【完結】結婚した途端記憶喪失を装いはじめた夫と離婚します

との

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34.呑気すぎる親子VS心配性の男

「無人島だからその場で俺達を殺ってしまえば海に捨てるだけで証拠も残らねえし、メイルーンとワッツがいればどうとでも言い逃れできると思ってるんだろうなぁ」

「おじさん、そんな呑気なことを言ってる場合じゃないでしょう!」

「それにしても、商会を賞品にするって信じられるか? あいつが今偉そうに出来てるのは商会の金は自分の好きにできると思ってるからなんだぜ?」

 声を荒げるケニスを横目に見ながらルーカスは飄々と話を続けた。

「真珠が盗まれた商会はもう自分の役に立たないと思ってるからどうでも良くなったんだろうけど、調べもしないでそこまでできるって想像以上のおバカだったんだねぇ」

 商会が経営難に陥っているなら住んでいる屋敷や家財を一番に売りに出すはずで、それをしている気配すらない状況で見切りをつけるとは思っていなかったメリッサは、怒りを通り越して笑いが止まらなくなりそうだった。

「二人ともほんとのほんとに人の話を聞かないですよね!」

「真珠を奪われて自分の望みを無視される可能性とか考えてねえんだろうなあ。その上商会を取られたら無職になってる分昔より悲惨になるの間違いなしなんだぜ?」

「あ、やっぱり仕事辞めちゃったんだ。うちからの請求分、きっちり取り立てようね。請求書は何度も渡してるしツケは禁止とか払えとかって言ってるんだけど全然聞いてないんだよね」

「人がこんなに心配してるのに、自分達の身に何かあるかもとか全く考えてなさそうで⋯⋯すっごい腹が立ってきた!
元々借金まみれのあんな奴に払う方法なんてあるんですかねえ!?」

「ふっふっふっ! 商人舐めんなよ~、どうやっても払えねえって言いやがった時はちゃんとを準備してやる予定だから」

「へ?」

「奴が唯一持ってるもんといやあ、見栄えのいい見てくれだけだろ? 場所によっちゃいい値段で売れるんだぜ~」

「おじさん、人身売買は違法ですから!」

「嫁入りだって言っただろ? 他国だが相手は王族で身元は完全保障付き、支度金をがっつり払ってくれる奴んとこに行って大切にしてもらう婚姻」

 ニヤッと笑いかけたルーカスが吹き出すのを我慢しようとして下を向いた。

「おじさん、肩が震えてるからオチがあるってバレバレです」

「嫁入りだって言っただろ~。その国って同性婚OKで王族は何人でも娶れるってやつなんだなあ。奴はその前に牢に繋がれるのがオチだから国外追放にしてもらわねえとな、そうすりゃすぐにお迎えが来てくれるから取りこぼしはねえんだよ。
ケニスは領地経営に失敗したら仲介してやるから安心して失敗しろよ~。お前ならもっと高値で買い取って⋯⋯ゲフンゲフン⋯⋯支度金を払ってくれるってよ」

 驚きすぎて目を大きく見開いたケニスが口をパクパクさせると、我慢しきれなくなったルーカスが『ブハッ!』と吹き出した。

「マーサ様にもお伝えしてあるからな」

 サムズアップしたルーカスの前でケニスが頭を抱えた。

「おじさんと母上はそばに寄らせちゃダメだ。ロクでもないことばっかり画策してそうで不安しかないよ」

「ケニス、そんなに心配しないで。ケニスが領地経営を失敗しないのと同じくらい私達も失敗したりしないからね」

「あんな唐変木どもにやられたりしねえって。メリッサに手を出す奴は全部ウエディングドレス着せてハーレム行きにしてやる予定」



人の太刀で功名してる 他人の物を利用して成果を出す奴が全部手放して生き残れると思ってるステファンの呑気さに呆れるよな~、それとももしかして⋯⋯」

 椅子の背にもたれ足を投げ出したルーカスがブツブツと独り言を呟いているのを聞いたメリッサが首を傾げた。

「⋯⋯手放すと言えば、メイルーンは本当に真珠狙いで来るんだと思う? それよりも、賭けのメンバーをまとめて消してしまえば憂いがなくなるって考えてそうな気がするんだけど。
ステファン達さえいなくなればヒューゴがどこかで何か言っても簡単に揉み消せるし」

「確かに絶好のチャンスだけどゲームに連れてくる5人だけで全員を相手にするのは厳しいと思うし、無人島だからバレずに別の奴らを上陸させるのは厳しいと思う」

「残りのメンバーや雇われた奴らがどっちに転ぶか見ものだな。商会狙いでステファンを守るか、教会におもねってメイルーンに媚び諂って生き延びようとするか」

 大学を卒業した後のメイルーンはメンバーとの関係を絶っているようで調査でも今の所何も出てきていないが、メイルーンの教会での立場は以前より益々強力になっておりそれを後ろ盾にできればと考える輩がいてもおかしくない。

「目先のことだけを考えれば目の前にぶら下がってる金の方が魅了的だが、メイルーンを殺れば確実にサマネス枢機卿を敵に回す事になる」


「ワッツはメイルーンと同じ事を考えてそうな気がしてならないんです」

 セオドアを領地に捕獲しているのはメイルーンに対する保険のような物だとメリッサ達は考えている。ヒューゴを執拗に探すのも同じ理由から⋯⋯。

「ピーター・ワッツの事を少し調べてみたんだが、仕事で大きな失敗をやらかしては父親に揉み消してもらってる。そのせいで法務部ではかなり肩身の狭い思いをしていて、嫡男としての立場も危ういみたいだな」

「やっぱりワッツが一番不気味⋯⋯親の七光りで無茶苦茶やってるメイルーンも不気味だけど、あれは甘やかされた常識もモラルもない鬼畜なだけに見えるんだよね。
でも、ワッツって底が知れないと言うか⋯⋯サイコパスの話を聞いた時みたいな得体の知れない気持ち悪さを感じる」



「聞くのが怖いんですけど⋯⋯二人は賭けの場に行ったりしませんよね」

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