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第八章 いざ、決戦!

10.ドドーンと⋯⋯結果発表!

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 入学式の日から、テオドールやギルバートに会いたい・話したい・媚びを売りたい生徒が続出し、Sクラスの前の廊下は混雑し続けていた。

 暫くして、テオドールがミリーだけに関心を寄せるようになると、テオドールを追いかけ続ける者、ギルバートに狙いを定める者、テオドールの追っかけ&ミリーに文句を言いにくる者に分かれた。

 しかもテオドール狙いの生徒の中には授業を抜けて出待ちする生徒が出はじめ、ギルバートは生徒達と空き教室で勉強会と称したお茶会をはじめた。


《 他のクラスへの立ち入りを禁止する 》


 漸く学園長から命令が出たのだが、最もその恩恵を享受したのはミリーだった。

(休憩時間が静かで最高! 立ち入り禁止はマジで助かったよ~)

 今は教室内が唯一の安息の地。登校時に馬車を降りて教室まで猛ダッシュして、下校時まで教室に籠り続けて、また馬車まで走り抜けて帰宅する。

 一番危険なのは教室移動の時。クラスの中の間諜が、時間割りの変更まで皇子狙いの先輩達に知らせているので手に負えない。

(首謀者が出てくるのは来月の中間試験の後だし~、長いな~、長すぎて飽きてきちゃったなぁ)



 中間試験が近付くに従い青褪めて行くクラスメイトと笑顔が増えるミリー。

「ミリー、ここが分かんない」

「ラテン語の動詞は単数と複数で⋯⋯」

「ミリー、地理ってどうやって覚えんの??」

「えぇぇぇ! 今それ!? 試験まであと1週間しかないよ」

 なんだかんだある学園生活だけれど、カサンドラとカミーユのお陰で楽しく過ごしている。


「ミリー、また来てるよ」

「殺虫剤撒いといて」


「ミリー、呼んでるぞ」

「ハエ叩きで潰しといて」


 無視をしても何度も湧いてくるテオドール第二皇子殿下は、今日もお供を従えて教室の入り口から手を振っている。





 ミリー待望の中間試験結果が張り出される日、馬車の中で鼻歌を歌っていた。

「も~い~くつ寝ると~、ざまあの日~🎵」

「それは実里様の国のお歌ですか?」

「そう、替え歌だけどね」

(手応えは十分! ギルバート王子殿下に勝てるかな~、勝てるといいな~)


『中間試験で皇子殿下と勝負ですか? う~ん、面倒なんで皇子殿下の勝ちで良いですよ~』

『では、我が国のように結果を一覧にして公表すれば良いな』

『いや~、この国では色々と忖度とか配慮とか。公になった数字が本当かどうかなんて、ねえ⋯⋯』

(皇子VS学園長⋯⋯今までは試験の結果や順位を公表してなかったけど、どうなったかな~)

 主席入学だと尊敬の眼差しを集め、本人もその気になってミリーにマウントを取ったギルバートの真の実力が公になる⋯⋯かもしれない。


 ミリーが馬車から降りたが、流石に今日は突撃してくる輩はいなかった。

(ゆっくり歩けるなんて超久しぶり~。空は青いし、いい気分だね)

 職員室前に大勢の生徒が集まっているが、しんと静まり返って不思議な雰囲気だった。

「おい、コンプトンだ」

 その一言でミリーの前に道が出来ていく。嫌悪・羨望・反感・称賛⋯⋯。色々な感情を向けてくる生徒の間を通って掲示板の前に立った。

1位 テオドール・リンドブルム900
1位 ミリー・コンプトン900
2位
3位

67位 ギルバート・モラヴィアス491


(うわぁ、予想以上に酷かったかも。王子ってばお茶会してる場合じゃないじゃん)

 テオドールと同率1位だったから生徒達の様子がおかしいのか、ギルバートの順位や点数が低すぎてドン引きしているのか⋯⋯。


「やあ、同点だと勝負は引き分けだね。次の試験では負けないように頑張らないと、国に帰ってから笑い物になってしまうよ」

 口元は笑っているように見せているが、怒りが隠せていない。

(偉そうにしててもやっぱり12歳のお子ちゃまだね。勝てなくて悔しかったのが顔に出てるよ~)

 帝国で天才だと持て囃され過ぎて、自分と同率のものがいるのさえ許せないのだろう。

(こういうタイプは超面倒くさくて苦手だわ~)



「おい、ギルバート王子殿下だぞ!」

 掲示板の前に集まっている生徒達がザワザワと騒ぎ始めた。

「コンプトン話がある。学園長室に来い」

 ギルバートは既に結果を見た後なのだろう。掲示板に目を向けることなく、向きを変えて管理棟に入って行った。

 ミリーは興味津々の野次馬達を無視してその後を追いかけた。



 学園長室に入るとギルバートが窓を背に立っていた。

「ご用件はなんでしょうか」

「コンプトン!⋯⋯今まで俺は、その」

 逆光になっていてギルバートの表情は見えない。

「その⋯⋯わ、悪かった。お前が不正を働いたと思っていてだな。調べもせずに人から聞いた話を信じて⋯⋯何度も、酷いことを言った」

「誤解が解けて良かったです。私が不正をしたと、誰からお聞きになられたのかお教えいただけますか?」

 ギルバート以外の王族か、宰相や議会の誰かか、それとも⋯⋯。

「それは⋯⋯その⋯⋯できれば言いたくない」

「そうですか。きっと殿下にとっては大切な方なのでしょうね」

「え? いや、そういう特別な関係というわけではなくて⋯⋯王子である俺が『悪かった』と言っているのだから、許すのが普通だろ? それにだな、もしかしたらあの者は違う意味で言っていたのかもしれん。それを俺が勘違いしただけで⋯⋯あの者はとても優秀で、評判もいいんだ」

「私の名誉を故意に傷つけた方は、殿下にとっては信頼に値する方だという事ですね。そして影でコソコソと根拠のない悪口を言ったその方も、生徒達に私が不正を働いたと信じ込ませる言動をしておられた殿下も『何があっても平民なら許すのが当然』だと思っておられる。心にもない謝罪を受けると言わなくて良かったです。
授業が始まるので失礼します」

 部屋を出ようとしたミリーに向かってギルバートが一歩足を踏み出した。

「待ってくれ! 俺は本気で悪かったと思ってる。王子である俺が謝ってるんだぞ! 俺の勘違いで決めつけた。だから悪かったと言ってるんだ。平民のくせに王族に頭を下げろとでも言うつもりか!?」

「殿下の頭になど興味はございません。それから、殿下の勘違いだという根拠はございますか?」

「⋯⋯え? だって、そうとしか」

「不敬を承知で言わせて下さい。人には色々な面がありますから、性格が合うとか合わないとか、好きとか嫌いとか、尊敬できるとか出来ないとか⋯⋯人によって感じ方が違うのが普通です。
この世の全ての人が『素晴らしい』と言う方がおられるとしたら、その方はただの嘘つきだと私は思います」

「それは言い過ぎなんじゃないか? あの者は家族を含めて社交界で評判がいい。悪口なんて一度も聞いた事がないんだ」

「そうですか⋯⋯私は噂や評判よりも自分の目を信じますから、殿下とは考え方が全く違うようです。失礼します」

(でもまあ、クソ皇子よりアホ王子の方が年相応の可愛さはあるかもね)

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