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30.これを火事場泥棒と言うのかも
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放課後ミリセントに会うためにシェルバーン伯爵家にやって来た。
「心配かけてごめんね」
「こちらこそ、あんなことになってしまってごめんなさい。もっと違う伝え方とかあったんじゃないかと思って」
「ライラは悪くないわ。すごくショックだったけど全部本当のことが分かったから良かったって思ってるの」
「⋯⋯本当に?」
「大勢の人が聞いていて恥ずかしかったしあんなに仲が良かったのにって思うと悲しいけど、それ以上に腹が立ってるの。
だって浮気も横領もハーヴィーにしたことも全部相手が悪いなんて! そんな人を信じてたって思ったら辛いより怒るでしょう」
「う、うん。まあ、そうかな」
「ミリセントが傷つくからって言うあの台詞が一番ムカついたわ。傷つけたのは誰でもない、ジェラルドじゃない!」
「う、うん。そうだよね」
「昨日いっぱい泣いたら目が腫れちゃって、恥ずかしいから今日はお休みしたんだけど。悲しくて泣いたより悔しくて泣いた方が長かったわ。
お母様と2人で一晩中文句を言い合ったらスッキリ」
ミリアーナはまだ目が腫れていて恥ずかしいからと部屋に篭っているらしい。
「思ったより元気そうで安心したわ」
「ええ、お父様が直ぐに動いてくださったからもう婚約破棄できたし、次はもっと真面な方を選ばなくちゃって思ってるの」
罪が公になる前に婚約破棄できるようシェルバーン伯爵は夜の間に書類を作成し、夜明け前にはメイヨー公爵家に向かった。
青褪めた公爵が頭を下げるのを無視して無言でサインさせてそのまま王宮へ向かった。
「どのくらい横領したのか知らないけど、お父様はたっぷり慰謝料を払わせる書類にサインさせたって仰ってた。まあ、公爵家の資産からすれば微々たるものだと思うけどね。
それが手に入ったらうーんと美味しい物を食べに行って、こきおろし大会しようね。ジェラルドから贈られたものは全部捨てるか寄付するつもりなの」
「慰謝料と学園への返済の金額は問題ないだろうけど、これから別の意味で大変になるわね。褫爵にはならなくても確実に降爵になられると思うし、社交界にも参加できないんじゃないかしら」
ターンブリー侯爵家は一時期困窮していたとしても建国以来続く由緒正しい家系。婚姻で繋がった家も多く広い人脈もある。
「ハーヴィーは社交界なんかで評判も良かったしね」
「ええ、メイヨー公爵家が沈んだら国内の情勢も大きく変わるかもね」
「ああ、王家派と貴族派ね⋯⋯我が家は中立派だし」
メイヨー公爵家は王家派で、シェルバーン伯爵家は中立派だった。その婚姻がなくなった上にターンブリー侯爵家は貴族派だったので、この事件がどれくらいの余波を起こすのかこれから多くの家が戦々恐々とすることになる。
「まあ、次の代になると別だけど今のターンブリー侯爵様の間は大丈夫だろうし。それに比べてメイヨー公⋯⋯」
ミリセントの話しは続いていたがライラは頭に浮かぶ言葉の羅列で考えに沈んでいった。。
(次の代⋯⋯役員⋯⋯つく方⋯⋯勝ち組⋯⋯なんでもあり⋯⋯)
「⋯⋯ラ、ライラ。どうしたの? 顔が真っ青よ」
「あ、ごめんなさい。ちょっと思い出したことがあって、今日は失礼するわね」
「う、うん」
「明日、学園で待ってるね」
ライラが馬車に乗ると珍しくノアも乗り込んできた。ゆっくりと走り出した馬車が屋敷へ向かいライラはまた思考に囚われはじめた。
(ターンブリー侯爵家に何かが起きたのは間違いないわ。ビクトールの様子からして昨日のことだと思う⋯⋯学園を早退する時に会ったビクトールはいつも通りだった。その後はわからないけど、ターンブリー侯爵がハーヴィーの件を知らされたのは夕方のはずで)
ターンブリー侯爵はハーヴィーの事を大切にしていたとは思うが優秀な嫡男と言う程度の意味合いだった気がする。
「ハーヴィーの葬儀の時、ターンブリー侯爵の様子ってどんな感じだった?」
「正直言うと不快でした。大切な息子を失って悲しんでおられるよりも、階段から落ちるなんてと怒っておられるようで。事実その言葉を何度も耳にしました」
「息子ではなく駒のひとつでしかなかったんだわ」
(私と同じだからよくわかるわ。政略で使うために生かされてるだけ、より利用価値が高くなるよう育てられるの)
「貴族派の家の跡継ぎが王家派に生命を奪われたなら、王家派を叩くチャンスよね。ターンブリー侯爵夫人の実家も貴族派だから、ビクトールの事なんて気にしていられないとは思わない?」
「そうですね。事件を起こして役員会から拒否されてからは他にいないから嫡男の位置にいるだけのような扱いで、縁戚から養子をもらうつもりだと予想していましたから」
「ビクトールがやりたい放題できるチャンスを見つけたら一番に何をするか考えてみたの。ターンブリー侯爵家の金庫は空っぽだけど、侯爵は貿易会社の社長で侯爵家の当主」
「なんでもありだとか言ってましたね」
「でね、ビクトールの立場に立って考えてみたんだけど。今の状況を考えてみたらなんでアリなんて言えないでしょう。
そうなるためには⋯⋯侯爵になればいいの」
「は? それは無理ではありませんか?」
「そうかしら? 社長職は役員会の決議が必要だけど、侯爵になるのは簡単ではないけど出来なくはないわ」
「⋯⋯この国の紋章制度か」
王族だけが使用していた印章を多くの貴族や商人達も使うようになった頃、重複した紋章が多数生み出され混乱を招く事態になった。
その為国は全ての紋章を管理する紋章院を設立し、所属する紋章官が紋章と紋章保持及び系譜の記録管理を行う。
紋章を使う王侯貴族や商人達は皆紋章院に登録する事を義務付けられており、偽装すると厳罰に処せられるが紋章印の押された書類は何よりも優先される。
「もし仮にビクトールが侯爵家にある紋章印を手にするチャンスがあったら?」
「奴なら絶対利用しますね」
「侯爵家は大混乱中のはず。情報が広まって王族派が知る前に手を打てたら一歩も二歩もリードできるでしょう。
侯爵が走り回っている時にたまたま執務室で机の上に置かれた紋章印を見つけたら、白紙にポンと押して逃げればいいの。そして、文章やサインは後から落ち着いてゆっくりと偽造すればいい。
この国の爵位は終身じゃないからそれが可能なの」
「奴ならバレても開き直りそうです」
「ええ、だって自分には後がないって知ってるはずだもの。このままだとどこかから連れてこられた養子に全てを奪われる可能性の方が高い。だったら、侯爵位を奪って侯爵家から少しでも多くを奪って逃げ出すわ」
「でも侯爵家は今資産はないんですよね?」
「一つあるじゃない。貿易会社の社長職が」
「それはさっき無理だと仰いませんでしたか?」
「ところが無理じゃなくなるの」
「心配かけてごめんね」
「こちらこそ、あんなことになってしまってごめんなさい。もっと違う伝え方とかあったんじゃないかと思って」
「ライラは悪くないわ。すごくショックだったけど全部本当のことが分かったから良かったって思ってるの」
「⋯⋯本当に?」
「大勢の人が聞いていて恥ずかしかったしあんなに仲が良かったのにって思うと悲しいけど、それ以上に腹が立ってるの。
だって浮気も横領もハーヴィーにしたことも全部相手が悪いなんて! そんな人を信じてたって思ったら辛いより怒るでしょう」
「う、うん。まあ、そうかな」
「ミリセントが傷つくからって言うあの台詞が一番ムカついたわ。傷つけたのは誰でもない、ジェラルドじゃない!」
「う、うん。そうだよね」
「昨日いっぱい泣いたら目が腫れちゃって、恥ずかしいから今日はお休みしたんだけど。悲しくて泣いたより悔しくて泣いた方が長かったわ。
お母様と2人で一晩中文句を言い合ったらスッキリ」
ミリアーナはまだ目が腫れていて恥ずかしいからと部屋に篭っているらしい。
「思ったより元気そうで安心したわ」
「ええ、お父様が直ぐに動いてくださったからもう婚約破棄できたし、次はもっと真面な方を選ばなくちゃって思ってるの」
罪が公になる前に婚約破棄できるようシェルバーン伯爵は夜の間に書類を作成し、夜明け前にはメイヨー公爵家に向かった。
青褪めた公爵が頭を下げるのを無視して無言でサインさせてそのまま王宮へ向かった。
「どのくらい横領したのか知らないけど、お父様はたっぷり慰謝料を払わせる書類にサインさせたって仰ってた。まあ、公爵家の資産からすれば微々たるものだと思うけどね。
それが手に入ったらうーんと美味しい物を食べに行って、こきおろし大会しようね。ジェラルドから贈られたものは全部捨てるか寄付するつもりなの」
「慰謝料と学園への返済の金額は問題ないだろうけど、これから別の意味で大変になるわね。褫爵にはならなくても確実に降爵になられると思うし、社交界にも参加できないんじゃないかしら」
ターンブリー侯爵家は一時期困窮していたとしても建国以来続く由緒正しい家系。婚姻で繋がった家も多く広い人脈もある。
「ハーヴィーは社交界なんかで評判も良かったしね」
「ええ、メイヨー公爵家が沈んだら国内の情勢も大きく変わるかもね」
「ああ、王家派と貴族派ね⋯⋯我が家は中立派だし」
メイヨー公爵家は王家派で、シェルバーン伯爵家は中立派だった。その婚姻がなくなった上にターンブリー侯爵家は貴族派だったので、この事件がどれくらいの余波を起こすのかこれから多くの家が戦々恐々とすることになる。
「まあ、次の代になると別だけど今のターンブリー侯爵様の間は大丈夫だろうし。それに比べてメイヨー公⋯⋯」
ミリセントの話しは続いていたがライラは頭に浮かぶ言葉の羅列で考えに沈んでいった。。
(次の代⋯⋯役員⋯⋯つく方⋯⋯勝ち組⋯⋯なんでもあり⋯⋯)
「⋯⋯ラ、ライラ。どうしたの? 顔が真っ青よ」
「あ、ごめんなさい。ちょっと思い出したことがあって、今日は失礼するわね」
「う、うん」
「明日、学園で待ってるね」
ライラが馬車に乗ると珍しくノアも乗り込んできた。ゆっくりと走り出した馬車が屋敷へ向かいライラはまた思考に囚われはじめた。
(ターンブリー侯爵家に何かが起きたのは間違いないわ。ビクトールの様子からして昨日のことだと思う⋯⋯学園を早退する時に会ったビクトールはいつも通りだった。その後はわからないけど、ターンブリー侯爵がハーヴィーの件を知らされたのは夕方のはずで)
ターンブリー侯爵はハーヴィーの事を大切にしていたとは思うが優秀な嫡男と言う程度の意味合いだった気がする。
「ハーヴィーの葬儀の時、ターンブリー侯爵の様子ってどんな感じだった?」
「正直言うと不快でした。大切な息子を失って悲しんでおられるよりも、階段から落ちるなんてと怒っておられるようで。事実その言葉を何度も耳にしました」
「息子ではなく駒のひとつでしかなかったんだわ」
(私と同じだからよくわかるわ。政略で使うために生かされてるだけ、より利用価値が高くなるよう育てられるの)
「貴族派の家の跡継ぎが王家派に生命を奪われたなら、王家派を叩くチャンスよね。ターンブリー侯爵夫人の実家も貴族派だから、ビクトールの事なんて気にしていられないとは思わない?」
「そうですね。事件を起こして役員会から拒否されてからは他にいないから嫡男の位置にいるだけのような扱いで、縁戚から養子をもらうつもりだと予想していましたから」
「ビクトールがやりたい放題できるチャンスを見つけたら一番に何をするか考えてみたの。ターンブリー侯爵家の金庫は空っぽだけど、侯爵は貿易会社の社長で侯爵家の当主」
「なんでもありだとか言ってましたね」
「でね、ビクトールの立場に立って考えてみたんだけど。今の状況を考えてみたらなんでアリなんて言えないでしょう。
そうなるためには⋯⋯侯爵になればいいの」
「は? それは無理ではありませんか?」
「そうかしら? 社長職は役員会の決議が必要だけど、侯爵になるのは簡単ではないけど出来なくはないわ」
「⋯⋯この国の紋章制度か」
王族だけが使用していた印章を多くの貴族や商人達も使うようになった頃、重複した紋章が多数生み出され混乱を招く事態になった。
その為国は全ての紋章を管理する紋章院を設立し、所属する紋章官が紋章と紋章保持及び系譜の記録管理を行う。
紋章を使う王侯貴族や商人達は皆紋章院に登録する事を義務付けられており、偽装すると厳罰に処せられるが紋章印の押された書類は何よりも優先される。
「もし仮にビクトールが侯爵家にある紋章印を手にするチャンスがあったら?」
「奴なら絶対利用しますね」
「侯爵家は大混乱中のはず。情報が広まって王族派が知る前に手を打てたら一歩も二歩もリードできるでしょう。
侯爵が走り回っている時にたまたま執務室で机の上に置かれた紋章印を見つけたら、白紙にポンと押して逃げればいいの。そして、文章やサインは後から落ち着いてゆっくりと偽造すればいい。
この国の爵位は終身じゃないからそれが可能なの」
「奴ならバレても開き直りそうです」
「ええ、だって自分には後がないって知ってるはずだもの。このままだとどこかから連れてこられた養子に全てを奪われる可能性の方が高い。だったら、侯爵位を奪って侯爵家から少しでも多くを奪って逃げ出すわ」
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