大事になる」という気持ちが先走って飛び出したのであった。
「その人は私の知り合いなの!離してあげて!」
その言葉に反応してハーティの方を見たユナが目を見開いた。
「お嬢様!!!」
ユナはマックスに向けていたブレードを仕舞うと、目にもとまらぬ速度でハーティの元へ駆け寄った。
「た・・・たすかった・・」
マックスは緊張が解かれてへなへなとへたり込んだ。
「マックスさん!大丈夫ですか!」
「ああ・・・そこらの強い魔獣に睨まれるよりも死を覚悟したぜ・・・」
ユナの前で凄んでいた男はマックスを抱えると、ハーティとユナから距離を置いた。
それに合わせて他の男たちも二人から離れて様子を静観することにした。
「お嬢様!!!お嬢様なのですね!!」
そう言うユナの瞳からは一筋の涙がこぼれた。
そこでハーティは、はっと思い出した。
ハーティは王都でユナに「再び眠りにつく」といって別れたばかりである。
なので、帝都でハーティとユナが出会うことはないはずであった。
(なぜだかわからないけど、ユナと再会したのは嬉しい。けど・・やっぱりユナを私の目的の為に巻き込むわけにはいかない!)
(髪色や髪型を変えているし、ここは心苦しいけど他人の空似ということで誤魔化して王都へ帰るように促すしかない!)
一つの決意を固めたハーティはユナに向けて口を開いた。
「えーっと・・・?どこかで会いましたでしょうか??」
そうやってハーティがとぼけてみると、ユナの顔がみるみる般若のような顔に変わって行った。
その表情のまま、まるで呪詛の言葉のようにぼそぼそと小声で詠唱術式を唱えると『ブースト』を発動させる。
そして、ユナは掌を静かに振りかぶり・・・。
「お嬢様のおバカァァァァァ!!!」
バァァァァァァン!!
ユナが全力で放った平手が、まるで大爆発を起こしたかのような壮大な効果音を鳴らしてハーティの頬に命中した。
「・・・・いたひ」
ハーティはユナに叩かれて真っ赤になった頬を涙目になりながらさすった。
「あの・・私一応上級防御魔導を発動しているんだけど、今普通に平手で突破したよね・・」
「もし叩いた人が私じゃなかったら上半身ごと木端微塵になっていたと思うよ・・」
「そんなことは今関係ありません!!」
「はひ!」
ハーティはユナのあまりの剣幕に姿勢を正した。
「あのハーティ様にダメージを与えるっていったいどんな平手だよ・・」
「上級防御魔導!?そんな強力な魔導をあの一瞬で発動したのか!?」
正確には『常時発動』しているのだが、周りで二人のやりとりを見ている冒険者たちはよもやそんなことなど露程も思っていなかった。
「てか、いま『上半身が木端微塵』とか物騒な言葉が聞こえてこなかったか?」
「え、今平手したんすか・・・すごい音はしましたけど何もみえませんでしたぜ?」
ユナ達を傍観していた周りの冒険者たちはそのあまりにも激しい平手と衝撃の事実を垣間見て呆気にとられていた。
「どうせお嬢様のことです。『他人のふりをしてユナを王都に返そう』とか思っていたのでしょう」
「・・・ぐっ」
「そもそも私がお嬢様のことを見間違うわけがないでしょう!どうして一人で抱え込もうとするのです!私はそんなに役に立ちませんか?」
「や・・役に立たないわけないじゃない!!でも・・やっぱり危険だし、こんな責任が重いことをユナに頼むわけには・・」
「私は初めて出会った時にお嬢様に救って頂いたときから、ずっとお嬢様と共にあると心に誓ったのです」
「そこにどのような困難な試練があったとしても、危険な場所であったとしても!私にとってお嬢様の隣以上の場所はありません」
「それをお嬢様の判断で勝手に置いてきぼりにされて・・私は本当に怒っているのです!」
ユナは静かに語りながら更に涙を溢れさせた。
「それに!どうせお嬢様のことです。私が居なければ身だしなみだってほら!」
そう言いながらユナはハーティのポニーテールを人房掴んだ。
「こんなに御髪が乱れて、ああ嘆かわしい!」
ユナはそう言いながら、スチャっとどこから出したのかわからない侯爵令嬢時代から愛用しているブラシでハーティの髪を梳いた。
「別に冒険者なんだから髪くらい少々乱れ・・」
「なりません!」
「・・・・はい」
「それにお嬢様は割とうっかりなので、ちゃんと私が見ていないと何をしでかすかわかりません・・・」
「そ・・そんなこと・・」
「『西の谷』・・・」
「・・・っく!」
ハーティは悔しさに顔を顰めた。
「どうせ逃げ出しても私はお嬢様の考えなど全て御見通しです」
「たとえお嬢様が再び一人で旅に出ても、私は単身邪神を滅ぼしてでも世界の果てまで追いかけますからね!」
「あと、ついでに『女神ハーティルティア様』に不敬を働く不届きな輩も滅ぼしていきますが・・」
「なにそれ怖い」
「それほどまでに私の決意は堅いということです!」
ハーティとユナは真剣な眼差しで見つめ合った。
「・・・・わかったわ・・そこまでの決意なら私も止めないわ」
「ユナ。王都で置いていってしまってごめんなさい。そしてこれからも宜しくね」
「はい。よろしくお願いします。お嬢様」
そして、ハーティとユナはお互いに再会を喜んで涙を流しながら抱き合ったのであった。
ユナが柄を持つ手を更に握りしめて、さらなる殺気を放つ。
その殺気にあてられて、周りにいた無関係の冒険者達までが何事かと現状を息を飲むように見つめていた。
「・・ならば!!」
そして、ユナが何かを決意して行動に移そうとしたその時。
「ちょーーーと待ったぁぁぁ!!」
ユナ達の前に猛スピードで『桃色の塊』が飛来した。
『桃色の塊』とはもちろん、ハーティのことである。
ハーティはたまたま冒険者ギルドから宿への帰路へと向かおうとしたときに騒ぎを目撃した。
そしてその中心に何故かユナが居るのを見かけたのだが、その表情を見て無心で飛び出したのであった。
ハーティは、ユナが自分に対して異常な忠誠心を持っているのを痛いほど知っている。
こと『ハーティ』に関わることになると、ユナは冷静さを欠いて何をしでかすかわからなかった。
なので、ユナの表情と凄まじい殺気を見た瞬間に、再会の喜びよりも「早く止めないと大事になる」という気持ちが先走って飛び出したのであった。
「その人は私の知り合いなの!離してあげて!」
その言葉に反応してハーティの方を見たユナが目を見開いた。
「お嬢様!!!」
ユナはマックスに向けていたブレードを仕舞うと、目にもとまらぬ速度でハーティの元へ駆け寄った。
「た・・・たすかった・・」
マックスは緊張が解かれてへなへなとへたり込んだ。
「マックスさん!大丈夫ですか!」
「ああ・・・そこらの強い魔獣に睨まれるよりも死を覚悟したぜ・・・」
ユナの前で凄んでいた男はマックスを抱えると、ハーティとユナから距離を置いた。
それに合わせて他の男たちも二人から離れて様子を静観することにした。
「お嬢様!!!お嬢様なのですね!!」
そう言うユナの瞳からは一筋の涙がこぼれた。
そこでハーティは、はっと思い出した。
ハーティは王都でユナに「再び眠りにつく」といって別れたばかりである。
なので、帝都でハーティとユナが出会うことはないはずであった。
(なぜだかわからないけど、ユナと再会したのは嬉しい。けど・・やっぱりユナを私の目的の為に巻き込むわけにはいかない!)
(髪色や髪型を変えているし、ここは心苦しいけど他人の空似ということで誤魔化して王都へ帰るように促すしかない!)
一つの決意を固めたハーティはユナに向けて口を開いた。
「えーっと・・・?どこかで会いましたでしょうか??」
そうやってハーティがとぼけてみると、ユナの顔がみるみる般若のような顔に変わって行った。
その表情のまま、まるで呪詛の言葉のようにぼそぼそと小声で詠唱術式を唱えると『ブースト』を発動させる。
そして、ユナは掌を静かに振りかぶり・・・。
「お嬢様のおバカァァァァァ!!!」
バァァァァァァン!!
ユナが全力で放った平手が、まるで大爆発を起こしたかのような壮大な効果音を鳴らしてハーティの頬に命中した。
「・・・・いたひ」
ハーティはユナに叩かれて真っ赤になった頬を涙目になりながらさすった。
「あの・・私一応上級防御魔導を発動しているんだけど、今普通に平手で突破したよね・・」
「もし叩いた人が私じゃなかったら上半身ごと木端微塵になっていたと思うよ・・」
「そんなことは今関係ありません!!」
「はひ!」
ハーティはユナのあまりの剣幕に姿勢を正した。
「あのハーティ様にダメージを与えるっていったいどんな平手だよ・・」
「上級防御魔導!?そんな強力な魔導をあの一瞬で発動したのか!?」
正確には『常時発動』しているのだが、周りで二人のやりとりを見ている冒険者たちはよもやそんなことなど露程も思っていなかった。
「てか、いま『上半身が木端微塵』とか物騒な言葉が聞こえてこなかったか?」
「え、今平手したんすか・・・すごい音はしましたけど何もみえませんでしたぜ?」
ユナ達を傍観していた周りの冒険者たちはそのあまりにも激しい平手と衝撃の事実を垣間見て呆気にとられていた。
「どうせお嬢様のことです。『他人のふりをしてユナを王都に返そう』とか思っていたのでしょう」
「・・・ぐっ」
「そもそも私がお嬢様のことを見間違うわけがないでしょう!どうして一人で抱え込もうとするのです!私はそんなに役に立ちませんか?」
「や・・役に立たないわけないじゃない!!でも・・やっぱり危険だし、こんな責任が重いことをユナに頼むわけには・・」
「私は初めて出会った時にお嬢様に救って頂いたときから、ずっとお嬢様と共にあると心に誓ったのです」
「そこにどのような困難な試練があったとしても、危険な場所であったとしても!私にとってお嬢様の隣以上の場所はありません」
「それをお嬢様の判断で勝手に置いてきぼりにされて・・私は本当に怒っているのです!」
ユナは静かに語りながら更に涙を溢れさせた。
「それに!どうせお嬢様のことです。私が居なければ身だしなみだってほら!」
そう言いながらユナはハーティのポニーテールを人房掴んだ。
「こんなに御髪が乱れて、ああ嘆かわしい!」
ユナはそう言いながら、スチャっとどこから出したのかわからない侯爵令嬢時代から愛用しているブラシでハーティの髪を梳いた。
「別に冒険者なんだから髪くらい少々乱れ・・」
「なりません!」
「・・・・はい」
「それにお嬢様は割とうっかりなので、ちゃんと私が見ていないと何をしでかすかわかりません・・・」
「そ・・そんなこと・・」
「『西の谷』・・・」
「・・・っく!」
ハーティは悔しさに顔を顰めた。
「どうせ逃げ出しても私はお嬢様の考えなど全て御見通しです」
「たとえお嬢様が再び一人で旅に出ても、私は単身邪神を滅ぼしてでも世界の果てまで追いかけますからね!」
「あと、ついでに『女神ハーティルティア様』に不敬を働く不届きな輩も滅ぼしていきますが・・」
「なにそれ怖い」
「それほどまでに私の決意は堅いということです!」
ハーティとユナは真剣な眼差しで見つめ合った。
「・・・・わかったわ・・そこまでの決意なら私も止めないわ」
「ユナ。王都で置いていってしまってごめんなさい。そしてこれからも宜しくね」
「はい。よろしくお願いします。お嬢様」
そして、ハーティとユナはお互いに再会を喜んで涙を流しながら抱き合ったのであった。
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