46 / 310
第三章『信長とイエスーーその運命の類似』
31 『偽救世主』
しおりを挟む
イエスの活躍した時代は西暦30年前後といわれる。
因みに、西暦はイエスの産まれた年を西暦1年として設定された。ただ設定されたのが、イエスの死後ずっと後の時代だったため、
実際の誕生年はおおよそ西暦4年頃と言われている。
当時のイエスが住む、パレスチナ地方のユダヤ教の状況はというとーー
サドカイ派という代々の聖職者が、政治権力も握っていました。
サドカイ派は、全国の巡礼者がエルサレム宮殿に納める寄付や、国民から神殿税を受け取る立場だったので、放っておいても収入が入る特権階級でした。
一方、一般のエルサレム市民の方は、ユダヤ教の律法絶対主義の、パリサイ派と呼ばれる集団か多く、そして一番イエスを批判した集団でした。
パリサイ派は低所得者に多いのですが、それでも地方に比べれば都市部に住んでいるだけ裕福で、エルサレムに出稼ぎや巡礼に来る人々に対して優越感を持っていました。
そしてそのプライドの根源は、ユダヤ教の中心地であるエルサレム宮殿がある地に住んでいるということだったので、
積極的にユダヤ教の戒律・律法の受け入れ遵守し、また他の者にもそれを強制するのでした。
だから、イエスのユダヤ教に対するいわば宗教改革運動は、
律法・戒律絶対のパリサイ派の逆鱗に触れるのです。
……ちょっと前説が長かったですが、
イエスのおかれた状況を理解して頂けると、本作後半の主題、
『信長イエス危機への挑戦ーーそして伝説へ』
の内容がわかりやすくなります。
つまり、
イエスはユダヤ教の宗教改革を、自らの命を賭けてでも目指す。
ーーそれが、人々の救いになると信じて。
パリサイ派は、今までのユダヤ教をずっとこのまま時代が変わっても杓子定規に遵守することを目指す。
ーーそれが、今まで人々を救い続けた方法だから。
なので要約するとイエスの立場からいうと、
イエスは宗教改革者で、パリサイ派は抵抗勢力となる。
逆にパリサイ派の立場からいうと、
パリサイ派は、伝統を重んじる正統派ユダヤ教徒で、
イエスは異端者で、嘘の教えを説く『偽者の救世主』となる。
もちろん、もう二千年前の話なので、どちらの考えが歴史的に正しかったのか、私は専門家ではないので断言はできません。
(ただ本作品は分かりやすくするために、主にイエス視点メインで進みます。)
ーーパリサイ派からみれば、ユダヤ教の掟である戒律・律法に書いてないようなことを広めているイエスの活動は間違った活動であり、その間違った教えを広めるイエスは、“偽者の救世主”ということになりますから、
なんとかして逮捕したい。
イエスとしてみればーー
神の子である自らが布教しているのに、
戒律・律法と違う内容であると、監視しているパリサイ派に判断されれば……捕縛される可能性が多いにある。
「正しい教えを分かりやすく伝えていきたい、
しかしそうすると、伝えを広める前に捕まってしまう。
仕方ない、分かりづらいが、例えばなし(隠喩)をメインでするしかない」
と、いつももどかしくてしょうがなかったと思います。
ーーだから、イエスが一番非難したのが、パリサイ派でした。
というか、イエスと信長の話のはずなのに、「パリサイ派の話ばかり」と思いのみなさん、お待たせしました!
――続きのページから信長ターンです!
因みに、西暦はイエスの産まれた年を西暦1年として設定された。ただ設定されたのが、イエスの死後ずっと後の時代だったため、
実際の誕生年はおおよそ西暦4年頃と言われている。
当時のイエスが住む、パレスチナ地方のユダヤ教の状況はというとーー
サドカイ派という代々の聖職者が、政治権力も握っていました。
サドカイ派は、全国の巡礼者がエルサレム宮殿に納める寄付や、国民から神殿税を受け取る立場だったので、放っておいても収入が入る特権階級でした。
一方、一般のエルサレム市民の方は、ユダヤ教の律法絶対主義の、パリサイ派と呼ばれる集団か多く、そして一番イエスを批判した集団でした。
パリサイ派は低所得者に多いのですが、それでも地方に比べれば都市部に住んでいるだけ裕福で、エルサレムに出稼ぎや巡礼に来る人々に対して優越感を持っていました。
そしてそのプライドの根源は、ユダヤ教の中心地であるエルサレム宮殿がある地に住んでいるということだったので、
積極的にユダヤ教の戒律・律法の受け入れ遵守し、また他の者にもそれを強制するのでした。
だから、イエスのユダヤ教に対するいわば宗教改革運動は、
律法・戒律絶対のパリサイ派の逆鱗に触れるのです。
……ちょっと前説が長かったですが、
イエスのおかれた状況を理解して頂けると、本作後半の主題、
『信長イエス危機への挑戦ーーそして伝説へ』
の内容がわかりやすくなります。
つまり、
イエスはユダヤ教の宗教改革を、自らの命を賭けてでも目指す。
ーーそれが、人々の救いになると信じて。
パリサイ派は、今までのユダヤ教をずっとこのまま時代が変わっても杓子定規に遵守することを目指す。
ーーそれが、今まで人々を救い続けた方法だから。
なので要約するとイエスの立場からいうと、
イエスは宗教改革者で、パリサイ派は抵抗勢力となる。
逆にパリサイ派の立場からいうと、
パリサイ派は、伝統を重んじる正統派ユダヤ教徒で、
イエスは異端者で、嘘の教えを説く『偽者の救世主』となる。
もちろん、もう二千年前の話なので、どちらの考えが歴史的に正しかったのか、私は専門家ではないので断言はできません。
(ただ本作品は分かりやすくするために、主にイエス視点メインで進みます。)
ーーパリサイ派からみれば、ユダヤ教の掟である戒律・律法に書いてないようなことを広めているイエスの活動は間違った活動であり、その間違った教えを広めるイエスは、“偽者の救世主”ということになりますから、
なんとかして逮捕したい。
イエスとしてみればーー
神の子である自らが布教しているのに、
戒律・律法と違う内容であると、監視しているパリサイ派に判断されれば……捕縛される可能性が多いにある。
「正しい教えを分かりやすく伝えていきたい、
しかしそうすると、伝えを広める前に捕まってしまう。
仕方ない、分かりづらいが、例えばなし(隠喩)をメインでするしかない」
と、いつももどかしくてしょうがなかったと思います。
ーーだから、イエスが一番非難したのが、パリサイ派でした。
というか、イエスと信長の話のはずなのに、「パリサイ派の話ばかり」と思いのみなさん、お待たせしました!
――続きのページから信長ターンです!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる