伯爵家次男は、女遊びの激しい(?)幼なじみ王子のことがずっと好き

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37.秘密の部屋

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「開けるか」
「そうだな」

 どうせならと、2人で戸を開けることにした。顔を見合わせ、頷く。戸を開けると、王のおっしゃった通り、部屋があった。見たところ、ベッドやテーブル、棚等、ひと通りの物が置いてあるようだ。棚は資料室側と同じく、ドアを開いたような位置にある。部屋を出る時は、この棚を撫でるのだろう。

「閉まってしまうから、入ろうか」
「ああ」
 
 私はレオンに続いて、部屋に入り、戸を閉める。部屋の内装は、レオンの瞳の色のような深い青色の絨毯に、レオンの髪色のようなはちみつ色の壁である。

「まるで、レオンをイメージしたような部屋の色だな」
「それを言うなら、王族の色だろう。直系は皆、金髪に青い瞳なのだから」
「フッ……たしかに」

 レオンの言う通り、ハンスの血を引く、直系の王族は皆、金髪に青い瞳だ。だが、私にとって、それはレオンの色なのである。金と青の組み合わせの配色を見ると、レオンが隣にいるかどうかに関わらず、レオンの顔が浮かぶ。それはきっと、1番身近な王族がレオンだからということはもちろん、私の心のスペースの多くを、レオンが占めているから。

「……たしかに、我々王族か、ハンスをイメージした配色なのかもしれないが、このはちみつ色の壁は私にとってはユリウスの瞳の色に思う」

 レオンは私の顔を見て、「フッ」と優しく笑ってそう言った。私のことを愛おしいと思って言っているのが、目に見えて分かる表情だった。
 何故私は、あの日まで、レオンが私のことを想ってくれていることに気が付かなかったのだろう。こんなにも、分かりやすい瞳をしているのに。
 私はレオンの顔に手を伸ばす。レオンの左目側のこめかみに親指を置き、そのまま手全体をレオンの顔に添える。近い距離で、深い海を閉じ込めたような瞳と目が合う。

「ならば、やはり、この深い海のような絨毯は、私にとってはレオンの瞳の色だ」

 あの日まで気が付かなかったのは、レオンが私への好意を隠すのが上手だったから。もしくは、そんなことあるはずがないと、私が蓋をして見ていなかったからなのかもしれない。
 そうだとしても、瞳の奥にあった感情を読み取り、紡ぎ合わせることで、レオンの私への想いに気がつくことができたのかもしれない。
 レオンの想いに早く気がつくことで、私はウジウジと悩まずに、行動ができたのかもしれない。


 だが、そんなことを今思っても仕方がない。


 私はレオンの瞳をジッと見る。何かが動く音がする。おそらく、ドアのようになっている棚が、もとの位置に戻っているのだろう。だが、そんなことも構わず、私たちはお互いをジッと見る。思えば、こんなにも長く見つめ合うのは、もしかしたら初めてなのかもしれない。

「ユリウス」
「ん?」

 自分の声に内心驚いた。私は、こんなにも優しい声が出せるのかと。それは、レオンも同じだったようで、レオンの顔が、みるみるうちに赤くなる。

「……口付けてはくれないのか?」
「……して欲しい?」
「ああ……してくれ」
「仰せのままに」

 私はそっと、レオンに口付けをした。それと同時に、棚が動き終わった音がした。
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