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21.私とレオン②
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父が城に用がある時は、必ずついて行って、父を待っている間にレオンと遊ぶ。そんなことが当たり前になった。
そして数年後、レオンから、城には来るなと言われた。城には面倒ごとが多いからと、私の屋敷にレオンが遊びに来るようになった。場所は変わっても、レオンと過ごすのは楽しかった。
一人称が、『ボク』や『オレ』から『私』に変わっても、成長するに連れてレオンの表情が分かりにくくなっても、それは変わらなかった。学園に入学した頃、レオンの顔に疲れが見えるようになった。それもそうだ。慣れない学園生活に加えて、難易度が高くなるレッスン。そして慣れない寄宿舎での生活。レオンはそんな時でも、時間を見つけては、私の屋敷に遊びに来る。
「寄宿舎や城で休んだ方がいいんじゃないか? 顔色が良くない」
「教育係は厳しくて、一緒の部屋どころか、一緒の建物にいるだけで息がつまる。だから、ユリウスの部屋にいた方が休めるんだ」
そう言って、レオンは譲らなかった。
私は、レオンの疲れをなんとかしてやりたかった。何か良い方法はないかと、従者のジルに相談した。
「そうですね……ならば、お茶はどうでしょうか?」
「お茶?」
「ええ。お茶は薬のように、効能があるのです。しかも、薬は病気でないと飲めませんが、お茶はその必要はありません。私は正直、詳しくはありませんが、効能が疲労回復のお茶も、きっとあるでしょう」
「それだ。お茶を調べよう。屋敷にはそういう本ないだろうから、図書館、かな?」
「それよりも、茶葉を売っているような店で店主に聞いた方が、良い情報が得られるかもしれません」
「そうだな、そうしよう」
それから私はすぐにジルを連れて、店に行った。店主に、美味しいお茶の入れ方を聞くと、店主は貴族の子供がそう言ったことに驚いた顔をしたが、丁寧に教えてくれた。
初めて入れたお茶は、店主が入れたものと違って、香りがしなかった。何度も何度も練習に付き合ってくれた店主には、今も感謝している。
疲労回復に良いと勧められたハーブティーを買って、屋敷で何度も練習した。お茶は使用人たちの水分補給に使われた。その甲斐あって、茶を入れるのが上手になった。
レオンに初めて茶を入れた日、レオンに、私が茶を入れたと言うと、驚いて、でも、嬉しそうな顔をしていたことを、よく覚えている。私はそれが嬉しくて、いつのまにか、茶が趣味になっていた。
レオンのことを、友情ではなく、恋情で好きだと自覚したのは、それから時間は掛からなかった。
レオンが、珍しく同級生と談笑していた時、楽しそうに笑うレオンに、私以外に笑いかけて欲しくないと思った。そんなことを思った自分に驚いたと同時に、これは独占欲なのだと気がついた。話を聞いてみると、共通の友人である私の話題で盛り上がっていることが分かって、嬉しく思った。
ああ……これは、持ってはいけない想いなのだと悟ったと同時に、胸の奥底にしまって、死ぬまで口にしないと誓った。
そして数年後、レオンから、城には来るなと言われた。城には面倒ごとが多いからと、私の屋敷にレオンが遊びに来るようになった。場所は変わっても、レオンと過ごすのは楽しかった。
一人称が、『ボク』や『オレ』から『私』に変わっても、成長するに連れてレオンの表情が分かりにくくなっても、それは変わらなかった。学園に入学した頃、レオンの顔に疲れが見えるようになった。それもそうだ。慣れない学園生活に加えて、難易度が高くなるレッスン。そして慣れない寄宿舎での生活。レオンはそんな時でも、時間を見つけては、私の屋敷に遊びに来る。
「寄宿舎や城で休んだ方がいいんじゃないか? 顔色が良くない」
「教育係は厳しくて、一緒の部屋どころか、一緒の建物にいるだけで息がつまる。だから、ユリウスの部屋にいた方が休めるんだ」
そう言って、レオンは譲らなかった。
私は、レオンの疲れをなんとかしてやりたかった。何か良い方法はないかと、従者のジルに相談した。
「そうですね……ならば、お茶はどうでしょうか?」
「お茶?」
「ええ。お茶は薬のように、効能があるのです。しかも、薬は病気でないと飲めませんが、お茶はその必要はありません。私は正直、詳しくはありませんが、効能が疲労回復のお茶も、きっとあるでしょう」
「それだ。お茶を調べよう。屋敷にはそういう本ないだろうから、図書館、かな?」
「それよりも、茶葉を売っているような店で店主に聞いた方が、良い情報が得られるかもしれません」
「そうだな、そうしよう」
それから私はすぐにジルを連れて、店に行った。店主に、美味しいお茶の入れ方を聞くと、店主は貴族の子供がそう言ったことに驚いた顔をしたが、丁寧に教えてくれた。
初めて入れたお茶は、店主が入れたものと違って、香りがしなかった。何度も何度も練習に付き合ってくれた店主には、今も感謝している。
疲労回復に良いと勧められたハーブティーを買って、屋敷で何度も練習した。お茶は使用人たちの水分補給に使われた。その甲斐あって、茶を入れるのが上手になった。
レオンに初めて茶を入れた日、レオンに、私が茶を入れたと言うと、驚いて、でも、嬉しそうな顔をしていたことを、よく覚えている。私はそれが嬉しくて、いつのまにか、茶が趣味になっていた。
レオンのことを、友情ではなく、恋情で好きだと自覚したのは、それから時間は掛からなかった。
レオンが、珍しく同級生と談笑していた時、楽しそうに笑うレオンに、私以外に笑いかけて欲しくないと思った。そんなことを思った自分に驚いたと同時に、これは独占欲なのだと気がついた。話を聞いてみると、共通の友人である私の話題で盛り上がっていることが分かって、嬉しく思った。
ああ……これは、持ってはいけない想いなのだと悟ったと同時に、胸の奥底にしまって、死ぬまで口にしないと誓った。
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