転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい

りゅうじんまんさま

文字の大きさ
88 / 229
第二章 魔導帝国オルテアガ編

白と黒 ~クラリス視点~2

しおりを挟む
『はぁぁぁぁ!』

『てやぁぁぁぁ!』

 ガキンガキンガキンガキン!

『プラタナ』と『メルティーナ』は空中で激しく白銀の火花を散らしながら切り結んでいく。

 ヴヴヴヴヴヴ・・・・。

「っく!まさか『メルティーナ』がこれほどの動きを出来る様になるなんて・・・シエラちゃんが生み出すマナはそれほどのものだと言うの!?」

 ガキィィン!!

『あははははは!人智を超えた者同士が本気でぶつかり合う瞬間いま!最高に気持ちが高まると思わない?』

 ガキィィン!!

『あなたが目指していることは間違っているわ!!』

『あたしたちは今まで、人々の暮らしを便利に!豊かにする為に!お互い切磋琢磨しながら努力してきたはずよ!!』

 ガキィィン!!

『それが、今こうやってお互いに殺し合っているなんて!そんなの間違っているわ!!』

『うるさい!そんなの所詮は綺麗事よ!!魔導具が発明されるよりも前から、人間は殺し合う為にさまざまな『武器』を発明してきたわ!!』

『結局優れた物など、いずれは殺し合いの為に使われるのよ!』

『そこに開発者の意思なんて関係ない・・どんな思いを持って生み出したものでも・・最後は使う人間によっていくらでも悪用されるものなのよ!』

 ガキィィン!

『それでも、あたしはあなたに・・・してほしくなかった!!!』

 ガキィィン!

『っ!』

 クラリスの言葉に一瞬『メルティーナ』の剣戟が鈍ったような様子を見せた。

 ガキィィン!

 しかし、それも一瞬の出来事で、再び二機の剣は激しくぶつかり合った。

『・・私は!ただ誰よりも優れた『新しい力』を手に入れたかっただけよ!』

『そして・・!『新しい力メルティーナ』を手に入れた今!私は絶対に負けないわ!』

 ニアールはそう高らかに宣言すると、突然『メルティーナ』を『プラタナ』から引き離した。

『食らいなさい!これこそ私が開発した『新しい魔導』よ!!』

 ニアールがそう言うと、『メルティーナ』は右腕を『プラタナ』の方へむけて突き出した。

 バシュウ!

 そして腕部装甲の一部が展開すると、掌の前に円形状の魔導式が浮かび上がった。

 シュイイイイン!

『裁きの火球を食らいなさい!』

 シュババババババババ!
 
 そして、その魔導式から大量の火球が放たれて、『プラタナ』の方へと迫ってきた。

 ヴヴヴヴヴヴ・・・・。

魔導機甲マギ・マキナが火属性魔導を使うですって!?」

 グイ・・・!

 クラリスはコクピットで驚愕の表情を浮かべると、すかさず火球を回避する為に操縦レバーを倒す。

 ゴウゥゥゥゥゥゥ!!!

 すると、『プラタナ』の背部にある翼が可変して、『プラタナ』が即座に水平移動による回避運動を開始した。

 シュンシュンシュンシュン・・・!

 それらの火球は『プラタナ』の高機動性を駆使した高速水平飛行によって全て回避することができたが、ユナやハーティの時と同じように再び旋回して『プラタナ』の方へと戻ってきた。

 ヴヴヴヴヴ・・。

「ウソでしょ!?誘導火球魔導ですって!?」

 グィン!

 クラリスは再びコックピットで独り言つと操縦レバーを複雑に操作した。

 ゴウゥゥゥゥ!

 シュンシュン!!

 ゴウゥゥゥ!!

 シュンシュン!!

『プラタナ』はしつこく追尾していく火球を、宙返りや機体を旋回させるような動きを組み合わせた高速飛行によって巧みに回避していく。

『ふん・・なかなかやるわね!!だけど、火球ばかりに気を取られていてはいけないわよ!!』

 ゴウゥゥゥゥゥ!

『メルティーナ』は回避に必死となっている『プラタナ』に最大出力の飛翔魔導で迫ると、そのまま速度を乗せて『プラタナ』へと蹴りを放った。

 ドガァァン!

『うっきゃあ!!!』

 キィーーーン!ドガァァァァァン!!!!

『メルティーナ』の蹴りを真面に食らった『プラタナ』はそのままの勢いで地面へと叩きつけられた。

 数十トンにもなる『プラタナ』が高速で地面に激突した衝撃で、落下地点の地上の家屋は軒並み破壊されていった。

 ヴヴヴヴヴヴ・・・・。

「ったあ・・・・・」

『上級防御魔導』の許容限界を超えたダメージを食らったことによって、『プラタナ』のコクピット内は激しく揺れた。

 そして、クラリスが徐に額へと手をやると、そこには僅かに赤い血が付いていた。

 ドガァァン!

「きゃあ!!」

『プラタナ』が仰向けに倒れている為にクラリスの眼前にある光魔導スクリーンには空が映っていたが、そこに『メルティーナ』の足の裏が映り込んでいた。

 それが指し示すように、今まさに『メルティーナ』は転倒した『プラタナ』を踏みつけている状態であった。

『はん!無様ね。クラリス!!』

『あんたにはいままで沢山悔しい思いをさせられたけど、ようやくその屈辱を晴らす時が来たわ!!!』

 ゴゥゥゥン!

 そう言うと、『メルティーナ』は『プラタナ』を踏みつけたまま、自身の剣を抜刀して剣先を真下にいる『プラタナ』の胸元に向けて構えた。

『安心しなさい。せめて一思いにコクピットを狙って突き刺してあげるから・・残念だけど、お別れね』

 ヴヴヴヴヴヴヴ・・・。

「っここまでなの・・・!?」

 クラリスは太陽の光を鋭く反射する剣先から目を逸らすように、側面のスクリーンへと目をやる。

 すると、戦っているうちに郊外まで追いやられたのか、そこには少し距離を置いたところでレゾニア男爵家の屋敷が映っていた。

 そして、その屋敷を見た瞬間に、クラリスはを思い出したのであった。

「・・・あたしはまだ諦めないわ!!!」

 グィ!!!

 そう言うと、クラリスは一気に操縦レバーを限界まで前方へ押し込んだ。

 キィィィィィィィィン!!!!ゴゥゥゥゥゥゥ!

 その瞬間、『プラタナ』の背面にある『フライ・マギ・ブースト・ウィング』の輝きが一気に増して、凄まじい初速で仰向けのまま『プラタナ』は飛び出した。

 ドガァン!

『なに!?』

『プラタナ』に脚部を置いていた『メルティーナ』は突然『プラタナ』が離脱したことにより転倒した。

 そして、『プラタナ』は背面飛行のまま、まっすぐレゾニア男爵邸の方へと向かった。

「お爺様・・・今こそを使う時だわ・・・!」

 そして、クラリスはレゾニア男爵家へ『プラタナ』を駆りながら、かつて祖父と過ごしたとある日の情景を思い返していた。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

スローライフ 転生したら竜騎士に?

梨香
ファンタジー
『田舎でスローライフをしたい』バカップルの死神に前世の記憶を消去ミスされて赤ちゃんとして転生したユーリは竜を見て異世界だと知る。農家の娘としての生活に不満は無かったが、両親には秘密がありそうだ。魔法が存在する世界だが、普通の農民は狼と話したりしないし、農家の女将さんは植物に働きかけない。ユーリは両親から魔力を受け継いでいた。竜のイリスと絆を結んだユーリは竜騎士を目指す。竜騎士修行や前世の知識を生かして物を売り出したり、忙しいユーリは恋には奥手。スローライフとはかけ離れた人生をおくります。   

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!

カエデネコ
ファンタジー
日本のとある旅館の跡継ぎ娘として育てられた前世を活かして転生先でも作りたい最高の温泉地! 恋に仕事に事件に忙しい! カクヨムの方でも「カエデネコ」でメイン活動してます。カクヨムの方が更新が早いです。よろしければそちらもお願いしますm(_ _)m

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

処理中です...