伯爵家次男は、女遊びの激しい(?)幼なじみ王子のことがずっと好き

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43.身から出たサビ

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「私、納得いきませんの。私の裸を見たではありませんか。正妻とは言いませんから、責任を取って頂かないと」
「君が勝手に脱ぎ始めたのだろう。大胆にも学園で。それに、君の裸は見ていない。ルル・ムーガが、私と君の間に慌てて入ってくれたからな」

 レオンが女子生徒に、絡まれているのを目撃し、いつものレオンならば上手くかわすはずなのに珍しいと思い、隠れながら近づくと、こんな会話が聞こえてきた。レオンの目の前で服を脱いだ女子生徒がいたことも、それをルル嬢が助けたことも、レオンから聞いている。
 その女子生徒が、まさか、ダリアスの元婚約者候補、リリカの妹だとは思っていなかった。

 『どうでも良い』と、近づいてくる女性をそのままにしていたレオンにも非はあるが、リリカの妹、リーシアの行動は、たとえ貴族ではなかったとしても、非常識な行いだ。しかも相手は王子殿下。レオンは何もしなかったそうだが、何かしらの処分を受けても仕方がない事をしたのだ。

「私は、側妻どころか、正妻も迎える気はない。王もそれで良いと言っている。結婚したいのなら、他を当たれ」
「っ……そんなぁ」

 レオンはその場を去ろうとしたが、リーシア嬢がそれを阻む。泣きながらレオンの腕を掴んでいるその姿は、まるで、幼子のようだ。

「離せ」

 リーシア嬢はたじろいだ。それもそうだ。幼なじみの私ですら、レオンの、こんなにも怒りのこもった声は、聞いた事がなかった。

「まあまあ、レオン。かつて、近づいてきた女性をそのままにしておいた非はあるのだから、事情くらいは聞いた方が良いのではないか? 何かあるから、そこまですがるのだろう」

 私の登場に、レオンは驚いているようだった。
 兄のこととはいえ、こちら側から縁談を断ったため、力になる必要があると、私は判断した。

「聞いていたのか」
「気になってな……どうやら私は、盗み聞くのが得意みたいだ。」

 私は、掴まれているレオンの腕に目を向ける。

「とりあえず、その手を離してもらおうか。話はそれからだ」

 思っていたより、低い声が出た。自覚がなかったが、他人が私のレオンに触れることを、私は怒っているみたいだ。
 リーシア嬢は、怯みながらも、手を離した。

「さ、レオン殿下と結婚したい理由はなんだ? 好意があるからというわけではないのだろう?」
「……」

 既成事実を作ってまで妻になろうとしているだなんて、ルル嬢のように、何か問題を抱えているのだろう。

「姉が、公爵と婚約するのです」
「それはめでたいじゃないか」

 公爵と結婚するならば、金の心配ではないな。

「だから、私は、姉の上をいきたい」
「「はあ?」」
「姉を見返したいんです! ダリアス様との婚約話が無くなって、ざまぁって思ってたのに。全部全部、姉ばっかり……だから、殿下なら、公爵の上だし、触れても何も注意してこなかったし、良いかなって」

 まさか、そんな理由で王子に迫っていたとは。

「ハァ……自分をかえりみると良い。姉と何が違うのか、どこが姉の良いところなのか、姉への復讐心みたいなものだけで行動しようとするな」
「それに、姉を見返したいのならば、他の方法があるだろう」
「うっ……」

 正論を言われたリーシア嬢は、バツが悪そうに、去って行った。

「身から出たサビとはいえ。災難だったな」
「申し訳ない」

 レオンは、申し訳なさそうにシュンとなっていて、小さく見える。私はそんなレオンを抱きしめた。

「私があの頃、きちんと対処していれば……ユリウスにも、嫌な思いをさせた……」
「大丈夫だから、な?」

 私は、レオンの背中をポンポンと撫でた。
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