✖️✖️の薬を作ったら牢に入れられました。ここで薬を作れ? それは嫌かなー。って事でさよならします

との

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新しいパーティー

84.大事な場面じゃね?

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(どうしよう、やっぱり何かあった?)


「ディエチミーラとちびすけからの勧誘を受ける」

「へ?」

「前衛がいるんだよな。
獲物はクレイモアとダガーで、冒険者ランクはA。経験年数は十一年、他に聞きたいことは?」


「パーティーを組むって事?」

 突然のギルマスの変貌にミリアは首を傾げた。

「そうだ」

「でも薬草採取しかしてないし」

「ちびすけは災難を呼び込む癖がある」


「それは誤解です。私はごく普通の薬師ですから」

 ミリアの返事にギルマスの顳顬がピクピクしはじめた。
 ギルマスはミリアを無視して通信の魔道具で本部に繋いだ。


「本部長はいるか?」

『今会議中で席を外してます』

「なら伝えておいてくれ、本日付けてギルドを退職する。ギルマス代行はソフィア、さっさと新しいギルマスを準備しろって」

『は? えっ、今本部長に繋ぎ』


 話の途中で通信をぶち切ったらしいギルマス・・元ギルマスが、

「と言う事だ」

「だっダメです。ギルマスはギルマスじゃないと、あんなにみんなに慕われてるのに辞めたらみんなが悲しみます」

「俺がここに来てからまだ一年しか経ってねえ。ここの奴らは俺よかよっぽどしっかりしてる」


「無神経に勧誘なんてしてごめんなさい。この間皆さんの様子を見て、言っちゃいけない事だったって反省してます」

「ちびすけは俺がいらないのか、みんなに遠慮してるのか。どっちだ?」


 ミリアは答えに窮してしまった。

(初めて会った時はボサボサの髪の怖くて意地悪そうなおじさんだと思ったのに)

 ギルマスの怒ってる顔や寝ぼけてる顔、いつもの『ちびすけ』『てめえ』を思い出した時に感じる泣きたいような不思議な気持ちにミリアは戸惑っていた。

(なんだろう、すごくモヤモヤする)


 ミリアは馬車から降りた時ギルマスを見て気づいた。

(もしかして私ギルマスの事を?)



「私は・・ギルマスは、えっと何故・・考えが変わったのかなぁと」


「ちびすけから目が離せねえ。ウォーカーがいてヴァンも一緒なんだから俺がいなくても問題ねえと思ったんだが心配で頭が働かん。
だったらしょうがねえ、パーティー組んで一緒に行動すりゃいい」

 ギルマスの返事にほんのちょっぴり嬉しくはあるけれど大いにガッカリしたミリアだった。

(だよね、心配だからしょうがなく)


 ギルマスは口は悪いけど優しいし結構世話好きだからなぁとミリアは自分の中に沸き起こった切ない気持ちに蓋をした。



「で、どうするよ」

「冒険者や職員の皆さんの意見を聞いてからの方がいいです。後、ちまちま薬草採取してるだけでも良ければお願いします」



 ギルマスは「わかった」と言って一階に降りて行ったが、ミリアはみんなの目が怖くて階段の上からこっそりと下の様子を伺うことにした。


「ちょっと聞きたいんだが、俺がギルマス辞めて冒険者に戻ると問題のある奴はいるか?」

「・・」



 冒険者達が顔を見合わせてヒソヒソ話をしはじめた。

「これ大事な場面ってやつじゃね?」

「ギルマスあたしらに何て答えて欲しいんだ?」

「いなくなるのはちょっとなあ」


 小声で話している冒険者達の声がチラチラと聞こえて来るとミリアは泣き出しそうになってきた。



「えーっと、この際だから正直に言ってもいい?」

「おう、何でも言っていいぜ。覚悟はできてるしな」

 ギルマスが今まで見たことがない真面目な顔をしている。


「アンタが来る前のギルマスは超最低な奴だったじゃん? で、アンタが代わりに来たらチャランポランでいい加減で。口は悪いし態度はデカいし」

「だな。全部合ってる」


「それがねえ、気が付いたら気に入ってたって言うかさあ。アンタと話してると何だか『あー、もーいいか』って気分になってお陰で喧嘩が減ってる。
口の悪い弟を弄って気分転換したら次の日元気にやれる・・みたいな感じ」

「良いギルマスと俺も思うぜ。次のギルマスはソフィアにしっかり躾けてもらわんとな、前回の奴みたいなのはお断りだぜ」

「まだ若いんだし、二階でぐだぐだしてるより走り回ってこいって。
ちびちゃんの守りがしてえんだろ?」

「ああ」



「全く若いくせにグダグダと」

「しょうがないよ。唐変木の青二才だもん」

「コイツみてえなのを朴念仁って言うんじゃなかったか?」

「ビビりだろ?」


 ギルマスが苦笑いしながら「んじゃ」と言って二階に上って来た。

 階段上の隅に隠れていたミリアを見つけたギルマスがゲラゲラと笑いはじめた。

「ちびすけ、ちっこいとすみっこがよく似合うぜ」

 しゃがみ込んだままでギルマスを見上げたミリアはもう一つ大切なことを聞いた。

「例えばだけどヴァンやウォーカーが私と一緒にいたらギルマスはどうするの?」


「一回パーティー組んだらその程度の事で解散とかねえよ。むしろ解散したら笑われるだろうが」

「そっか」

(親切心で一緒・・それでもいいか)


「ただし、ウォーカーとヴァンは一発ぶん殴らせてもらう」

「へ? なんで」


「ちびすけとカノンを放置した罰」


「放置なんてしてないから。今日はたまたま用事が出来て」

「そう言うのが一番危ねえんだよ。たまたまを狙ってる奴は何処にでもいんだからな。
まあ取り敢えず出てこいよ、これじゃ話がしづれえ」


 元ギルマスがミリアを連れて部屋に戻るとソファの上にヴァンが丸くなっており背中の上にディーが座っていた。



『我を犬コロ呼ばわりしてただで済むと思うな』

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