転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい

りゅうじんまんさま

文字の大きさ
213 / 229
最終章 決戦!『デスティウルス』編

絶望をもたらすもの ~『王都イルティア』視点~

しおりを挟む
 シエラが『聖斧レガリア』の転移能力を発動する少し前、『王都イルティア』に襲撃してきた『邪神リリーシャ』は、思った以上にしぶとく生き残る『お人形』に苛立ちを募らせていた。

(・・・なんですの!?見た感じは『ゴーレム』みたいですのに、リリの『魔剣』を受け止めるなんんて!)

(それに、この何となく感じる、リリという絶対的な力を前にしても絶望なんて微塵も感じていない様子・・気に入りませんわ!)

『神聖イルティア王国』騎士団長であるラナウェイの駆る『ラピス』がリリーシャに腕部砲の直撃を浴びせた直後。

 ガキィィィィン!!

 リリーシャが苛立ちながら数合切り結ぶも、再びその斬撃は受け止められていた。

「・・・『神界大戦』の時からの話ですが、ああいう絶望を知らない、有り体に言えば諦めの悪い相手ほどですのよね」

「・・リリとしては、この顔に泥を塗られた以上、どうにかしてその絶望を与えてやりたいのですわ!」

 リリーシャは、目の前にいる相手の心をどのようにしてへし折ってやろうかと考えを巡らせる。

 ガキィン!ガキィン!

 そして、ラナウェイの繰り出すランスの攻撃を片手間にあしらいながら考え込むリリーシャの視界に、ふとあるものが目に入った。

 それは、『王都イルティア』では至る所に祀られている『女神像』であった。

「リリは、この『おねえさま』は気に入りませんの!」

 リリーシャは吐き捨てるように言うと、片手にマナを収束し始める。

 ドギュン!!

 そして、『女神像』に向けて無造作に魔弾を放った。

『!!』

 それに気づいたラナウェイは全速力で『ラピス』を駆り、女神像の前に立ち塞がる。

 ダァン!ダァン!ダァン!

 そして、魔弾に向けて撃てるだけの腕部砲で迎撃を行った。

 ドォォォォン!!

 直後、耳をつんざく大爆発が発生し、爆風に巻き込まれたラナウェイの機体がもんどりを打ちながら地上へと叩きつけられた。

『ぐふうっ!』

 あまりの衝撃で『防御魔導』の許容値を超えた為なのか、ラナウェイが拡声魔導越しにぐぐ持った声をあげる。

「・・・・やはり、あなた達は『おねえさま』に対して相当ながおありのようですね」

 ラナウェイは先ほどの衝撃で思うように体が動かせないのか、『ラピス』は地面に衝突したままの状態で動かなかった。

 リリーシャは動けない『ラピス』には目もくれずに、先ほど自身が『攻撃』した『女神像』の側へ静かに降り立った。

 そして、徐に『魔剣』を振りかぶる。

 シュパッ!!!

 直後、リリーシャが目にも留まらぬ速さで『魔剣』を振りぬくと、『女神像』の首が音もなく斬り落とされた。

 リリーシャは落下する首を優雅な動きで受け止めると、それを胸に抱きながら慈しむように頬を撫でた。

「ああ・・・おねえさま・・『神界大戦』の時にリリ達『邪神』を無慈悲に滅ぼしていたお姿・・その美しさにゾクゾクしたものですわ・・」

「リリは・・・そんなお姉さまが愛おしくて堪りませんのよ」

「リリは・・・この『偽りのおねえさま』ではなく、絶望の表情に美しく歪んで死んだ本物のこうべを抱きしめて愛でたいですわ・・」

 リリーシャは妖艶な笑みを浮かべながら『女神像』の頭部にある唇を指でなぞる。

 その表情は恍惚としていて、頬は赤く染まっていた。

『き・・・貴様あぁぁぁ!!!』

 ラナウェイは身を挺して守った『女神像』が容易く破壊されて侮辱されたことに、激しい怒りを含んだ声をあげる。

 そして、未だ朦朧とする意識を奮い立たせながら、機体を立ち上がらせた。

「・・・・・」

 リリーシャはには興味がないと言わんばかりに、先ほどまで抱えていた『女神像』の頭部を無造作に投げ捨てると、再びゆっくりと浮き上がった。

「さて・・先ほど屈辱を与えられたあなたに絶望を与える方法を知ることができたわけですし?次はなどを壊して差し上げるというのはいかがでしょうか?」

 そう言いながら、リリーシャはある方角へと視線を向ける。

『貴様・・・まさか!?』

 ラナウェイがリリーシャの視線を追う先、そこには荘厳な佇まいの『白銀の神殿プラチナ・パレス』があった。

「あなたたちが大切にする『主の象徴』・・。それが朽ち果てる姿を見ることは何よりの絶望ですわね!!!」

 ギュイィィィィィン!!!!

 リリーシャはラナウェイを侮蔑の表情で見下ろすと、『白銀の神殿プラチナ・パレス』に向けた掌に膨大なマナを収束し始めた。

白銀の神殿プラチナ・パレス』は現在、多数の避難民達が集まって祈りをささげている。

 そして、そこには総司祭や国王陛下を含む王族や高位貴族達も含まれた。

 その事実が頭によぎったラナウェイは『ラピス』を盾にすべく飛翔した。

「ふふ・・お返しですわ。『お人形』さん・・・。絶望を知るのです!!」

 ドギュウゥゥゥン!!!!

 しかし、無慈悲にもリリーシャから高エネルギーを持った魔弾が放たれる。

 もし、魔弾が『白銀の神殿プラチナ・パレス』に直撃しようものなら、その被害は計り知れない。

『くっ!!間に合わない!!!』

 放たれた魔弾に追いつかないことを知ったラナウェイは、コクピット内で悔しさに表情を歪ませる。

「あははははは!!!!」

 それをあざ笑うかのようにリリーシャが高笑いを響かせる。

 ピカッ!!!!

 その瞬間、周囲が眩い閃光に包まれた。

「っ!?なんですの!?」

 突然の激しい閃光に襲われたリリーシャは、思わずドレスの袖で目を覆う。

 ドゴォォォォン!!!!

 直後、耳をつんざく音と衝撃波が周囲を襲った。

 オオオォォォォォン!!!!

「・・・・・っ!?」

 しばらくして、閃光が収まったのを確認したリリーシャはゆっくりと閉じていた瞳を開く。

『っ!?あれは・・・あのお方は!?』

 そして、同じく視界が戻ったラナウェイが驚愕の声をあげた。

 閃光が収まった後、魔弾によって焦土となっているはずの『白銀の神殿プラチナ・パレス』は姿で健在していた。

 そして、魔弾が放たれたはずであった先には・・・。

『どうやら、私はで王都に転移できたみたいですね・・・!!!』

『聖斧レガリア』で魔弾を弾いた、一柱の『女神』がいた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

スローライフ 転生したら竜騎士に?

梨香
ファンタジー
『田舎でスローライフをしたい』バカップルの死神に前世の記憶を消去ミスされて赤ちゃんとして転生したユーリは竜を見て異世界だと知る。農家の娘としての生活に不満は無かったが、両親には秘密がありそうだ。魔法が存在する世界だが、普通の農民は狼と話したりしないし、農家の女将さんは植物に働きかけない。ユーリは両親から魔力を受け継いでいた。竜のイリスと絆を結んだユーリは竜騎士を目指す。竜騎士修行や前世の知識を生かして物を売り出したり、忙しいユーリは恋には奥手。スローライフとはかけ離れた人生をおくります。   

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!

カエデネコ
ファンタジー
日本のとある旅館の跡継ぎ娘として育てられた前世を活かして転生先でも作りたい最高の温泉地! 恋に仕事に事件に忙しい! カクヨムの方でも「カエデネコ」でメイン活動してます。カクヨムの方が更新が早いです。よろしければそちらもお願いしますm(_ _)m

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

追放された万能聖魔導師、辺境で無自覚に神を超える ~俺を無能と言った奴ら、まだ息してる?~

たまごころ
ファンタジー
王国一の聖魔導師アレンは、嫉妬した王子の策略で「無能」と断じられ、国を追放された。 辿り着いた辺境の村で、アレンは「ただの治癒師」として静かに暮らそうとするが――。 壊れた街を再生し、疫病を一晩で根絶し、魔王の眷属まで癒しながら、本人はただの村医者のつもり。 その結果、「あの無能が神を超えた」と噂が広がり、王と勇者は頭を抱えることに。 ざまぁとスカッとが止まらない、無自覚最強転生ファンタジー開幕!

処理中です...