64 / 149
Sランク登録
62.ヘイトを集める
しおりを挟む
「さーて、どうすっかな? セオドラがとろとろしてっから書類が間に合ってねえ」
「すまん、俺が何とかする」
セオドラが真っ青な顔になって頭を下げた。
この状況でミリアに何かあればディエチミーラが黙っていないのは間違いない。
そうなれば間違いなくギルドはSランクのパーティーを失う事になるだろう。
それに加えてミリア自身もラードーンを一人で討伐できるほどの実力者だ。
ギルドとしてどうしても手放したくない。
「何だこいつらは」
勝手にドアを開けて部屋に入って来た騎士団長が怒鳴った。
「開口一番酷え挨拶だな、騎士団ってのは随分と礼儀がなってねえな」
ソファにだらしなく座ったままのギルマスが横目でじろりと騎士団長を睨みつけた。
「ふん、貴様には詰所に来てもらう。その偉そうな態度を反省するなら今のうちだぞ」
「はあ? なんでそんな汚ねえとこに行かなきゃなんねえんだよ」
「貴様が犯罪者ミリアを匿った罪に決まってるだろうが!」
騎士団長が怒鳴り声を上げた。
「失礼だが、ギルド本部への連絡が来ていないようだが?」
セオドラがギルマスの前に立ち塞がり威嚇した。
「貴様は誰だ?」
訝しげに首を傾けた騎士団長は目を眇てセオドラを見た。
「ギルド本部長のセオドラ・ミルタウンだ。ギルドの上級職員を拘束する場合は、本部への連絡及び正式な書類提出が義務付けられている」
「・・」
「ギルド内は治外法権になっているのは知っているな。
しかもここはギルドマスターの執務室。勝手に入って来たのであれば不法侵入で訴えることもできる」
「・・犯罪者を匿ってる奴を守るなら、貴様達も仲間だとみなされるが構わんのだな」
「ならば犯罪者を匿っているという証拠の提出をしてもらおう。
でなければ納得はできかねる」
騎士団長はセオドラの迫力に押され、ディエチミーラ達に矛先を向けた。
「・・そっちにいる奴らは誰だ?」
「我々はSランクパーティーのディエチミーラ」
ウォーカーが返事をした。
「何でここにいるんだ?」
「答える必要があるとは思えないが・・ダンジョンが攻略されたと連絡が来たのでね」
「ダンジョン? 攻略前ならいざ知らず、攻略後に来る必要はないだろうが?」
「そうでもないよ。出現した魔物やダンジョン内の情報共有など色々必要なことは多いんだ。
今回は非常に珍しい魔物が討伐されているから、特に話を聞いておく必要があるから」
ウォーカーの説明にとりあえず納得したのか、部屋の中を見回した団長がミリアを見つけた。
「・・あっ、そこにいるのはミリアだな!
おい、奴を捕まえろ」
団長が後ろに並んでいた団員に声をかけ、団員が剣を抜きながら前に出ようとした。
「動くな!」
セオドラが大声で団員達を恫喝した。
「ここは治外法権だと言ったのが聞こえなかったのか! 剣を抜ききった時点で逮捕・拘束する」
「奴は犯罪者だぞ! こちらに協力するのが筋ってもんだろうが」
団長が震えながら言い返してきた。
「彼女は現在私の管轄下にある。彼女を拘束したいのであればギルド本部に正式に申し入れしてもらおう。
こちらとしても事を荒立てたいわけではないんだが、本部長としてルールを破るわけにはいかないのでね。
其方が手順を踏んでくれさえすれば引渡しすることも出来るかもしれない。
その頃には私の要件は終わっているだろうから」
「わ、分かった。但しそいつを逃したら責任を取ってもらう」
「覚えておこう」
団員を引き連れて団長が出て行った。
「すげえ、セオドラが真面に仕事してるの初めて見たぜ。
長文話すのも立て板に水ってやつだったしな」
「あれくらい喋れなけりゃテスタロッサと一緒に仕事はできんからな」
「私は関係ありませんから。ルカなんて団長を怒らせただけじゃないですか」
「ばーか、あれで良いんだよ」
「なっ」
「あの、お言葉を返すようで恐縮ですが今回に限ってはあれで良かったと思います」
「えっ、ソフィアさんまで?」
「ギルマスが挑発したお陰で団長の頭に血が上がっていた。だから本部長の威嚇、恫喝の効果が高まった。所謂ヘイトを集めると言うやつです。
元パーティーメンバーの連携は見事でした」
「流石Sランクパーティーのリーダーだぜ。よく分かってんな」
「さて、仕切り直しかな?
アッシュフォールのギルマスの推薦状はちょっと前に行って貰って来ておいたんだ。
多分ミリアはこれがいるんじゃないかと思ってね。
リラがお祝いするから帰って来いって」
「ありがとう、まだ連絡してなかったの。助かった」
「それからハーミットのギルマス、ルカ・アルスター殿ミリアの事ありがとう。
突拍子もない事を仕出かす子だから苦労してないと良いんだけど」
「あー、苦労といやあ苦労しまくりだな。
ケルベロスを餌付けしようとする奴なんざ見たことも聞いたこともねえよ」
「ギルマス! それは内緒に」
「ん? ミリア、お前のやらかしは後でゆっくり聞こうかな? いっぱいありそうだ」
「おう、昨日のお茶会の話なんて聞いたら流石のディエチミーラも吃驚するだろうよ」
冷や汗たらたらで、目を泳がせたミリアだった。
「ソフィアさんもミリアの世話をありがとう」
「いえ、こちらこそ」
全員が座るには席が足りないのでソフィアが椅子を取りに行こうとすると、
「自前の椅子を出すのでご心配なく」
ウォーカーが立派なテーブルセットを出し、ソフィアが全員にお茶を出し直し話を進めることになった。
「で、セオドラの次の質問は?」
「ミリア・・さんの逮捕請求について、本当の事を教えて欲しい」
「すまん、俺が何とかする」
セオドラが真っ青な顔になって頭を下げた。
この状況でミリアに何かあればディエチミーラが黙っていないのは間違いない。
そうなれば間違いなくギルドはSランクのパーティーを失う事になるだろう。
それに加えてミリア自身もラードーンを一人で討伐できるほどの実力者だ。
ギルドとしてどうしても手放したくない。
「何だこいつらは」
勝手にドアを開けて部屋に入って来た騎士団長が怒鳴った。
「開口一番酷え挨拶だな、騎士団ってのは随分と礼儀がなってねえな」
ソファにだらしなく座ったままのギルマスが横目でじろりと騎士団長を睨みつけた。
「ふん、貴様には詰所に来てもらう。その偉そうな態度を反省するなら今のうちだぞ」
「はあ? なんでそんな汚ねえとこに行かなきゃなんねえんだよ」
「貴様が犯罪者ミリアを匿った罪に決まってるだろうが!」
騎士団長が怒鳴り声を上げた。
「失礼だが、ギルド本部への連絡が来ていないようだが?」
セオドラがギルマスの前に立ち塞がり威嚇した。
「貴様は誰だ?」
訝しげに首を傾けた騎士団長は目を眇てセオドラを見た。
「ギルド本部長のセオドラ・ミルタウンだ。ギルドの上級職員を拘束する場合は、本部への連絡及び正式な書類提出が義務付けられている」
「・・」
「ギルド内は治外法権になっているのは知っているな。
しかもここはギルドマスターの執務室。勝手に入って来たのであれば不法侵入で訴えることもできる」
「・・犯罪者を匿ってる奴を守るなら、貴様達も仲間だとみなされるが構わんのだな」
「ならば犯罪者を匿っているという証拠の提出をしてもらおう。
でなければ納得はできかねる」
騎士団長はセオドラの迫力に押され、ディエチミーラ達に矛先を向けた。
「・・そっちにいる奴らは誰だ?」
「我々はSランクパーティーのディエチミーラ」
ウォーカーが返事をした。
「何でここにいるんだ?」
「答える必要があるとは思えないが・・ダンジョンが攻略されたと連絡が来たのでね」
「ダンジョン? 攻略前ならいざ知らず、攻略後に来る必要はないだろうが?」
「そうでもないよ。出現した魔物やダンジョン内の情報共有など色々必要なことは多いんだ。
今回は非常に珍しい魔物が討伐されているから、特に話を聞いておく必要があるから」
ウォーカーの説明にとりあえず納得したのか、部屋の中を見回した団長がミリアを見つけた。
「・・あっ、そこにいるのはミリアだな!
おい、奴を捕まえろ」
団長が後ろに並んでいた団員に声をかけ、団員が剣を抜きながら前に出ようとした。
「動くな!」
セオドラが大声で団員達を恫喝した。
「ここは治外法権だと言ったのが聞こえなかったのか! 剣を抜ききった時点で逮捕・拘束する」
「奴は犯罪者だぞ! こちらに協力するのが筋ってもんだろうが」
団長が震えながら言い返してきた。
「彼女は現在私の管轄下にある。彼女を拘束したいのであればギルド本部に正式に申し入れしてもらおう。
こちらとしても事を荒立てたいわけではないんだが、本部長としてルールを破るわけにはいかないのでね。
其方が手順を踏んでくれさえすれば引渡しすることも出来るかもしれない。
その頃には私の要件は終わっているだろうから」
「わ、分かった。但しそいつを逃したら責任を取ってもらう」
「覚えておこう」
団員を引き連れて団長が出て行った。
「すげえ、セオドラが真面に仕事してるの初めて見たぜ。
長文話すのも立て板に水ってやつだったしな」
「あれくらい喋れなけりゃテスタロッサと一緒に仕事はできんからな」
「私は関係ありませんから。ルカなんて団長を怒らせただけじゃないですか」
「ばーか、あれで良いんだよ」
「なっ」
「あの、お言葉を返すようで恐縮ですが今回に限ってはあれで良かったと思います」
「えっ、ソフィアさんまで?」
「ギルマスが挑発したお陰で団長の頭に血が上がっていた。だから本部長の威嚇、恫喝の効果が高まった。所謂ヘイトを集めると言うやつです。
元パーティーメンバーの連携は見事でした」
「流石Sランクパーティーのリーダーだぜ。よく分かってんな」
「さて、仕切り直しかな?
アッシュフォールのギルマスの推薦状はちょっと前に行って貰って来ておいたんだ。
多分ミリアはこれがいるんじゃないかと思ってね。
リラがお祝いするから帰って来いって」
「ありがとう、まだ連絡してなかったの。助かった」
「それからハーミットのギルマス、ルカ・アルスター殿ミリアの事ありがとう。
突拍子もない事を仕出かす子だから苦労してないと良いんだけど」
「あー、苦労といやあ苦労しまくりだな。
ケルベロスを餌付けしようとする奴なんざ見たことも聞いたこともねえよ」
「ギルマス! それは内緒に」
「ん? ミリア、お前のやらかしは後でゆっくり聞こうかな? いっぱいありそうだ」
「おう、昨日のお茶会の話なんて聞いたら流石のディエチミーラも吃驚するだろうよ」
冷や汗たらたらで、目を泳がせたミリアだった。
「ソフィアさんもミリアの世話をありがとう」
「いえ、こちらこそ」
全員が座るには席が足りないのでソフィアが椅子を取りに行こうとすると、
「自前の椅子を出すのでご心配なく」
ウォーカーが立派なテーブルセットを出し、ソフィアが全員にお茶を出し直し話を進めることになった。
「で、セオドラの次の質問は?」
「ミリア・・さんの逮捕請求について、本当の事を教えて欲しい」
6
あなたにおすすめの小説
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………
naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話………
でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ?
まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら?
少女はパタンッと本を閉じる。
そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて──
アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな!
くははははっ!!!
静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。
断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について
夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。
ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。
しかし、断罪劇は予想外の展開へ。
偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら
影茸
恋愛
公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。
あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。
けれど、断罪したもの達は知らない。
彼女は偽物であれ、無力ではなく。
──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。
(書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です)
(少しだけタイトル変えました)
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
私の婚約者でも無いのに、婚約破棄とか何事ですか?
狼狼3
恋愛
「お前のような冷たくて愛想の無い女などと結婚出来るものか。もうお前とは絶交……そして、婚約破棄だ。じゃあな、グラッセマロン。」
「いやいや。私もう結婚してますし、貴方誰ですか?」
「俺を知らないだと………?冗談はよしてくれ。お前の愛するカーナトリエだぞ?」
「知らないですよ。……もしかして、夫の友達ですか?夫が帰ってくるまで家使いますか?……」
「だから、お前の夫が俺だって──」
少しずつ日差しが強くなっている頃。
昼食を作ろうと材料を買いに行こうとしたら、婚約者と名乗る人が居ました。
……誰コイツ。
精霊の愛し子が濡れ衣を着せられ、婚約破棄された結果
あーもんど
恋愛
「アリス!私は真実の愛に目覚めたんだ!君との婚約を白紙に戻して欲しい!」
ある日の朝、突然家に押し掛けてきた婚約者───ノア・アレクサンダー公爵令息に婚約解消を申し込まれたアリス・ベネット伯爵令嬢。
婚約解消に同意したアリスだったが、ノアに『解消理由をそちらに非があるように偽装して欲しい』と頼まれる。
当然ながら、アリスはそれを拒否。
他に女を作って、婚約解消を申し込まれただけでも屈辱なのに、そのうえ解消理由を偽装するなど有り得ない。
『そこをなんとか······』と食い下がるノアをアリスは叱咤し、屋敷から追い出した。
その数日後、アカデミーの卒業パーティーへ出席したアリスはノアと再会する。
彼の隣には想い人と思われる女性の姿が·····。
『まだ正式に婚約解消した訳でもないのに、他の女とパーティーに出席するだなんて·····』と呆れ返るアリスに、ノアは大声で叫んだ。
「アリス・ベネット伯爵令嬢!君との婚約を破棄させてもらう!婚約者が居ながら、他の男と寝た君とは結婚出来ない!」
濡れ衣を着せられたアリスはノアを冷めた目で見つめる。
······もう我慢の限界です。この男にはほとほと愛想が尽きました。
復讐を誓ったアリスは────精霊王の名を呼んだ。
※本作を読んでご気分を害される可能性がありますので、閲覧注意です(詳しくは感想欄の方をご参照してください)
※息抜き作品です。クオリティはそこまで高くありません。
※本作のざまぁは物理です。社会的制裁などは特にありません。
※hotランキング一位ありがとうございます(2020/12/01)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる