病弱設定されているようです

との

文字の大きさ
120 / 145
第八章 いざ、決戦!

11.モブが2人と真打ち登場

「中間試験の結果を見たと思うが、現在クラス編成の見直しが行われている。クラスが変更になる者がいるかもしれないが、発表は2週間後。希望が叶った者は今後も努力を続け、叶わなかった者はより一層の努力を。
前期期末試験でもう一度チャンスがある。それに向けて頑張れ⋯⋯と言わないといけないんだが、どのクラスにいたかよりも、誰とどのように学生生活を送っているかを考えられるようになって欲しいと思っている。
来週から臨時講師の授業がはじまる。社交界や近隣諸国の話が聞けるチャンスだから、楽しみにしておいてくれ。さて、1時限目の授業がはじまるから準備をして待つように」

 試験結果を見て浮き足立っていた生徒達がメイナードの言葉で落ち着きを取り戻した。

 この日以来、テオドール皇子殿下はCクラスに顔を出していない。



 午前の授業が終わり教科書やノートを片付けていると、カサンドラが横から声をかけてきた。

「ねえ、たまには食堂に行ってみない? 今朝の騒動を見てたら、もう大丈夫なんじゃないかと思ったんだ。まだ食堂に行った事ないでしょ?」

「うん、それはそうなんだけど⋯⋯お昼、持ってきてるし」

「あ、俺も行っていい? 今日のランチ、ゼリーがつくんだって」

 持ち込みも出来るからぜひ行ってみようと言われ、カミーユも入れた3人で管理棟横の食堂に向かった。

 普段嫌味を言いにくる先輩や足を引っ掛けてきた先輩もミリーの姿を目にした途端Uターンしてしまった。

 入学して初めての落ち着いた日々が過ごせそうだと安堵の溜め息を漏らした。

「ねえ、ミリーはやっぱりクラスが変わるのかなぁ」

「え?」

「満点だったし、普段の生活でも減点されるような事してないから」

 昼食の乗ったプレートを持ったカサンドラが、人のいないテーブルを見つけて席に着きながら聞いてきた。

「う~ん、私がCクラスなのは最後まで変わらないはず。平民だもん」

「そうかなぁ、もしBとかAとか⋯⋯Sクラスになっても友達でいてくれる?」

 上目遣いで見上げてきたカサンドラは実はとても可愛い顔をしている。入学式でピンクのドレスを着た可愛い系の少女が『真実の愛』と言い出した時、乙女ゲームの世界だったのかと愕然としたほど。

(半分寝ながらだったけどね~)

「おやおや~、もしかしてSクラスをお望みですかな~。真実の愛かな~?」

「げ! お前、まだそんなこと考えてたのかよ」

「やだ! んなわけないじゃん。あれはもう忘れてよ。元々本気じゃなかったし、本人を見たらねえ」

 テオドールが人の席を平気で取り上げようとした挙句、椅子を持ち込んだ傲慢さにすっかり嫌気がさしたそう。

「ギルバート王子殿下なら?」

「ムリムリムリムリ!」

「なんで? ギルバート王子殿下なら別に実害なかったよね」

「⋯⋯大きな声では言えないけど、自分よりも頭の悪い人はちょっと」

「お、おぅ、可愛い顔からまさかのお◯カ王子発言が出るとは!」

「いや、カサンドラにしちゃ珍しく賢明な判断だと思うぜ? 妃教育が終わったら公務とかはじまんだろ? 相手がアレだと『お前がやっとけ』とか言いそうじゃん。んで、本人は遊び呆けてたり、浮気してたり。
まあ、アレとカサンドラじゃ仕事を押し付け合う未来しか見えんけどな」

 暇つぶしに読んだ本が、懸命に政務や公務を頑張る王妃が遊び呆けている国王を捨てて女王になる話だったと言う。

「王妃が女王に? 国王がいるなら王妃はどこぞの貴族とか他所の国から嫁いできたって事でしょ? 現実的にはあり得ないよね。血を継承してこその王家だもん」

「息子とか娘に継がせたんならアリだけどな。政治上の駆け引きや策略は面白かったけど、あれはないわ~。悔しいから最後まで読んだけど、読む気無くしそうになったもんな」

 もしオーレリアに子供がいたら⋯⋯ハリーは当主になれず、ミッドランド侯爵家は借金まみれにならず領地を売らずにいられただろう。その場合、ミリーはどうなっていたのだろうか。

(まあ、起きてもいない過去や起きない未来を考えてもしょうがないか)

 来週から臨時講師の授業がはじまる。ギルバートの態度はこれからどうなるのか、テオドールの狙いはなんなのか、近々帰ってくる理事長はどう動くのか⋯⋯何が起きるのか予想もつかない。





 試験の発表があった数日後、臨時講師による1学年全クラス参加型の特別授業に対する説明会が、小ホールで開催された。

 目の前に立っているのは元外交官のキース・ノーブル侯爵。

「栄えある王立学園の1年生の皆さん。私は昨年まで外交官を務めていた伯爵家当主のキース・ノーブル。諸国の最新の様子や特性などを知る事は君達の視野を広げると共に、我が国の良さを改めて実感する良い機会になるだろう。この国の未来を担う子供達に、私自身の知識を披露できる場を与えてくださった陛下や議員の方々に心からの感謝を」

 背が高く痩せぎすのノーブルは現在、今まで培った知識を活かし外務大臣補佐として後輩の育成に専念している。凝った形のスカーフに付けた大きなエメラルドが自慢なのか、しきりに手を添える仕草が妙に目立っていた。

 パラパラとなっていた拍手が鳴り止むのを待ち、次の講師が前に出てきた。

「次の講師の方は、歴史研究家のイーサン・デブルス侯爵閣下、お願いします」

「私はイーサン・デブルスだ。歴史を学ぶのはなぜか。疑問に思う者は多いだろうが、過去を知らずに現代社会の成り立ちや課題の本質を理解することはできないのだ。
現時点で起きている問題は過去に起因しており、今何を為すかによって未来が形作られる。王族や多くの高位貴族が侯爵であり歴史研究家の私に教えを乞いに来られるのは、問題の大元が歴史の中にあるからなのだ。
悩みや疑問があるのならば過去の出来事から失敗や成功を学びたまえ。より良い未来の創造の為に」

 デブルスは典型的な貴族至上主義者のよう。長い白髪を背に垂らし、ツル付きの丸眼鏡をかけている。髭を触りながら話すのがなんのパフォーマンスか分からないが、ミリーにはダンブ◯ドア先生のパクリに見えた。

 尊大な態度のせいなのか教えるのが歴史だからなのか、先ほどよりも少ない拍手にデブルスが眉を顰めた。
 
「最後は才色兼備と聞こえが高い社交界の華、ミッドランド侯爵家令嬢のユーフェミア様です」

感想 25

あなたにおすすめの小説

え〜婚約者さん厳しい〜(笑)私ならそんなこと言わないのになぁ

ばぅ
恋愛
「え〜婚約者さん、厳しい〜。私ならそんなこと言わないのになぁ」 小言の多い私を笑い、マウントを取ってくる幼馴染令嬢。私が言葉に詰まっていると、豪快で声のデカい婚約者が笑い飛ばした。 「そうだな、だからお前は未だに婚約相手が決まらないんだろうな!」 悪気ゼロ(?)の大声正論パンチで、幼馴染をバッサリ撃退! 私の「厳しさ」を誰よりも愛する太陽の騎士様との、スカッと痛快ラブコメディ。

『「君の役目は妹で足りる」と婚約破棄されたので辺境へ去りましたが、滅びかけた王国より先に私の領地が大陸最強になっていました』

常陸之介寛浩📚️書籍・本能寺から始める
恋愛
あらすじ 王太子アルベルトの婚約者として、王都の政務と社交を陰から支えてきた公爵令嬢レティシア。 だが華やかで愛らしい妹エミリアに心を奪われた王太子は、公衆の面前で婚約破棄を宣言する。 「君の役目は妹で足りる」 その言葉に、レティシアは微笑んでうなずいた。 婚約者も、地位も、名誉も、王都での役目も――すべて妹に譲って、王国最北の荒れ果てた辺境領へ去る。 誰もが彼女の没落を信じた。 辺境は痩せた土地、尽きかけた鉱脈、荒れる街道、魔物被害、疲弊した民。 とても令嬢ひとりに立て直せる土地ではない。 ……はずだった。 だが、王都で“地味な婚約者”と蔑まれていた彼女こそ、財務、兵站、外交、治水、徴税、流通、貴族調整まで一手に回していた真の実務者だった。 水路を引き、街道を繋ぎ、鉱山を再生し、魔物を退け、辺境諸族と盟約を結ぶ。 やがて小さな辺境領は、富も軍も人も集まる巨大勢力へと変貌していく。 一方、レティシアを失った王都では、妹と元婚約者による“華やかな政治”が破綻を始めていた。 崩れる財政、乱れる社交、反発する諸侯、迫る凶作、忍び寄る隣国の影。 今さら「戻ってきてほしい」と言われても、もう遅い。 これは、 すべてを奪われたはずの令嬢が辺境から国を超える力を築き、 やがて滅びかけた王国と大陸の秩序そのものを塗り替えていく、 婚約破棄から始まる超大作ファンタジー。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

全てを設計していたのは、不要と捨てらた令嬢でした

しばゎんゎん
ファンタジー
男爵家の次女アリシアは、常識外れと評される建築設計の天才だった。 だが、婚約者であり、建築界の名門である公爵家嫡男レオナルトはその才能を理解できなかった。 そして、「お前は不要だ」と婚約破棄を言い渡す。 だが、その直後、彼の設計した屋敷は次々と欠陥を露呈し始める。 実はその設計の基盤は、すべてアリシアのものだったのだ。 一方、アリシアは自由を手に入れたことで本来の才能を解放。 やがてその名は王都の中心まで伝わり、彼女は名を轟かせていく。 これは、実家の名声を実力と勘違いした男と、すべてを見通し前へ進む一人の才女の物語。

冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス
恋愛
冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

仏の顔も六百六十六回まで ~聖女の許しが尽きた日、義母と婚約者と神殿の“借り物の幸運”が消えたので、法廷で断罪します~

他力本願寺
ファンタジー
聖女ルナリアは、義母に蔑まれても、婚約者に裏切られても、父に見捨てられても、ただ許し続けてきた。 だが聖女の加護には上限があった――六百六十六回。 最後の一回が尽きた朝、義母の美貌は崩れ、婚約者の才能は消え、父の領地の幸運も枯れた。 それらはすべて、彼女が許すたびに分け与えていた“借り物の幸運”だったのだ。 加護を失い、初めて怒りを知った聖女は、宮廷法院の法務調査官カイルと共に、家族・婚約者・神殿を法廷へ引きずり出す。

我慢しないことにした結果

宝月 蓮
恋愛
メアリー、ワイアット、クレアは幼馴染。いつも三人で過ごすことが多い。しかしクレアがわがままを言うせいで、いつもメアリーは我慢を強いられていた。更に、メアリーはワイアットに好意を寄せていたが色々なことが重なりワイアットはわがままなクレアと婚約することになってしまう。失意の中、欲望に忠実なクレアの更なるわがままで追い詰められていくメアリー。そんなメアリーを救ったのは、兄達の友人であるアレクサンダー。アレクサンダーはメアリーに、もう我慢しなくて良い、思いの全てを吐き出してごらんと優しく包み込んでくれた。メアリーはそんなアレクサンダーに惹かれていく。 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。