転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい

りゅうじんまんさま

文字の大きさ
215 / 229
最終章 決戦!『デスティウルス』編

無双斬舞 ~『王都イルティア』視点~

しおりを挟む
 スズズ・・・。

 リリーシャから伸びた薔薇の蔓は、次第に屈強な戦士の腕のような形に姿を変えた。

「ふふふ・・・」

 リリーシャは不敵にわらいながら、両腕で『魔剣』を天高く掲げる。

 そして、『魔剣』を握る両手に蔓の腕が添えられた。

 ゴゴゴゴ・・・。

「コォォォォ・・・」

 リリーシャは、それから一呼吸して合計になった腕をゆっくりと下ろす。

 すると、それぞれの腕には『魔剣』が握られていた。

 それら四本の腕を巧みに操って剣舞を披露しながら、リリーシャは妖しく微笑んだ。

「リリの『神技わざ』を子供騙しと仰るなら、本当の『四重奏カルテット』など如何でしょうか?」

 ヒュンヒュン・・・。

 四本が繰り出す剣舞は既に常人には肉眼で視認できない速度で振るわれており、周囲には激しい旋風が巻き起こっていた。

「さあ、行きますわよっ!神技!『瞬絶』!!」

 ドゥン!!!

 リリーシャは高速で四本の『魔剣』を振るいながら、シエラへと肉薄する。

 シュバババ!!!!

 ガキキキキキィィン!!!

 対して、シエラは再び意識を集中しながら、リリーシャによって繰り出された斬撃を『聖斧』で受け止める。

 ピッ!

「っ!?」

 しかし、四本となった高速の太刀筋を全て見極めることは困難で、受け漏らした斬撃によってシエラの体の至る所に切り傷が生まれる。

「はぁぁぁぁぁ!!!」

 そのままではジリ貧となって切り刻まれるのが明らかだと悟ったシエラは、力任せに『聖斧』を振りぬいた。

 ドガァン!!

「ちっ!!」

 咄嗟に振るわれた『聖斧』に弾かれたリリーシャは、悪態をつきながらシエラとの距離を取る。

「はあはあ・・・」

 シエラは力技で何とかリリーシャの攻撃を退けたが、全身から滴る血が彼女の体を痛々しく染め上げた。

「・・・・」

 スッ・・プスッ!

 パァァァァ・・・。

 シエラは間髪入れず、ほむらを助けたときに使った神白銀プラティウムの楔を慣れた手つきで体に突き刺して傷を回復した。

「・・・リリの『神技』を力技で退けるとは・・・さすがは『女神』といったところですわね」

「はあはあ・・・」

(今回は何とか凌げたけど、そう何度も力業でどうにかするわけにはいかない・・・何か策はないのかな・・)

 シエラは瞳を閉じて必死に『前世』の記憶を遡る。

 すると、かつて自分が慕っていた『バハムス』の雄姿が幾つも瞼裏に浮かび上がった。

(思い・・・出したっ!!)

 そして、シエラは呼び覚まされた記憶に活路を見出した。

「まさか『瞬絶』を受け止めるとは思いませんでしたわ・・・どうやら、シエラ様相手に手加減をしている場合ではないようですわね・・」

 リリーシャはため息をつきながら四本の腕を再び構える。

 相対するシエラもまた、ゆらりとした所作で『聖斧』を構えながらリリーシャの動きに集中した。

(・・・大丈夫、『神界』でバハムス様を見続けていたもの・・・必ず、私にはできる!!!)

「さあ、行きますわよ!『神界』で『最速』の名をほしいままにして、幾多もの『神』を屠り続けてきたリリの剣を受けて滅びるのです!!」

 ギュン!!!

 リリーシャは目にも止まらぬ速度でシエラに肉薄すると、先ほどと同じく四柱の姿に分裂した。

「神技!!『スラシング・カルテット・瞬絶』!!!!」

 四本の『魔剣』を携えたリリーシャが分裂することにより、常人には合計十六本による斬撃がシエラを襲っているように見える。

 四本の斬撃による『瞬絶』を受け止めきれなかったシエラにとって、それは命を刈り取る絶対的な『絶望』となるはずである。

 しかし、その斬撃がシエラに届く直前。

「・・・・っ!!」

 シエラはカッと瞼を開いた。

「神技!!『無双斬舞』!!!」

 ズガガガガガガ!

「っ!?」

 シエラは自身に迫る十六本の斬撃を、『聖斧』によって全て受け流した。

 手首を使った縦回転と体全体を駆使した横回転によって暴風を巻き起こしながら振るわれるシエラの剣戟は、まさに美しい『演武』のようであった。

「はあぁぁぁぁ!!」

 ガキィィン!!

「くっ!?」

 シエラの回転によって重みを増した斬撃を受け、リリーシャは後方へ押しやられながら苦痛の表情を浮かべる。

 そして、リリーシャが怯んだことにチャンスを見出したシエラは『聖斧』を天高く掲げた。

「うおぉぉ!!『聖斧レガリア』!!私の『全力』!!!『邪悪』な者よ!その身に受けて滅びなさい!!」

 ガシャコ!!!

 キィィィィッィ!!!

 直後、『聖斧』が変形して膨大なマナがシエラを包み込む。

「『能力解放オーバードライヴ』!!!」

「くっ!!リリの『神技』が通用しない!?それに『能力解放オーバードライヴ』!?は・・・!!」

 リリーシャは光り輝くシエラの『聖斧』を見て、愛らしい顔を青ざめさせながら慄く。

 しかし、その言葉が最後まで発せられることはなかった。

 リリーシャは突如、に感じた気配に視線だけを動かす。

 その目前には、シエラが振り下ろした『聖斧』が迫っていた。

「神技!『無双斬舞』!!!」

「っ!?そんな!このリリーシャの速度をということですの!!?」

 スギャギャギャ!!!

 リリーシャはとにかく自身が持つ最大の速度によってシエラの攻撃を迎え撃つ。

 ズシャズシャズシャズシャ!!

 しかし、背後からの攻撃に対してリリーシャは全てを防ぎきることが出来なかった。

「ごふっ!!」

 シエラの剣戟によってズタズタに切り刻まれたリリーシャは小さな口から鮮血を吹き出す。

「リリーシャ!あなたの剣が『最速』というのなら!!!『距離』という概念に囚われない私の剣は『はやさ』すら超越する!!!」

「はぁぁぁぁ!!!」

 ドゴォ!

「ぐはぁぁぁぁ!!!」

 キィィィン!!!ズガァァァァァン!!!!

 そして、止めに大きく振りぬいた『聖斧』の直撃を受けたリリーシャは、そのまま猛スピードで地上へと突き刺さった。

「・・・・・・」

 今が最大のチャンスと悟ったシエラは地上に刺さったリリーシャに目もくれず、静かに瞳を閉じながらマナを収束し始める。

「すうぅぅぅ・・・」

 数秒ほどして周囲に十分なマナが収束されたことを確認したシエラは、深く息を吸いながら『聖斧レガリア』を触媒にして『極大浄化魔導』を発動し始めた。

「破邪の神技!『セイント・レイ』!!」

 シエラが魔導を発動した直後、『王都イルティア』上空の雲が割れ、巨大な聖なる光の柱が降り注ぐ。

「あ“あ”あ“あ”あ“!!!」

 そして、眩い光で埋め尽くされた世界の中で、リリーシャの断末魔のような声が響いた。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

スローライフ 転生したら竜騎士に?

梨香
ファンタジー
『田舎でスローライフをしたい』バカップルの死神に前世の記憶を消去ミスされて赤ちゃんとして転生したユーリは竜を見て異世界だと知る。農家の娘としての生活に不満は無かったが、両親には秘密がありそうだ。魔法が存在する世界だが、普通の農民は狼と話したりしないし、農家の女将さんは植物に働きかけない。ユーリは両親から魔力を受け継いでいた。竜のイリスと絆を結んだユーリは竜騎士を目指す。竜騎士修行や前世の知識を生かして物を売り出したり、忙しいユーリは恋には奥手。スローライフとはかけ離れた人生をおくります。   

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!

カエデネコ
ファンタジー
日本のとある旅館の跡継ぎ娘として育てられた前世を活かして転生先でも作りたい最高の温泉地! 恋に仕事に事件に忙しい! カクヨムの方でも「カエデネコ」でメイン活動してます。カクヨムの方が更新が早いです。よろしければそちらもお願いしますm(_ _)m

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

追放された万能聖魔導師、辺境で無自覚に神を超える ~俺を無能と言った奴ら、まだ息してる?~

たまごころ
ファンタジー
王国一の聖魔導師アレンは、嫉妬した王子の策略で「無能」と断じられ、国を追放された。 辿り着いた辺境の村で、アレンは「ただの治癒師」として静かに暮らそうとするが――。 壊れた街を再生し、疫病を一晩で根絶し、魔王の眷属まで癒しながら、本人はただの村医者のつもり。 その結果、「あの無能が神を超えた」と噂が広がり、王と勇者は頭を抱えることに。 ざまぁとスカッとが止まらない、無自覚最強転生ファンタジー開幕!

処理中です...