4 / 47
4.取るに足らない話
しおりを挟む
「勘違いだという可能性が高いのではないでしょうか。ツェプラリト家とメッツァル家は、古くから交流があります。私とセレーナ嬢は年が近く、お互い婚約者がいません。噂としては格好の的かと……それに、悪意があって噂を流したとしても、メリットがありません」
「たしかに……メッツァル家ならば、わざわざ噂を流さなくても、家と交流が深いことは知られているからな……第三者が流したとしても、目的が分からない」
もしも第三者が流したとしたら、それによって得られるメリットは何か……。話題の噂を変えたいくらいしか思いつかないが、噂なんてすぐに移り変わるものだ。現に、私は1ヶ月前に、どんな噂話が流行っていたのか覚えていない。
「セレーナ嬢本人が流した可能性はありませんか?」
「え?」
「セレーナ嬢だとして、その目的は何だと考える?」
ダリアスは私の顔をジッと見て、再び父の方を向く。
「ユリウスを好いている、とか」
予想外の答えに、私は目を見開いた。
「外堀を埋めていけば、結婚できるとでも思っているのかもしれません。昔、やんわりと断ったことがあったよな?」
ダリアスは私に質問を投げかけた。はたして、そんなことがあっただろうか。記憶を辿る……が、思いつくことはない。
「……思い出せない。兄さんには、覚えがあるの?」
「お前が学園に入学した頃、お前の入学祝いに、メッツァル子爵とセレーナ嬢が来てくれたろ? それで、父様たちが席を外した時、セレーナ嬢がお前に、『ユリウス様にふさわしいレディになったら結婚してくれますか?』って言った。そしたらお前は『貴族同士の結婚は家が決めるものだから何とも言えない』と……」
学園に入学したのは12歳。今私は18だから、6年ほど前のことか……。2人が祝いに来てくださったのは覚えているが、ダリアスの言う、その会話は覚えていない。
「ユリウスにとっては、取るに足らない話だったから覚えていないのだろう」
そういうことなのだろうか。
「なら、どうして兄さんは覚えているの?」
「上手い返しだなと感心したからさ」
「……ともかく、この件は様子見だな」
私たち兄弟の会話を聞いていた父が口を開いた。
「メッツァル家に確認はしないのですか?」
「セレーナ嬢単独の行動ならば、確認してもしょうがない。確実な証拠が出てきたらでも、遅くはない」
もしも本当にセレーナ嬢が噂を流していたとしても、そうじゃないとしても、確実ではない今確認したら、交流が長いとはいえ、メッツァル家との関係が悪くなってしまうかもしれない。それはこちらとしても避けたい。父の言う通り、様子見が最適だろう。
「たしかに……メッツァル家ならば、わざわざ噂を流さなくても、家と交流が深いことは知られているからな……第三者が流したとしても、目的が分からない」
もしも第三者が流したとしたら、それによって得られるメリットは何か……。話題の噂を変えたいくらいしか思いつかないが、噂なんてすぐに移り変わるものだ。現に、私は1ヶ月前に、どんな噂話が流行っていたのか覚えていない。
「セレーナ嬢本人が流した可能性はありませんか?」
「え?」
「セレーナ嬢だとして、その目的は何だと考える?」
ダリアスは私の顔をジッと見て、再び父の方を向く。
「ユリウスを好いている、とか」
予想外の答えに、私は目を見開いた。
「外堀を埋めていけば、結婚できるとでも思っているのかもしれません。昔、やんわりと断ったことがあったよな?」
ダリアスは私に質問を投げかけた。はたして、そんなことがあっただろうか。記憶を辿る……が、思いつくことはない。
「……思い出せない。兄さんには、覚えがあるの?」
「お前が学園に入学した頃、お前の入学祝いに、メッツァル子爵とセレーナ嬢が来てくれたろ? それで、父様たちが席を外した時、セレーナ嬢がお前に、『ユリウス様にふさわしいレディになったら結婚してくれますか?』って言った。そしたらお前は『貴族同士の結婚は家が決めるものだから何とも言えない』と……」
学園に入学したのは12歳。今私は18だから、6年ほど前のことか……。2人が祝いに来てくださったのは覚えているが、ダリアスの言う、その会話は覚えていない。
「ユリウスにとっては、取るに足らない話だったから覚えていないのだろう」
そういうことなのだろうか。
「なら、どうして兄さんは覚えているの?」
「上手い返しだなと感心したからさ」
「……ともかく、この件は様子見だな」
私たち兄弟の会話を聞いていた父が口を開いた。
「メッツァル家に確認はしないのですか?」
「セレーナ嬢単独の行動ならば、確認してもしょうがない。確実な証拠が出てきたらでも、遅くはない」
もしも本当にセレーナ嬢が噂を流していたとしても、そうじゃないとしても、確実ではない今確認したら、交流が長いとはいえ、メッツァル家との関係が悪くなってしまうかもしれない。それはこちらとしても避けたい。父の言う通り、様子見が最適だろう。
142
あなたにおすすめの小説
【8話完結】僕の大切な人はBLゲームの主人公でした。〜モブは主人公の幸せのためなら、この恋も諦められます〜
キノア9g
BL
転生先は、まさかのBLゲームの世界。
モブであるリセルは、恋を自覚した瞬間、幼馴染・セスがこの世界の“主人公”だと気づいてしまう。
このまま一緒にいても、いつか彼は攻略対象に惹かれていく運命——それでも、今だけは傍にいたい。
「諦める覚悟をしたのに、どうしてこんなにも君が愛おしいんだろう」
恋の終わりを知っているモブと、想いを自覚していく主人公。
甘さと切なさが胸を締めつける、すれ違いから始まる運命の物語。
全8話。
追放オメガ聖帝の幸せな結婚〜クールなスパダリ騎士に拾われて溺愛されるまで〜
あきたいぬ大好き(深凪雪花)
BL
ノルディーナ王国の聖帝サーナは、教皇のありもしない嘘のせいで聖宮から追放されてしまう。
行く当てがないサーナが国境に向かうと、そこで隣国ルミルカ王国の騎士であるムーシュと出会う。ムーシュから諸事情により偽装結婚を提案されて、サーナは期限付きの偽装結婚ならばよいと承諾し、一時的に保護してもらうことに。
異国暮らしに慣れていく中で、やがてムーシュから溺愛されるようになり……?
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
美澄の顔には抗えない。
米奏よぞら
BL
スパダリ美形攻め×流され面食い受け
高校時代に一目惚れした相手と勢いで付き合ったはいいものの、徐々に相手の熱が冷めていっていることに限界を感じた主人公のお話です。
※なろう、カクヨムでも掲載中です。
婚活アプリのテスト版に登録させられたら何故か自社の社長としかマッチング出来ないのですが?
こたま
BL
オメガ男子の小島史(ふみ)は、ネットを中心に展開している中小広告代理店の経理部に勤めている。会社が国の補助金が入る婚活アプリ開発に関わる事になった。テスト版には、自社の未婚で番のいないアルファとオメガはもちろん未婚のベータも必ず登録して動作確認をするようにと業務命令が下された。史が仕方なく登録すると社長の辰巳皇成(こうせい)からマッチング希望が…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる