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4.悩める脳筋は首を傾げる
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夜会の翌日、ローゼン商会にはサラを含めた商会役員5人は談話室に集まり頭を抱えていた。
「マジかよ、信じらんねぇ」
領地に質の良い複数の鉱石がでる鉱山があるギルバートは『宝石は得意』だと言って貴金属部門を担当している。設立当初は獣人特有の大きな身体で護衛役を務めたこともある。
「ボクス公爵家は終わったわね。イーサンだけじゃなくてアリーシャ・メイビルまで関わってるならボクス領に支店を出すのは危険だわ。あーもー、こんな事なら無理矢理でもセドリックと結婚しておけば良かったわ」
イーサンが公開婚約破棄騒動を起こすまで、セドリックと婚約していたメリッサは『あんな奴と親戚になるなど断る』と言う家族に押し切られて婚約を解消し、ナダル伯爵家に嫁いだ。
それと同時にセドリックは一度商会から手を引いたがライリーに代わって家具部門を担当することになっていた。
「あ、あの⋯⋯しし、支店を出さないなら、てて、店舗は?」
食品部門の担当が決まったばかりのタイラーがギルバートの顔色を伺いながら聞いてきた。
「取り敢えず現状でストップしようと思うの。支店をオープンしたら絶対に食い物にされるから出せないけど、当面は私の事務所代わりに使おうと思ってる。費用は私が支払うわ」
「サラとの連絡に使えるから商会持ちでいいんじゃないか? 仕事中毒のサラの事だから事務員は必須だな」
少し過保護なライリーの頭の中には候補になりそうな事務員の顔が何人も浮かんできた。
セドリックが商会に参加するのと同時にボクス公爵領に出店予定で購入した店舗は内装工事も終わり商品の搬入待ちになっている。
領主館から歩いていける商店街の一角で一階が店舗、二階が事務所兼倉庫になっており近くには大きな公園やギルドが乱立している。
「事務員だけじゃ危なくね? 安全面を考えて護衛も準備しようぜ」
ギルバートの野太い声にサラ以外の全員が首を縦に振った。
「商品の輸送ルートを見直すか。公爵領を通るのは危険になるかもしれん」
「ありえるー、アイツらなら馬車の前に仁王立ちして『荷物を寄越せ』とか言いそう」
「そそ、そんなにヤバい人なんですか?」
「ああ、学園時代に下級生に『上納金を持ってこい』って言ったり持ち物を取り上げたりしてた奴だからな」
「アリーシャだって『可愛い~、それ頂戴』が口癖だったって」
アリーシャはサラの1学年下で入学してすぐイーサンと付き合いはじめた。
公爵家の名前を出して好き放題していたが、イーサンが卒業後領地に監禁された後伯爵家の次男と付き合いはじめ妊娠。学園を辞めて結婚したが子供を置いて駆け落ちした強者。
「いつの間に舞い戻ってたのか全然知らなかったわ。男爵家からは縁を切られたんでしょう? 今どこに住んでるのかしら」
「多分だけど、ボクス公爵家のタウンハウスにいる気がする」
「だよな~、殴り込みしてやろうか? イーサンなんざ、チョイっと放り投げりゃチビって終わるぜ?」
「ギルバート、あんた破落戸じゃないんだから」
「まあ、そんなに長くはかからないと思うから、輸送ルートの変更と店舗の売却先は早めに動いておこうと思う」
「へ、どゆこと?」
「ギルバート、サラの説明聞いてなかった? 札付きの愛人がドレスとベールの準備をするのよ。んで、イーサンは一緒に暮らせるって舞い上がってるの」
「おう、それはさっき聞いたな。で?」
「ベールなんて結婚する気満々じゃん」
「そう言やぁ、なんでベールがいるんだ?」
脳筋よりのギルバートが首を傾げた。
「公爵家から私とは結婚式はあげないって言われてるけど、イーサンとアリーシャが結婚式をあげるんだと思う。愛人の家で一緒に暮らす予定なんだと思うけど、あのアリーシャがいつまでも大人しくしてるとは思えない」
「だな、アリーシャなら間違いなく屋敷に乗り込んでくる。そうなると契約違反で即離婚! マジ短い結婚生活になりそうじゃん」
「でしょ? だから早めに準備しとかなきゃね」
サラとライリーがハイタッチするのを笑いを堪えながら見ているメリッサは、いまだに首を傾げているギルバートの頭をこづいた。
「なあ、ちょっと知りてえんだけど。そんな状況なのになんでサラに結婚なんて申し込んできたんだ? しかもあんな条件突きつけたのに断らねえとか、マジわかんねえんだけど」
「マジかよ、信じらんねぇ」
領地に質の良い複数の鉱石がでる鉱山があるギルバートは『宝石は得意』だと言って貴金属部門を担当している。設立当初は獣人特有の大きな身体で護衛役を務めたこともある。
「ボクス公爵家は終わったわね。イーサンだけじゃなくてアリーシャ・メイビルまで関わってるならボクス領に支店を出すのは危険だわ。あーもー、こんな事なら無理矢理でもセドリックと結婚しておけば良かったわ」
イーサンが公開婚約破棄騒動を起こすまで、セドリックと婚約していたメリッサは『あんな奴と親戚になるなど断る』と言う家族に押し切られて婚約を解消し、ナダル伯爵家に嫁いだ。
それと同時にセドリックは一度商会から手を引いたがライリーに代わって家具部門を担当することになっていた。
「あ、あの⋯⋯しし、支店を出さないなら、てて、店舗は?」
食品部門の担当が決まったばかりのタイラーがギルバートの顔色を伺いながら聞いてきた。
「取り敢えず現状でストップしようと思うの。支店をオープンしたら絶対に食い物にされるから出せないけど、当面は私の事務所代わりに使おうと思ってる。費用は私が支払うわ」
「サラとの連絡に使えるから商会持ちでいいんじゃないか? 仕事中毒のサラの事だから事務員は必須だな」
少し過保護なライリーの頭の中には候補になりそうな事務員の顔が何人も浮かんできた。
セドリックが商会に参加するのと同時にボクス公爵領に出店予定で購入した店舗は内装工事も終わり商品の搬入待ちになっている。
領主館から歩いていける商店街の一角で一階が店舗、二階が事務所兼倉庫になっており近くには大きな公園やギルドが乱立している。
「事務員だけじゃ危なくね? 安全面を考えて護衛も準備しようぜ」
ギルバートの野太い声にサラ以外の全員が首を縦に振った。
「商品の輸送ルートを見直すか。公爵領を通るのは危険になるかもしれん」
「ありえるー、アイツらなら馬車の前に仁王立ちして『荷物を寄越せ』とか言いそう」
「そそ、そんなにヤバい人なんですか?」
「ああ、学園時代に下級生に『上納金を持ってこい』って言ったり持ち物を取り上げたりしてた奴だからな」
「アリーシャだって『可愛い~、それ頂戴』が口癖だったって」
アリーシャはサラの1学年下で入学してすぐイーサンと付き合いはじめた。
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「いつの間に舞い戻ってたのか全然知らなかったわ。男爵家からは縁を切られたんでしょう? 今どこに住んでるのかしら」
「多分だけど、ボクス公爵家のタウンハウスにいる気がする」
「だよな~、殴り込みしてやろうか? イーサンなんざ、チョイっと放り投げりゃチビって終わるぜ?」
「ギルバート、あんた破落戸じゃないんだから」
「まあ、そんなに長くはかからないと思うから、輸送ルートの変更と店舗の売却先は早めに動いておこうと思う」
「へ、どゆこと?」
「ギルバート、サラの説明聞いてなかった? 札付きの愛人がドレスとベールの準備をするのよ。んで、イーサンは一緒に暮らせるって舞い上がってるの」
「おう、それはさっき聞いたな。で?」
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