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60.すっかり忘れてました
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ジョシュアは笑いすぎて痛くなったお腹を摩りながら、花を抱えて部屋を彷徨くレオの生態観察を楽しんでいた。
(オロオロするレオ兄様はレア! も~絵姿残したい! ガチムチの巨人が眉間に皺寄せて薔薇の花束持って彷徨くなんて・・ちょー堪んない~)
「そう言えば幼児学校はどうなったんだ?」
「へっ? なにそれ?」
「ジョシュアが貴族の子供を集めて学校をやるって言ってたんじゃないか」
「あっ! そう、勿論。やるに決まってるでしょ」
(やっべぇ、すっかり忘れてた。うーん、どうすっかなぁ)
ジョシュアの目的はレオが終生請願してしまう前に一度騎士修道会から誘き出すことだったので幼児学校と言うのはただの詭弁。レオの本心を確かめる為ソフィーの元に送り込む為だけについた嘘。レオが本気で騎士修道会に骨を埋めるつもりなら諦めるつもりだったがジョシュアの予想ではレオは家訓に縛られているだけに見えていた。
ソフィーが平民相手の保育学校を設立すると知りそれをネタにできないかと考え幼児学校設立の話を考えた。丁度ムダにゴージャスな会場はあるのでジョシュアが困っているそぶりをすればレオは必ず帰ってくるはず。
(初恋の君に会わせたらどうなるかな~って試してみたら予想以上に上手くいって、幼児学校なんてすっかり忘れてた。てへ)
今いるこのド派手な屋敷は元々前侯爵が使用していたタウンハウスだった。家督をマーカスに譲った後、前侯爵はマーカスに上手く乗せられて領地に軟禁・・領地で余生を過ごしている。
ジョシュアは3年近く前に主人が不在になっていたこのタウンハウスの修繕を【ソラージュ不動産】に依頼したが、これ程の大きさの貴族の屋敷を手がけるのは【ソラージュ不動産】では力不足だと断られてしまった。
レオに修繕の打ち合わせを頼みソフィーと合わせようというジョシュアの思惑は外れ、がっかりしたジョシュアはそのショックを癒す為に前侯爵の個人資産をもぎ取ってド派手な屋敷を作った。
(ついでにそれまでの恨みも晴らしてスッキリ~・・あの人は懐スッキリ、この間の下剤でお腹もスッキリ~)
「なんだか色々あったからちょっと先延ばしかなー。そんな事より、レオ兄様は騎士修道会はどうするの?」
「ん?」
「可能性がないのに準備してるんだったら別だけどー、もし運良くソフィーが結婚しても良いよなんて言ってくれたらどうするの?」
「可能性はある・・多分・・騎士修道会には既に手紙を書いた。挨拶や手続きに行かなきゃならんがな」
「はや! 振られたらどうすんの?」
「父上には申し訳ないが、俺は・・聖職者には向いてない。ソフィーに振られたからと言ってこんな気持ちで戻るのは騎士修道会のみんなに失礼だと思う」
(やったぁ! 元々レオ兄様は聖職者は嫌だってずーっとずーっと言ってたんだもん。それを無理矢理聖職者にして私からレオ兄様観察の機会を奪ったのは大罪に値する所業! 許すまじクソ親父め)
「レオ兄様ぁ、ソフィーに振られた後は慰めてあげるからね」
「いや、ジョシュア・・ジョージアナの慰めは傷をぐりぐり抉ってきそうだから遠慮する。まだマーカスやギルの方がマシだろうな。
それから、振られる前提で話すのはやめてくれ。縁起が悪すぎる」
「一回断られてる(と思い込んでる)んだっけ?」
「ああ、あの時とは状況が変わったから・・ソフィーの気持ちも変わってるといいんだがな」
ギルは現在第ニ騎士団副団長。本来なら高位貴族令息の集まる第一騎士団で王宮の警備を担当するはずだったが、ギルは第一騎士団の選民意識に嫌気がさし転属願いを出した。
ギルの一番の希望は各地に派遣されて戦う第三騎士団だったが当時はまだ侯爵だった父親の妨害に遭い第二騎士団に所属することになった。
(第三騎士団は戦いが起こった時一番最初に辺境に送られる部隊だぞ! しかも平民の集まり・・我が侯爵家の者が平民に混じって辺境に向かうなど許さん!)
「確か騎士団って団員募集してるよね。申し込むの?」
「分からん、第一希望は別だからな。それがダメなら騎士団の試験を考える」
「ふーん、因みに第一希望って?」
「保育学校の門番か庭師の見習い」
「ぶほっ、ゲホッゲホッ。まっマジで?」
あまりの暴挙にジョシュアは飲みかけていた紅茶で咽せ涙の溜まった目でレオを見上げた。
「レオ兄様が門番してたら子供の親が逃げだす。それ、営業妨害か嫌がらせにしか・・」
「ローリーには穏やかな顔になったと言われた」
「レベルが違う! せいぜい戦闘中の魔王から突撃隊長になったくらいの違いだよ」
「・・それ、顔の怖さに違いなんてないだろ?」
「あるある! 一番の違いは最高権力者とそこそこの権力者の威厳・迫力・威圧感! めっちゃ違うじゃん」
ジョシュアは必死で力説するがレオには違いがカケラも分からない。
「まあ、なんとかなるだろう。仕事は色々あるはずだからな」
まさに想定外。昔から一度決めたら猪突猛進のレオの考えはジョシュアの想像を遥かに超えていた。
(振り切れてるねぇ・・レオ兄様ってやることが極端なんだよなー。まあ、ソフィーが手綱を握ってなんとかしてくれるでしょ。レオ兄様を貸してあげるんだもの、それくらいはねー。クソ親父はなんとか出来るしね)
その後いそいそとレオが出掛けて行きジョシュアはワクワクして帰りを待っていた。
(ソフィーの追い込みは完了してるし、もう捕獲できるっしょ。レオ兄様の第一声は絶対に逃せないもの)
「断られた」
(オロオロするレオ兄様はレア! も~絵姿残したい! ガチムチの巨人が眉間に皺寄せて薔薇の花束持って彷徨くなんて・・ちょー堪んない~)
「そう言えば幼児学校はどうなったんだ?」
「へっ? なにそれ?」
「ジョシュアが貴族の子供を集めて学校をやるって言ってたんじゃないか」
「あっ! そう、勿論。やるに決まってるでしょ」
(やっべぇ、すっかり忘れてた。うーん、どうすっかなぁ)
ジョシュアの目的はレオが終生請願してしまう前に一度騎士修道会から誘き出すことだったので幼児学校と言うのはただの詭弁。レオの本心を確かめる為ソフィーの元に送り込む為だけについた嘘。レオが本気で騎士修道会に骨を埋めるつもりなら諦めるつもりだったがジョシュアの予想ではレオは家訓に縛られているだけに見えていた。
ソフィーが平民相手の保育学校を設立すると知りそれをネタにできないかと考え幼児学校設立の話を考えた。丁度ムダにゴージャスな会場はあるのでジョシュアが困っているそぶりをすればレオは必ず帰ってくるはず。
(初恋の君に会わせたらどうなるかな~って試してみたら予想以上に上手くいって、幼児学校なんてすっかり忘れてた。てへ)
今いるこのド派手な屋敷は元々前侯爵が使用していたタウンハウスだった。家督をマーカスに譲った後、前侯爵はマーカスに上手く乗せられて領地に軟禁・・領地で余生を過ごしている。
ジョシュアは3年近く前に主人が不在になっていたこのタウンハウスの修繕を【ソラージュ不動産】に依頼したが、これ程の大きさの貴族の屋敷を手がけるのは【ソラージュ不動産】では力不足だと断られてしまった。
レオに修繕の打ち合わせを頼みソフィーと合わせようというジョシュアの思惑は外れ、がっかりしたジョシュアはそのショックを癒す為に前侯爵の個人資産をもぎ取ってド派手な屋敷を作った。
(ついでにそれまでの恨みも晴らしてスッキリ~・・あの人は懐スッキリ、この間の下剤でお腹もスッキリ~)
「なんだか色々あったからちょっと先延ばしかなー。そんな事より、レオ兄様は騎士修道会はどうするの?」
「ん?」
「可能性がないのに準備してるんだったら別だけどー、もし運良くソフィーが結婚しても良いよなんて言ってくれたらどうするの?」
「可能性はある・・多分・・騎士修道会には既に手紙を書いた。挨拶や手続きに行かなきゃならんがな」
「はや! 振られたらどうすんの?」
「父上には申し訳ないが、俺は・・聖職者には向いてない。ソフィーに振られたからと言ってこんな気持ちで戻るのは騎士修道会のみんなに失礼だと思う」
(やったぁ! 元々レオ兄様は聖職者は嫌だってずーっとずーっと言ってたんだもん。それを無理矢理聖職者にして私からレオ兄様観察の機会を奪ったのは大罪に値する所業! 許すまじクソ親父め)
「レオ兄様ぁ、ソフィーに振られた後は慰めてあげるからね」
「いや、ジョシュア・・ジョージアナの慰めは傷をぐりぐり抉ってきそうだから遠慮する。まだマーカスやギルの方がマシだろうな。
それから、振られる前提で話すのはやめてくれ。縁起が悪すぎる」
「一回断られてる(と思い込んでる)んだっけ?」
「ああ、あの時とは状況が変わったから・・ソフィーの気持ちも変わってるといいんだがな」
ギルは現在第ニ騎士団副団長。本来なら高位貴族令息の集まる第一騎士団で王宮の警備を担当するはずだったが、ギルは第一騎士団の選民意識に嫌気がさし転属願いを出した。
ギルの一番の希望は各地に派遣されて戦う第三騎士団だったが当時はまだ侯爵だった父親の妨害に遭い第二騎士団に所属することになった。
(第三騎士団は戦いが起こった時一番最初に辺境に送られる部隊だぞ! しかも平民の集まり・・我が侯爵家の者が平民に混じって辺境に向かうなど許さん!)
「確か騎士団って団員募集してるよね。申し込むの?」
「分からん、第一希望は別だからな。それがダメなら騎士団の試験を考える」
「ふーん、因みに第一希望って?」
「保育学校の門番か庭師の見習い」
「ぶほっ、ゲホッゲホッ。まっマジで?」
あまりの暴挙にジョシュアは飲みかけていた紅茶で咽せ涙の溜まった目でレオを見上げた。
「レオ兄様が門番してたら子供の親が逃げだす。それ、営業妨害か嫌がらせにしか・・」
「ローリーには穏やかな顔になったと言われた」
「レベルが違う! せいぜい戦闘中の魔王から突撃隊長になったくらいの違いだよ」
「・・それ、顔の怖さに違いなんてないだろ?」
「あるある! 一番の違いは最高権力者とそこそこの権力者の威厳・迫力・威圧感! めっちゃ違うじゃん」
ジョシュアは必死で力説するがレオには違いがカケラも分からない。
「まあ、なんとかなるだろう。仕事は色々あるはずだからな」
まさに想定外。昔から一度決めたら猪突猛進のレオの考えはジョシュアの想像を遥かに超えていた。
(振り切れてるねぇ・・レオ兄様ってやることが極端なんだよなー。まあ、ソフィーが手綱を握ってなんとかしてくれるでしょ。レオ兄様を貸してあげるんだもの、それくらいはねー。クソ親父はなんとか出来るしね)
その後いそいそとレオが出掛けて行きジョシュアはワクワクして帰りを待っていた。
(ソフィーの追い込みは完了してるし、もう捕獲できるっしょ。レオ兄様の第一声は絶対に逃せないもの)
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