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14.膝をついたルーカス ざまぁ そのニ
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「だっ、だったら別にルーカスが継いでもいいって事でしょ。
ルーカス! しっかりしなさいよ、このままだとあたし侯爵夫人になれないじゃん」
真っ青になって膝をついたルーカスをジェシカが必死になって揺さぶっているが、ルーカスは頭を抱え小声でブツブツと呟いていた。
「違う、絶対そんなのあり得ない。兄上は修道士になって僕が侯爵になるんだから。
そっそれに子爵って何だよ」
「ルーカス、これ以上皆「やあ、今日は随分と変わったパーティーをやっている様だね」
エリオットの言葉を遮って雛壇横から声が響いて来た途端、喧々轟々と騒いでいた人達がピタリと黙り込んだ。
「リアム第二王子殿下?」
「隣国に留学中じゃないの?」
「王子様なの? かっこいいじゃん・・」
宰相と学園長は慌てて雛壇前まで走り出した。残りの男性達はボウ・アンド・スクレープを、女性達はカーテシーをし急展開していく状況に恐怖していた。
「殿下! 今日はこちらへお越しのご予定ではなかったと・・」
「会いたい人がいたので来てみたんだが、せっかくの記念パーティーが随分と変わった趣向になっている様だね」
「たっ大変申し訳ございません。まさかこの場でこのような事になるとは思いもせず」
呆然と事態を見ていた宰相と学園長は叱責を恐れ、リアムの声の冷たさにダラダラと汗を流し狼狽えている。
「ここ最近、婚約破棄に絡んだ小説が出回ってるとは聞いていたが、まさかあれを真似る愚か者が我が国にいるとは思わなかった。
陛下のお耳に届かない事を祈りたいね。酷く残念に思われるだろうから」
冷たい目でリアムに睨まれた学園長は、床に膝を突き土下座しそうな勢いで頭を下げた。
「教育が行き届かず大変申し訳ございません。直ぐに「とても残念なことではあるが、はじまってしまったからにはきちんと結末をつけなければいけないよ。
エリオットとリリアーナ、二人に任せて見学しても良いかな?
今後二度とこの様な愚かな行動に出る者がいない様、きっちりと決着をつけて欲しい」」
「リアム王子殿下、我が愚弟の愚かなる行為大変申し訳ありません。
また、寛大なるご配慮を頂きました事心より御礼申し上げます。
ルーカス、ここにお前の婚約破棄並びに新たな婚約に関する書類を準備して来た。サインしなさい」
床に座り込んだままのルーカスが、
「でも、侯爵になれないんだったら僕はどうなるの?」
「侯爵家有責の婚約破棄だ。分かっていると思うが慰謝料も発生する。エマーソン嬢と婚約、結婚後は二人とも平民となる」
「へっ平民なんて・・嫌だ。リリアーナ、僕が悪かった。勘違いしてたんだ、許してくれるだろ?」
「ルーカス様、婚約は破棄致します。今までのご自身の態度を思い出して下さい。
逆の立場なら許せると思われますか?」
ルーカスはガックリと肩を落とし震える手で書類にサインした。
みんなの目がジェシカに集中した。
「私はぁルーカスとは婚約しませんよぉ。
ルーカスは私を侯爵夫人にしてくれるって言ったんですもん。
だからぁ・・エリオット様となら婚約しても良いですけどぉ。
私の方がエリオット様に似合ってると思うし?」
「私には既に婚約者がいるし、シエナ以外と結婚するつもりはない」
ジェシカはルーカスから離れ、パタパタとリアムの元へ近付いていった。
「王子様これって酷くありません? 結婚詐欺って奴ですよね。ジェシカすっごい悲しいですぅ。王子様は優しいからジェシカの事慰めてくれますよね」
「断る。私も結婚相手は決めているのでね」
リアムの腕にしなだれかかろうとしたジェシカだったが、あっさりと振り払われてたたらを踏んでしまったが、
「えー、でもぉまだ婚約とかしてないんでしょぉ。だったらぁ、ジェシカと一緒にいたらいっぱい幸せにしてあげます。任せてくださいね」
ジェシカが、ルーカスからエリオットを経由した後リアムに方向転換するのを見て、相変わらずの節操のなさに呆れ返ったリリアーナが話しはじめた。
ルーカス! しっかりしなさいよ、このままだとあたし侯爵夫人になれないじゃん」
真っ青になって膝をついたルーカスをジェシカが必死になって揺さぶっているが、ルーカスは頭を抱え小声でブツブツと呟いていた。
「違う、絶対そんなのあり得ない。兄上は修道士になって僕が侯爵になるんだから。
そっそれに子爵って何だよ」
「ルーカス、これ以上皆「やあ、今日は随分と変わったパーティーをやっている様だね」
エリオットの言葉を遮って雛壇横から声が響いて来た途端、喧々轟々と騒いでいた人達がピタリと黙り込んだ。
「リアム第二王子殿下?」
「隣国に留学中じゃないの?」
「王子様なの? かっこいいじゃん・・」
宰相と学園長は慌てて雛壇前まで走り出した。残りの男性達はボウ・アンド・スクレープを、女性達はカーテシーをし急展開していく状況に恐怖していた。
「殿下! 今日はこちらへお越しのご予定ではなかったと・・」
「会いたい人がいたので来てみたんだが、せっかくの記念パーティーが随分と変わった趣向になっている様だね」
「たっ大変申し訳ございません。まさかこの場でこのような事になるとは思いもせず」
呆然と事態を見ていた宰相と学園長は叱責を恐れ、リアムの声の冷たさにダラダラと汗を流し狼狽えている。
「ここ最近、婚約破棄に絡んだ小説が出回ってるとは聞いていたが、まさかあれを真似る愚か者が我が国にいるとは思わなかった。
陛下のお耳に届かない事を祈りたいね。酷く残念に思われるだろうから」
冷たい目でリアムに睨まれた学園長は、床に膝を突き土下座しそうな勢いで頭を下げた。
「教育が行き届かず大変申し訳ございません。直ぐに「とても残念なことではあるが、はじまってしまったからにはきちんと結末をつけなければいけないよ。
エリオットとリリアーナ、二人に任せて見学しても良いかな?
今後二度とこの様な愚かな行動に出る者がいない様、きっちりと決着をつけて欲しい」」
「リアム王子殿下、我が愚弟の愚かなる行為大変申し訳ありません。
また、寛大なるご配慮を頂きました事心より御礼申し上げます。
ルーカス、ここにお前の婚約破棄並びに新たな婚約に関する書類を準備して来た。サインしなさい」
床に座り込んだままのルーカスが、
「でも、侯爵になれないんだったら僕はどうなるの?」
「侯爵家有責の婚約破棄だ。分かっていると思うが慰謝料も発生する。エマーソン嬢と婚約、結婚後は二人とも平民となる」
「へっ平民なんて・・嫌だ。リリアーナ、僕が悪かった。勘違いしてたんだ、許してくれるだろ?」
「ルーカス様、婚約は破棄致します。今までのご自身の態度を思い出して下さい。
逆の立場なら許せると思われますか?」
ルーカスはガックリと肩を落とし震える手で書類にサインした。
みんなの目がジェシカに集中した。
「私はぁルーカスとは婚約しませんよぉ。
ルーカスは私を侯爵夫人にしてくれるって言ったんですもん。
だからぁ・・エリオット様となら婚約しても良いですけどぉ。
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「えー、でもぉまだ婚約とかしてないんでしょぉ。だったらぁ、ジェシカと一緒にいたらいっぱい幸せにしてあげます。任せてくださいね」
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