伯爵家次男は、女遊びの激しい(?)幼なじみ王子のことがずっと好き

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8.探り

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 学園終わり。シオンはセレーナ嬢に声をかけた。

「セレーナ様」

 シオンは人のいない場所へセレーナ嬢を誘導した。同じ学園の制服を着ているため、あまり警戒はしていないようだ。
 私は2人の会話を見守る。見守ると言っても、物陰を上手く使い、彼らに見えない位置から、会話を聞く。彼らに見えないということは、私からも2人が見えない。

「どうしたのですか?」
「父から、婚約のお祝いを私からも言うようにと……」
「え?」
わたくし、シオン・アルベルトと申します。ご挨拶が遅れて申し訳ありません」
「……アルベルトって」
「ええ、ウチは代々宝石商をやっております。先日はご利用いただきましてありがとうございました」
「ご子息がいることは聞きましたが、同じ学園だったのですね」
「この学園はとても広いですから、知らなくても無理はありません。私は最終学年だというのに、同じ年の生徒でさえ、知らない方はたくさんいらっしゃいます」

 シオンは嘘をついている。アルベルト家の後継として、学園の生徒の情報は入れている。客、または、将来の客だからだ。

「改めて、ご婚約おめでとうございます」
「……ありがとうございます」
「それにしても驚きました。ユリウス様とは同じクラスで、友人なのですが、そういった話を全然聞いていなかったもので……」
「……ユリウス様に、この話はされましたか?」
「いいえ、友人として、言ってくださるのを待とうかと」
「そうですか……私が学園を卒業するまでは表沙汰にしないと、ユリウス様の提案で決まったんです。私が勉学に集中できるようにと……」

 そんなこと言ってないが?
 そもそも婚約も決まってないが。なぜセレーナ嬢はそんな嘘を言ったのか。

「そうだったのですか……やはりユリウス様は優しいですね」
「ええ……婚約が決まったのがとても嬉しくて、つい、あなたのお父様にお話ししてしまいました。他に、誰かにお伝えになりましたか?」
「いえ、私の父と、私しか知りません。ご安心ください」
「……そうですか」
「ところで、婚約が決まったのがとても嬉しかったと、先ほどおっしゃっていましたが、ユリウス様のことを……」
「ええ、ずっとお慕いしています。幼い頃から」

 私は片手で頭を抱えた。ダリアスの言った通りだった。セレーナ嬢本人が嘘を広める理由は私のことを好いているから。
 そんな理由で……まあ、大きなデメリットはないし……いや、でも……メッツァル家には報告した方が良いか……

「そうなのですか。良かったですね。よければどういったところに惹かれたのか、お聞かせ願いませんでしょうか?それに沿って、お祝いの品をお贈りいたします」
「幼い頃、レッスンが辛くて、こっそり泣いている私に、優しく微笑んでくださった……その時に決めたのです。どんな手を使ってでも、この方の隣に……ユリウス様と結婚すると……」
 
 はて、そんな事があっただろうか。ダリアスと間違えて覚えているのかとも思ったが、ダリアスと私は、5つ歳が離れている。成長した今でこそ背丈にそんなに差はないが、幼い頃は差があった。勘違いしている可能性は低い。

 私が覚えていないだけか……
 レオンとの出来事なら、思い出せるのに……

「ハッ……」

 乾いた笑いは、自分だけに聞こえる。

 レオンのことは、今はどうでも良いのに……どうでも良いはずなのに……どうでも良いべきだ……。

 なのに、どうして今浮かぶのは、レオンの顔なのだろうか。
 レオンのこと好きすぎやしないか。

 そんな自分に、あきれた笑いだった。
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