伯爵家次男は、女遊びの激しい(?)幼なじみ王子のことがずっと好き

メグエム

文字の大きさ
24 / 47

24.頼み

しおりを挟む
「そうして、女好き王子の出来上がりってことか」
「そうだ」

 レオンがなぜ、女性と距離が近くなったのか、分かり、なんとなく、らしいな、と思った。人のために行動できる、それがレオンの魅力の一つだ。ただ、女性と距離が近くなったのは、私が原因だということで、なんともまあ、複雑な気持ちだ。いつものレオンならば、もっと良い方法を提案したはずだ。

「で? 無事に終わったってことは、結婚話を無かったことにできたのか?」
「ああ……それに、ブリュー・アトレージの悪事の証拠を、突き止めることができたらしい……近々、廃業に追い込まれ、資産も無くなる。結婚話はもう、絶対にない。ルル・ムーガがダメでも他の令嬢に……ということもなくなっただろう。さっきは、その報告を受けていた」
「そうか」

 それは良かったが、ベタベタとするよりも、一緒に突き止めた方が早く解決できたのでは? という思いもしなくはない。それに、私に言ってくれても良かったじゃないか、とも思ったが、レオンは、私が婚約話を報告してこないと思っていた。言わないのも無理はない。仕方ない。

「……もう、どうでも良いと思っていたから、くっついてくる他の女子生徒をそのままにした。良かったと思う点と、良くなかったと思う点がある」
「なんだ?」
「良かった点は、私が1人の女性に夢中になっているということにはならなかったこと。今思えば、王宮の中にルル・ムーガを良く思う者はいなかっただろう。それが、私が色々な女性と距離が近かったおかげで、評判が悪くなるのは、私だけで済む。ルル・ムーガは、私に遊ばれた1人ということになった」
「……良くなかった点は?」
「結果的に、ユリウスの婚約話は嘘だった。それならば、思考停止させずに、もっと良い方法を考えることができたかもしれない。私が怖がらずに、自分からお前に、話は本当かと聞いていれば良かった。無駄に自分の評判を下げるだけになってしまった」

 レオンも私と同じことを考えたのか。私も、セレーナ嬢との婚約話を早く知っていれば……と思わずにはいられない。

「まあ、性的な行為をしていないという証明は王族にはできるが……それ以外には、ユリウスにしか証明できない。」

 ん?

「何故、王族と、私にしか証明できないんだ?」
「……それは、学びの場で話すことではない……屋敷に行った時にでも、話すよ」
「そうか」

 とても気になるが、話してくれるのは確定しているため、急がず、その時に聞こうと思った。
 レオンは、教室にある時計にチラリと目線をやる。

「そろそろ行かないとな……」

 レオンは、消えそうな声でそう言った。私と同じく、離れるのが名残惜しいと思ってくれているのが伝わる。

「ここでわかれる前にユリウス、私の頼みを聞いてくれるか?」

 レオンは、私の頬に右手を添えた。肌触りの良いシルクの手袋の質感が伝わってくる。吸い込まれそうな瞳と視線が交わる。求められていることが、聞かなくても伝わってくる。こんなにも近い距離は、幼なじみとはいえ、初めてだ。

「口付けてくれないか?」
「もちろんだ」

 私は、少し低い位置にあるレオンの唇を指でそっと触ってから口付けた。すぐに唇を離し、おでこをくっつけると、2人で笑い合った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

追放オメガ聖帝の幸せな結婚〜クールなスパダリ騎士に拾われて溺愛されるまで〜

あきたいぬ大好き(深凪雪花)
BL
ノルディーナ王国の聖帝サーナは、教皇のありもしない嘘のせいで聖宮から追放されてしまう。 行く当てがないサーナが国境に向かうと、そこで隣国ルミルカ王国の騎士であるムーシュと出会う。ムーシュから諸事情により偽装結婚を提案されて、サーナは期限付きの偽装結婚ならばよいと承諾し、一時的に保護してもらうことに。 異国暮らしに慣れていく中で、やがてムーシュから溺愛されるようになり……?

夫には好きな相手がいるようです。愛されない僕は針と糸で未来を縫い直します。

伊織
BL
裕福な呉服屋の三男・桐生千尋(きりゅう ちひろ)は、行商人の家の次男・相馬誠一(そうま せいいち)と結婚した。 子どもの頃に憧れていた相手との結婚だったけれど、誠一はほとんど笑わず、冷たい態度ばかり。 ある日、千尋は誠一宛てに届いた女性からの恋文を見つけてしまう。 ――自分はただ、家からの援助目当てで選ばれただけなのか? 失望と涙の中で、千尋は気づく。 「誠一に頼らず、自分の力で生きてみたい」 針と糸を手に、幼い頃から得意だった裁縫を活かして、少しずつ自分の居場所を築き始める。 やがて町の人々に必要とされ、笑顔を取り戻していく千尋。 そんな千尋を見て、誠一の心もまた揺れ始めて――。 涙から始まる、すれ違い夫婦の再生と恋の物語。 ※本作は明治時代初期~中期をイメージしていますが、BL作品としての物語性を重視し、史実とは異なる設定や表現があります。 ※誤字脱字などお気づきの点があるかもしれませんが、温かい目で読んでいただければ嬉しいです。

契約結婚だけど大好きです!

泉あけの
BL
子爵令息のイヴ・ランヌは伯爵ベルナール・オルレイアンに恋をしている。 そんな中、子爵である父からオルレイアン伯爵から求婚書が届いていると言われた。 片思いをしていたイヴは憧れのベルナール様が求婚をしてくれたと大喜び。 しかしこの結婚は両家の利害が一致した契約結婚だった。 イヴは恋心が暴走してベルナール様に迷惑がかからないようにと距離を取ることに決めた。 ...... 「俺と一緒に散歩に行かないか、綺麗な花が庭園に咲いているんだ」  彼はそう言って僕に手を差し伸べてくれた。 「すみません。僕はこれから用事があるので」  本当はベルナール様の手を取ってしまいたい。でも我慢しなくちゃ。この想いに蓋をしなくては。  この結婚は契約だ。僕がどんなに彼を好きでも僕達が通じ合うことはないのだから。 ※小説家になろうにも掲載しております ※直接的な表現ではありませんが、「初夜」という単語がたびたび登場します

姉の代わりに舞踏会に行ったら呪われた第三王子の初恋を奪ってしまった

近井とお
BL
幼少期、ユーリは姉によく似ていることから彼女の代わりに社交の場に出席することが多々あった。ある舞踏会の夜、中庭に姿を眩ませたユーリに誰かがぶつかってくる。その正体は呪われていると噂の第三王子であったが、ぶつかられたことに腹を立てたユーリは強気に接し、ダンスを踊った後、彼を捜している気配を感じてからかいながら立ち去る。 それから数年後、第三王子は初恋の令嬢を探し始めたが、それはユーリに違いなく……。 初恋の相手を捜す第三王子×軽口令息

【完結】好きな人の待ち受け画像は僕ではありませんでした

鳥居之イチ
BL
———————————————————— 受:久遠 酵汰《くおん こうた》 攻:金城 桜花《かねしろ おうか》 ———————————————————— あることがきっかけで好きな人である金城の待ち受け画像を見てしまった久遠。 その待ち受け画像は久遠ではなく、クラスの別の男子でした。 上北学園高等学校では、今SNSを中心に広がっているお呪いがある。 それは消しゴムに好きな人の前を書いて、使い切ると両想いになれるというお呪いの現代版。 お呪いのルールはたったの二つ。  ■待ち受けを好きな人の写真にして3ヶ月間好きな人にそのことをバレてはいけないこと。  ■待ち受けにする写真は自分しか持っていない写真であること。 つまりそれは、金城は久遠ではなく、そのクラスの別の男子のことが好きであることを意味していた。 久遠は落ち込むも、金城のためにできることを考えた結果、 金城が金城の待ち受けと付き合えるように、協力を持ちかけることになるが… ———————————————————— この作品は他サイトでも投稿しております。

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

婚活アプリのテスト版に登録させられたら何故か自社の社長としかマッチング出来ないのですが?

こたま
BL
オメガ男子の小島史(ふみ)は、ネットを中心に展開している中小広告代理店の経理部に勤めている。会社が国の補助金が入る婚活アプリ開発に関わる事になった。テスト版には、自社の未婚で番のいないアルファとオメガはもちろん未婚のベータも必ず登録して動作確認をするようにと業務命令が下された。史が仕方なく登録すると社長の辰巳皇成(こうせい)からマッチング希望が…

処理中です...