73 / 145
第五章 良き出会いに乾杯
02.成功の影に失敗ありor一歩進んで二歩下がる?
しおりを挟む
「わぁ、エクレア大好き~」
ソファにポスンと座ったミリーは、目の前に座っているシモンとビリーを無視したままエクレアに手を伸ばした。
「熊は貴腐ワインって飲んだことある?」
「あ? まあ、それなりにな」
「白ワイン用の品種のブドウがなんとかって言う黴に感染して糖度が高くなるんだっけ。んで、香りも良いんだよね~。フォアグラやブルーチーズとか⋯⋯チョコレートも合うんだったはず。飲んでみたいなぁ⋯⋯8歳じゃなきゃ『1本くらいくすねてこい』って言えたのに~。フォアグラだって食べた事ないし~」
「黴に感染した葡萄で出来たワインと青黴の生えたチーズだろ? そう考えると、なんかなぁ」
「⋯⋯ねえ」
「え~! 黴よりフォアグラの作り方の方がエグいじゃん。ガチョウの肝臓を無理矢理肥大化させるんだよ? 動物虐待だよ、美味しいけど。食べた事ないから知らんけど」
「まさか俺に奢れとか言ってんの? 手に入るかって言われりゃなんとかなるけどよお。もしかして、ミリーが俺に貸しを作るってやつか?」
「あの~」
「やだわ~! 高位貴族の金持ち自慢が始まったよぉ。嫌な熊だね~、熊は我儘言わずにどんぐりでも食べてろっての」
「ねえ⋯⋯ねえってば」
「人間って怖えよな。考える事がエゲツないと言うか、貪欲すぎてマジやばい」
「でもでも、その貪欲さがあったからこそ出来たのが貴腐ワインだよ? 収穫許可が遅れたけど諦めないで作ったら、なんと凄いの出来ちゃった的な? そう言うしつこさって好きだなぁ。熊みたいになんでも持ってる奴にはわかんないかもな~。羨まし~、可哀想~、どんぐり食べる?」
「ねえ! 僕、頑張ってきたと思わない!? ご苦労さんとか言いたくなったりしない!? ミリーもレオンも、なんで僕を無視するの!?」
「あれあれぇぇ!? シモンちゃんが拗ねてる~⋯⋯頑張ったでちゅね~。お利口さんでちゅね~。はい、しゅうりょ~。
熊~、この国の物流ってどうなってるの? 輸送は当然馬車でしょ? なら保存方法は? 鮮度とか安全性はどうやって調べてるの? 毒味? やっぱ命掛けて毒味するの?」
「⋯⋯ネイサン、僕の扱いってこれで合ってるんだっけ?」
「しばらくの間は仕方ないかもしれませんね。ミリーさんのご機嫌が治るまで諦めましょう」
「ミリーはぁ、ぷんぷんでちゅかなね~。ぽやっとくんはゆるちゃないでちゅ~。
んでなんだっけ⋯⋯そうそう、ブドウが貴腐化し偶然できあがった貴腐ワインはね『ワインの王にして王のワイン』って絶賛された事があるって知ってる? 知らないよね~。
黄金色に輝く様が金が含まれているかもとかって騒がれて、分析された事もあるんだから、凄いんだよ~」
いつもと同じく筋肉マッチョなレオンが座った椅子がギシギシと鳴り、ソファの真っ中にドカンと座り腕を組んだちっこいミリーの前にはお菓子の乗った大皿がある。
本棚の前にいたイリスは妖艶な笑みを浮かべて目の前で繰り広げられる喜劇を楽しみながら、書類から目を逸らしていたレオンの前に、どんと音を立てて分厚い本を置いた。
「お仕事、頑張って下さいね。ギルド長?」
「お、おう」
ミリーの話に合わせながら様子を伺っていたレオンがハッと我に返ってペンを手にした。
「ミリー⋯⋯勝手に決めて悪かったとは思うけど、そんなに怒る事ないじゃん」
ミリーの前には怒りの元⋯⋯シモンとビリーが座っている。ネイサンはイリスによって部屋の隅に回収済み。
鬱なパーティーの中で自分勝手なジーニア劇場に耐えたビリーは雑木林の権利をもぎ取った。その上、雑木林とビリーに対してラバント子爵家からのあらゆる関与を禁止した契約書にサインもさせた。
契約に関してはシモンは完全勝利で、本当なら祝杯をあげていたはず。
「シモンは私と結んだ契約を覚えているよね? 契約が破られた場合のペナルティも知っていて今回の愚行を犯した。覚悟はできてる?」
ミリーの存在を他に知らしめた場合、シモンは最も高値をつけた人に売り飛ばされる。
「そ、そんな⋯⋯本気じゃないよね! 侯爵家の子息を勝手に売るなんて出来ないよ。それに人身売買は禁止されてる」
「確かに人身売買は禁止されてるけど、法には抜け道があるって平民でも知ってる。今回の場合で言えば、シモンは多額の結納金を払った者の元に婚約者として行くの。その後で夫になるか男妾になるか、売り飛ばされるかは神のみぞ知るって感じかな⋯⋯。
公には縁談って事になるから、法律はシモンを守ってくれない。貴族社会でも平民の中でもよくある事じゃないの」
「そんな!」
「ミリー様、お話の途中ですがよろしいでしょうか」
「よろしくありません。ビリー様のターンはこの後ですから順番をお待ちください」
「しかし⋯⋯どうやら私がここに伺ったせいでとんでもない事になっているようですから、見過ごすわけにはまいりません!」
「ビリー殿」
声を荒げるビリーの名を呼んだレオンが、大きな身体で威圧しながら小さく首を横に振った。
「シモン⋯⋯ビリー様をエスキニアからお連れするなら前もって連絡をするべきだったよね。私との約束を忘れたのは私を侮っていたから、本当に売り飛ばされるとは思ってなかった。契約を甘く見てたら人生詰んでしまうって15歳にもなって甘ちゃん過ぎる。パパとママに助けてもらうつもりでも、正式な契約書にサインをしてるから逃げられないんだよ?」
ミリーと初めて会った頃、欲しい稀覯本の為にシモンは闇金から金を借りようとしていた。
(あの時、本当にお金を借りてたら間違いなく売り飛ばされてた。シモン程の容姿ならどれだけの高値でも買いたいって客がつくのは間違いないもん。そんな事になったらどんな扱いを受けるか想像もしてないから、ぽやっと君って命名されちゃってるんだよ?)
本で読んだ知識ではあるが、売られた少年少女の悲惨な末路はいくつも思い浮かぶ。
見目が良ければ高額で取引され、貴族であればそれ以上の高値がつく。その後は人権などない世界に放り込まれ、心と身体を病んで死んでいくのみ。
真っ青な顔でガタガタと震えるシモンの横でビリーが拳を握りしめていた。
(って、このくらい脅せば少しは気合が入ったかなぁ)
「シモンにはでっかい貸しひとつだからね! 楽しみにしといて。でも、次はないからちゃーんと覚えといてよ。ぽやっと君のチョロすけ君」
ソファにポスンと座ったミリーは、目の前に座っているシモンとビリーを無視したままエクレアに手を伸ばした。
「熊は貴腐ワインって飲んだことある?」
「あ? まあ、それなりにな」
「白ワイン用の品種のブドウがなんとかって言う黴に感染して糖度が高くなるんだっけ。んで、香りも良いんだよね~。フォアグラやブルーチーズとか⋯⋯チョコレートも合うんだったはず。飲んでみたいなぁ⋯⋯8歳じゃなきゃ『1本くらいくすねてこい』って言えたのに~。フォアグラだって食べた事ないし~」
「黴に感染した葡萄で出来たワインと青黴の生えたチーズだろ? そう考えると、なんかなぁ」
「⋯⋯ねえ」
「え~! 黴よりフォアグラの作り方の方がエグいじゃん。ガチョウの肝臓を無理矢理肥大化させるんだよ? 動物虐待だよ、美味しいけど。食べた事ないから知らんけど」
「まさか俺に奢れとか言ってんの? 手に入るかって言われりゃなんとかなるけどよお。もしかして、ミリーが俺に貸しを作るってやつか?」
「あの~」
「やだわ~! 高位貴族の金持ち自慢が始まったよぉ。嫌な熊だね~、熊は我儘言わずにどんぐりでも食べてろっての」
「ねえ⋯⋯ねえってば」
「人間って怖えよな。考える事がエゲツないと言うか、貪欲すぎてマジやばい」
「でもでも、その貪欲さがあったからこそ出来たのが貴腐ワインだよ? 収穫許可が遅れたけど諦めないで作ったら、なんと凄いの出来ちゃった的な? そう言うしつこさって好きだなぁ。熊みたいになんでも持ってる奴にはわかんないかもな~。羨まし~、可哀想~、どんぐり食べる?」
「ねえ! 僕、頑張ってきたと思わない!? ご苦労さんとか言いたくなったりしない!? ミリーもレオンも、なんで僕を無視するの!?」
「あれあれぇぇ!? シモンちゃんが拗ねてる~⋯⋯頑張ったでちゅね~。お利口さんでちゅね~。はい、しゅうりょ~。
熊~、この国の物流ってどうなってるの? 輸送は当然馬車でしょ? なら保存方法は? 鮮度とか安全性はどうやって調べてるの? 毒味? やっぱ命掛けて毒味するの?」
「⋯⋯ネイサン、僕の扱いってこれで合ってるんだっけ?」
「しばらくの間は仕方ないかもしれませんね。ミリーさんのご機嫌が治るまで諦めましょう」
「ミリーはぁ、ぷんぷんでちゅかなね~。ぽやっとくんはゆるちゃないでちゅ~。
んでなんだっけ⋯⋯そうそう、ブドウが貴腐化し偶然できあがった貴腐ワインはね『ワインの王にして王のワイン』って絶賛された事があるって知ってる? 知らないよね~。
黄金色に輝く様が金が含まれているかもとかって騒がれて、分析された事もあるんだから、凄いんだよ~」
いつもと同じく筋肉マッチョなレオンが座った椅子がギシギシと鳴り、ソファの真っ中にドカンと座り腕を組んだちっこいミリーの前にはお菓子の乗った大皿がある。
本棚の前にいたイリスは妖艶な笑みを浮かべて目の前で繰り広げられる喜劇を楽しみながら、書類から目を逸らしていたレオンの前に、どんと音を立てて分厚い本を置いた。
「お仕事、頑張って下さいね。ギルド長?」
「お、おう」
ミリーの話に合わせながら様子を伺っていたレオンがハッと我に返ってペンを手にした。
「ミリー⋯⋯勝手に決めて悪かったとは思うけど、そんなに怒る事ないじゃん」
ミリーの前には怒りの元⋯⋯シモンとビリーが座っている。ネイサンはイリスによって部屋の隅に回収済み。
鬱なパーティーの中で自分勝手なジーニア劇場に耐えたビリーは雑木林の権利をもぎ取った。その上、雑木林とビリーに対してラバント子爵家からのあらゆる関与を禁止した契約書にサインもさせた。
契約に関してはシモンは完全勝利で、本当なら祝杯をあげていたはず。
「シモンは私と結んだ契約を覚えているよね? 契約が破られた場合のペナルティも知っていて今回の愚行を犯した。覚悟はできてる?」
ミリーの存在を他に知らしめた場合、シモンは最も高値をつけた人に売り飛ばされる。
「そ、そんな⋯⋯本気じゃないよね! 侯爵家の子息を勝手に売るなんて出来ないよ。それに人身売買は禁止されてる」
「確かに人身売買は禁止されてるけど、法には抜け道があるって平民でも知ってる。今回の場合で言えば、シモンは多額の結納金を払った者の元に婚約者として行くの。その後で夫になるか男妾になるか、売り飛ばされるかは神のみぞ知るって感じかな⋯⋯。
公には縁談って事になるから、法律はシモンを守ってくれない。貴族社会でも平民の中でもよくある事じゃないの」
「そんな!」
「ミリー様、お話の途中ですがよろしいでしょうか」
「よろしくありません。ビリー様のターンはこの後ですから順番をお待ちください」
「しかし⋯⋯どうやら私がここに伺ったせいでとんでもない事になっているようですから、見過ごすわけにはまいりません!」
「ビリー殿」
声を荒げるビリーの名を呼んだレオンが、大きな身体で威圧しながら小さく首を横に振った。
「シモン⋯⋯ビリー様をエスキニアからお連れするなら前もって連絡をするべきだったよね。私との約束を忘れたのは私を侮っていたから、本当に売り飛ばされるとは思ってなかった。契約を甘く見てたら人生詰んでしまうって15歳にもなって甘ちゃん過ぎる。パパとママに助けてもらうつもりでも、正式な契約書にサインをしてるから逃げられないんだよ?」
ミリーと初めて会った頃、欲しい稀覯本の為にシモンは闇金から金を借りようとしていた。
(あの時、本当にお金を借りてたら間違いなく売り飛ばされてた。シモン程の容姿ならどれだけの高値でも買いたいって客がつくのは間違いないもん。そんな事になったらどんな扱いを受けるか想像もしてないから、ぽやっと君って命名されちゃってるんだよ?)
本で読んだ知識ではあるが、売られた少年少女の悲惨な末路はいくつも思い浮かぶ。
見目が良ければ高額で取引され、貴族であればそれ以上の高値がつく。その後は人権などない世界に放り込まれ、心と身体を病んで死んでいくのみ。
真っ青な顔でガタガタと震えるシモンの横でビリーが拳を握りしめていた。
(って、このくらい脅せば少しは気合が入ったかなぁ)
「シモンにはでっかい貸しひとつだからね! 楽しみにしといて。でも、次はないからちゃーんと覚えといてよ。ぽやっと君のチョロすけ君」
231
あなたにおすすめの小説
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
はっきり言ってカケラも興味はございません
みおな
恋愛
私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。
病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。
まぁ、好きになさればよろしいわ。
私には関係ないことですから。
〖完結〗残念ですが、お義姉様はこの侯爵家を継ぐことは出来ません。
藍川みいな
恋愛
五年間婚約していたジョゼフ様に、学園の中庭に呼び出され婚約破棄を告げられた。その隣でなぜか私に怯える義姉のバーバラの姿があった。
バーバラは私にいじめられたと嘘をつき、婚約者を奪った。
五年も婚約していたのに、私ではなく、バーバラの嘘を信じた婚約者。学園の生徒達も彼女の嘘を信じ、親友だと思っていた人にまで裏切られた。
バーバラの目的は、ワイヤット侯爵家を継ぐことのようだ。
だが、彼女には絶対に継ぐことは出来ない。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
感想の返信が出来ず、申し訳ありません。
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる