伯爵家次男は、女遊びの激しい(?)幼なじみ王子のことがずっと好き

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18.優しい

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「それじゃあ、またね、殿下」
「ああ」

 2人のうちの1人、女子生徒がそう言って立ち、私に会釈をして、私の横を通り、教室から出て行った。今出て行った女子生徒は、レオンとベタベタする女子生徒の中で、1番、レオンと一緒にいる、ルルという名の女子生徒だ。たしか、ムーガ男爵家の一人娘だ。

 いつも、こうやって、誰もいない教室で、女子生徒と過ごしているのか……?

「私の行動を咎めなくなったのは、心境の変化か?」
「…………どうなんだろうな」
 
 この一週間、レオンが女性といるところを見ないようにしていたからか、息がしづらい。モヤモヤした気持ちのまま自分の机へ歩き、中を見ると、思っていた通り、シオンに頼まれたパンフレットが入っていた。パンフレットを手に取ると、視線を感じる。その視線は、紛れもなくレオンのものだ。

「まあ、私がどんな行動をしようと、ユリウスには関係ないからな」
「…………」

 レオンが私に近づいて来ていることは、見ていなくても、気配で分かった。手に取ったパンフレットを、机の上に置いた。

「むしろ、今までよく私のことを思って注意してくれたよ。皆、諦めてしまっ」
「私は!」

 私が声を張り上げると、レオンは話を途中でやめた。レオンの顔を見ると、目を見開き、驚いていた。それもそうだ。私は普段、声を荒げたりしない。今の私は、冷静さを失っている。

「私は、そんなに優しい人間ではない」
「ユリウスは優しいだろう。私のためを思って、行動を最後まで咎めたのは君だ」

 レオンは、私をなだめるように優しい声色でそう言った。だが、今の私には、逆効果らしい。

「それはレオンのためじゃない。私のためだ……」

 手を伸ばせば、すぐに触れられる位置にレオンはいる。私はレオンの胸ぐらを両手で掴んだ。

「私が! レオンが女性といるところを見たくないだけだ」
「…………!」

 レオンの目を見て、我に返った。今まで、心の中にしまっていた想いが、言葉として出た。
 ふと、シオンが言っていた言葉を思い出す。

『幼なじみがああなるのは、俺がユリウスでも嫌だね』

 そうだ、今ならまだ間に合う。誤魔化せる。私は、レオンの胸ぐらを掴んでいた手をパッと離した。
 嫉妬心からくるものではなく、幼なじみとして、見たくない。そう言えば良いと口を開くと、レオンが先に言葉を発した。

「自暴自棄になっていた」
「え?」
「私が何故、2か月ほど前から変わったか、前に聞いてきただろう?」

 レオンは目を伏せ、そう言った。レオンが自暴自棄……。ジルの予想通りだった。だが、やはり分からない。自暴自棄とは、何かに失望して、自分を粗末に扱うことだ。一体、何に失望したというのか。
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