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王都
4.スペンサー
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「リディアはポーレット伯爵家を継ぐんだと誰もが思ってたの。
ファルマス子爵と結婚するって聞いてびっくりしたわ」
「・・」
「リディアは何故結婚しようと思ったの?」
リディアは困った様に笑い、
「お父様が私を爵位継承者に指定すると言い出したので、だったら結婚しようって考えました」
「ポーレット伯爵は、お兄様の事を諦めたのね」
「はい。兄の事はもう諦めて私に婿を取ると仰いました。
だったら、結婚して家を出るって言いましたの」
「リディアはまだ探してるのね。こんなに時間が経ったのに、まだ生きていると信じてるの?」
「彼は生きてます。
うちには双子の義妹がいるんですけど、その子達を見ていたら確信が持てたんです」
「双子にだけ分かる特別な何かって事?」
「はい、兄は・・スペンサーは生きてます。
だから私は彼を探さなくちゃいけないんです」
「それにしても、どうしてファルマス子爵を選んだの?」
「丁度その頃お話が来ていて、偶々というか何となくというか」
リディアは、いい加減な結婚の決め方をしたなぁと今更ながら恥ずかしくなっていた。
「誰でも良かったって事ね」
ジェシカが笑いながら糖菓をつまんでいる。
スペンサー商会の名前の由来は、6歳の時誘拐され行方知れずになったリディアの双子の兄の名前。
リディアは、商会の仕事で様々な土地を訪れる商会員達からスペンサーの情報を集めていた。
スペンサー商会が大きくなりポーレットの名前と共に有名になれば、兄が名乗り出てくれるかも知れない。
兄を知っている人が出てくるかも・・。
今回河川交易を思い立ったのも、より広い範囲で捜索する為。
これで見つからなければ海上貿易も視野に入れている。
ドアがノックされ、夕食の準備が出来たと執事が声をかけてきた。
ジェシカとリディアが食堂に行くと、既にレノンとセシリアが席についていた。
メイド達が料理や飲み物を運んできた。
「母上グリューワインは如何ですか?
香辛料の配合を少し変えたらしくて、今日のはかなりおすすめです」
「そうね、私達は少しだけにしておこうかしら。
さっき食前酒を頂いたばかりだから」
「気候の変化を楽しめる土地で育ったミュスカと、温暖で過ごしやすい気候で育ったボーヌ。
どちらが好みに合われましたか?」
「変化を楽しみたいのか、穏やかに過ごしたいのか?
どちらも捨て難いわね」
レノンが笑っている。
「母上の言い方では、誰もワインの品評だとは思いませんよ」
「ワインも人も、どちらを選ぶかはその人の好みって事かしら。
リディアあなたはどちらが好きだった?」
「今はミュスカの方が好きです。
もう少し大人になったら、ボーヌに惹かれていくような気がします」
レノンが眉間に皺を寄せた。
「リディアに穏やかな人生は向いてないと言うか、あり得なさそうだな」
「そっそんな事ないです。いずれは、まったりのんびり領地で暮らしたいと思っています」
ジェシカとレノンが二人揃って吹き出し、セシリアは不機嫌そうにしている。
「リディアには無理だと思うな。
いくつになっても何かしらやらかして、周りを慌てさせていそうだ」
「そんな事はないと。多分、大丈夫です」
歳をとってもセオやマーサに怒られている自分を想像して、ブルブルと震えたリディアだった。
ファルマス子爵と結婚するって聞いてびっくりしたわ」
「・・」
「リディアは何故結婚しようと思ったの?」
リディアは困った様に笑い、
「お父様が私を爵位継承者に指定すると言い出したので、だったら結婚しようって考えました」
「ポーレット伯爵は、お兄様の事を諦めたのね」
「はい。兄の事はもう諦めて私に婿を取ると仰いました。
だったら、結婚して家を出るって言いましたの」
「リディアはまだ探してるのね。こんなに時間が経ったのに、まだ生きていると信じてるの?」
「彼は生きてます。
うちには双子の義妹がいるんですけど、その子達を見ていたら確信が持てたんです」
「双子にだけ分かる特別な何かって事?」
「はい、兄は・・スペンサーは生きてます。
だから私は彼を探さなくちゃいけないんです」
「それにしても、どうしてファルマス子爵を選んだの?」
「丁度その頃お話が来ていて、偶々というか何となくというか」
リディアは、いい加減な結婚の決め方をしたなぁと今更ながら恥ずかしくなっていた。
「誰でも良かったって事ね」
ジェシカが笑いながら糖菓をつまんでいる。
スペンサー商会の名前の由来は、6歳の時誘拐され行方知れずになったリディアの双子の兄の名前。
リディアは、商会の仕事で様々な土地を訪れる商会員達からスペンサーの情報を集めていた。
スペンサー商会が大きくなりポーレットの名前と共に有名になれば、兄が名乗り出てくれるかも知れない。
兄を知っている人が出てくるかも・・。
今回河川交易を思い立ったのも、より広い範囲で捜索する為。
これで見つからなければ海上貿易も視野に入れている。
ドアがノックされ、夕食の準備が出来たと執事が声をかけてきた。
ジェシカとリディアが食堂に行くと、既にレノンとセシリアが席についていた。
メイド達が料理や飲み物を運んできた。
「母上グリューワインは如何ですか?
香辛料の配合を少し変えたらしくて、今日のはかなりおすすめです」
「そうね、私達は少しだけにしておこうかしら。
さっき食前酒を頂いたばかりだから」
「気候の変化を楽しめる土地で育ったミュスカと、温暖で過ごしやすい気候で育ったボーヌ。
どちらが好みに合われましたか?」
「変化を楽しみたいのか、穏やかに過ごしたいのか?
どちらも捨て難いわね」
レノンが笑っている。
「母上の言い方では、誰もワインの品評だとは思いませんよ」
「ワインも人も、どちらを選ぶかはその人の好みって事かしら。
リディアあなたはどちらが好きだった?」
「今はミュスカの方が好きです。
もう少し大人になったら、ボーヌに惹かれていくような気がします」
レノンが眉間に皺を寄せた。
「リディアに穏やかな人生は向いてないと言うか、あり得なさそうだな」
「そっそんな事ないです。いずれは、まったりのんびり領地で暮らしたいと思っています」
ジェシカとレノンが二人揃って吹き出し、セシリアは不機嫌そうにしている。
「リディアには無理だと思うな。
いくつになっても何かしらやらかして、周りを慌てさせていそうだ」
「そんな事はないと。多分、大丈夫です」
歳をとってもセオやマーサに怒られている自分を想像して、ブルブルと震えたリディアだった。
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