転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい

りゅうじんまんさま

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最終章 決戦!『デスティウルス』編

『究極の奈落』

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 ズゴゴゴゴゴ!!!

「あ“あ”あ“あ”あ“!!」

 暗黒に包み込まれたリリーシャは断末魔の声を上げる。

 そして、リリーシャを包み込んだ暗黒は『聖杖』の『空間圧縮』能力により、急速にその大きさを縮めていく。

「うぐっ!!あ“あ”あ“あ”!!!」

 リリーシャは自身を包み込む空間が収縮していくのを内部から両手足で押しのけようとするが、無慈悲にも肉体が押しつぶされていく。

 ドゥゥゥゥン!!!

 直後、暗黒の球体は直径数センチほどの大きさにまで一気に収縮した。

 その内部にいるリリーシャの肉体がどうなったかは、その場の全員が容易に想像できた。

 そして、リリーシャを押しつぶした暗黒の球体は、消滅することなく周囲の大気等のあらゆるものを引きずり込み始めた。

 ゴォォォォォォ!!!!

『ぐっ!吸い込まれるわっ!??』

『これは・・なんということだ!!』

『ナラトス様・・・!!』

 リリスの指示によって遠くから暗黒の球体を狙い定める二機の人工女神アーク・イルティアが、暗黒に引きずりこまれそうになるのを必死で耐える。



 ・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・。



 ゴゴゴゴゴ・・・・。

「くそっ!!なんだ!?あの暗黒は!?」

 暗黒の球体が生み出す凄まじい引力によって、『イルティア・レ・イーレ』の船体も大きく傾きながら引きずり込まれ始めていた。

 そして、大きく傾いた艦橋ブリッジ内のクルー達は、揃って座席や最寄りの掴める所にしがみつきながら振り落とされないように耐えていた。

「マクスウェル様!!このままでは艦ごと引きずり込まれますわ!!」

 フィオナも座席から振り下ろされそうになりながら必死に叫ぶ。

「くそ!致し方ない!から一旦距離を取るぞ!!百八十度回頭!機関最大!離脱航行に入れ!!『ラピス』各機も引きずり込まれる前に後退だ!!」

『『御意!!』』

 イィィィィィ!!ズゴオォォォォ!!!

 マクスウェルの指示により、『イルティア・レ・イーレ』は発導機を唸らせながら引力に抗って回頭し始めた。


 ・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・。



 ゴォォォォォ!!!!

「っ!」

 暗黒の球体が周囲の大気や海水までも吸い込んでいく様子は、デスティウルスと戦うハーティ達からも視認することが出来た。

 そして、その様子を見たユナが驚愕の表情を浮かべる。

「ユナ!よそ見をしている暇はないわよ!!」

「っ!はい!」

(それにしても、リリス・・・いくらリリーシャを滅ぼすためとは言え、『究極アブソルト・レ・奈落アビス』をこのタイミングで発動するとは・・どちらにしても、今はリリスの考えを信じるしかないわね)

 ハーティは、リリスを信じて目前のデスティウルスに再び意識を集中した。



 ・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・。



 ヴヴヴヴヴヴヴ!!!

「ちょ!?聖女様!!!は一体なんなの!?こんな状態じゃとてもじゃないけど狙えないわよ!!!」

 クラリスは激しく揺れるコクピットで悲鳴のような声をあげた。

『『聖杖エーテリア』の固有能力である『究極アブソルト・レ・奈落アビス』は、発動地点となった空間とその周囲をエーテルが尽きない限り無限に引きずり込み続ける神技です!』

『そして、無限に周囲のものを引きずり込み続ける『究極アブソルト・レ・奈落アビス』は、やがて内包した物質に自らが押しつぶされることによって、あらゆる『理』が通用しない『特異点』というものを生み出すと言われています!』

『ここからはあくまでを出ませんが、一度『特異点』が生まれてしまうといかなる方法を以てしてもそれを消し去ることが不可能となり、益々周囲のあらゆるものを引きずり込んでいき、『特異点』が生み出す『事象の境界線』という領域よりも内部に引きずり込まれたものは二度と外に出ることができないそうです』

『そして、『あらゆるもの』とは『マナ』や『エーテル』も含まれます。ですので『空気』や『光』ですら『事象の境界線』から出ることはできません』

「ちょっと!!!なんてを生み出してくれちゃってんの!?あと、ってことは聖女様もあれの行く末がどうなるのかわからないってことよね!?」

『因みに、かつて『神界大戦』の時に『究極アブソルト・レ・奈落アビス』を発動した時は、『特異点』が発生する前にハーティルティア様、バハムス、リフィアスがあれを消し飛ばしてくれました』

「あーだいたい言いたいことはわかったわ!!、どう考えても絶望的じゃない!!!デスティウルスよりも先に聖女様がこの世界を滅ぼすつもり!?そんな冗談、全然笑えないわよ!!」

「要はあれが『特異点』になる前に、『ホーリーバスターキャノン』で消し飛ばしたらいいってわけよね!?」

『そういうことです。クラリスさん、信じていますよ』

「くっそ!やってやるわよ!!!」

「聞こえた!?どうやらあたし達があれをどうにかしないと、みんな吸い込まれてペッシャンコになってしまうみたいだわ!!!だから、失敗は許されないわよ!」

『承知した』

『あんたならできるわ!!!わたし達も補助するから任せなさい!!!』

「っ!いくわよ!!」

 ピピピ・・・。

 クラリスは尚も激しく揺れるコクピット内で気合いを入れなおすと、魔導コンソールに指を走らせた。

『エネルギーライン、発導機に直結!『ホーリーバスターキャノン』発射シークェンス開始!!』

 直後、『プラタナ』の発導機がもたらす高出力のマナが『ホーリーバスターキャノン』へと供給され始める。

『ナラトス様!!』

『ああ、『メルティーナ』出力全開!!!』

 続いて、ナラトスの掛け声と共に光魔導スクリーンに映される『メルティーナ』の機体全体から、凄まじいマナが放出され始める。

 そして、そのマナが砲身から伸びる神白銀プラティウムケーブルへと送り込まれていく。

 ウィーーン・・ウィーン・・ウィン・ウィン・・ウィィウィイウィィ・・・。

「っ!!凄いわ!!この出力は前回ユナと一緒に狙撃した時よりも高いわ!!これならいけるかも!!!」

「・・・『ホーリーバスターキャノン』、発導機からのマナ供給ライン正常動作、一次テンポラリー魔導結晶マナ・キャパシタ、及び補助増設魔導結晶マナ・キャパシタマナ充填率百パーセント!砲身マナ収束ライフリング術式正常発動、供給マナの収束開始!収束率三十パーセント・・四十パーセント・・五十・・・」

「『プラタナ』による『ホーリーバスターキャノン』!照準補助開始!!」

「ニアール、ナラトス!!照準はある程度『プラタナ』が合わせてくれるけど、この状況だとマニュアルによる微調整が必要だわ!!照準はあたしに任せて!!とにかく、あなた達は反動を抑えることに集中して!!」

『了解!』

『承知した!!』

 ヴヴヴヴヴヴ・・・。

「落ち着くのよ・・クラリス。絶対に失敗はゆるされないわ!」

 コクピットでクラリスは深呼吸をすると、手に汗握りながら操縦レバーに力を込める。

「大丈夫・・いままであたしは狙撃を成功させてきた・・・絶対にうまくいくわ!!!」

 ウィウィウィウィウィウィィィィ!

「収束率九十パーセント・・百パーセント!発射準備完了!!さあ、いくわよ!!!みんな!!」

『『おう!!!』』

 そして、『プラタナ』は『ホーリーバスターキャノン』のトリガーに指をかける。

「あったれぇぇぇぇ!!『ホーリーバスターキャノン』!!発射!!」

 カチャ!

 ビシュウウウウウウウウウウウウ!

 そして、『プラタナ』がトリガーを引いた瞬間・・・。

 圧倒的な光の奔流が、全てを呑み込む絶対的な暗黒を包み込んで行った。
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