伯爵家次男は、女遊びの激しい(?)幼なじみ王子のことがずっと好き

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15.事実の説明

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 レオンを私の部屋に招き入れた。私が入れた茶をレオンが飲む。以前、ジルが買ってきてくれたものだ。

「香ばしくて美味いな、これ」
「ああ……ジルが買ってきてくれたんだ」
「さすがだな」

 レオンは部屋のドア付近に立っているジルにチラッと目線をやる。

「恐れ入ります。ユリウス様の腕があってこその味でございます」
「たしかに、そうだな」
「……あ、そうだ、ユリウス様」

 ジルの『あ、そうだ、ユリウス様』という声は、なんだか、わざとらしい。何を考えている?

「レオン殿下に大事な話があるのですよね? 私、部屋を出ますから、用があればお申し付けください。では」

 そう言ったかと思うと、バタンとドアが閉まる音と共に、ジルは姿を消した。
 まったく……ジルの数少ない欠点の1つは、気を効かせる時に、時折、わざとらしいところだ。

「大事な話?」
「ああ……聞いてくれるか?」
「もちろんだ」

 レオンは、持っていたティーカップを置いて、私の目を見た。その目は真っ直ぐで、不覚にも心臓がドキリと鳴る。瞳の奥の感情は、分からなかった。それが、自分がレオンの視線に緊張しているからなのか、レオンの感情が色々と混ざり合っているからなのか……それさえ分からない。

 そうだ、何も緊張することはない。何も気持ちを伝えるわけでなく、セレーナ嬢がついた嘘をはらすだけ。

「セレーナ・メッツァルとの婚約話……あれは、セレーナ嬢がでっち上げた、嘘だ」

 レオンの眉がピクリと動く。

「……嘘?」
「ああ……私とセレーナ・メッツァルは婚約していないし、そんな話も出ていない。順を追って説明する」

 それから私は、シオンから話を聞いて知ったこと、今日メッツァル家が謝罪に来たこと、その場でセレーナ嬢がどのように行動したのか知ったいうことを説明した。レオンは、話を聞いている途中から肘をつき、自分の手元を見つめていた。

「……そうか。大変だったな」
「大したことない。それよりも、巻き込んでしまって、すまなかった」

 私と仲が良いということで、セレーナ嬢がレオンに近づいた。レオンを巻き込んだのは、私のせいでもある。

「……セレーナ・メッツァルに話を聞いてから、ずっと思っていた。ユリウスにとって私は、そんな大事なことも言わないような間柄なのかと……だが、嘘だった………正直、ホッとしているというのが、本音だ」

 レオンはそう言うと、ティーカップを手に取り、茶を飲み、笑った。

「今思えば、変な話だよな。ユリウスから聞かずに何故、セレーナ嬢から話を聞く? 婚約話が内密なものだったならば、セレーナ嬢も、私に話をしないはずだ」
「たしかに……辻褄が合っていないな」
「だが、そんなことも思いもしなかった。それほどに心に余裕がなかったのだな……」

 レオンは目を伏せて笑った。
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