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29.私のターン終わったんですけど?
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「イーサン、いい加減にしなさい」
リチャードが起き上がりメアリーとウォルターに支えられて立ち上がった。
「イーサンもモーガン侯爵家もサラをなんだと思ってるんだ。信じられん」
「旦那様! なんで?」
「父上!」
立ち上がった公爵を見て慌てふためいたビクトールがこっそり逃げようと入り口のドアに走り寄りドアノブをガチャガチャと回したが、鍵がかかっていて開かないことに気付いて壁に背をつけてしゃがみ込み頭を抱えた。
「ビクトールの薬と香をやめたお陰でかなり動けるようになった。だが、その話はこの後だ。サラ、不快な思いをさせて本当にすまなかった。ボクス公爵家当主として謝罪する」
サラに向かってリチャードが丁寧に頭を下げた。
「謹んで謝罪を受け入れさせていただきます。婚約者としてお屋敷に招待していただき、ご当主様とお会いできました事は心からの喜びでございます。
残念ながらこのような結果になりましたが、ボクス公爵家の更なるご発展をお祈りいたしております」
(私のターンはこれで終わり。はあ、喋り疲れちゃった~)
シエナとケビンを連れて部屋を出ようとしたサラをリチャードが引き留めた。
「もう少し時間をもらえるかな? ウォルター、サラ様に椅子と何か飲み物を差し上げてくれ」
「では、私が⋯⋯」
メアリーがリチャードから手を離し部屋の隅の椅子を持ち上げようとするのをケビンが手伝った。
「これはわたくしがお持ちします。メアリーさんはサラ様にお飲み物をお願いします」
「ありがとうございます」
ペコリと頭を下げたメアリーがお茶の準備に取り掛かった。ケビンが運んできた椅子に渋々腰掛けたサラはにっこりと笑ってお礼を言い静かにリチャードの言葉を待った。
「イーサン、お前は平民となり罪を償いなさい。援助金や慰謝料、店の支払いなどは立て替えておくから、罪を償った後に少しずつでも返しなさい。
仕事や住むところの斡旋はしてやるから今度こそ心を入れ替えて真面目に働きなさい」
「父上、俺しかこの公爵家の後継はいません!」
「後継には養子をもらうことに決めたよ」
「⋯⋯そんな! 駄目よ、絶対に駄目⋯⋯イーサンを平民にするなんて許さないわ。わたくしの息子を勝手に除籍するなんて絶対に許さない!!」
「イーサンはエスメラルダの息子であると同時に私の息子でもある。間違いを起こせば厳しく躾けるのが当然だろう?
これは、父親としての義務だ」
「父親⋯⋯あなたは父親なんかじゃないわ! イーサンを平民だの犯罪者だのにする権利なんてないんだから!!」
「訳のわからん事を⋯⋯私がイーサンの父親ではないなどと」
ハッとしたように目を見開いたエスメラルダが口をつぐんで横を向いた。
「この後グルーバー家の医師が特殊な薬を持ってくる。それまでに真実を話すか、その後に話すか好きな方を選びなさい。
但し、嘘や偽りが判明した時はもっと重い罰を与えねばならん」
不安そうな顔のイーサンはエスメラルダの顔を凝視していた。
「母上、はっきり言って下さい。俺は父上の子供だって」
コソコソと逃げ出そうとしたアリーシャは入り口のドア近くで蹲るビクトールを見て足を止めた。
「え! 逃げらんないの? ちょ、マジ?」
静まりかえった部屋をキョロキョロと見回したアリーシャはビクトールの横にしゃがみ込んだ。
「ねえ、どうなってるの? イーサンのパパは死にかけだからもう直ぐイーサンが公爵になるって聞いたのに、めちゃめちゃ元気そうじゃん。
アンタ何か知ってるんでしょ? ちょ、黙ってないでなんとか言いなさいよ」
「どうする? 黙っていてもじきに分かる事だが?」
「そうよ! お義父様は知ってた⋯⋯いつも疑うような目で睨みつけて⋯⋯。あのジジイさえ何もしなければ全部上手くいってたのに!!
あなたは全然気付いてなかったでしょう!? 呑気にセドリックばかり可愛がってたものね」
「それで父上を殺したのか」
「コソコソと嗅ぎ回るジジイと真実薬なんかを作ったグルーバーが悪いのよ。そんな物を使ったら何もかもが終わるじゃない」
「ビクトールに薬を入れ替えさせ、グルーバー家を追い出した。それだけではないだろう? セドリックもお前が手にかけた」
「仕方ないじゃない。リチャードは死にかけてるけどセドリックがいたらイーサンには何も残らないんだから! セドリックがいなくなれば全部イーサンの物になるのよ!!」
「⋯⋯母上、そんな⋯⋯それじゃあ、俺は父上の子供じゃない?」
イーサンが膝から崩れ落ち床に手をついた。
リチャードが起き上がりメアリーとウォルターに支えられて立ち上がった。
「イーサンもモーガン侯爵家もサラをなんだと思ってるんだ。信じられん」
「旦那様! なんで?」
「父上!」
立ち上がった公爵を見て慌てふためいたビクトールがこっそり逃げようと入り口のドアに走り寄りドアノブをガチャガチャと回したが、鍵がかかっていて開かないことに気付いて壁に背をつけてしゃがみ込み頭を抱えた。
「ビクトールの薬と香をやめたお陰でかなり動けるようになった。だが、その話はこの後だ。サラ、不快な思いをさせて本当にすまなかった。ボクス公爵家当主として謝罪する」
サラに向かってリチャードが丁寧に頭を下げた。
「謹んで謝罪を受け入れさせていただきます。婚約者としてお屋敷に招待していただき、ご当主様とお会いできました事は心からの喜びでございます。
残念ながらこのような結果になりましたが、ボクス公爵家の更なるご発展をお祈りいたしております」
(私のターンはこれで終わり。はあ、喋り疲れちゃった~)
シエナとケビンを連れて部屋を出ようとしたサラをリチャードが引き留めた。
「もう少し時間をもらえるかな? ウォルター、サラ様に椅子と何か飲み物を差し上げてくれ」
「では、私が⋯⋯」
メアリーがリチャードから手を離し部屋の隅の椅子を持ち上げようとするのをケビンが手伝った。
「これはわたくしがお持ちします。メアリーさんはサラ様にお飲み物をお願いします」
「ありがとうございます」
ペコリと頭を下げたメアリーがお茶の準備に取り掛かった。ケビンが運んできた椅子に渋々腰掛けたサラはにっこりと笑ってお礼を言い静かにリチャードの言葉を待った。
「イーサン、お前は平民となり罪を償いなさい。援助金や慰謝料、店の支払いなどは立て替えておくから、罪を償った後に少しずつでも返しなさい。
仕事や住むところの斡旋はしてやるから今度こそ心を入れ替えて真面目に働きなさい」
「父上、俺しかこの公爵家の後継はいません!」
「後継には養子をもらうことに決めたよ」
「⋯⋯そんな! 駄目よ、絶対に駄目⋯⋯イーサンを平民にするなんて許さないわ。わたくしの息子を勝手に除籍するなんて絶対に許さない!!」
「イーサンはエスメラルダの息子であると同時に私の息子でもある。間違いを起こせば厳しく躾けるのが当然だろう?
これは、父親としての義務だ」
「父親⋯⋯あなたは父親なんかじゃないわ! イーサンを平民だの犯罪者だのにする権利なんてないんだから!!」
「訳のわからん事を⋯⋯私がイーサンの父親ではないなどと」
ハッとしたように目を見開いたエスメラルダが口をつぐんで横を向いた。
「この後グルーバー家の医師が特殊な薬を持ってくる。それまでに真実を話すか、その後に話すか好きな方を選びなさい。
但し、嘘や偽りが判明した時はもっと重い罰を与えねばならん」
不安そうな顔のイーサンはエスメラルダの顔を凝視していた。
「母上、はっきり言って下さい。俺は父上の子供だって」
コソコソと逃げ出そうとしたアリーシャは入り口のドア近くで蹲るビクトールを見て足を止めた。
「え! 逃げらんないの? ちょ、マジ?」
静まりかえった部屋をキョロキョロと見回したアリーシャはビクトールの横にしゃがみ込んだ。
「ねえ、どうなってるの? イーサンのパパは死にかけだからもう直ぐイーサンが公爵になるって聞いたのに、めちゃめちゃ元気そうじゃん。
アンタ何か知ってるんでしょ? ちょ、黙ってないでなんとか言いなさいよ」
「どうする? 黙っていてもじきに分かる事だが?」
「そうよ! お義父様は知ってた⋯⋯いつも疑うような目で睨みつけて⋯⋯。あのジジイさえ何もしなければ全部上手くいってたのに!!
あなたは全然気付いてなかったでしょう!? 呑気にセドリックばかり可愛がってたものね」
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「⋯⋯母上、そんな⋯⋯それじゃあ、俺は父上の子供じゃない?」
イーサンが膝から崩れ落ち床に手をついた。
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