伯爵家次男は、女遊びの激しい(?)幼なじみ王子のことがずっと好き

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19.言って良かった

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「セレーナ嬢から、ユリウスとの婚約が決まったと聞かされて、胸が張り裂ける想いだった。いずれ、こういう時がくると、昔から分かっていたはずなのに、いざとなると……想像していたよりもずっと苦しかった。王子である自分の立場のことなど、どうでも良くなった……結局、婚約話は、セレーナ嬢の嘘だったがな……」

 そう言って、自嘲気味に笑った。
 衝撃だった。レオンが自暴自棄になったのは、私の婚約話を聞いたから? 

「私が、セレーナ嬢と婚約したと聞いたから……?」
「ああ……たとえ相手がセレーナ嬢以外の女性でもな……」

 それは、私が結婚するのを見たくないということだろうか。
 そんなの、まるで……私がレオンに向ける想いを、レオンも私に向けて持っているような……

「お前が、誰かの伴侶となるのが、耐えきれなかった」

 私は、期待してしまっている。レオンも私と同じ想いを持っていることを……
 それに気がついた時、じわじわと、自分の顔が熱くなっていくのを感じた。自分の口元を、右手で覆った。指先から、顔の熱を感じた。やはり、いつもよりも熱い。
 期待と同時に、疑問が浮かんだ。冷えた思いも湧き上がってくる。

「それなら……セレーナ嬢の嘘だと分かった後も、女性と一緒にいたのは何故だ?」

 レオンから目を逸らして言った。私の声は震えていた。
 私がセレーナ嬢と婚約したから自暴自棄になって、女性とベタベタし始めた。それならば、婚約話がセレーナ嬢の嘘だと分かったのに、何故、やめなかった? 女性といることの喜びでも感じて、味を占めてしまったのか?

「頼まれ事を遂行していたんだ。あとは、何というか……流れ、というか、そうせざるを得なかったというか……」
「なんだよそれ……お前は、頼まれたら、何でもするのか? 知らなかったな」

 皮肉を込めてそう言った。

「まあ、自暴自棄にでもなっていなければ、そんな頼み、聞いていなかったのだがな……」

 レオンの声は掠れていた。まるで、行動を後悔しているような……そんな声に聞こえた。私がそうであって欲しいと思っているから、そう聞こえるだけなのかもしれない。

「……私の頼みも聞いてくれるか?」
 
 レオンの顔を見ると、レオンもこちらを向いていて、目が合った。

「女性と話すなとは言わない。コミュニケーションは大事だからな……ただ、この2ヶ月のような関わり合いは、やめてくれ。嫉妬で、どうにかなってしまいそうで……私は、もう見たくないんだ……レオンのことが好きだから……」

 発した言葉を、無かったことにはできない。時間を戻すこともできない。そう分かっていても、言わずにはいられなかった。不思議と後悔はしていない。目を見開いて、顔を赤くしているレオンを見られただけでも、言って良かったと思っている。


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