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14.明日は学校に行く(遊ぶ)日なのに
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レオが途端に真顔になった。
「えーっと、お前が何を聞いているのかさっぱりわからんな」
ジョージアナに個人情報を渡すことは自分から処刑台にのぼるようなものだと学習しているレオは、仕事で敵と対峙した時よりも緊張した。
「洗いざらい吐いてもらおうかなーって。だってレオ兄様ったら鼻の下を伸ばしてすごーく楽しそうだもの」
(くそ、今日のこいつの顔はヤバい。獲物を見つけた猟犬みたいだ)
前回ジョシュアのこの顔を見た時は、
『口を割らないなら僕がドレスを着てるのはレオ兄様の希望だって学園で言いふらす』
と脅され実行された。
そのお陰でジョシュアが『あれは冗談だよ』と生徒達に言うまでレオナルドは弟に女装を強要する変態だと白い目で見られた。
「レオ兄様がそんなに嬉しそうな顔してるなんて気になって当然でしょー。どこで? 何があったの? さっさと吐いて楽になりましょうね」
ギラリとジョシュアの目が光り、レオの恐怖の時間がはじまった・・。
「これは却下。今回のコンセプトをもう一度思い返してみて」
ソフィーは設計士のフレディが提出してきた図面を突き返した。
「それほど裕福でない年配の方向け。老後や引退後を優雅に暮らす」
「その通り。お年寄りにはほんの数段が辛かったり危険だったりする。暑さや寒さも堪えるしちょっとした凸凹で転んだりする。フレディはお祖母様が一緒に住んでると言ってたけどすごく元気な方なんじゃない?」
「・・はい、婆ちゃんは我が家の中でも一番ってくらい元気で。どんなとこに住みたいか聞いてみたら今までより優雅な生活に憧れるって」
「元気な今考える優雅と将来を見据えた優雅は違うと思う。元気なうちは便利で洒落てて、揺れるレースのカーテンと香り高い紅茶の似合う家に住んでみたいって思うかもしれない。だけど先の人生を考えたら不安でいっぱいのはず。怪我をしたら? 病気になったら? そういう時にもただ安全で機能的なだけの家に住むのって寂しいと思う。それを解消した家が今回の狙いなの」
「もっかい勉強し直してきます」
「お祖母様に意見を聞く時聞き方を変えてみると良いかも。きっともっと詳しく教えてくれるんじゃないかしら。救貧院で話を聞くのもありだし」
「救貧院ですか? だってあそこに入る人達には家なんて買えないし、聞きに行ったら何言われるか」
「救貧院には貧窮者を対象とするもの以外に何らかの形で同じ雇用関係にあった人対象や寡婦対象の施設とかもあって、面白い話が聞けることがあるの。そういう所だと慈善団体ではなくてトラスト(信託団体)が維持してる」
「詳しいんですね」
「テラスハウスやアパートを手掛ける前に勉強の一環で色々行ってみたんだけど、内装や設備以外に使い勝手・不満・お気に入りの使い方・独自の工夫なんかも教えて貰えて勉強になったの」
「もう一回一から見直ししてみます」
「楽しみにしてる。老後と優雅を兼ね備えた家ってすごく難しいと思うけどフレディならきっと出来るわ」
フレディが設計書をかき集めて部屋を出て行くと入れ替わりにハンナが入ってきた。
「フレディ坊やはどう?」
「迷走中ってとこかな。頑張ってるけどね」
「まだ早いってこと? メイソン辺りと組ませた方が良くない?」
「この案件はうちでは珍しく時間の余裕があるからフレディの勉強に丁度いいと思う。最初から先輩と組むと早く仕事を覚えはするけど独創性がなくなっちゃうから」
少し変わり者のフレディは他人と歩調を合わせるのが苦手で独創的な物の見方をする。組織としてみれば使いにくいが、ソフィーの会社にはフレディのような一匹狼がかなりの数在籍していて独創的なアイデアを出し続けている。
「うちは個性的な家が売りだからね、フレディのようにちょっと人と違った発想をする人は大切なの」
「そうやって自分の休みを増やそうとしてるんでしょ?」
「えー、そんな事ないって。私のアイデアだけだと面白みがなくなってワンパターンになりかねないからね」
「そうそう、明日もこっちで働いてね」
ソフィーが机の端に避けておいたおやつを吟味していたハンナが『これ珍しいじゃん』と言いながら勝手に食べながらサラッと一つ目の爆弾を投下した。
「えーっ、明日は学校の日なのに」
「諦めな。とうとうジュードがやらかしやがったの。この後顔を出すよう言っといたからきっちり締め上げてよね。お陰でうちは大損だわ」
二つ目の爆弾投下。ジュードは第一設計部に格上げされたばかりのルーキー。
ソフィーの会社は新築や大規模修繕を担当する第一設計部とリフォーム・リノベーションを担当する第二設計部の他、実際に建築を担当する部署や資材の調達管理を行う部署など複数に分かれている。メイドとして契約したハンナは現在統括部長として経理・人事・総務などに目を光らせている。
件のジュードは第二設計部所属だったが第一設計部の部長ルイスの推薦で第一設計部に変わったばかりだった。
「何やらかしたの?」
不満げな顔のソフィーが胡桃入りのコンフェッティを手に持って口をもぐもぐさせているハンナに尋ねるとハンナが小指を立てた。
「マジか。損害はいくら?」
「最大で見積もったら新築一軒と慰謝料。それと風評被害かな」
「ジュードが設計に参加したのって・・はあー、グレイ男爵のタウンハウスじゃん」
「そう、そこの娘に手を出したのよー」
「まだ乗り込んで来てないってことは男爵は知らないって事?」
「男爵から手・・」
ハンナの言葉の途中でドアが強くノックされ問題のジュードがルイスと共に現れた。
「えーっと、お前が何を聞いているのかさっぱりわからんな」
ジョージアナに個人情報を渡すことは自分から処刑台にのぼるようなものだと学習しているレオは、仕事で敵と対峙した時よりも緊張した。
「洗いざらい吐いてもらおうかなーって。だってレオ兄様ったら鼻の下を伸ばしてすごーく楽しそうだもの」
(くそ、今日のこいつの顔はヤバい。獲物を見つけた猟犬みたいだ)
前回ジョシュアのこの顔を見た時は、
『口を割らないなら僕がドレスを着てるのはレオ兄様の希望だって学園で言いふらす』
と脅され実行された。
そのお陰でジョシュアが『あれは冗談だよ』と生徒達に言うまでレオナルドは弟に女装を強要する変態だと白い目で見られた。
「レオ兄様がそんなに嬉しそうな顔してるなんて気になって当然でしょー。どこで? 何があったの? さっさと吐いて楽になりましょうね」
ギラリとジョシュアの目が光り、レオの恐怖の時間がはじまった・・。
「これは却下。今回のコンセプトをもう一度思い返してみて」
ソフィーは設計士のフレディが提出してきた図面を突き返した。
「それほど裕福でない年配の方向け。老後や引退後を優雅に暮らす」
「その通り。お年寄りにはほんの数段が辛かったり危険だったりする。暑さや寒さも堪えるしちょっとした凸凹で転んだりする。フレディはお祖母様が一緒に住んでると言ってたけどすごく元気な方なんじゃない?」
「・・はい、婆ちゃんは我が家の中でも一番ってくらい元気で。どんなとこに住みたいか聞いてみたら今までより優雅な生活に憧れるって」
「元気な今考える優雅と将来を見据えた優雅は違うと思う。元気なうちは便利で洒落てて、揺れるレースのカーテンと香り高い紅茶の似合う家に住んでみたいって思うかもしれない。だけど先の人生を考えたら不安でいっぱいのはず。怪我をしたら? 病気になったら? そういう時にもただ安全で機能的なだけの家に住むのって寂しいと思う。それを解消した家が今回の狙いなの」
「もっかい勉強し直してきます」
「お祖母様に意見を聞く時聞き方を変えてみると良いかも。きっともっと詳しく教えてくれるんじゃないかしら。救貧院で話を聞くのもありだし」
「救貧院ですか? だってあそこに入る人達には家なんて買えないし、聞きに行ったら何言われるか」
「救貧院には貧窮者を対象とするもの以外に何らかの形で同じ雇用関係にあった人対象や寡婦対象の施設とかもあって、面白い話が聞けることがあるの。そういう所だと慈善団体ではなくてトラスト(信託団体)が維持してる」
「詳しいんですね」
「テラスハウスやアパートを手掛ける前に勉強の一環で色々行ってみたんだけど、内装や設備以外に使い勝手・不満・お気に入りの使い方・独自の工夫なんかも教えて貰えて勉強になったの」
「もう一回一から見直ししてみます」
「楽しみにしてる。老後と優雅を兼ね備えた家ってすごく難しいと思うけどフレディならきっと出来るわ」
フレディが設計書をかき集めて部屋を出て行くと入れ替わりにハンナが入ってきた。
「フレディ坊やはどう?」
「迷走中ってとこかな。頑張ってるけどね」
「まだ早いってこと? メイソン辺りと組ませた方が良くない?」
「この案件はうちでは珍しく時間の余裕があるからフレディの勉強に丁度いいと思う。最初から先輩と組むと早く仕事を覚えはするけど独創性がなくなっちゃうから」
少し変わり者のフレディは他人と歩調を合わせるのが苦手で独創的な物の見方をする。組織としてみれば使いにくいが、ソフィーの会社にはフレディのような一匹狼がかなりの数在籍していて独創的なアイデアを出し続けている。
「うちは個性的な家が売りだからね、フレディのようにちょっと人と違った発想をする人は大切なの」
「そうやって自分の休みを増やそうとしてるんでしょ?」
「えー、そんな事ないって。私のアイデアだけだと面白みがなくなってワンパターンになりかねないからね」
「そうそう、明日もこっちで働いてね」
ソフィーが机の端に避けておいたおやつを吟味していたハンナが『これ珍しいじゃん』と言いながら勝手に食べながらサラッと一つ目の爆弾を投下した。
「えーっ、明日は学校の日なのに」
「諦めな。とうとうジュードがやらかしやがったの。この後顔を出すよう言っといたからきっちり締め上げてよね。お陰でうちは大損だわ」
二つ目の爆弾投下。ジュードは第一設計部に格上げされたばかりのルーキー。
ソフィーの会社は新築や大規模修繕を担当する第一設計部とリフォーム・リノベーションを担当する第二設計部の他、実際に建築を担当する部署や資材の調達管理を行う部署など複数に分かれている。メイドとして契約したハンナは現在統括部長として経理・人事・総務などに目を光らせている。
件のジュードは第二設計部所属だったが第一設計部の部長ルイスの推薦で第一設計部に変わったばかりだった。
「何やらかしたの?」
不満げな顔のソフィーが胡桃入りのコンフェッティを手に持って口をもぐもぐさせているハンナに尋ねるとハンナが小指を立てた。
「マジか。損害はいくら?」
「最大で見積もったら新築一軒と慰謝料。それと風評被害かな」
「ジュードが設計に参加したのって・・はあー、グレイ男爵のタウンハウスじゃん」
「そう、そこの娘に手を出したのよー」
「まだ乗り込んで来てないってことは男爵は知らないって事?」
「男爵から手・・」
ハンナの言葉の途中でドアが強くノックされ問題のジュードがルイスと共に現れた。
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