✖️✖️の薬を作ったら牢に入れられました。ここで薬を作れ? それは嫌かなー。って事でさよならします

との

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アルスター侯爵家

111.先ずは一人目

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「隠している・・確かにそうかもしれません。・・侯爵家は6年前の天災の前から資金繰りが上手くいっておりませんでした。王家に納める税も滞っており・・。そこへ徴税人がやって来て換金可能なものを洗いざらい持って行ってしまったのでございます」

「まさかミリアさんが仰られた資金提供者のお話?」

 ジョージがエレノアの質問に頷いた。

「あの時驢馬や牛を購入し牧場を建設する費用は侯爵家にはなかったのです。旦那様は何処かから資金を準備してこられましたが、それについては一切何も仰いません。借入であれば返済の記録があるはずなのですがそれもございませんし」

「最初に侯爵領に関わったのはマイアだったのね。その後カリストー達がやって来たのは彼らにとって予定調和だった。偶然やって来て熊を討伐してくださったわけではなかった・・それではあの天災も「やめよう、そこは今突っ込まない方がいいと思います」」

 ミリアが珍しくエレノアの言葉を遮った。ルカはミリアをチラッと見て話しかけたが気が変わったのか別の話を切り出した。

「さてと、作戦会議だな。と言っても働くのは相変わらずちびすけと俺だけだし丁稚のジョージが増えたくらいか」


「わたくしにも何かお手伝い出来る事はありませんか?」

「エレノアにはカノンを頼む。ヴァンとディーはカノンの側で待機だから安全面は心配ないが人が来た時の対応をエレノアに任せる」


「神獣と精霊は強力な戦力になるのではありませんか?」

「神獣と悪魔が戦ったら侯爵領どころか国が滅びるぜ。残りの悪魔が集結して天使が駆けつけて・・ジョージ、試してみるか?」

「いえ、浅慮なことを申しました」


『最近退屈でつまらん。我を楽しませる案件を見つけて参れ』

「ヴァンまでヨルムガンドみてえな事言いはじめたぜ。さすが兄弟だな」


「あの、旦那様へのご報告はいかが致しましょうか?」

「あー、暫く放置で良いんじゃねえか? 下手に教えてマイア辺りに喋られたら計画がオジャンだしな」

「畏まりました。ではそのように取り計います」

「おう、準備ができたらボッコボコにしてやる」

 ルカがいつにもより悪辣な顔でニヤリと笑った。




 それから暫くの間は日常を取り戻したかのような穏やかな日が続いた。

「カリストーの武器は弓だけど、変身したら熊の力と鋭い爪の接近戦になる。
ヘルメースはタラリア翼の生えた黄金のサンダルで空を飛べて、ハルペーと呼ばれる鎌かショーテルと呼ばれる両刃の剣を使う。手に持っているケーリュケイオンは眠りの状態異常を引き起こすし死者蘇生にも使える。アルゴスを石で殴り倒したとも言われてるから力技の接近戦も出来るかも」

「ヘルメースが予想通り厄介だな。状態異常に空中戦、鎌と両刃剣を使う癖に腕力もある、向かう所敵なしだな。まずはカリストーから潰すか」

「そうね、ヘルメースと戦ってる時遠くから弓で狙われるのはキツイもの」

「まずはジョージにカリストーを誘い出させるか。どこにする?」

「熊の情報を流して山に誘き寄せる。一人で来るから二手に分かれたら弓は狙いにくい」

 ミリアはロビンから貰った護符をルカに渡した。
「ルカさんは接近戦がメインだからカリストーが熊に変身するまでは出来る限りこれを使って」

「おう、結構あるな」

「うん、吃驚するほど大量に貰ったの。ヘルメースの時はあまり役に立たないかもしれないから使い切っても問題ないからね」




 空に大きな入道雲がわきギラギラと夏の太陽が照りつける日にジョージは宿から出てきたジュピターカリストーに声をかけた。

「熊・・村人からは何も聞いてませんが?」

「はい、わたくし共も聞いたばかりでして。大型でかなり気が立っている雄のようです。山菜摘みに入ったものが山の中腹で見かけたそうでございます。村に降りてくる前にジュピター様に討伐して頂ければと思いまして」

「一頭と言うこと?」

「目撃されたのは一頭だけでございますが、酷く慌てていたようですので周りを確認する余裕はなかったかと思われます」

「そう、雄なら近くに仲間がいない可能性もあるわね」

 カリストーは矢筒と弓懸を確認し弓の弦をチェックしながらスタスタと山に歩いて行った。ジョージはカリストーの後ろ姿を見ながら独りごちた。

「疑っているわけではありませんが、人ではないとは思えないですね。しかも熊になるなど・・」


 カリストーはカサカサと落ち葉を踏み締め慣れた足取りで山を登って行った。途中新しい熊の足跡や糞を探してみたが今のところ見つかっていない。

(ほんとに熊だったのかしら? 見間違えなんじゃないの?)

 人間は些細なことでビクついてうんざりするし、そろそろこの村にも飽きて来たと思いながら鼻をヒクヒクさせて辺りを伺った。カリストーはへーラーに熊に変えられてから視覚よりも嗅覚が発達していった。

(私は弓使いなんだから視力の方が大事なのに!)

 カリストーはへーラーへの恨みを呟きながら再び山を登りはじめた。

(いた! あっちには確かに洞穴があった筈)

 熊の独特の匂いを嗅ぎつけたカリストーは山の中を猛スピードで駆け抜けた。木の枝をよけ足下に飛び出した根を軽快に飛び越える。アルテミスの元で培った狩人の本能がカリストーの顔を綻ばせていく。

 匂いの元は予想通りの洞穴から漂っており僅かな血の匂いが混じっていた。

(そうか、それで洞穴に閉じこもってるわけね。でも残念、この洞穴の中ならよーく知ってる)

 この洞穴は入り口は狭いが中に入ると広く隠れる場所のない一つの空間になっている。カリストーは弓をつがえ慎重に洞穴に近づいて行った。

「バシュッ!」「バーン!」

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