転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい

りゅうじんまんさま

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最終章 決戦!『デスティウルス』編

宿屋の娘で『聖騎士』な私 〜首都『カームクラン』視点〜

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 しかし、帝国軍と『帝都リスラム』の民による死力を尽くした戦いによってヅヴァイの討伐は叶ったものの、被害は甚大なものであった。

 クウォリアスの死とヅヴァイ討伐のきっかけとなった爆発による物的被害はもちろんだが、撃墜された『ラピス』の『騎士ランナー』や有志によって参加した獣人達、破壊された建物に巻き込まれた市民や冒険者等、結果で言えば手放しで喜べる状況ではなかった。

 そして、クウォリアスの殉死については、速やかに宮殿にいたオルクスにも伝わった。

 ・・・・・。

「そうか・・クウォリアスが・・・」  

 クウォリアスの訃報を聞いたオルクスは、力無く握りしめた拳をコンソールに落とす。

 年若いオルクスにとってクウォリアスは側近でありながら、先帝時代に自身が幼い頃から面倒を見てもらった存在であり、そんな『男』の死は彼にとって大きな悲しみをもたらしていた。

「・・・クウォリアス軍務卿は『邪神』討伐の立役者だ。彼の名誉を讃え、陞爵と国葬をもって弔おう。遺体を親族に返せないのが口惜しいが、相応の褒美も出そう・・報告確かに聞き受けた、そなたはもう下がって良いぞ」

「・・・かしこまりました」

 オルクスは報告に来た武官を下がらせると、魔導コンソールを操作して通信回線を開いた。

「・・こちらオルクス、マクスウェルよ・・聞こえるか?」

 そして、ヅヴァイ討伐の知らせは、ハーティ達が戦う『サウスポイント』の地にも伝わったのであった。



 ・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・。




 それからしばらく時が経った頃、シエラとリルヴァの戦いも終わりを迎えていた。

 オオオオオ・・・・・。

 ザアアアアアアアア・・・。

『神の紅雷』による全ての光と音が収まった後、シエラは直径十キロを優に超える巨大なクレーターの中心で佇んでいた。

 爆心地となった大地は深さ数百メートルにわたって抉れ、クレーターの周囲は海水が流れ込むことによって滝のような様相となっていた。

「はぁ・・はぁ・・・」 

 そして、シエラは海水が熱せられた大地を叩くことで発生した蒸気による幻想的な風景を眺めながら、荒くなった呼吸を整えていた。

「『邪神』は・・・・滅びたの?」

 何せ、一欠片でも『存在』が残っていれば、瞬く間に復活するである。

 シエラはそれから暫く、リルヴァが復活しないか心落ち着かないまま待ち構えていた。

 そして、そのまま一刻が過ぎた頃、シエラは漸く『邪神』討伐を実感することとなった。

「やった!私も『邪神』を討伐することができた!これで、『聖騎士』としてハーティさんのお役に立つことができたかな!?」

 そこで、シエラはふとあることを思い出した。

「あっ!?そう言えば『カームクラン』からだった!!早くみんなに『邪神』がいなくなったことを伝えに行かないと・・・!」

 ドゥン!!

 シエラは『カームクラン』で戦っていた人達をほったらかしていた事に気づいて、すぐに街へ戻るために飛び立った。


 ・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・。



「・・・それにしても、『邪神』を滅ぼした事、誰に伝えたらいいんだろう・・?」

 シエラは上空から『カームクラン』の街を見下ろしていたが、ことの次第を誰に言えばいいのか決めかねていた。

 ちょうどその時、中央広場に集まる連邦軍や『神社庁』の神官と巫女、冒険者達の人だかりがシエラの目に入ってきた。

(あれって本陣よね・・?私はただの町娘だし、本陣の真ん中にいきなり降り立って責任者に話しかけるっていうのも変よね?端っこくらいに静かに降り立って人の良さそうな人に伝えてもらうように頼もう!よし、そうしよう!)

 シエラは、いつまで経っても小市民感情が抜けない女の子であった。

 シュタッ!

 そして、シエラは思惑通り中央広場の端へ静かに降り立つと、冒険者達と会話をしている女性の後ろ姿を発見した。

(ちょうどいいや、あの人にお願いしよう!)

 シエラは思い立つと、背を向ける冒険者ギルドの受付嬢らしき女性に背後から声をかけようとする。

 その時、既にシエラの歩く姿を視認した冒険者は驚愕の顔を浮かべながら素早く『最敬礼』の姿勢をとりはじめる。

『神社庁』の関係者達は言わずもがなである。

「ん?どうしましたみなさん?揃って鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしたり『最敬礼』なんて始めたりして・・・」

 シエラに背を向けている受付嬢は目の前の人達が突如始めた行動に首を傾げていた。

「あのぉ・・・すいません」

「はい?なんでしょ・・あばばば!きゅう・・」

 ふと、背後から声をかけられて振り返った受付嬢は、シエラの姿を見て気絶した。

「おっと!大丈夫ですか!?」

『女神化』しているシエラにとって突然失神した女性を倒れる前に抱き止めることなど雑作もなかった。

「うん・・・はっ!?」

 そして、ゆっくりと目を覚ました受付嬢は自身の顔を覗き込むシエラの顔を目にした瞬間、慌てて飛び退いて『最敬礼』を行った。

「おおお恐れ多くも進言しますっ!ハーティルティア様然りですが、『女神様』ともあろうお方がそこら辺をふらふらと歩いて、あまつさえ私めのような一般人にそこいらの町人の如く話しかけるというのは如何なものかと!それとも信仰心の足りない私に対しての『女神様』からの試練ですか!?これは!?私の心臓がいくつあっても足りませんよ!ええ!」

「あの・・私、こんなをしていますけど、実は『女神様』なんて大層な存在じゃないんです。私、『帝都リスラム』にある『暁の奇跡亭』という宿屋の娘で『シエラ』って言います。突然驚かせてすいませんが『邪神』を滅ぼしてきたので、その事を責任者の方に伝えて頂きたいのですが・・・」

「ご冗談を!!そんな白銀色に光輝いた髪色をして『『邪神』を滅ぼしてきた』とかしれっと言ってしまうような『宿屋の娘』がいてたまるもんですかっ!!」

「・・にいるんですけど・・信じては・・くれませんよね」

「あの・・シエラ様、今後は御身のことを『聖騎士』と名乗ってはいかがですか?その方がかと思われますが・・」

 二人の回話を聞いて、見かねた近くの高位神官がシエラに申し訳なさそうに進言した。

「やっぱりそうなりますよね・・?」

 シエラは、高位神官の言葉を聞いてぺたんと獣耳を伏せた。
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