44 / 47
44.卒業
しおりを挟む
時は早いもので、卒業式当日。式が無事に終わり、卒業パーティーに出席した私たち。同級生や教師、来賓の方々と挨拶を交わし、軽く雑談する。本当は、今すぐにでも、レオンの手を引き、パーティーを抜け出したい。だが、私は貴族として、レオンは王族として、パーティーの出席者と関わる必要がある。
少し休憩しようと、壁際に移動する。教師と話すレオンの姿を遠目に見ながら、ドリンクを飲む。砂糖のような甘味が口に広がる。普段、私はお茶か水しか飲まないため、こういう場で飲むドリンクは、とても甘く感じるのである。
「ユリウス、お疲れ」
「シオン」
同じく、ドリンクを片手に持っているシオンが、私の隣に並んだ。
「やっぱり、レオン殿下は王族だから、人一倍、人が集まって来るな。忙しそうだ」
「……シオンも、忙しそうだったじゃないか。営業は上手くいったのか?」
「まあな。数ヶ月待ちになりそうな勢いだ」
「さすがだな」
今までのシオンの行動の積み重ねの結果だろう。宝石商はいくつもあるが、ぜひアルベルトでと言う者が多いのは、こういった手腕のおかげなのだろう。
「そうだ、お前に頼まれていたもの、完成したぞ」
「本当か!?」
「ああ。このパーティーが終わったら、店に取りに来れば良いさ」
「ありがとう。そうさせてもらうよ」
予定変更だ。パーティーが終わったら、レオンを誘って、あの部屋へ行くつもりだったが、店に行くことにした。もともと、私が勝手にそう考えていただけで、レオンと約束していたわけでは無かったし、レオンにも予定があるだろう。卒業を祝いに来る客も、王族は多そうだ。
パーティーがお開きになり、ゾロゾロと出席者たちが帰って行く。この人混みが落ち着いてから移動しようと考え、出入り口と離れた壁際にいると、レオンが近づいてきた。パーティーがお開きになって初めて、解放されたらしい。やはり、王族と話したい者は多いのだ。これは、国王が慕われている証拠でもある。
「お疲れ様、レオン」
「ああ、ありがとう。本心では、ユリウスと過ごしたいのだが、来客の対応をしなければならなくてな……私の卒業祝いに来るから、行かないと」
「主役はいないとな」
私はレオンの耳元に顔を寄せ、レオンにしか聞こえない声で囁く。
「また、あの部屋で会おう」
少し休憩しようと、壁際に移動する。教師と話すレオンの姿を遠目に見ながら、ドリンクを飲む。砂糖のような甘味が口に広がる。普段、私はお茶か水しか飲まないため、こういう場で飲むドリンクは、とても甘く感じるのである。
「ユリウス、お疲れ」
「シオン」
同じく、ドリンクを片手に持っているシオンが、私の隣に並んだ。
「やっぱり、レオン殿下は王族だから、人一倍、人が集まって来るな。忙しそうだ」
「……シオンも、忙しそうだったじゃないか。営業は上手くいったのか?」
「まあな。数ヶ月待ちになりそうな勢いだ」
「さすがだな」
今までのシオンの行動の積み重ねの結果だろう。宝石商はいくつもあるが、ぜひアルベルトでと言う者が多いのは、こういった手腕のおかげなのだろう。
「そうだ、お前に頼まれていたもの、完成したぞ」
「本当か!?」
「ああ。このパーティーが終わったら、店に取りに来れば良いさ」
「ありがとう。そうさせてもらうよ」
予定変更だ。パーティーが終わったら、レオンを誘って、あの部屋へ行くつもりだったが、店に行くことにした。もともと、私が勝手にそう考えていただけで、レオンと約束していたわけでは無かったし、レオンにも予定があるだろう。卒業を祝いに来る客も、王族は多そうだ。
パーティーがお開きになり、ゾロゾロと出席者たちが帰って行く。この人混みが落ち着いてから移動しようと考え、出入り口と離れた壁際にいると、レオンが近づいてきた。パーティーがお開きになって初めて、解放されたらしい。やはり、王族と話したい者は多いのだ。これは、国王が慕われている証拠でもある。
「お疲れ様、レオン」
「ああ、ありがとう。本心では、ユリウスと過ごしたいのだが、来客の対応をしなければならなくてな……私の卒業祝いに来るから、行かないと」
「主役はいないとな」
私はレオンの耳元に顔を寄せ、レオンにしか聞こえない声で囁く。
「また、あの部屋で会おう」
52
あなたにおすすめの小説
君の恋人
risashy
BL
朝賀千尋(あさか ちひろ)は一番の親友である茅野怜(かやの れい)に片思いをしていた。
伝えるつもりもなかった気持ちを思い余って告げてしまった朝賀。
もう終わりだ、友達でさえいられない、と思っていたのに、茅野は「付き合おう」と答えてくれて——。
不器用な二人がすれ違いながら心を通わせていくお話。
【8話完結】僕の大切な人はBLゲームの主人公でした。〜モブは主人公の幸せのためなら、この恋も諦められます〜
キノア9g
BL
転生先は、まさかのBLゲームの世界。
モブであるリセルは、恋を自覚した瞬間、幼馴染・セスがこの世界の“主人公”だと気づいてしまう。
このまま一緒にいても、いつか彼は攻略対象に惹かれていく運命——それでも、今だけは傍にいたい。
「諦める覚悟をしたのに、どうしてこんなにも君が愛おしいんだろう」
恋の終わりを知っているモブと、想いを自覚していく主人公。
甘さと切なさが胸を締めつける、すれ違いから始まる運命の物語。
全8話。
失恋したと思ってたのになぜか失恋相手にプロポーズされた
胡桃めめこ
BL
俺が片思いしていた幼なじみ、セオドアが結婚するらしい。
失恋には新しい恋で解決!有休をとってハッテン場に行ったエレンは、隣に座ったランスロットに酒を飲みながら事情を全て話していた。すると、エレンの片思い相手であり、失恋相手でもあるセオドアがやってきて……?
「俺たち付き合ってたないだろ」
「……本気で言ってるのか?」
不器用すぎてアプローチしても気づかれなかった攻め×叶わない恋を諦めようと他の男抱かれようとした受け
※受けが酔っ払ってるシーンではひらがな表記や子供のような発言をします
【朗報】無能と蔑まれ追放された俺、実は「聖獣に愛されすぎる体質」でした ~最強の騎士団長が毎日モフモフを口実に抱きついてくるんだが?~
たら昆布
BL
鉄血の重執着ストーカー騎士団長×無自覚もふもふ(聖獣使い)な元雑用係
ルピナスの花束
キザキ ケイ
BL
王宮の片隅に立つ図書塔。そこに勤める司書のハロルドは、変わった能力を持っていることを隠して生活していた。
ある日、片想いをしていた騎士ルーファスから呼び出され、告白を受ける。本来なら嬉しいはずの出来事だが、ハロルドは能力によって「ルーファスが罰ゲームで自分に告白してきた」ということを知ってしまう。
想う相手に嘘の告白をされたことへの意趣返しとして、了承の返事をしたハロルドは、なぜかルーファスと本物の恋人同士になってしまい───。
色欲も時代には勝てないらしい
ちき
BL
前世で恋人だった運命の人に、今世では捨てられてしまった祐樹。前世で愛してくれた人は彼以外誰もいないのだから、今後僕を愛してくれる人は現れないだろう。その事を裏付けるように、その後付き合う人はみんな酷い人ばかりで…………。
攻めがクズでノンケです。
攻め・受け共に、以外とのキスや行為を仄めかす表現があります。
元クズ後溺愛×前世の記憶持ち
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる