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14.兄がなんとかしてやるから
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「家は私が継ぐ。お前は次男だ。レオン殿下も、王位継承権があるとはいえ、上に2人の王子がいる。2人とも、優秀で健康だ。きっとレオン殿下は国王にはならない。どうにでもなる」
ダリアスは事実を言っている。
弟の私に、言い聞かせるような言い方だった。
「私は……お前に後悔して欲しくない。私が、後悔しないために動いたように、お前にも、後悔しないために……自分のために動いて欲しい……」
「兄さん……」
「想いを告げても良いんじゃないか……? もしもお前が告げるのなら……兄がなんとかしてやるから」
兄は、心から私を思って、そう言ってくれている。『なんとかしてやる』という言葉は、家のしがらみや決まりのことを言っているのだろう。そしてきっと、ツェプラリト家のことだけではなく、王家のことも含まれている。
優秀なダリアスとはいえ、きっと難しい。それを分かった上で言ってくれている。
兄がここまで言ってくれている。なんて心強い味方なんだろう。
だが、きっと私は……レオンに想いを告げることは……できない。
「ありがたいよ……ありがたいけど……」
私は、ダリアスの顔が見れずに目線を下に向けた。
想いを告げたとして、拒まれたら?
そもそも、居なくはないかもしれないが、同性愛はこの国の貴族で聞いたことがない。
好意は時に、加害となる。好きだと伝えて、気持ち悪いと思われてしまったら? 公式な場はともかく、私的な場で話せなくなるのか?
そう考えると、想いを告げずに、このままの方が良いのかもしれない。
それに……
レオンが女性とベタベタしている場面がふと頭をよぎる。私は、女性ではない。かといって、もし魔法があって、女性になれると言われても、私はきっとならない。
レオンは私を好きにならないし、私はレオンを好きになる資格がない。それは、私たちが、男同士だから……。
「……ユリウス」
兄はきっと、今、私が考えていることも、見抜いているのだろう。
カッカッカッカッカというヒヅメの音と共に、ガラガラガラという車輪の音が聞こえる。馬車が近づいてきている音だ。馬車によって、その音は若干異なる。
この、近づいてきている音は……。
「レオンが来た」
「え?」
2人で、音のする方を見ると、やはり、いつもレオンが利用している馬車だった。王族は紋章があしらわれた馬車に乗るが、それは公式な場だけ。普段使いする馬車は、王族が乗っているとバレないよう、一般的な貴族が使うような馬車だ。
馬車が、私たちから少し離れた場所に止まり、レオンが出てきた。
ダリアスは身体をレオンの方に向けた。さきほどまでの雰囲気を微塵も感じさせない笑顔だった。
「ごきげんよう、レオン殿下」
「顔を合わせるのは久方ぶりだな、ダリアス……兄弟揃って、屋敷の前で何しているんだ?」
レオンは「フッ」と目を細めて笑った。久しぶりに、このように笑うレオンを見た。その顔は、女性と一緒にいる時の笑顔とは、違って見えた気がした。
ダリアスは事実を言っている。
弟の私に、言い聞かせるような言い方だった。
「私は……お前に後悔して欲しくない。私が、後悔しないために動いたように、お前にも、後悔しないために……自分のために動いて欲しい……」
「兄さん……」
「想いを告げても良いんじゃないか……? もしもお前が告げるのなら……兄がなんとかしてやるから」
兄は、心から私を思って、そう言ってくれている。『なんとかしてやる』という言葉は、家のしがらみや決まりのことを言っているのだろう。そしてきっと、ツェプラリト家のことだけではなく、王家のことも含まれている。
優秀なダリアスとはいえ、きっと難しい。それを分かった上で言ってくれている。
兄がここまで言ってくれている。なんて心強い味方なんだろう。
だが、きっと私は……レオンに想いを告げることは……できない。
「ありがたいよ……ありがたいけど……」
私は、ダリアスの顔が見れずに目線を下に向けた。
想いを告げたとして、拒まれたら?
そもそも、居なくはないかもしれないが、同性愛はこの国の貴族で聞いたことがない。
好意は時に、加害となる。好きだと伝えて、気持ち悪いと思われてしまったら? 公式な場はともかく、私的な場で話せなくなるのか?
そう考えると、想いを告げずに、このままの方が良いのかもしれない。
それに……
レオンが女性とベタベタしている場面がふと頭をよぎる。私は、女性ではない。かといって、もし魔法があって、女性になれると言われても、私はきっとならない。
レオンは私を好きにならないし、私はレオンを好きになる資格がない。それは、私たちが、男同士だから……。
「……ユリウス」
兄はきっと、今、私が考えていることも、見抜いているのだろう。
カッカッカッカッカというヒヅメの音と共に、ガラガラガラという車輪の音が聞こえる。馬車が近づいてきている音だ。馬車によって、その音は若干異なる。
この、近づいてきている音は……。
「レオンが来た」
「え?」
2人で、音のする方を見ると、やはり、いつもレオンが利用している馬車だった。王族は紋章があしらわれた馬車に乗るが、それは公式な場だけ。普段使いする馬車は、王族が乗っているとバレないよう、一般的な貴族が使うような馬車だ。
馬車が、私たちから少し離れた場所に止まり、レオンが出てきた。
ダリアスは身体をレオンの方に向けた。さきほどまでの雰囲気を微塵も感じさせない笑顔だった。
「ごきげんよう、レオン殿下」
「顔を合わせるのは久方ぶりだな、ダリアス……兄弟揃って、屋敷の前で何しているんだ?」
レオンは「フッ」と目を細めて笑った。久しぶりに、このように笑うレオンを見た。その顔は、女性と一緒にいる時の笑顔とは、違って見えた気がした。
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