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7.友人の提案
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私は、レオンに、一番気になる質問をできていない。
それは、なぜ女性とベタベタと関わるようになったのかだ。以前のレオンは、女性と一定の距離を保っていた。家の地位を上げるために、王子に取り入ろうと近づいて来る女性も上手くかわしていた。それが、2ヶ月前からは何故か、女性に触れられても、何もしていない。同一人物の振る舞いとは思えないが、どちらもレオンだ。
私がレオンに聞けないのは、言葉で現実を突きつけられるのが怖いからだ。どうせ私には、気持ちを伝える機会なんて来ないのに……。
女性といるのが心地良いからなんて言われでもしたら、立ち直れない。
私が次男で良かった。こんな度胸のないやつが伯爵家を継ぐなんて、できないから。ダリアスが優秀で良かった。
2ヶ月前といえば、ダリアスが言っていた、ケトゥリー国の皇子を招いての晩餐会と同じ時期だな……
いや……それとこれとは別で、関係のない話である。
それに、その晩餐会にレオンは出席していない。この国の王族は、学園に通っている期間、晩餐会には出席しないからである。噂は知らないはずだ。もしもレオンが噂を耳にすれば、私に確認するだろう。
「ユリウス、ちょっと良いか?」
図書室で本を読んでいると、私の名を呼ぶ声がした。振り向くと、シオンが立っていた。シオンは私の耳元に顔を近づけ、小声で囁く。
「例の婚約話の件で」
シオンはそう言うとすぐに顔を離した。図書室は他にも人がいる。シオンは廊下に出ようとアイコンタクトをした。私は頷き、2人で廊下に出た。
「何か分かったのか?」
「ああ……父に君の婚約話をした客が誰か分かった」
「……!」
シオンは周りに人がいないことを確認し、壁に背を預けて腕を組んだ。
「俺の父に話を吹き込んだのも、君の婚約相手とされた女性も、同一人物だったよ」
その言葉を聞いて、令嬢の顔が頭をよぎる。新芽のような緑色の髪の毛と瞳の令嬢の顔が。
「セレーナ・メッツァルか?」
そう私が口に出すと、シオンは目を見開いた。
「よく分かったな」
「兄が、な……」
「ああ……なるほど」
すぐにシオンは納得した。兄は特に優秀だと有名だ。
「一応聞くけど、婚約の話は本当にないんだな?」
「ない」
「知らないうちに話が進んでるとかも?」
「ああ、ない。あちらの家でも、こちらに結婚を申し込む予定はないらしい……」
「……何故分かる?」
「家の使用人に、あちらの使用人と仲が良い者がいてな……使用人の話だから、事実かは分からないが、事実だとしても、使用人の耳に入らないくらいの話だ」
その家に仕える使用人が知らないのに、そこを飛び超えて宝石商に話す必要はないのだ。
ちなみに兄の手引きで、その使用人は探るのが上手くなった。
「なるほど……その使用人、ぜひウチに欲しい人材だな。辞める予定はないのか?」
シオンが冗談めかしてそう言った。
「フッ……残念ながらないな…………遠くに引っ越す以外の理由で辞めることはないだろう。だから、君のもとで働くことはないな」
「ハハ、残念!」
シオンは組んでいた腕を解き、肩をすくめ、またすぐに腕を組む。
「で、どうするんだ? 貴族同士のそういうのはめんどくさいだろ」
「……否定はしない」
人間関係を円滑に進めることが、信頼に繋がり、やがて家がおさめている土地のためになる。一応、今は疑いの段階だ。この時点で問いただしても、セレーナ嬢が認める可能性は低い。
「俺がセレーナ嬢に探りを入れてやろうか?」
「え」
「父から聞いたと言えば違和感はないだろう。あくまで俺は、婚約話が本当だと思っている程で話す」
「……関わりがないだろう。どうやって?」
学園は、学年が違うと、校舎も違う。だから、顔を合わせる機会はほとんどない。
「2つ下とはいえ、同じ学園だ。どうにでもなる。それに、ウチの客に挨拶するのは、おかしいか?」
シオンは「フッ」と得意げな顔をしていた。
それは、なぜ女性とベタベタと関わるようになったのかだ。以前のレオンは、女性と一定の距離を保っていた。家の地位を上げるために、王子に取り入ろうと近づいて来る女性も上手くかわしていた。それが、2ヶ月前からは何故か、女性に触れられても、何もしていない。同一人物の振る舞いとは思えないが、どちらもレオンだ。
私がレオンに聞けないのは、言葉で現実を突きつけられるのが怖いからだ。どうせ私には、気持ちを伝える機会なんて来ないのに……。
女性といるのが心地良いからなんて言われでもしたら、立ち直れない。
私が次男で良かった。こんな度胸のないやつが伯爵家を継ぐなんて、できないから。ダリアスが優秀で良かった。
2ヶ月前といえば、ダリアスが言っていた、ケトゥリー国の皇子を招いての晩餐会と同じ時期だな……
いや……それとこれとは別で、関係のない話である。
それに、その晩餐会にレオンは出席していない。この国の王族は、学園に通っている期間、晩餐会には出席しないからである。噂は知らないはずだ。もしもレオンが噂を耳にすれば、私に確認するだろう。
「ユリウス、ちょっと良いか?」
図書室で本を読んでいると、私の名を呼ぶ声がした。振り向くと、シオンが立っていた。シオンは私の耳元に顔を近づけ、小声で囁く。
「例の婚約話の件で」
シオンはそう言うとすぐに顔を離した。図書室は他にも人がいる。シオンは廊下に出ようとアイコンタクトをした。私は頷き、2人で廊下に出た。
「何か分かったのか?」
「ああ……父に君の婚約話をした客が誰か分かった」
「……!」
シオンは周りに人がいないことを確認し、壁に背を預けて腕を組んだ。
「俺の父に話を吹き込んだのも、君の婚約相手とされた女性も、同一人物だったよ」
その言葉を聞いて、令嬢の顔が頭をよぎる。新芽のような緑色の髪の毛と瞳の令嬢の顔が。
「セレーナ・メッツァルか?」
そう私が口に出すと、シオンは目を見開いた。
「よく分かったな」
「兄が、な……」
「ああ……なるほど」
すぐにシオンは納得した。兄は特に優秀だと有名だ。
「一応聞くけど、婚約の話は本当にないんだな?」
「ない」
「知らないうちに話が進んでるとかも?」
「ああ、ない。あちらの家でも、こちらに結婚を申し込む予定はないらしい……」
「……何故分かる?」
「家の使用人に、あちらの使用人と仲が良い者がいてな……使用人の話だから、事実かは分からないが、事実だとしても、使用人の耳に入らないくらいの話だ」
その家に仕える使用人が知らないのに、そこを飛び超えて宝石商に話す必要はないのだ。
ちなみに兄の手引きで、その使用人は探るのが上手くなった。
「なるほど……その使用人、ぜひウチに欲しい人材だな。辞める予定はないのか?」
シオンが冗談めかしてそう言った。
「フッ……残念ながらないな…………遠くに引っ越す以外の理由で辞めることはないだろう。だから、君のもとで働くことはないな」
「ハハ、残念!」
シオンは組んでいた腕を解き、肩をすくめ、またすぐに腕を組む。
「で、どうするんだ? 貴族同士のそういうのはめんどくさいだろ」
「……否定はしない」
人間関係を円滑に進めることが、信頼に繋がり、やがて家がおさめている土地のためになる。一応、今は疑いの段階だ。この時点で問いただしても、セレーナ嬢が認める可能性は低い。
「俺がセレーナ嬢に探りを入れてやろうか?」
「え」
「父から聞いたと言えば違和感はないだろう。あくまで俺は、婚約話が本当だと思っている程で話す」
「……関わりがないだろう。どうやって?」
学園は、学年が違うと、校舎も違う。だから、顔を合わせる機会はほとんどない。
「2つ下とはいえ、同じ学園だ。どうにでもなる。それに、ウチの客に挨拶するのは、おかしいか?」
シオンは「フッ」と得意げな顔をしていた。
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