転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい

りゅうじんまんさま

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最終章 決戦!『デスティウルス』編

リリスの作戦2

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 ・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・。

 ズシャッ!!!

「はぁ・・はぁ・・」

「はぁ・・はぁ・・これでは埒があきませんね・・」

 リリスがシエラと通信を行っている頃、ハーティとユナは何度目になるのかわからない斬撃をデスティウルスに叩きこんでいた。

 ズズズズズ・・・。

「ふはハはハ!どウしタ!!こノ程度か!!」

 ハーティ達はデスティウルスの再生能力に対する対応策が掴めないまま、ただひたすら繰り返される斬撃の応酬に集中力を削がれつつあった。

『邪神』は例え何度斬りつけられたとしても、その高い再生能力ですぐに損傷した肉体を回復できるが、ハーティ達は肉体にダメージを受けてしまうと『治癒魔導』を使う以外に回復の手段が無い。

 しかも、致命傷を受ければ回復する間もなく即死するだろう。

 特に、デスティウルスが持つ能力の一つで『還元』が付与された斬撃を任意の場所に転移できる『次幻斬』を受けながらの戦闘は、二人の精神に大きな負担を強いられていた。

 ガキィィン!!

「くっ!!」

 そして、幾度目かもわからない『次幻斬』を『聖剣ニーヴァルテ』で受け止めたハーティは表情を苦しげに歪めた。

「はぁ・・はぁ・・デスティウルスもそうだけど、『眷属』達はどうなったのかしら・・・」

「はぁ・・はぁ・・確かに気がかりですが、きっとどの国もハーティルティア様のもたらした魔導具や持てる力を尽くしながら耐えてくれている筈です・・それに、クラリス達も間もなくこちらに合流できるでしょう。・・あともう少しの辛抱です!!!」

 ユナがハーティを励ましながら『女神イルティア・レ・ファティマ』を再び構えた時、突如二人のピアスにエーテル通信が入った。

『ハーティルティア様!聞こえますか!!』

「リリス!どうしたの!?そっちの戦況はどうなったの!?」

『はい、こちらは大方『マナドゥ』の討伐が完了しました。間もなくそちらへ合流できると思います!』

『それよりも朗報です!『神聖イルティア王国』、『魔導帝国オルテアガ』、『アーティナイ連邦』それぞれに現れた『邪神』ですが、そのうち帝都と『カームクラン』に侵攻してきた二柱の討伐に成功しました!』

「っ!?それは本当!!」

 ハーティはそれぞれの国が奮闘しながら『邪神』の攻撃を耐えてくれていると信じていたが、まさか討伐まで成功しているとは思っていなかった。

 リリスから耳にした朗報に、ハーティとユナの瞳は無意識に潤んでいた。

 しかし、ハーティはリリスの言葉から一つの問題を思い出す。

「っ!だけど!王都はまだ『邪神』と戦闘中なのよね!?」

『そのことですが、シエラさんが『聖斧レガリア』を手に入れて、『カームクラン』の『邪神』を滅ぼした後、王都で『リリーシャ』という名の『邪神』と交戦を始めました』

「シエラが!!よかった!シエラなら『神器アーティファクト』と『神聖魔導甲冑』を身に着けてさえいれば、十分『邪神』に対抗できるはずよ!!ただ・・リリーシャ・・・まさかデスティウルスによって送り込まれた『邪神』が、そこまで『神格』の高い『存在』だったなんて・・」

『はい・・・ですが、シエラさんはリリーシャに大きなダメージを与えることに成功しました。そして、その隙をついてリリーシャと共にこちらへ転移する予定です!』

「転移・・・『聖斧』の固有能力ね。ということは、ひとまず『サウスポイントここ』以外の『邪神』による脅威は取り除かれる・・ということね」

『そうなります。私たちはこれから転移してきたリリーシャを全力で討伐します!ですから、その間ハーティルティア様は引き続きデスティウルスを食い止めてください!!』

「わかった!!でも、リリーシャは強敵よ?それに再生能力も今までの『邪神』より抜きんでて高い筈・・・大丈夫なの?」

『それについてはお任せください。私にがあります。ただ、リリーシャを討伐している間、私がユナさんに供給しているマナが失われてしまいます。そうなればユナさんの『女神化』が一時的に解除されてしまいます』

「それについては問題ないわ。ユナはその間、私の『ニーヴァルテ』を使って!!!」

「っ!?ですが・・」

「大丈夫。『ニーヴァルテ』には『リフィアス』の遺志が宿っているわ。それを私がユナに託すのだから、必ず『聖剣』はユナに応えてくれるわ!」

「・・・っ!わかりました!!」

「それに、何かあれば私の『防御魔導』でサポートするわ。だから、リリスはリリーシャ討伐に専念して頂戴」

『仰せのままに』

 リリスの言葉を最後に通信が切れてしばらくすると、宣言通りユナの『女神化』が解除され始めた。

「ユナ!!」

 ブンッ!

 ハーティはユナの『女神化』が解除される様子を見ると、すかさず彼女に向けて『聖剣ニーヴァルテ』を投擲する。

「っ!!」

 パシィ!!!

 ユナはハーティから投擲された『聖剣』を体の回転を加えた動きで華麗に受け止めると、両手でしっかりと構えた。

 ゴォォォォ!!!!

 直後、凄まじい量のマナがユナへと送られて、再びユナは『女神化』を果たした。

「すごい・・・これが・・『聖剣』の力・・・!!」

「っ!?ですが、私が『聖剣』を持ってしまうとハーティルティア様の武器が!?そうだっ!ひとまず私の『女神イルティア・レ・ファティマ』を・・・」

 慌ててユナが先ほどまで使っていた剣をハーティに渡そうとする。

「それには及ばないわ!」

 しかし、ハーティはユナを片手で制止した。

「せぇい!!!」

 ズガァ!!!!

 直後、ハーティは突如自身に襲ってきた『次幻斬』を華麗なで捌いた。

「なニぃ!?」

 そして、まさか回し蹴りによって『次幻斬』を捌かれると思っていなかったデスティウルスが、驚愕の表情を浮かべる。

「そんなに驚くようなことじゃないわ。なにも、『還元』は必ずに付与しないといけないものではないわ!」

「そんナ・・・バカな・・!?」

「それに、なんだかんだで私は『素手これ』が得意なようだし・・?」

 ハーティは得意げに言い放つと、デスティウルスにファイティングポーズを取って対峙した。
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