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73.釣り糸を垂れると入れ食いだった件
「ロジャーはハリーと木箱の裏で作業してもらってギリギリまでハリー隠しをお願いしたいんで、身長はあまり違いがないからこれに着替えて下さいね」
メリッサはハリーが手に持っているのと同じ帽子とケニスの古い洋服一式を鞄から出してロジャーの前に置いた。
チョコの説明はないのかと言いたげなロジャー達だったが、メリッサの次の言葉で少しだけ⋯⋯ほんの少しだけ話が理解できた気になってきた。
「これでハリーと見分けがつきにくくなると思うんですよね」
テーブルに置かれた服を見たケニスが『なんで俺の服が?』と首を傾げるとメリッサが『マーサおば様』と小声で呟いた。
服と帽子を手にして『ホントに偽装工作要員って事?』と呟いたロジャーがエリオット達に同意を求めた。
「枢機卿の肩書きを狙ってるのかと思ってたのに」
「それは確かに便利なんですけど⋯⋯ロジャーが今後の仕事に利用できると思ったら使ってもらって構いませんけど、ここに来るメンバーとどんな関わりがあるのか知らない私の方からそれを利用して欲しいとは思ってないです」
今後マルティン枢機卿としての仕事に協力しないと言い切ったメリッサとしては『マルティン枢機卿』の立場を利用するのは帳尻が合わない気がしている。
ここに来るメンバーの誰よりも権力を持っているロジャーが『枢機卿』として発言すればメイルーンやワッツにかなりの抑止力になるだろう。
(この場で口封じだとか言い出す可能性も増えるけどね)
「給仕とか雑用はケニスとエリオットとデクスターにお願いします。私は彼らの様子次第で動くしかないのでどうなるかはちょっと想像がつかないです」
平民の行き遅れなんて恥ずかしいからみんなの前で出てくるなと言うのか、ルーカスと共に『金蔓です』と紹介するつもりなのか。
ルーカスと自分に対してどんなタイミングで何をしようと考えているのかも予想がつかない。
(私ひとりなら断崖に誘い出して突き落とすつもりなのかなぁって思うけど父さんがそんなことに騙されると思ってるのかな? しかも私の事は賭けのメンバーの目を誤魔化しつつ行方不明にするんだよね⋯⋯う~ん、わっかりませ~ん)
メリッサの中では推理はルーカスで計画はケニス、行動は自分という担当に分けられている。後で時間を見つけてルーカスに聞いてみようと決めたメリッサは話を元に戻した。
「話を整理すると⋯⋯メイルーンの狙いはステファンが盗んだ真珠のネックレスがメインです。かなりの手練を5人連れてきてるとこから考えるとお金に困ってるので賭けの賞品を手に入れたい、過去の悪行を知ってるメンバーを一掃したいと考えてると思います」
連れてきた5人は熱狂的なメイルーン信者で大柄で筋骨隆々な上に大量の武器を持ってきていると報告がきていた。
「ワッツは自分の秘密をメイルーンが喋らないように監視する事がメインですけどメイルーンを殺るチャンスも狙っているはずです。ひとりで来てるのは賭けに参加するつもりはないっていうポーズで、全員始末してスッキリするつもりなんじゃないかと考えています。
宿に着いた時すっごくイライラしてたんでここにいるハリーを見つけたら確実に大暴れしますし、罪悪感がないどころか本人の楽しみの一環ですから攻撃力は半端ないだろうと思います」
ハリーとリリアナがいなくなりセオドアの確認ができないだけであそこまで態度が豹変するとは思っていなかったと言えるくらい⋯⋯まるで別人のように陰湿で残虐な顔つきで殺気を振り撒いていた。
(隠れて覗いてただけなのに震えが止まらなくなったもん、あれはマジでやばいって)
「それならハリーを連れてこない方が安全だったんじゃない?」
ロジャーがもっともなことを口にしてエリオットとデクスターが頷いた。
「私の知ってる範囲で言うと亡くなった方を除けばハリーが一番の被害者だと思うんですよね。なのに最後で『よく頑張ったねえ、ここから先は危ないから隠れとこうね~』って言われたら従えます?」
「それは⋯⋯そうなんだけど危険だし」
「生きて帰るとメリッサ様と約束しましたので無茶は致しません。できる限り足手纏いにもならないよう細心の注意を払いますのでお許しいただけませんでしょうか」
立ち上がったハリーが深々と頭を下げるとロジャーが身を乗り出しながら声をかけた。
「ごめん、言い方が悪かったね。決定権はメリッサ達にあって俺は指示に従うだけ⋯⋯全力で『偽装工作要員』やるからね」
サムズアップしたロジャーが笑顔を浮かべるとエリオットとデクスターもしっかりと頷いた。
「ハリーが元気で帰らないとケニスの貞操の危機が待ち受けてるんで頑張ってハリーを守って下さいね」
メリッサが真剣な顔でロジャーの顔を覗き込んだ。
「貞操!? うん、よく分かんないけど本気の本気でハリーを守る。んで、ケニスを危機から救うからね!」
(ふっふっ! やっぱり針にケニスをつければロジャーは簡単に釣れるじゃん)
悪どい顔で笑いを堪えたメリッサの脇腹をケニスが突いた。
「残りのモブ⋯⋯銀縁眼鏡のチャールズ・ソーンと小太りのジャック・マートンと刺繍男のネイサン・グルーヴの3人は単純にゲームの賞品狙いと暇つぶしですけど、3人ともそれなりの傭兵とか兵士崩れを5人連れてきていますから注意して下さい。
ステファン・コークはメイルーンに真珠を渡して金銭と爵位と仕事の確約を狙ってます。その後は私の父ルーカスを殺して私を行方不明者にする事」
他に忘れてるものはないか確認しようとしてケニスの方を見ると小さく頷いてくれた。
「は?」「「⋯⋯ええっ!」」
「このゲームの賞品がモートン商会なんで」
今日何度目になるかわからない『ビックリ』でロジャー達がポカンと口を開けた。
メリッサはハリーが手に持っているのと同じ帽子とケニスの古い洋服一式を鞄から出してロジャーの前に置いた。
チョコの説明はないのかと言いたげなロジャー達だったが、メリッサの次の言葉で少しだけ⋯⋯ほんの少しだけ話が理解できた気になってきた。
「これでハリーと見分けがつきにくくなると思うんですよね」
テーブルに置かれた服を見たケニスが『なんで俺の服が?』と首を傾げるとメリッサが『マーサおば様』と小声で呟いた。
服と帽子を手にして『ホントに偽装工作要員って事?』と呟いたロジャーがエリオット達に同意を求めた。
「枢機卿の肩書きを狙ってるのかと思ってたのに」
「それは確かに便利なんですけど⋯⋯ロジャーが今後の仕事に利用できると思ったら使ってもらって構いませんけど、ここに来るメンバーとどんな関わりがあるのか知らない私の方からそれを利用して欲しいとは思ってないです」
今後マルティン枢機卿としての仕事に協力しないと言い切ったメリッサとしては『マルティン枢機卿』の立場を利用するのは帳尻が合わない気がしている。
ここに来るメンバーの誰よりも権力を持っているロジャーが『枢機卿』として発言すればメイルーンやワッツにかなりの抑止力になるだろう。
(この場で口封じだとか言い出す可能性も増えるけどね)
「給仕とか雑用はケニスとエリオットとデクスターにお願いします。私は彼らの様子次第で動くしかないのでどうなるかはちょっと想像がつかないです」
平民の行き遅れなんて恥ずかしいからみんなの前で出てくるなと言うのか、ルーカスと共に『金蔓です』と紹介するつもりなのか。
ルーカスと自分に対してどんなタイミングで何をしようと考えているのかも予想がつかない。
(私ひとりなら断崖に誘い出して突き落とすつもりなのかなぁって思うけど父さんがそんなことに騙されると思ってるのかな? しかも私の事は賭けのメンバーの目を誤魔化しつつ行方不明にするんだよね⋯⋯う~ん、わっかりませ~ん)
メリッサの中では推理はルーカスで計画はケニス、行動は自分という担当に分けられている。後で時間を見つけてルーカスに聞いてみようと決めたメリッサは話を元に戻した。
「話を整理すると⋯⋯メイルーンの狙いはステファンが盗んだ真珠のネックレスがメインです。かなりの手練を5人連れてきてるとこから考えるとお金に困ってるので賭けの賞品を手に入れたい、過去の悪行を知ってるメンバーを一掃したいと考えてると思います」
連れてきた5人は熱狂的なメイルーン信者で大柄で筋骨隆々な上に大量の武器を持ってきていると報告がきていた。
「ワッツは自分の秘密をメイルーンが喋らないように監視する事がメインですけどメイルーンを殺るチャンスも狙っているはずです。ひとりで来てるのは賭けに参加するつもりはないっていうポーズで、全員始末してスッキリするつもりなんじゃないかと考えています。
宿に着いた時すっごくイライラしてたんでここにいるハリーを見つけたら確実に大暴れしますし、罪悪感がないどころか本人の楽しみの一環ですから攻撃力は半端ないだろうと思います」
ハリーとリリアナがいなくなりセオドアの確認ができないだけであそこまで態度が豹変するとは思っていなかったと言えるくらい⋯⋯まるで別人のように陰湿で残虐な顔つきで殺気を振り撒いていた。
(隠れて覗いてただけなのに震えが止まらなくなったもん、あれはマジでやばいって)
「それならハリーを連れてこない方が安全だったんじゃない?」
ロジャーがもっともなことを口にしてエリオットとデクスターが頷いた。
「私の知ってる範囲で言うと亡くなった方を除けばハリーが一番の被害者だと思うんですよね。なのに最後で『よく頑張ったねえ、ここから先は危ないから隠れとこうね~』って言われたら従えます?」
「それは⋯⋯そうなんだけど危険だし」
「生きて帰るとメリッサ様と約束しましたので無茶は致しません。できる限り足手纏いにもならないよう細心の注意を払いますのでお許しいただけませんでしょうか」
立ち上がったハリーが深々と頭を下げるとロジャーが身を乗り出しながら声をかけた。
「ごめん、言い方が悪かったね。決定権はメリッサ達にあって俺は指示に従うだけ⋯⋯全力で『偽装工作要員』やるからね」
サムズアップしたロジャーが笑顔を浮かべるとエリオットとデクスターもしっかりと頷いた。
「ハリーが元気で帰らないとケニスの貞操の危機が待ち受けてるんで頑張ってハリーを守って下さいね」
メリッサが真剣な顔でロジャーの顔を覗き込んだ。
「貞操!? うん、よく分かんないけど本気の本気でハリーを守る。んで、ケニスを危機から救うからね!」
(ふっふっ! やっぱり針にケニスをつければロジャーは簡単に釣れるじゃん)
悪どい顔で笑いを堪えたメリッサの脇腹をケニスが突いた。
「残りのモブ⋯⋯銀縁眼鏡のチャールズ・ソーンと小太りのジャック・マートンと刺繍男のネイサン・グルーヴの3人は単純にゲームの賞品狙いと暇つぶしですけど、3人ともそれなりの傭兵とか兵士崩れを5人連れてきていますから注意して下さい。
ステファン・コークはメイルーンに真珠を渡して金銭と爵位と仕事の確約を狙ってます。その後は私の父ルーカスを殺して私を行方不明者にする事」
他に忘れてるものはないか確認しようとしてケニスの方を見ると小さく頷いてくれた。
「は?」「「⋯⋯ええっ!」」
「このゲームの賞品がモートン商会なんで」
今日何度目になるかわからない『ビックリ』でロジャー達がポカンと口を開けた。
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