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第四章 エルフの国リーフィア編
女神の槍 〜イルティア王国視点〜
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「機関始動!」
マクスウェルの言葉を受けて、クルーの一人が魔導コンソールを操作する。
「主機関、クラリス式発導機始動!!」
シュイイイイイン!!
「続いて副機関、一番から十番までのクラマ式発導機始動!!」
チチチチチチ・・・・ウィィィーーン!!ズゴォォォ!!
機関が始動することにより、艦橋には発導機から発せられる凄まじい駆動音が伝わって来た。
クラマ式発導機はクラリス式と異なり、マナ抵抗が存在するので駆動時の音がかなり大きい。
また、クラリス式に比べてマナ出力が大幅に劣るので、機関出力を補う為に新造艦には十機のクラマ式発導機が搭載されていた。
「主機関であるクラリス式発導機と副機関であるクラマ式発導機十機を合わせた、この艦のシステム最大マナ出力は二十三万サイクラになるのですじゃ!」
「二十三万・・」
マクスウェルはカツの言葉を聞いて目を見開いた。
魔導外輪船『ナゴーブ』の機関出力が三機合わせて百五十サイクラであったことを考えると、その数値は正に桁違いであった。
そして、機関が始動したことにより、艦橋の全ての設備にマナが行き渡り始めた。
「各機関、安定しています。各種魔導推進機異常ありません!」
「『ラピス』各機聞こえるか?」
『『『はっ!良く聞こえます、殿下!』』』
「これより本艦は出航する!各機『飛翔魔導推進機』で追従せよ!」
『『『御意!』』』
「マクスウェル殿下!ドックゲートが開きました!」
クルーの言葉を聞いてマクスウェルが前方に目をやると、ドックゲートが開いた先には美しい大海原が広がっていた。
「よし、係留ロープを外せ!これより本艦は出港する!」
そして、いよいよ新造艦から係留ロープと桟橋が外された。
「出港!」
「了解!機関二十!前進微速!」
「魔導推進機発動!前進微速!」
シュイイイイイン・・・。
ゴォォォォ!
マクスウェルの指示によりクルーが魔導推進機を発動させると、巨大な艦がゆっくりと大海原へと進み始めた。
そのまま艦はゆっくりと前進して、ドックから離れると速度を増しながら沖に向かって行く。
新造艦は『ナゴーブ』に採用されていた外輪や帝国の国家機密であるスクリュー推進機を用いずに、水中の船体開口部から高圧の空気を風属性魔導で放出する魔導推進機で前進する。
ただ、実は高圧の空気による反作用で推進力を得る方式はスクリュー推進機よりも推進力が劣る。
それに船舶の推進機として使うには構造特性上、どうしても水飛沫が高く上がってしまう為に不向きである。
それでも、新造艦が敢えて風属性魔導推進機を採用したのには、ある大きな理由があった。
ただ、高圧空気による推進とはいえ、外輪推進より遥かに高性能であることから、新造艦は既に二十ノットを超える速度で進んで沖まで出た。
美しい大海原の飛沫を受ける艦首部分では、『女神ハーティルティア』をモチーフにした船首像が太陽の光をキラキラと反射していた。
「マクスウェル殿下!!本艦は安全海域まで出ました!!」
クルーの言葉を聞いたマクスウェルは満足げに頷くと、不敵な笑みを浮かべた。
「マクスウェル様、いよいよですわね!」
副艦長席から発せられたフィオナの言葉を聞いて艦橋に緊張が走る。
「ああ、これから先はぶっつけ本番だからな。だが、わたしはクラリス嬢やカツ殿、そしてこの艦建造に携わった皆を信じている」
「マクスウェル様・・」
マクスウェルはフィオナの方を向いて静かに頷くと、クルーに向かって指示を出した。
「安全海域進出を確認した。これより本艦は浮上する!浮上用意!!」
「浮上よーい!!『フライ・マギ・ブースト・ウィング』展開!!」
ウィィィィン!!
マクスウェルの指示を受けてクルーの一人が魔導コンソールを操作すると、艦の両舷中程から六枚の巨大なブレード状の翼が展開し始める。
展開した翼によって海流の抵抗を増した船体は、大きく水飛沫を上げながらやや減速した。
「『フライ・マギ・ブースト・ウィング』展開完了しました!」
その言葉を聞いたマクスウェルは静かに立ち上がった。
「そして、拡声魔導付きの艦内エーテル通信機に向かって声をかけ始めた」
「艦内にいる全クルーに告ぐ。これより本艦は『エルフの国リーフィア』へ向かう為に浮上する。これは人類にとって前代未聞の試みである。だが、女神ハーティルティア様の加護がある限り、我々は必ずこれを成し遂げて女神ハーティルティア様の元へ馳せ参じることができるだろう!」
「皆、祈りを捧げよ!そして、必ず我々は『女神の槍』となるのだ!」
「「「おおおお!!」」」
マクスウェルの演説を聞いて、艦内では乗員二千名の雄叫びが響き渡った。
リリスは艦橋の床に跪いて『最敬礼』をしながら祈りを捧げた。
(ハーティルティア様・・リリスは今、貴方様の元へ向かいます。どうか見守ってください!)
そして、マクスウェルは前方に手を差し出しながら、声高らかに指示を出した。
「行くぞ!『女神同盟軍』総旗艦、飛行魔導神殿『女神の槍』!浮上!」
「浮上!!」
「了解!機関最大!『飛翔』術式発動!飛行魔導神殿『イルティア・レ・イーレ』浮上!」
シュイイイイイン!!
ズゴォォォーーーーー!!
直後、最大まで出力を上げた十一機の発導機が唸りをあげる。
すると、両舷から伸びた翼が白銀色に輝き始め、巨大な船体は激しい水飛沫をあげながらゆっくりと浮上し始めた。
そして、徐々にその高度を上げてゆく。
そのまましばらくして、高度三千メートル程まで上昇した。
「巡航高度まで上昇を確認!浮上成功しました!」
「「「わあああああ!!!」」」
クルーの一人が浮上の成功を伝えると、艦内から歓喜の声が溢れた。
「やったぞ!!成功だ!」
「やりましたね!マクスウェル様!!」
感極まったフィオナはマクスウェルの元まで駆け寄ると、その手を取った。
「フィオナ嬢、君の協力もあってこそだ。感謝する」
「は・・はいっ!」
マクスウェルから礼を言われたフィオナは頬を赤く染めた。
「うぐっ殿下っ!成功したのですじゃ!」
そして、カツも感動して涙を流していた。
「ありがとう!カツ殿!あなたが来てくれたから『イルティア・レ・イーレ』は完成した」
「もったいない言葉です」
そう言いながら、カツはマクスウェルから差し出された手を取って固く握手した。
「さあ、行きましょう殿下。ハーティルティア様の元へ!」
リリスの言葉にマクスウェルは頷いた。
「ええ、行きましょう!皆んなで!」
「・・これより本艦は『エルフの国リーフィア』へ向けて巡航を開始する!飛行魔導神殿『イルティア・レ・イーレ』発進!」
「了解!機関八十!魔導推進機発動!巡航を開始する!」
安全高度まで上昇した艦は、先程水上推進に用いた魔導推進機を発動させて前進を始める。
『イルティア・レ・イーレ』は飛行が主の艦である為、水上ではスクリューではなく、巡航飛行用の風属性魔導推進機を用いて航行していたのであった。
そして、『飛翔魔導』を用いる『フライ・マギ・ブースト・ウィング』と風属性魔導推進機を併用することによって、高速巡航を可能にするのであった。
その飛行する艦に追従するように、五機の『ラピス』も飛行する。
「取舵九十度!目的地、『エルフの国リーフィア』!」
操舵士の声と共に、艦首は『エルフの国リーフィア』へと向けられた。
「待っていろ・・!ハーティ!」
そして、『女神の槍』は『女神』の元へ向かって進み始めた。
マクスウェルの言葉を受けて、クルーの一人が魔導コンソールを操作する。
「主機関、クラリス式発導機始動!!」
シュイイイイイン!!
「続いて副機関、一番から十番までのクラマ式発導機始動!!」
チチチチチチ・・・・ウィィィーーン!!ズゴォォォ!!
機関が始動することにより、艦橋には発導機から発せられる凄まじい駆動音が伝わって来た。
クラマ式発導機はクラリス式と異なり、マナ抵抗が存在するので駆動時の音がかなり大きい。
また、クラリス式に比べてマナ出力が大幅に劣るので、機関出力を補う為に新造艦には十機のクラマ式発導機が搭載されていた。
「主機関であるクラリス式発導機と副機関であるクラマ式発導機十機を合わせた、この艦のシステム最大マナ出力は二十三万サイクラになるのですじゃ!」
「二十三万・・」
マクスウェルはカツの言葉を聞いて目を見開いた。
魔導外輪船『ナゴーブ』の機関出力が三機合わせて百五十サイクラであったことを考えると、その数値は正に桁違いであった。
そして、機関が始動したことにより、艦橋の全ての設備にマナが行き渡り始めた。
「各機関、安定しています。各種魔導推進機異常ありません!」
「『ラピス』各機聞こえるか?」
『『『はっ!良く聞こえます、殿下!』』』
「これより本艦は出航する!各機『飛翔魔導推進機』で追従せよ!」
『『『御意!』』』
「マクスウェル殿下!ドックゲートが開きました!」
クルーの言葉を聞いてマクスウェルが前方に目をやると、ドックゲートが開いた先には美しい大海原が広がっていた。
「よし、係留ロープを外せ!これより本艦は出港する!」
そして、いよいよ新造艦から係留ロープと桟橋が外された。
「出港!」
「了解!機関二十!前進微速!」
「魔導推進機発動!前進微速!」
シュイイイイイン・・・。
ゴォォォォ!
マクスウェルの指示によりクルーが魔導推進機を発動させると、巨大な艦がゆっくりと大海原へと進み始めた。
そのまま艦はゆっくりと前進して、ドックから離れると速度を増しながら沖に向かって行く。
新造艦は『ナゴーブ』に採用されていた外輪や帝国の国家機密であるスクリュー推進機を用いずに、水中の船体開口部から高圧の空気を風属性魔導で放出する魔導推進機で前進する。
ただ、実は高圧の空気による反作用で推進力を得る方式はスクリュー推進機よりも推進力が劣る。
それに船舶の推進機として使うには構造特性上、どうしても水飛沫が高く上がってしまう為に不向きである。
それでも、新造艦が敢えて風属性魔導推進機を採用したのには、ある大きな理由があった。
ただ、高圧空気による推進とはいえ、外輪推進より遥かに高性能であることから、新造艦は既に二十ノットを超える速度で進んで沖まで出た。
美しい大海原の飛沫を受ける艦首部分では、『女神ハーティルティア』をモチーフにした船首像が太陽の光をキラキラと反射していた。
「マクスウェル殿下!!本艦は安全海域まで出ました!!」
クルーの言葉を聞いたマクスウェルは満足げに頷くと、不敵な笑みを浮かべた。
「マクスウェル様、いよいよですわね!」
副艦長席から発せられたフィオナの言葉を聞いて艦橋に緊張が走る。
「ああ、これから先はぶっつけ本番だからな。だが、わたしはクラリス嬢やカツ殿、そしてこの艦建造に携わった皆を信じている」
「マクスウェル様・・」
マクスウェルはフィオナの方を向いて静かに頷くと、クルーに向かって指示を出した。
「安全海域進出を確認した。これより本艦は浮上する!浮上用意!!」
「浮上よーい!!『フライ・マギ・ブースト・ウィング』展開!!」
ウィィィィン!!
マクスウェルの指示を受けてクルーの一人が魔導コンソールを操作すると、艦の両舷中程から六枚の巨大なブレード状の翼が展開し始める。
展開した翼によって海流の抵抗を増した船体は、大きく水飛沫を上げながらやや減速した。
「『フライ・マギ・ブースト・ウィング』展開完了しました!」
その言葉を聞いたマクスウェルは静かに立ち上がった。
「そして、拡声魔導付きの艦内エーテル通信機に向かって声をかけ始めた」
「艦内にいる全クルーに告ぐ。これより本艦は『エルフの国リーフィア』へ向かう為に浮上する。これは人類にとって前代未聞の試みである。だが、女神ハーティルティア様の加護がある限り、我々は必ずこれを成し遂げて女神ハーティルティア様の元へ馳せ参じることができるだろう!」
「皆、祈りを捧げよ!そして、必ず我々は『女神の槍』となるのだ!」
「「「おおおお!!」」」
マクスウェルの演説を聞いて、艦内では乗員二千名の雄叫びが響き渡った。
リリスは艦橋の床に跪いて『最敬礼』をしながら祈りを捧げた。
(ハーティルティア様・・リリスは今、貴方様の元へ向かいます。どうか見守ってください!)
そして、マクスウェルは前方に手を差し出しながら、声高らかに指示を出した。
「行くぞ!『女神同盟軍』総旗艦、飛行魔導神殿『女神の槍』!浮上!」
「浮上!!」
「了解!機関最大!『飛翔』術式発動!飛行魔導神殿『イルティア・レ・イーレ』浮上!」
シュイイイイイン!!
ズゴォォォーーーーー!!
直後、最大まで出力を上げた十一機の発導機が唸りをあげる。
すると、両舷から伸びた翼が白銀色に輝き始め、巨大な船体は激しい水飛沫をあげながらゆっくりと浮上し始めた。
そして、徐々にその高度を上げてゆく。
そのまましばらくして、高度三千メートル程まで上昇した。
「巡航高度まで上昇を確認!浮上成功しました!」
「「「わあああああ!!!」」」
クルーの一人が浮上の成功を伝えると、艦内から歓喜の声が溢れた。
「やったぞ!!成功だ!」
「やりましたね!マクスウェル様!!」
感極まったフィオナはマクスウェルの元まで駆け寄ると、その手を取った。
「フィオナ嬢、君の協力もあってこそだ。感謝する」
「は・・はいっ!」
マクスウェルから礼を言われたフィオナは頬を赤く染めた。
「うぐっ殿下っ!成功したのですじゃ!」
そして、カツも感動して涙を流していた。
「ありがとう!カツ殿!あなたが来てくれたから『イルティア・レ・イーレ』は完成した」
「もったいない言葉です」
そう言いながら、カツはマクスウェルから差し出された手を取って固く握手した。
「さあ、行きましょう殿下。ハーティルティア様の元へ!」
リリスの言葉にマクスウェルは頷いた。
「ええ、行きましょう!皆んなで!」
「・・これより本艦は『エルフの国リーフィア』へ向けて巡航を開始する!飛行魔導神殿『イルティア・レ・イーレ』発進!」
「了解!機関八十!魔導推進機発動!巡航を開始する!」
安全高度まで上昇した艦は、先程水上推進に用いた魔導推進機を発動させて前進を始める。
『イルティア・レ・イーレ』は飛行が主の艦である為、水上ではスクリューではなく、巡航飛行用の風属性魔導推進機を用いて航行していたのであった。
そして、『飛翔魔導』を用いる『フライ・マギ・ブースト・ウィング』と風属性魔導推進機を併用することによって、高速巡航を可能にするのであった。
その飛行する艦に追従するように、五機の『ラピス』も飛行する。
「取舵九十度!目的地、『エルフの国リーフィア』!」
操舵士の声と共に、艦首は『エルフの国リーフィア』へと向けられた。
「待っていろ・・!ハーティ!」
そして、『女神の槍』は『女神』の元へ向かって進み始めた。
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