2 / 10
(2)罰は黒タイツ
しおりを挟む
1ヶ月が過ぎ、優香と霞の生活は、狭い1DKのアパートで穏やかに続いていた。六畳の和室には、二人分の布団と小さなテーブルが並び、質素ながらも温かい時間が流れていた。
優香はパートのレジ打ちと夜間病院の緊急窓口業務をこなし、霞は学校から帰ると宿題に励み、母の手料理を待った。夕食時には、テレビのバラエティ番組を見ながら他愛もない話を交わし、笑い合うことも増えていた。
あの気まずい出来事、霞がスマホで女性のヌード写真を見ながら自慰行為をしていたことは、二人とも口にせず、まるで過去の影のように薄れていた。
だが、ある晩、優香が遅番から疲れ果てて帰宅すると、六畳間の空気がどんよりとしていた。蛍光灯の薄暗い光の下、霞がいた。またズボンを膝まで下ろし、畳の上で手を動かしていた。スマホは下に置き画面は暗かったが、優香には一目でわかった。息子がまた、あの「ふしだらな」行為に耽っている。
「霞!」
優香の声は、部屋に鋭く響いた。彼女は息子に詰め寄ると平手で霞の頬を叩いた。
「またやってる! ママがあんなに言ったのに! あなた、ママの苦労、わかってるの!?」
彼女の目は怒りに燃え、胸には失望と嫌悪が渦巻いた。
再び過去のDV夫の姿が脳裏をよぎる。酔って帰って来て性交を強要する元夫。酒で起たないとみるや今度は口淫を強要され、陰毛だらけの汚い股間に顔を埋められる。また、ある時は肛門性交を強要され、ある時は車の中でも事に及んだ。道端に駐車しドアを開けられ、通行人にまで裸を晒された屈辱。もはや妻というより性奴隷だった。
だからこそ、自分の息子が性欲を持つなんて許されないことだった。それなのに、息子は自分で自分の股間を弄っている。優香の怒りは、性暴力の恐怖から逃れることと同じであり、もはや自分の子にさえ情けはなかった。
再び優香は、霞の頬を叩き、思いっ切り蹴り飛ばした。
霞は、ズボンを下ろしたまま後ろに転げながらも、両手で下半身を隠した。顔は真っ赤で、その目は潤んでいた。
「ごめんなさい…、ママ、ほんと、ごめんなさい…」
彼の声は震え、床を見つめた。彼自身、なぜまたこんな衝動に駆られたのか、うまく説明できなかった。女性の裸体の画像が頭にこびりつき、抑えきれなかったのだ。そしてママを裏切った。
優香は少し冷静になり、テーブルに手をつくと息を整えた。そして、呟くように言った。
「霞…何故そんな、はしたないことをするの。約束したでしょ。あなたはまだ中学生なのよ。ママとの約束を破ってまですることなの。こんな気持ち悪いこと、またするなんて…」
彼女の声は、どこか悲しげだった。
霞は手を握りしめ、唇を噛んだ。
「もう…しない。ほんとだよ、ママ…」
彼の言葉は弱々しく、涙が頬を伝った。
だが、優香はもう同じ過ちを繰り返させまいと、必死で考えを巡らせていた。本来であれば、霞を心療内科に連れて行き、抗アンドロゲン剤など性欲を抑制する薬を処方して貰いたいところだった。しかし、息子は未成年、医師が処方するはずがない。そこで、彼女はクローゼットに駆け寄り、使い古した黒タイツを取り出した。パートで履いていたもので、伸縮性はあるが少し擦り切れていた。
「霞、今日から家の中ではズボンは履かないで、これを履きなさい。」
彼女はタイツを息子に差し出し、厳しい目で言った。
霞は目を丸くした。
「え…ママのタイツ? なんで…?」
彼の声には、困惑と恥ずかしさが混じっていた。
「ズボンだと、興奮した状態になっても判らないでしょ。」
優香の口調は有無を言わせなかった。
「タイツなら、あなたの下半身の状態がすぐわかる。もし勃起させしたりしたら、ママがすぐ注意するから。二度とこんなふしだらなことは、してはいけないの。」
霞は顔を真っ赤にして抗議しようとしたが、母の鋭い視線に気圧され、黙って黒タイツを受け取った。履いてみると、タイツは細い脚にぴったりと張り付き、動きづらい感触だった。肌に密着する生地は、どこか気まずく恥ずかしかった。だが、母の目は真剣で、逆らう勇気はなかった。
その日から、霞は家の中で黒タイツを履かされた。学校から帰ると、タイツに履き替える。優香は息子の下半身をチラチラと確認し、わずかな変化にも目を光らせた。
「霞、ちゃんと座りなさい。変なこと考えてないわよね?」
彼女の声は、時に優しく、時に鋭かった。霞はそんな母の視線を感じながら、宿題に集中しようと必死だった。だが、心の中では、羞恥と反抗心が渦巻いていた。
「なんでこんなこと…」
と思う一方、母を悲しませたくない気持ちもあった。
優香自身、このやり方が正しいのか、確信が持てなかった。夜、霞が寝静まった後、彼女はキッチンのシンクに突っ伏し、静かに自分の心と向き合った。息子を愛している。霞がまっすぐに育ってほしいと願っている。でも、自分の不安や、元DV夫の影が息子を縛っているのではないか。そんな思いが、彼女の心を締め付けた。
ある晩、霞が宿題を終えた後、珍しく口を開いた。
「ママ…僕、ほんとにごめん。もう変なことしない。勉強もちゃんとするから。信じて。」
優香は息子の真剣な目を見て、胸が詰まった。彼女はそっと霞の頭に手を置き、髪を撫でた。
「ママも…ごめんね、霞。あなたが大事だから…変な風にならないでほしいだけなの。」
その夜、六畳間は静かだった。外では冬の風が吹き、窓に冷たい音を立てていた。
優香はパートのレジ打ちと夜間病院の緊急窓口業務をこなし、霞は学校から帰ると宿題に励み、母の手料理を待った。夕食時には、テレビのバラエティ番組を見ながら他愛もない話を交わし、笑い合うことも増えていた。
あの気まずい出来事、霞がスマホで女性のヌード写真を見ながら自慰行為をしていたことは、二人とも口にせず、まるで過去の影のように薄れていた。
だが、ある晩、優香が遅番から疲れ果てて帰宅すると、六畳間の空気がどんよりとしていた。蛍光灯の薄暗い光の下、霞がいた。またズボンを膝まで下ろし、畳の上で手を動かしていた。スマホは下に置き画面は暗かったが、優香には一目でわかった。息子がまた、あの「ふしだらな」行為に耽っている。
「霞!」
優香の声は、部屋に鋭く響いた。彼女は息子に詰め寄ると平手で霞の頬を叩いた。
「またやってる! ママがあんなに言ったのに! あなた、ママの苦労、わかってるの!?」
彼女の目は怒りに燃え、胸には失望と嫌悪が渦巻いた。
再び過去のDV夫の姿が脳裏をよぎる。酔って帰って来て性交を強要する元夫。酒で起たないとみるや今度は口淫を強要され、陰毛だらけの汚い股間に顔を埋められる。また、ある時は肛門性交を強要され、ある時は車の中でも事に及んだ。道端に駐車しドアを開けられ、通行人にまで裸を晒された屈辱。もはや妻というより性奴隷だった。
だからこそ、自分の息子が性欲を持つなんて許されないことだった。それなのに、息子は自分で自分の股間を弄っている。優香の怒りは、性暴力の恐怖から逃れることと同じであり、もはや自分の子にさえ情けはなかった。
再び優香は、霞の頬を叩き、思いっ切り蹴り飛ばした。
霞は、ズボンを下ろしたまま後ろに転げながらも、両手で下半身を隠した。顔は真っ赤で、その目は潤んでいた。
「ごめんなさい…、ママ、ほんと、ごめんなさい…」
彼の声は震え、床を見つめた。彼自身、なぜまたこんな衝動に駆られたのか、うまく説明できなかった。女性の裸体の画像が頭にこびりつき、抑えきれなかったのだ。そしてママを裏切った。
優香は少し冷静になり、テーブルに手をつくと息を整えた。そして、呟くように言った。
「霞…何故そんな、はしたないことをするの。約束したでしょ。あなたはまだ中学生なのよ。ママとの約束を破ってまですることなの。こんな気持ち悪いこと、またするなんて…」
彼女の声は、どこか悲しげだった。
霞は手を握りしめ、唇を噛んだ。
「もう…しない。ほんとだよ、ママ…」
彼の言葉は弱々しく、涙が頬を伝った。
だが、優香はもう同じ過ちを繰り返させまいと、必死で考えを巡らせていた。本来であれば、霞を心療内科に連れて行き、抗アンドロゲン剤など性欲を抑制する薬を処方して貰いたいところだった。しかし、息子は未成年、医師が処方するはずがない。そこで、彼女はクローゼットに駆け寄り、使い古した黒タイツを取り出した。パートで履いていたもので、伸縮性はあるが少し擦り切れていた。
「霞、今日から家の中ではズボンは履かないで、これを履きなさい。」
彼女はタイツを息子に差し出し、厳しい目で言った。
霞は目を丸くした。
「え…ママのタイツ? なんで…?」
彼の声には、困惑と恥ずかしさが混じっていた。
「ズボンだと、興奮した状態になっても判らないでしょ。」
優香の口調は有無を言わせなかった。
「タイツなら、あなたの下半身の状態がすぐわかる。もし勃起させしたりしたら、ママがすぐ注意するから。二度とこんなふしだらなことは、してはいけないの。」
霞は顔を真っ赤にして抗議しようとしたが、母の鋭い視線に気圧され、黙って黒タイツを受け取った。履いてみると、タイツは細い脚にぴったりと張り付き、動きづらい感触だった。肌に密着する生地は、どこか気まずく恥ずかしかった。だが、母の目は真剣で、逆らう勇気はなかった。
その日から、霞は家の中で黒タイツを履かされた。学校から帰ると、タイツに履き替える。優香は息子の下半身をチラチラと確認し、わずかな変化にも目を光らせた。
「霞、ちゃんと座りなさい。変なこと考えてないわよね?」
彼女の声は、時に優しく、時に鋭かった。霞はそんな母の視線を感じながら、宿題に集中しようと必死だった。だが、心の中では、羞恥と反抗心が渦巻いていた。
「なんでこんなこと…」
と思う一方、母を悲しませたくない気持ちもあった。
優香自身、このやり方が正しいのか、確信が持てなかった。夜、霞が寝静まった後、彼女はキッチンのシンクに突っ伏し、静かに自分の心と向き合った。息子を愛している。霞がまっすぐに育ってほしいと願っている。でも、自分の不安や、元DV夫の影が息子を縛っているのではないか。そんな思いが、彼女の心を締め付けた。
ある晩、霞が宿題を終えた後、珍しく口を開いた。
「ママ…僕、ほんとにごめん。もう変なことしない。勉強もちゃんとするから。信じて。」
優香は息子の真剣な目を見て、胸が詰まった。彼女はそっと霞の頭に手を置き、髪を撫でた。
「ママも…ごめんね、霞。あなたが大事だから…変な風にならないでほしいだけなの。」
その夜、六畳間は静かだった。外では冬の風が吹き、窓に冷たい音を立てていた。
1
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる