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最終章 決戦!『デスティウルス』編
戦いへの決意
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決戦前の賑やかな夜が更けていき、時計の針では未明を指し示す頃。
ハーティ達は『イルティア・レ・イーレ』の甲板上で、防御魔導で緩和されても尚吹き荒ぶ風を受けながら、南の空の彼方を眺めていた。
「不思議な空ね」
ハーティは隣に立つマクスウェルに声をかけた。
「ああ・・陽の光が登る事なく、氷の大地が果てしなく広がる場所、か・・」
「いよいよね・・」
「ご安心ください。ハーティルティア様には、こうして沢山の仲間達がいます。それに、デスティウルスはこの世界に転生したことで、かつての力の大半を失っています。今度こそは完全に滅ぼす事ができるはずです」
「ユナ・・」
「ユナの言う通りよ。デスティウルスはあたし達人間を大した存在とは思ってないかも知れないけど、あたし達だって長い時を経て、沢山の知恵と力を手に入れてきたわ。ずっと寝ているだけだった『邪神』なんかに負けるはずないわ」
「それに、あんたはナラトス様や私だって仲間にする事ができたのよ。それだけの事ができるなら、不可能な事なんて無いにきまってるわ」
「クラリス・・二アール」
「・・ハーティルティアは強い。それは一度全力で力をぶつけ合った私がよくわかっている。だから案ずることはない。必ずデスティウルスは倒せるであろう」
「私はこの世界に転生してからそんなに長く生きているわけではありません。ですが、ハーティルティア様が創造されたこの世界を本当に愛しています。そして、私の愛する世界を二度も失わせるわけにはいきません。リフィアスやバハムスの為にも、必ずデスティウルスを滅ぼしてみせます!」
「ナラトス・・リリス・・」
ハーティ達が言葉を交わす中、クラリス達の後ろで控えていたフィオナがおずおずと前に出てきた。
「・・昨日の話は本気ですし、今もこれからも変わりませんわ。・・ですけど、そんな話もこの世界と人があってこそできるものですわ。ですから・・必ず全員で帰りますわよ」
「ええ、フィオナ様の言う通りですね」
「ハーティルティア様!わしらは直接は戦えませんが、わしらの出来る事は全力でサポートしますぞ!!」
「カツさん・・みんな」
そして、沢山の人たちが決意を伝えに集まる中、最後にマクスウェルがハーティの目の前にやってきた。
「ハーティ。今までこの世界の為に戦ってきてくれてありがとう。そして、私たちを頼ってくれてありがとう。私達はこの世界を決して『邪神』達の好きにはさせない。それに王国の皆も君の帰りを待っている。たがら、必ず勝って一緒に帰ろう」
ハーティは自分の手を優しく包み込みながら真剣な眼差しを向けるマクスウェルの瞳に視線が吸い寄せられる。
昨晩フィオナとマクスウェルの事を話してからは何となくマクスウェルに対して気まずい気持ちを持ってはいたが、ハーティはマクスウェルを見つめると不思議な胸の高まりを感じていた。
そして、ハーティは高鳴る胸をそのままに瞳を閉じて一呼吸すると、再び白銀の双眸を広げて皆を見渡した。
「ありがとう、マクスウェル・・。そして、みんな!私は必ずデスティウルスを滅ぼすわ!だから・・私に力を貸して!」
「「「おう!」」」
ハーティの言葉に全員が力強く頷く。
皆の掛け声を聞いたハーティは、徐にその視線を天へと向けた。
「・・間も無く『サウスポイント』に到着するわ・・みんな!行くわよ!」
「よし、総員配置につけ!戦闘に備えよ!」
「「「了解!」」」
マクスウェルの言葉を皮切りに、集まっていた人達がそれぞれの持ち場へと散っていく。
「じゃあ、あたし達も人工女神に乗り込むわ!みんな、健闘を祈っているわ」
「クラリス達も死なないでね!健闘を祈るわ!」
クラリス、二アール、ナラトスも人工女神のある船尾部分へと向かって行き、とうとう生身で戦うハーティ、ユナ、リリスだけが甲板に残る形となった。
「ん?あれは!?」
その時、ハーティは遥か南の空に複数の影があるのを目撃した。
初めは小さい点であった複数のそれは、ハーティ達へ近づいてきているのか徐々にその姿を大きくしてきた。
しかし、距離が遠すぎる為に肉眼でその正体を確認する事ができずにいた。
「ハーティルティア様、私達の力で光属性魔導を利用すれば見えるかもしれません!」
リリスはそう言いながら『聖杖エーテリア』を構えた。
パアァァァァ!!
リリスが『聖杖』を構えた瞬間、たちまちリリスの髪が白銀色に染まった。
「神技!『光寄せ』」
リリスが魔導を発動させると、ハーティ達の目の前に光のスクリーンが出現した。
そして、そのスクリーンには、遠くに見えている黒い影が拡大された状態で表示されていた。
「っ!?これは!?」
スクリーンに投影された影を見た瞬間、ハーティとリリスは息を呑んだ。
スクリーンには、まるで『鬼』の体に蝙蝠のような羽を生やした、体長数メートルになる漆黒の魔獣らしきものが数百体以上映っていた。
そして、その魔獣らしき黒い存在は、ハーティとリリスの記憶に深く刻み込まれているものであった。
「・・『マナドゥ』っ!まさか!そんな!」
「ハーティルティア様・・・デスティウルスは予想以上に早く力をつけていっているようですね」
ハーティはリリスの言葉を聞いて、間髪入れずにピアスを使って艦橋へと語りかけた。
「マクスウェル!大変!『マナドゥ』がこっちに向かってくるわ!」
「『マナドゥ』?」
「力を持つ上位の『邪神』が自分の『存在』を分離して生み出す『眷属』よ!『邪神』本体に比べたら能力は低いけど、それでも魔獣なんか比べ物にならない強さを持っているわ!それも数百は下らないわ!」
「なんだって!?こちらでも確認する!!」
キラキラ・・。
「っ!!」
マクスウェルが応答した直後、『マナドゥ』の群れの中で大量の小さな閃光がチラつくのが見えた。
「リリス!!」
直後、ハーティがリリスの名を叫ぶと意図を汲んだリリスが『聖杖エーテリア』を素早く前方に向けた。
「神技!『アブソリュート・フィールド』!」
そして、リリスは『イルティア・レ・イーレ』の前方に極大防御魔導を展開した。
ハーティ達は『イルティア・レ・イーレ』の甲板上で、防御魔導で緩和されても尚吹き荒ぶ風を受けながら、南の空の彼方を眺めていた。
「不思議な空ね」
ハーティは隣に立つマクスウェルに声をかけた。
「ああ・・陽の光が登る事なく、氷の大地が果てしなく広がる場所、か・・」
「いよいよね・・」
「ご安心ください。ハーティルティア様には、こうして沢山の仲間達がいます。それに、デスティウルスはこの世界に転生したことで、かつての力の大半を失っています。今度こそは完全に滅ぼす事ができるはずです」
「ユナ・・」
「ユナの言う通りよ。デスティウルスはあたし達人間を大した存在とは思ってないかも知れないけど、あたし達だって長い時を経て、沢山の知恵と力を手に入れてきたわ。ずっと寝ているだけだった『邪神』なんかに負けるはずないわ」
「それに、あんたはナラトス様や私だって仲間にする事ができたのよ。それだけの事ができるなら、不可能な事なんて無いにきまってるわ」
「クラリス・・二アール」
「・・ハーティルティアは強い。それは一度全力で力をぶつけ合った私がよくわかっている。だから案ずることはない。必ずデスティウルスは倒せるであろう」
「私はこの世界に転生してからそんなに長く生きているわけではありません。ですが、ハーティルティア様が創造されたこの世界を本当に愛しています。そして、私の愛する世界を二度も失わせるわけにはいきません。リフィアスやバハムスの為にも、必ずデスティウルスを滅ぼしてみせます!」
「ナラトス・・リリス・・」
ハーティ達が言葉を交わす中、クラリス達の後ろで控えていたフィオナがおずおずと前に出てきた。
「・・昨日の話は本気ですし、今もこれからも変わりませんわ。・・ですけど、そんな話もこの世界と人があってこそできるものですわ。ですから・・必ず全員で帰りますわよ」
「ええ、フィオナ様の言う通りですね」
「ハーティルティア様!わしらは直接は戦えませんが、わしらの出来る事は全力でサポートしますぞ!!」
「カツさん・・みんな」
そして、沢山の人たちが決意を伝えに集まる中、最後にマクスウェルがハーティの目の前にやってきた。
「ハーティ。今までこの世界の為に戦ってきてくれてありがとう。そして、私たちを頼ってくれてありがとう。私達はこの世界を決して『邪神』達の好きにはさせない。それに王国の皆も君の帰りを待っている。たがら、必ず勝って一緒に帰ろう」
ハーティは自分の手を優しく包み込みながら真剣な眼差しを向けるマクスウェルの瞳に視線が吸い寄せられる。
昨晩フィオナとマクスウェルの事を話してからは何となくマクスウェルに対して気まずい気持ちを持ってはいたが、ハーティはマクスウェルを見つめると不思議な胸の高まりを感じていた。
そして、ハーティは高鳴る胸をそのままに瞳を閉じて一呼吸すると、再び白銀の双眸を広げて皆を見渡した。
「ありがとう、マクスウェル・・。そして、みんな!私は必ずデスティウルスを滅ぼすわ!だから・・私に力を貸して!」
「「「おう!」」」
ハーティの言葉に全員が力強く頷く。
皆の掛け声を聞いたハーティは、徐にその視線を天へと向けた。
「・・間も無く『サウスポイント』に到着するわ・・みんな!行くわよ!」
「よし、総員配置につけ!戦闘に備えよ!」
「「「了解!」」」
マクスウェルの言葉を皮切りに、集まっていた人達がそれぞれの持ち場へと散っていく。
「じゃあ、あたし達も人工女神に乗り込むわ!みんな、健闘を祈っているわ」
「クラリス達も死なないでね!健闘を祈るわ!」
クラリス、二アール、ナラトスも人工女神のある船尾部分へと向かって行き、とうとう生身で戦うハーティ、ユナ、リリスだけが甲板に残る形となった。
「ん?あれは!?」
その時、ハーティは遥か南の空に複数の影があるのを目撃した。
初めは小さい点であった複数のそれは、ハーティ達へ近づいてきているのか徐々にその姿を大きくしてきた。
しかし、距離が遠すぎる為に肉眼でその正体を確認する事ができずにいた。
「ハーティルティア様、私達の力で光属性魔導を利用すれば見えるかもしれません!」
リリスはそう言いながら『聖杖エーテリア』を構えた。
パアァァァァ!!
リリスが『聖杖』を構えた瞬間、たちまちリリスの髪が白銀色に染まった。
「神技!『光寄せ』」
リリスが魔導を発動させると、ハーティ達の目の前に光のスクリーンが出現した。
そして、そのスクリーンには、遠くに見えている黒い影が拡大された状態で表示されていた。
「っ!?これは!?」
スクリーンに投影された影を見た瞬間、ハーティとリリスは息を呑んだ。
スクリーンには、まるで『鬼』の体に蝙蝠のような羽を生やした、体長数メートルになる漆黒の魔獣らしきものが数百体以上映っていた。
そして、その魔獣らしき黒い存在は、ハーティとリリスの記憶に深く刻み込まれているものであった。
「・・『マナドゥ』っ!まさか!そんな!」
「ハーティルティア様・・・デスティウルスは予想以上に早く力をつけていっているようですね」
ハーティはリリスの言葉を聞いて、間髪入れずにピアスを使って艦橋へと語りかけた。
「マクスウェル!大変!『マナドゥ』がこっちに向かってくるわ!」
「『マナドゥ』?」
「力を持つ上位の『邪神』が自分の『存在』を分離して生み出す『眷属』よ!『邪神』本体に比べたら能力は低いけど、それでも魔獣なんか比べ物にならない強さを持っているわ!それも数百は下らないわ!」
「なんだって!?こちらでも確認する!!」
キラキラ・・。
「っ!!」
マクスウェルが応答した直後、『マナドゥ』の群れの中で大量の小さな閃光がチラつくのが見えた。
「リリス!!」
直後、ハーティがリリスの名を叫ぶと意図を汲んだリリスが『聖杖エーテリア』を素早く前方に向けた。
「神技!『アブソリュート・フィールド』!」
そして、リリスは『イルティア・レ・イーレ』の前方に極大防御魔導を展開した。
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