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11.メッツァル家
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「この度は、セレーナが大変失礼なことをしてしまい、申し訳ありませんでした」
メッツァル子爵と、子爵夫人と、セレーナ嬢本人が謝罪に訪れた。
子爵と夫人が頭を下げるのを見て、セレーナ嬢も頭を下げた。
「セレーナは社交界への参加の禁止を1か月、明日からの外出禁止を1週間にいたします」
「……こちらとしては、家が決めた処分について口を出すつもりはないし、交流も取引も変えるつもりはない。頭を上げろ」
父がそう言うと、3人とも頭を上げた。
「寛大なお心、感謝いたします」
「今は私的な場だ。いつも通り敬語は必要ない」
父がそう言うと、子爵は首を振った。
ツェプラリト家とメッツァル家は古くから交流があり、父と子爵は旧知の仲。私的な場では、砕けた言葉を使っている。
「今日は謝罪をしに来たので」
「そうか……先ほど言った通り、関わり合いは変えない。それが、私たちツェプラリト家の決定事項だ」
「その代わり、1つ良いですか?」
そう言ったダリアスに注目が集まる。
「今回の件、セレーナさんの目的は何だったのか、その目的を果たすための行動全てを話していただけませんか?」
ダリアスは明るい声でそう言った。セレーナ嬢は、気まずそうに下を向いてしまった。そんなセレーナ嬢を見て、話を続けるダリアス。
「話していただけなければ、信用することが難しくなります。父の代はともかく、私が跡を継いだ時、取引を考え直すことになるかもしれません。それは、お互い困るでしょう」
一見優しい笑顔を貼り付けたような表情と、脅しのような言葉。表情と言葉が合っていない。
子爵と夫人は、セレーナ嬢に言うように促す。追い詰められたセレーナ嬢は、言うしかない。
張り詰められた空気、部屋は静かである。
「私はユリウス様をお慕いしておりました。目的は、ユリウス様との結婚。噂で外堀を埋めてしまえば、お互いに他の家との結婚話は来なくなり、『噂通り結婚しましょう』となるよう、動きました」
セレーナ嬢は声が震え、下を向いていたが、話し始めた。
「どう動いたんですか?」
ダリアスはまるで、面接官のようだ。
「……始めに、お金に困っている王宮の使用人がいることを知り、買収して噂を広めるよう指示しました。ちょうど晩餐会があったので、晩餐会で広まるのが手っ取り早いと考えたのです。でも」
「私が否定したから、思い通りに噂が広まらなかった」
「……おっしゃる通りです。次に、ユリウス様と仲の良いレオン殿下に近づきました」
レオンに?
「レオン殿下は学生のため、晩餐会には出席していない、そして、寄宿舎で暮らしているので、ダリアス様が否定されたことを知らない可能性に賭けたのです。噂も知らない様子でしたから、ユリウス様との婚約が決まったと伝えました。王族とはいえ、この程度の嘘では罪にはならないと考えました」
セレーナ嬢がレオンに近づいたことを、私は知らなかった。レオンはひと言もそのようなことを言っていなかったからだ。
「ユリウス様と仲の良いレオン殿下が言っていれば、信憑性が高いと思われると考えたのです。ユリウス様にバレてはいけませんから、レオン殿下には『友人として、ユリウス様には、ユリウス様がおっしゃるまで知らないフリをして欲しい』と伝えました。ユリウス様以外の方に、噂話を広めてくれる、そう考えていましたが」
「レオンはそういう性格ではない」
「はい。私の考えが甘かった……次に考えたのは、宝石商や仕立て屋で噂を広めることでした。アルベルト宝石商のご子息が同じ学園に通っているとは知らず、ユリウス様ご本人に噂のことがバレて今に至ります」
子爵と夫人は、娘の告白に、項垂れていた。
「話してくれてありがとうございます」
ダリアスだけが、この重い空気の中、ただ1人笑顔だった。
メッツァル子爵と、子爵夫人と、セレーナ嬢本人が謝罪に訪れた。
子爵と夫人が頭を下げるのを見て、セレーナ嬢も頭を下げた。
「セレーナは社交界への参加の禁止を1か月、明日からの外出禁止を1週間にいたします」
「……こちらとしては、家が決めた処分について口を出すつもりはないし、交流も取引も変えるつもりはない。頭を上げろ」
父がそう言うと、3人とも頭を上げた。
「寛大なお心、感謝いたします」
「今は私的な場だ。いつも通り敬語は必要ない」
父がそう言うと、子爵は首を振った。
ツェプラリト家とメッツァル家は古くから交流があり、父と子爵は旧知の仲。私的な場では、砕けた言葉を使っている。
「今日は謝罪をしに来たので」
「そうか……先ほど言った通り、関わり合いは変えない。それが、私たちツェプラリト家の決定事項だ」
「その代わり、1つ良いですか?」
そう言ったダリアスに注目が集まる。
「今回の件、セレーナさんの目的は何だったのか、その目的を果たすための行動全てを話していただけませんか?」
ダリアスは明るい声でそう言った。セレーナ嬢は、気まずそうに下を向いてしまった。そんなセレーナ嬢を見て、話を続けるダリアス。
「話していただけなければ、信用することが難しくなります。父の代はともかく、私が跡を継いだ時、取引を考え直すことになるかもしれません。それは、お互い困るでしょう」
一見優しい笑顔を貼り付けたような表情と、脅しのような言葉。表情と言葉が合っていない。
子爵と夫人は、セレーナ嬢に言うように促す。追い詰められたセレーナ嬢は、言うしかない。
張り詰められた空気、部屋は静かである。
「私はユリウス様をお慕いしておりました。目的は、ユリウス様との結婚。噂で外堀を埋めてしまえば、お互いに他の家との結婚話は来なくなり、『噂通り結婚しましょう』となるよう、動きました」
セレーナ嬢は声が震え、下を向いていたが、話し始めた。
「どう動いたんですか?」
ダリアスはまるで、面接官のようだ。
「……始めに、お金に困っている王宮の使用人がいることを知り、買収して噂を広めるよう指示しました。ちょうど晩餐会があったので、晩餐会で広まるのが手っ取り早いと考えたのです。でも」
「私が否定したから、思い通りに噂が広まらなかった」
「……おっしゃる通りです。次に、ユリウス様と仲の良いレオン殿下に近づきました」
レオンに?
「レオン殿下は学生のため、晩餐会には出席していない、そして、寄宿舎で暮らしているので、ダリアス様が否定されたことを知らない可能性に賭けたのです。噂も知らない様子でしたから、ユリウス様との婚約が決まったと伝えました。王族とはいえ、この程度の嘘では罪にはならないと考えました」
セレーナ嬢がレオンに近づいたことを、私は知らなかった。レオンはひと言もそのようなことを言っていなかったからだ。
「ユリウス様と仲の良いレオン殿下が言っていれば、信憑性が高いと思われると考えたのです。ユリウス様にバレてはいけませんから、レオン殿下には『友人として、ユリウス様には、ユリウス様がおっしゃるまで知らないフリをして欲しい』と伝えました。ユリウス様以外の方に、噂話を広めてくれる、そう考えていましたが」
「レオンはそういう性格ではない」
「はい。私の考えが甘かった……次に考えたのは、宝石商や仕立て屋で噂を広めることでした。アルベルト宝石商のご子息が同じ学園に通っているとは知らず、ユリウス様ご本人に噂のことがバレて今に至ります」
子爵と夫人は、娘の告白に、項垂れていた。
「話してくれてありがとうございます」
ダリアスだけが、この重い空気の中、ただ1人笑顔だった。
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