伯爵家次男は、女遊びの激しい(?)幼なじみ王子のことがずっと好き

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29.王族が手袋をする理由

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「……王族が、学園を入学した頃から、手袋をするのは知っているな?」
「ああ。王族が素手になるのは、裸と同義だから……」

 ふと、兄のダリアスが言っていたことを思い出した。王族が手袋をしている理由……それを問えば、きっとレオンは顔を赤くするだろうと言っていたことを。

「それで、王族の素手が、裸と同義の理由だが……」

 レオンは自分の右につけている手袋を、左手で掴み、引っ張る。どうやら、今から私は、約6年ぶりにレオンの素手を見ることになるみたいだ。

「一応言っておくが、私は今から手袋を取る。それは、ユリウスには裸を見せても良いと思っているからだ」
 
 レオンは顔を赤らめながら、そう言った。レオンの言葉の真意に気がつき、想いを告げた時のような、キスをした時のような、でもそれとは違うようなドキドキ、興奮が身体を巡る。

「ああ」

 手袋が取れ、右手の肌が露出する。レオンは、手の甲を私に見せた。

「これが、私が誰とも性的な関係ではないことの証拠だ。結構見せるのは恥ずかしいが…… 」

 レオンの手の甲にあるマークを見て、私は目を見開く。予想外のマークだったからだ。手の甲には、丸みの帯びた赤い実が2つ並んでおり、それを緑色の軸が結んでいる。

「なんというか……可愛らしいマークだな」
「……」
「あ……そのマークって、チェリーボーイってことか?」
「……そうだ」

 思わず笑ってしまいそうになったが、レオンの表情を見て、それはおさまった。レオンは、自分の秘密を打ち明けているからか、恥ずかしそうにしていた。勇気を出して、『ユリウスになら』と打ち明けてくれているのだ。笑うのは失礼だ。笑ってしまいそうになってしまったのが申し訳ない。

「ハンスがキララを愛し始めたのが13歳の頃らしい。だからか、その頃にこのマークが手の甲に」
「……なるほど。そんな可愛らしく、プライベートを暴露するようなマーク、隠すに決まっているな。王族の威厳のために。たしかに、裸と同義だ」

 チェリーのマークによって、チェリーボーイということを表している。安直だが分かりやすい。きっとハンスは、キララに信じてもらえずに、焦って、自分自身に魔法をかけたのだろう。そうでなければ、ここまで単純なものには、きっとならない。

「ところで、女性だとどうなるんだ?」
「女性だと、マーク自体出ないらしい。ハンスの影響だから、男にしか出ないのだろう」
「それじゃあ、マークのことがバレないように、女性も手袋をしているんだな。たしかに、ハンスと血の繋がりのない王妃なども手袋を付けているものな」
「ああ……」

 ダリアスが言っていた意味が分かった。可愛いものにあまり縁がなさそうなレオンに、こんなに可愛らしいマークがついている。それが恥ずかしくて赤くなるということだろう。
 チェリーボーイなことは恥ずかしいことじゃないからな。むしろ、結婚まで、したことのない人の方が多いだろう。私もしたことないし。
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