伯爵家次男は、女遊びの激しい(?)幼なじみ王子のことがずっと好き

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4.取るに足らない話

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「勘違いだという可能性が高いのではないでしょうか。ツェプラリト家とメッツァル家は、古くから交流があります。私とセレーナ嬢は年が近く、お互い婚約者がいません。噂としては格好の的かと……それに、悪意があって噂を流したとしても、メリットがありません」
「たしかに……メッツァル家ならば、わざわざ噂を流さなくても、うちと交流が深いことは知られているからな……第三者が流したとしても、目的が分からない」

 もしも第三者が流したとしたら、それによって得られるメリットは何か……。話題の噂を変えたいくらいしか思いつかないが、噂なんてすぐに移り変わるものだ。現に、私は1ヶ月前に、どんな噂話が流行っていたのか覚えていない。

「セレーナ嬢本人が流した可能性はありませんか?」
「え?」
「セレーナ嬢だとして、その目的は何だと考える?」

 ダリアスは私の顔をジッと見て、再び父の方を向く。

「ユリウスを好いている、とか」

 予想外の答えに、私は目を見開いた。

「外堀を埋めていけば、結婚できるとでも思っているのかもしれません。昔、やんわりと断ったことがあったよな?」

 ダリアスは私に質問を投げかけた。はたして、そんなことがあっただろうか。記憶を辿る……が、思いつくことはない。

「……思い出せない。兄さんには、覚えがあるの?」
「お前が学園に入学した頃、お前の入学祝いに、メッツァル子爵とセレーナ嬢が来てくれたろ? それで、父様たちが席を外した時、セレーナ嬢がお前に、『ユリウス様にふさわしいレディになったら結婚してくれますか?』って言った。そしたらお前は『貴族同士の結婚は家が決めるものだから何とも言えない』と……」

 学園に入学したのは12歳。今私は18だから、6年ほど前のことか……。2人が祝いに来てくださったのは覚えているが、ダリアスの言う、その会話は覚えていない。

「ユリウスにとっては、取るに足らない話だったから覚えていないのだろう」

 そういうことなのだろうか。

「なら、どうして兄さんは覚えているの?」
「上手い返しだなと感心したからさ」
「……ともかく、この件は様子見だな」

 私たち兄弟の会話を聞いていた父が口を開いた。

「メッツァル家に確認はしないのですか?」
「セレーナ嬢単独の行動ならば、確認してもしょうがない。確実な証拠が出てきたらでも、遅くはない」

 もしも本当にセレーナ嬢が噂を流していたとしても、そうじゃないとしても、確実ではない今確認したら、交流が長いとはいえ、メッツァル家との関係が悪くなってしまうかもしれない。それはこちらとしても避けたい。父の言う通り、様子見が最適だろう。
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