32 / 34
32.セドリックの心
しおりを挟む
王宮の北にある塔の貴族専用の牢は入り口の鍵と窓の鉄格子を除けばかなり豪華な作りになっている。
柔らかいベッドとソファやコーヒーテーブル。壁際には書き物机と座り心地の良さそうな椅子が置かれ、床にはしっかりとした厚みのある絨毯が敷かれていた。
普段は最上階に前国王が、その下の階に前王妃とグレイソンの閉じ込められている牢があるが今日はセドリックの希望で前王妃を一時的に前国王の牢に移動させた。
セドリックが父と母へ伝えたい言葉を兄には聞かせたくないと言った為の配慮だった。
厳重な鍵が開きセドリックが護衛を従えて牢に入ると前国王と前王妃がソファに並んで座らされその周りを衛兵が取り囲んでいた。
「父上、母上。セドリックです。お久しぶりと言うべきでしょうか?」
「お前がセドリック?」
「はい、一歳の時からお会いしていないので初めましてと言うべきかもしれませんね」
「お前、その格好は・・まさか・・お前の仕業か! ここから出せ! こんなところに閉じ込めおって、許さんぞ!」
立ち上がりかけた前国王の肩を衛兵の一人が押さえこみ別の衛兵が腕を掴んだ。
「セドリックね、母を助けて頂戴! 帰って来れたのね。ああ、良かった。助けに来てくれたのでしょう!? 本当に酷い目にあったのよ!」
涙を浮かべた前王妃は両手を胸の前で合わせて身を乗り出した。
「私がここに来たのはお二人を助ける為ではありません」
「息子なら親を助けるべきだろうが! ナーガルザリアの奴等はその程度のことも教えなかったと申すか。とにかくここから出せ! これからは余が其方を導いてやろうぞ」
「そうよ、わたくしがお腹を痛めて産んであげたのだもの。本当は助けに来たのでしょう? 早く、もう我慢できないわ」
「父上、母上。兄上に謝ってください。私がここに来たのはそれをお願いする為です」
「グレイソン? 彼奴の事などどうでも良い! さっさとここから出すのじゃ!!」
「お願いよ、セドリックはわたくしの一番大切な子供よ。母を助けなさい!」
「私はナーガルザリアに送られて貴方達の影響を受けずに育った事を心から感謝しています。兄上は貴方達の行いを見ながら育たなければ別の生き方があったのではないかと思うのです。私は心正しき方達の元で育つことができた事を心から感謝しています。人質としてナーガルザリアに送られたのが兄上だったなら、私が兄上のようになっていたのだろうかと・・。
どうか最後に親として兄上に心からの謝罪をお願いします」
「馬鹿な事を申すな! アレは元々出来損ないじゃった。彼奴がウォルデンの娘を手駒にしておけばこのような事にはならなかった。全ては彼奴の責である!」
「そうよ、折角の縁をアレが自分で壊したのです。グレイソンがあれ程愚かでなければわたくしはこのような目にはあっておらなんだわ!」
目を吊り上げて見苦しく言い訳をする二人にはセドリックの言葉は伝わらない。
「貴方達がここにおられるのはご自身が多くの罪を重ねた故。兄上もご自身の行いの取らなければなりませんが、貴方達には親として子を導くべき責任があった。どうか兄上に間違った考えを教えてしまったと謝罪してあげてください」
「・・良かろう。其方が余を助けるならば彼奴に一言申してやるくらいはしてやっても良い」
セドリックは父の顔をまっすぐに見つめて首を横に振った。
「セドリック、余の言葉をよく聞くのじゃ。此度の事の真相はな、ウォルデンが金を出すのが嫌になっただけなのじゃ。どこの国にも問題はある。それを大袈裟に騒ぎ立て金をむしり取ろうとしておるのじゃ。国に仕える臣下として不敬・不遜極まりない行為だと余が皆に教えてやらねばならん」
「ウォルデンは娘可愛さのあまり気が触れてしまったのでしょう。臣下としてあまりにも情けない。ここにいるべきなのはウォルデンとあの小娘だわ」
これ以上は平行線を辿るばかりだとセドリックは話を切り上げることにした。
「父上、母上。失礼致します」
セドリックが二人に背を向けるとソファから立ち上がり暴れて暴言を吐きはじめた。
二人の罵声が響く中、牢の鍵がガチャリと閉まる音が小さく聞こえた。
セドリックは自室に戻り着替えを済ませてソファに座り込んだ。暗く澱んだ瞳でメイドが準備した紅茶を見つめた。
ドアをノックする音が響きメイドが『ライリー様がいらっしゃいました』と知らせてきた。
「いいよ、入っていただいて」
ライリーがセドリックの正面に腰掛けメイドが新しい紅茶を入れ直し退出するとライリーが口を開いた。
「予想通りの顔をしているね」
「はい。予想通りの結果だったので」
「それでも言いたかったんだろ?」
「必要な事でしたから」
「セドリックが罪悪感を持つ必要はカケラもないと私達は思うが・・気持ちはわからんでもない。わかってないのはオリバーくらいだな」
「オリバー様にはあのまま真っ直ぐでいて頂きたいです。お陰で今までどれほど心を救われたか。王弟殿下とライリー様達ご兄弟の皆様に私は心を救われました。私に人として少しでも正しいところがあるとしたら皆様のお陰です」
「同じ条件でも結果が同じとは限らない。父上はわざとセドリックを放置していたって知ってるか?」
「えっ? いえ、そうなのですか?」
「父上はエマーソンに、セドリックの好きにさせろと指示を出していたんだ。やりたいと言えばやらせれば良いし、あとはほっとけば良いって。寝食さえ与えれば後は放置で構わんってな」
「人質ですし、そんなものなのでは?」
「だがお前は自分から字を覚えたい。本が読めるようになりたいって言ったんだろ?」
「多分暇だったからだと」
「教えもしないのに挨拶をして感謝の言葉を言うようになった。普通の子供は親に教えられて『ありがとう』って言うようになるんだぞ。初めて会った頃のオリバーを思い出してみろ、子供と言うより野獣みたいだっただろ? あいつは末っ子で周りに甘やかされてたから気に入らないと物を投げるし暴れるし」
昔のオリバーを思い出したセドリックは漸くうっすらと笑顔を浮かべた。
「確かに、吃驚しました。でも、楽しかったです。ライリー様が仰りたい事が少しわかってきました」
「なら少し休憩するといい。晩餐会ではオリバーがまた周りを彷徨くはずだからな」
「はい、そうします。昨夜は緊張して眠れなかったので」
柔らかいベッドとソファやコーヒーテーブル。壁際には書き物机と座り心地の良さそうな椅子が置かれ、床にはしっかりとした厚みのある絨毯が敷かれていた。
普段は最上階に前国王が、その下の階に前王妃とグレイソンの閉じ込められている牢があるが今日はセドリックの希望で前王妃を一時的に前国王の牢に移動させた。
セドリックが父と母へ伝えたい言葉を兄には聞かせたくないと言った為の配慮だった。
厳重な鍵が開きセドリックが護衛を従えて牢に入ると前国王と前王妃がソファに並んで座らされその周りを衛兵が取り囲んでいた。
「父上、母上。セドリックです。お久しぶりと言うべきでしょうか?」
「お前がセドリック?」
「はい、一歳の時からお会いしていないので初めましてと言うべきかもしれませんね」
「お前、その格好は・・まさか・・お前の仕業か! ここから出せ! こんなところに閉じ込めおって、許さんぞ!」
立ち上がりかけた前国王の肩を衛兵の一人が押さえこみ別の衛兵が腕を掴んだ。
「セドリックね、母を助けて頂戴! 帰って来れたのね。ああ、良かった。助けに来てくれたのでしょう!? 本当に酷い目にあったのよ!」
涙を浮かべた前王妃は両手を胸の前で合わせて身を乗り出した。
「私がここに来たのはお二人を助ける為ではありません」
「息子なら親を助けるべきだろうが! ナーガルザリアの奴等はその程度のことも教えなかったと申すか。とにかくここから出せ! これからは余が其方を導いてやろうぞ」
「そうよ、わたくしがお腹を痛めて産んであげたのだもの。本当は助けに来たのでしょう? 早く、もう我慢できないわ」
「父上、母上。兄上に謝ってください。私がここに来たのはそれをお願いする為です」
「グレイソン? 彼奴の事などどうでも良い! さっさとここから出すのじゃ!!」
「お願いよ、セドリックはわたくしの一番大切な子供よ。母を助けなさい!」
「私はナーガルザリアに送られて貴方達の影響を受けずに育った事を心から感謝しています。兄上は貴方達の行いを見ながら育たなければ別の生き方があったのではないかと思うのです。私は心正しき方達の元で育つことができた事を心から感謝しています。人質としてナーガルザリアに送られたのが兄上だったなら、私が兄上のようになっていたのだろうかと・・。
どうか最後に親として兄上に心からの謝罪をお願いします」
「馬鹿な事を申すな! アレは元々出来損ないじゃった。彼奴がウォルデンの娘を手駒にしておけばこのような事にはならなかった。全ては彼奴の責である!」
「そうよ、折角の縁をアレが自分で壊したのです。グレイソンがあれ程愚かでなければわたくしはこのような目にはあっておらなんだわ!」
目を吊り上げて見苦しく言い訳をする二人にはセドリックの言葉は伝わらない。
「貴方達がここにおられるのはご自身が多くの罪を重ねた故。兄上もご自身の行いの取らなければなりませんが、貴方達には親として子を導くべき責任があった。どうか兄上に間違った考えを教えてしまったと謝罪してあげてください」
「・・良かろう。其方が余を助けるならば彼奴に一言申してやるくらいはしてやっても良い」
セドリックは父の顔をまっすぐに見つめて首を横に振った。
「セドリック、余の言葉をよく聞くのじゃ。此度の事の真相はな、ウォルデンが金を出すのが嫌になっただけなのじゃ。どこの国にも問題はある。それを大袈裟に騒ぎ立て金をむしり取ろうとしておるのじゃ。国に仕える臣下として不敬・不遜極まりない行為だと余が皆に教えてやらねばならん」
「ウォルデンは娘可愛さのあまり気が触れてしまったのでしょう。臣下としてあまりにも情けない。ここにいるべきなのはウォルデンとあの小娘だわ」
これ以上は平行線を辿るばかりだとセドリックは話を切り上げることにした。
「父上、母上。失礼致します」
セドリックが二人に背を向けるとソファから立ち上がり暴れて暴言を吐きはじめた。
二人の罵声が響く中、牢の鍵がガチャリと閉まる音が小さく聞こえた。
セドリックは自室に戻り着替えを済ませてソファに座り込んだ。暗く澱んだ瞳でメイドが準備した紅茶を見つめた。
ドアをノックする音が響きメイドが『ライリー様がいらっしゃいました』と知らせてきた。
「いいよ、入っていただいて」
ライリーがセドリックの正面に腰掛けメイドが新しい紅茶を入れ直し退出するとライリーが口を開いた。
「予想通りの顔をしているね」
「はい。予想通りの結果だったので」
「それでも言いたかったんだろ?」
「必要な事でしたから」
「セドリックが罪悪感を持つ必要はカケラもないと私達は思うが・・気持ちはわからんでもない。わかってないのはオリバーくらいだな」
「オリバー様にはあのまま真っ直ぐでいて頂きたいです。お陰で今までどれほど心を救われたか。王弟殿下とライリー様達ご兄弟の皆様に私は心を救われました。私に人として少しでも正しいところがあるとしたら皆様のお陰です」
「同じ条件でも結果が同じとは限らない。父上はわざとセドリックを放置していたって知ってるか?」
「えっ? いえ、そうなのですか?」
「父上はエマーソンに、セドリックの好きにさせろと指示を出していたんだ。やりたいと言えばやらせれば良いし、あとはほっとけば良いって。寝食さえ与えれば後は放置で構わんってな」
「人質ですし、そんなものなのでは?」
「だがお前は自分から字を覚えたい。本が読めるようになりたいって言ったんだろ?」
「多分暇だったからだと」
「教えもしないのに挨拶をして感謝の言葉を言うようになった。普通の子供は親に教えられて『ありがとう』って言うようになるんだぞ。初めて会った頃のオリバーを思い出してみろ、子供と言うより野獣みたいだっただろ? あいつは末っ子で周りに甘やかされてたから気に入らないと物を投げるし暴れるし」
昔のオリバーを思い出したセドリックは漸くうっすらと笑顔を浮かべた。
「確かに、吃驚しました。でも、楽しかったです。ライリー様が仰りたい事が少しわかってきました」
「なら少し休憩するといい。晩餐会ではオリバーがまた周りを彷徨くはずだからな」
「はい、そうします。昨夜は緊張して眠れなかったので」
49
あなたにおすすめの小説
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
わざわざ証拠まで用意してくれたみたいなのですが、それ、私じゃないですよね?
ここあ
恋愛
「ヴァレリアン!この場をもって、宣言しようではないか!俺はお前と婚約破棄をさせていただく!」
ダンスパーティの途中、伯爵令嬢の私・ヴァレリアンは、侯爵家のオランジェレス様に婚約破棄を言い渡されてしまった。
一体どういう理由でなのかしらね?
あるいは、きちんと証拠もお揃いなのかしら。
そう思っていたヴァレリアンだが…。
※誤字脱字等あるかもしれません!
※設定はゆるふわです。
※題名やサブタイトルの言葉がそのまま出てくるとは限りません。
※現代の文明のようなものが混じっていますが、ファンタジーの物語なのでご了承ください。
政略結婚だからと諦めていましたが、離縁を決めさせていただきました
あおくん
恋愛
父が決めた結婚。
顔を会わせたこともない相手との結婚を言い渡された私は、反論することもせず政略結婚を受け入れた。
これから私の家となるディオダ侯爵で働く使用人たちとの関係も良好で、旦那様となる義両親ともいい関係を築けた私は今後上手くいくことを悟った。
だが婚姻後、初めての初夜で旦那様から言い渡されたのは「白い結婚」だった。
政略結婚だから最悪愛を求めることは考えてはいなかったけれど、旦那様がそのつもりなら私にも考えがあります。
どうか最後まで、その強気な態度を変えることがないことを、祈っておりますわ。
※いつものゆるふわ設定です。拙い文章がちりばめられています。
最後はハッピーエンドで終えます。
公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました
歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と
罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが
やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、
エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」
辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。
商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。
元夫が「戻ってこい」と泣きつくが——
「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
婚約破棄された宰相です。 正直、婚約者も宰相も辞めたかったので丁度よかったです
鍛高譚
恋愛
内容紹介
「婚約破棄だ! そして宰相もクビだ!」
王宮の舞踏会で突然そう宣言したのは、女性問題を繰り返す問題王太子ユリウス。
婚約者であり王国宰相でもあるレティシアは、静かに答えた。
「かしこまりました」
――正直、本当に辞めたかったので。
これまで王太子の女性問題の後始末、慰謝料交渉、教会対応、社交界の火消し……
すべて押し付けられていたレティシアは、婚約も宰相職もあっさり辞任。
そしてその瞬間――
王宮が止まった。
料理人が動かない。
書類が処理されない。
伝令がいない。
ついにはトイレの汚物回収まで止まり、王宮は大混乱。
さらに王太子の新たな女性問題が発覚し、教会は激怒。
噂は王都中に広がり、王宮は完全に統治不能に。
そしてついに――
教会・貴族・王家が下した決断は、
「王太子廃嫡」
そして。
「レティシア、女王即位」
婚約破棄して宰相をクビにした結果、
王宮を止めてしまった元王太子の末路とは――?
これは、婚約破棄された宰相が女王になるまでの
完全自業自得ざまぁ物語。
処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!
秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。
民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。
「おまえたちは許さない」
二度目の人生。
エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。
彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。
1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。
「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」
憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。
二人の偽りの婚約の行く末は……
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる