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第八章 いざ、決戦!

11.モブが2人と真打ち登場

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「中間試験の結果を見たと思うが、現在クラス編成の見直しが行われている。クラスが変更になる者がいるかもしれないが、発表は2週間後。希望が叶った者は今後も努力を続け、叶わなかった者はより一層の努力を。
前期期末試験でもう一度チャンスがある。それに向けて頑張れ⋯⋯と言わないといけないんだが、どのクラスにいたかよりも、誰とどのように学生生活を送っているかを考えられるようになって欲しいと思っている。
来週から臨時講師の授業がはじまる。社交界や近隣諸国の話が聞けるチャンスだから、楽しみにしておいてくれ。さて、1時限目の授業がはじまるから準備をして待つように」

 試験結果を見て浮き足立っていた生徒達がメイナードの言葉で落ち着きを取り戻した。

 この日以来、テオドール皇子殿下はCクラスに顔を出していない。



 午前の授業が終わり教科書やノートを片付けていると、カサンドラが横から声をかけてきた。

「ねえ、たまには食堂に行ってみない? 今朝の騒動を見てたら、もう大丈夫なんじゃないかと思ったんだ。まだ食堂に行った事ないでしょ?」

「うん、それはそうなんだけど⋯⋯お昼、持ってきてるし」

「あ、俺も行っていい? 今日のランチ、ゼリーがつくんだって」

 持ち込みも出来るからぜひ行ってみようと言われ、カミーユも入れた3人で管理棟横の食堂に向かった。

 普段嫌味を言いにくる先輩や足を引っ掛けてきた先輩もミリーの姿を目にした途端Uターンしてしまった。

 入学して初めての落ち着いた日々が過ごせそうだと安堵の溜め息を漏らした。

「ねえ、ミリーはやっぱりクラスが変わるのかなぁ」

「え?」

「満点だったし、普段の生活でも減点されるような事してないから」

 昼食の乗ったプレートを持ったカサンドラが、人のいないテーブルを見つけて席に着きながら聞いてきた。

「う~ん、私がCクラスなのは最後まで変わらないはず。平民だもん」

「そうかなぁ、もしBとかAとか⋯⋯Sクラスになっても友達でいてくれる?」

 上目遣いで見上げてきたカサンドラは実はとても可愛い顔をしている。入学式でピンクのドレスを着た可愛い系の少女が『真実の愛』と言い出した時、乙女ゲームの世界だったのかと愕然としたほど。

(半分寝ながらだったけどね~)

「おやおや~、もしかしてSクラスをお望みですかな~。真実の愛かな~?」

「げ! お前、まだそんなこと考えてたのかよ」

「やだ! んなわけないじゃん。あれはもう忘れてよ。元々本気じゃなかったし、本人を見たらねえ」

 テオドールが人の席を平気で取り上げようとした挙句、椅子を持ち込んだ傲慢さにすっかり嫌気がさしたそう。

「ギルバート王子殿下なら?」

「ムリムリムリムリ!」

「なんで? ギルバート王子殿下なら別に実害なかったよね」

「⋯⋯大きな声では言えないけど、自分よりも頭の悪い人はちょっと」

「お、おぅ、可愛い顔からまさかのお◯カ王子発言が出るとは!」

「いや、カサンドラにしちゃ珍しく賢明な判断だと思うぜ? 妃教育が終わったら公務とかはじまんだろ? 相手がアレだと『お前がやっとけ』とか言いそうじゃん。んで、本人は遊び呆けてたり、浮気してたり。
まあ、アレとカサンドラじゃ仕事を押し付け合う未来しか見えんけどな」

 暇つぶしに読んだ本が、懸命に政務や公務を頑張る王妃が遊び呆けている国王を捨てて女王になる話だったと言う。

「王妃が女王に? 国王がいるなら王妃はどこぞの貴族とか他所の国から嫁いできたって事でしょ? 現実的にはあり得ないよね。血を継承してこその王家だもん」

「息子とか娘に継がせたんならアリだけどな。政治上の駆け引きや策略は面白かったけど、あれはないわ~。悔しいから最後まで読んだけど、読む気無くしそうになったもんな」

 もしオーレリアに子供がいたら⋯⋯ハリーは当主になれず、ミッドランド侯爵家は借金まみれにならず領地を売らずにいられただろう。その場合、ミリーはどうなっていたのだろうか。

(まあ、起きてもいない過去や起きない未来を考えてもしょうがないか)

 来週から臨時講師の授業がはじまる。ギルバートの態度はこれからどうなるのか、テオドールの狙いはなんなのか、近々帰ってくる理事長はどう動くのか⋯⋯何が起きるのか予想もつかない。





 試験の発表があった数日後、臨時講師による1学年全クラス参加型の特別授業に対する説明会が、小ホールで開催された。

 目の前に立っているのは元外交官のキース・ノーブル侯爵。

「栄えある王立学園の1年生の皆さん。私は昨年まで外交官を務めていた伯爵家当主のキース・ノーブル。諸国の最新の様子や特性などを知る事は君達の視野を広げると共に、我が国の良さを改めて実感する良い機会になるだろう。この国の未来を担う子供達に、私自身の知識を披露できる場を与えてくださった陛下や議員の方々に心からの感謝を」

 背が高く痩せぎすのノーブルは現在、今まで培った知識を活かし外務大臣補佐として後輩の育成に専念している。凝った形のスカーフに付けた大きなエメラルドが自慢なのか、しきりに手を添える仕草が妙に目立っていた。

 パラパラとなっていた拍手が鳴り止むのを待ち、次の講師が前に出てきた。

「次の講師の方は、歴史研究家のイーサン・デブルス侯爵閣下、お願いします」

「私はイーサン・デブルスだ。歴史を学ぶのはなぜか。疑問に思う者は多いだろうが、過去を知らずに現代社会の成り立ちや課題の本質を理解することはできないのだ。
現時点で起きている問題は過去に起因しており、今何を為すかによって未来が形作られる。王族や多くの高位貴族が侯爵であり歴史研究家の私に教えを乞いに来られるのは、問題の大元が歴史の中にあるからなのだ。
悩みや疑問があるのならば過去の出来事から失敗や成功を学びたまえ。より良い未来の創造の為に」

 デブルスは典型的な貴族至上主義者のよう。長い白髪を背に垂らし、ツル付きの丸眼鏡をかけている。髭を触りながら話すのがなんのパフォーマンスか分からないが、ミリーにはダンブ◯ドア先生のパクリに見えた。

 尊大な態度のせいなのか教えるのが歴史だからなのか、先ほどよりも少ない拍手にデブルスが眉を顰めた。
 
「最後は才色兼備と聞こえが高い社交界の華、ミッドランド侯爵家令嬢のユーフェミア様です」

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