25 / 47
25、ユリウスと私
しおりを挟む
私がユリウスと初めて出会ったのは、5歳の時だった。
私はその頃、兄たちが友人を城に招いているのを見て、自分にもそんな存在が欲しいと思っていた。それが大人の誰かに伝わったのか、同じ年の男の子が来ることになった。
庭にいた、王宮の従者といるユリウスを見て、心が高鳴った。仲良くなりたくて、敬語で話すのはやめろと言ったことを覚えている。私のことを、殿下や様を付けずに呼ぶのは、家族以外にユリウスだけだ。それは、私がユリウスにしか、そう呼べと言っていないからである。
初めて出会った時から、私にとってユリウスは、特別だった。ユリウスと結婚したいと、法律に疎い時から思っていた。今、この国には、男同士の結婚は定められていない。
ユリウスと結婚するために法律を変えるには、国王になることが絶対条件。それからあらゆる手続きをして、承認を得て、法律を変える。だが、その第一関門は、私には超えられない。優秀で、健康的な兄が2人もいるのだ。それに、国王になったとしても、伴侶は女性だ。直系の血を途絶えさせないために。
はじめのうちは、ユリウスが、伯爵についてきて、伯爵が用事を済ませている間、一緒に遊んでいた。だが、それを良く思わない王宮の人間がいた。
『2人とも兄より劣っているから、落ちこぼれ同士で気が合うのだろう』
私が言われるのは、どうでも良かった。ユリウスを馬鹿にされたのが許せなかった。兄のダリアスが目立っているだけで、ユリウスも優秀な人間だ。ユリウスのことを知りもせず、そんなことを言う叔父が許せなかった。
叔父の他にも、そんなことを言うような人間が、王宮内にいる。そう考えた私は、ユリウスに、そのようなことを聞かせたくなかった。だから、私がユリウスの屋敷に行くことにした。会わない選択肢なんかなかったから。そして私は、より一層レッスンに力を入れた。私のせいで、仲の良いユリウスまで下げて言われるのは嫌だった。結果、レッスンの時間が短縮されるほどになり、ユリウスの屋敷に行く機会を増やすことができた。
現状では、法律ゆえに、想いを形にすることなんてできない。だから、ユリウスへの想いに蓋をしていた。見ないように、閉じ込めた。閉じ込めたと思っていた。
「このハーブティーは、私が入れたんだ。味が良くなかったら、遠慮なく言ってくれ」
「ユリウスが?」
「ああ。これは疲労回復の効能があるらしい」
学園に入学した頃、慣れないことばかりで、たしかに私は疲れていた。私は、あまり表情に出ない方だ。それなのに、いとも簡単にユリウスは見破ってくる。幼なじみで、付き合いが長いからだろうか。いや、付き合いの長い従者や家族には、見破られたことはない。ユリウスだけだ。私のことを見てくれるのは。
ああ……やはり、私はユリウスが好きだと、心の底から実感した。
見ないように閉じ込めた想いは、閉じ込めておけるほど、小さくはなかった。想っているくらいなら良いかと、開き直ったのは、その頃だった。
この想いを口に出す日がくるなんて、思ってもいなかった。
私はその頃、兄たちが友人を城に招いているのを見て、自分にもそんな存在が欲しいと思っていた。それが大人の誰かに伝わったのか、同じ年の男の子が来ることになった。
庭にいた、王宮の従者といるユリウスを見て、心が高鳴った。仲良くなりたくて、敬語で話すのはやめろと言ったことを覚えている。私のことを、殿下や様を付けずに呼ぶのは、家族以外にユリウスだけだ。それは、私がユリウスにしか、そう呼べと言っていないからである。
初めて出会った時から、私にとってユリウスは、特別だった。ユリウスと結婚したいと、法律に疎い時から思っていた。今、この国には、男同士の結婚は定められていない。
ユリウスと結婚するために法律を変えるには、国王になることが絶対条件。それからあらゆる手続きをして、承認を得て、法律を変える。だが、その第一関門は、私には超えられない。優秀で、健康的な兄が2人もいるのだ。それに、国王になったとしても、伴侶は女性だ。直系の血を途絶えさせないために。
はじめのうちは、ユリウスが、伯爵についてきて、伯爵が用事を済ませている間、一緒に遊んでいた。だが、それを良く思わない王宮の人間がいた。
『2人とも兄より劣っているから、落ちこぼれ同士で気が合うのだろう』
私が言われるのは、どうでも良かった。ユリウスを馬鹿にされたのが許せなかった。兄のダリアスが目立っているだけで、ユリウスも優秀な人間だ。ユリウスのことを知りもせず、そんなことを言う叔父が許せなかった。
叔父の他にも、そんなことを言うような人間が、王宮内にいる。そう考えた私は、ユリウスに、そのようなことを聞かせたくなかった。だから、私がユリウスの屋敷に行くことにした。会わない選択肢なんかなかったから。そして私は、より一層レッスンに力を入れた。私のせいで、仲の良いユリウスまで下げて言われるのは嫌だった。結果、レッスンの時間が短縮されるほどになり、ユリウスの屋敷に行く機会を増やすことができた。
現状では、法律ゆえに、想いを形にすることなんてできない。だから、ユリウスへの想いに蓋をしていた。見ないように、閉じ込めた。閉じ込めたと思っていた。
「このハーブティーは、私が入れたんだ。味が良くなかったら、遠慮なく言ってくれ」
「ユリウスが?」
「ああ。これは疲労回復の効能があるらしい」
学園に入学した頃、慣れないことばかりで、たしかに私は疲れていた。私は、あまり表情に出ない方だ。それなのに、いとも簡単にユリウスは見破ってくる。幼なじみで、付き合いが長いからだろうか。いや、付き合いの長い従者や家族には、見破られたことはない。ユリウスだけだ。私のことを見てくれるのは。
ああ……やはり、私はユリウスが好きだと、心の底から実感した。
見ないように閉じ込めた想いは、閉じ込めておけるほど、小さくはなかった。想っているくらいなら良いかと、開き直ったのは、その頃だった。
この想いを口に出す日がくるなんて、思ってもいなかった。
103
あなたにおすすめの小説
君の恋人
risashy
BL
朝賀千尋(あさか ちひろ)は一番の親友である茅野怜(かやの れい)に片思いをしていた。
伝えるつもりもなかった気持ちを思い余って告げてしまった朝賀。
もう終わりだ、友達でさえいられない、と思っていたのに、茅野は「付き合おう」と答えてくれて——。
不器用な二人がすれ違いながら心を通わせていくお話。
【8話完結】僕の大切な人はBLゲームの主人公でした。〜モブは主人公の幸せのためなら、この恋も諦められます〜
キノア9g
BL
転生先は、まさかのBLゲームの世界。
モブであるリセルは、恋を自覚した瞬間、幼馴染・セスがこの世界の“主人公”だと気づいてしまう。
このまま一緒にいても、いつか彼は攻略対象に惹かれていく運命——それでも、今だけは傍にいたい。
「諦める覚悟をしたのに、どうしてこんなにも君が愛おしいんだろう」
恋の終わりを知っているモブと、想いを自覚していく主人公。
甘さと切なさが胸を締めつける、すれ違いから始まる運命の物語。
全8話。
失恋したと思ってたのになぜか失恋相手にプロポーズされた
胡桃めめこ
BL
俺が片思いしていた幼なじみ、セオドアが結婚するらしい。
失恋には新しい恋で解決!有休をとってハッテン場に行ったエレンは、隣に座ったランスロットに酒を飲みながら事情を全て話していた。すると、エレンの片思い相手であり、失恋相手でもあるセオドアがやってきて……?
「俺たち付き合ってたないだろ」
「……本気で言ってるのか?」
不器用すぎてアプローチしても気づかれなかった攻め×叶わない恋を諦めようと他の男抱かれようとした受け
※受けが酔っ払ってるシーンではひらがな表記や子供のような発言をします
【朗報】無能と蔑まれ追放された俺、実は「聖獣に愛されすぎる体質」でした ~最強の騎士団長が毎日モフモフを口実に抱きついてくるんだが?~
たら昆布
BL
鉄血の重執着ストーカー騎士団長×無自覚もふもふ(聖獣使い)な元雑用係
ルピナスの花束
キザキ ケイ
BL
王宮の片隅に立つ図書塔。そこに勤める司書のハロルドは、変わった能力を持っていることを隠して生活していた。
ある日、片想いをしていた騎士ルーファスから呼び出され、告白を受ける。本来なら嬉しいはずの出来事だが、ハロルドは能力によって「ルーファスが罰ゲームで自分に告白してきた」ということを知ってしまう。
想う相手に嘘の告白をされたことへの意趣返しとして、了承の返事をしたハロルドは、なぜかルーファスと本物の恋人同士になってしまい───。
色欲も時代には勝てないらしい
ちき
BL
前世で恋人だった運命の人に、今世では捨てられてしまった祐樹。前世で愛してくれた人は彼以外誰もいないのだから、今後僕を愛してくれる人は現れないだろう。その事を裏付けるように、その後付き合う人はみんな酷い人ばかりで…………。
攻めがクズでノンケです。
攻め・受け共に、以外とのキスや行為を仄めかす表現があります。
元クズ後溺愛×前世の記憶持ち
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる