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アルスター侯爵家
118.ミリアVSルカ
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「ヘルメースさんの対策で思いついたことがあって相談に行ったんです。話を聞いてもらえたお陰でその後ぐっすり眠れたんですけど、もしかして私が起こしたから眠れなくなっちゃったんですか?」
「あー、どうだったか覚えてねえな。それよりペリだろ?」
「そう、ペリと言う妖精をご存知ですか?」
マイアとカリストーは顔を見合わせ首を振った。
「初めて聞きました。その妖精が何か?」
「ヘルメースさんも知らないと思いますか?」
「どうでしょうか? わたくしもカリストーもアルテミス様にお仕えしていたので知らないだけかもしれませんし」
申し訳なさそうなマイアとカリストーにミリアが慌てた。
「気にしないで下さい。本人に聞いてみます。ヴァン、頼めるかな?」
無言のままのヴァンの姿が消え、次に現れた時にはペリが隣に立っていた。
「やあ、久しぶりだね。僕に聞きたいことがあるって?」
「ヴァン、ありがとう。突然呼び出してごめんね。ヘルメースさんって知ってる?」
「ヘルメース。竪琴を発明した神だからね、名前だけは知ってる」
不思議そうな顔をしたペリにミリアが勢い込んで質問を続けた。
「会ったことはある?」
「ないよ。好色な神だからね他の仲間も会ったことないはず」
ミリアがルカを見上げるとルカが首を縦に振った。
「お願いがあるの。今、ヘルメースさんに目新しい事が見たいって言われてるの。ペリにあった事がないならペリの竪琴を聞いてもらうのはどうかなって」
「僕で良ければいくらでも手伝うよ。ミリアには助けて貰ったお礼がしたいって思ってたんだ」
「お礼なんてとんでもない。でも助けて貰えたらとっても助かるの」
みんなで朝食を囲み侯爵領についてからの状況を簡単に説明した。ペリは目を丸くしてミリアとルカを交互に見つめ呆れたような顔をした。
「確かミリアはグレーニアの為に、ディーは温泉の為に来たんじゃなかったっけ?」
「そう、不思議よねー。ルカさんの側にいると色んなものが吸い寄せられてくるみたい」
「俺のせいじゃねえよ。絶対ちびすけのせいだって」
「えー、私ハーミットに行くまでとっても大人しい薬師だったんですけど?」
「はあ? 毒好きの異常者だろ?」
ミリアが目を眇めると砂糖壺の中の砂糖が飛び出し、ルカのコーヒーの中にザバザバと落ちていった。
「私が毒好きなら、ルカさんは砂糖好きですもんね」
「どうしましょう、朝から楽しすぎて。今のも魔法ですの?」
「風魔法の応用です。物を移動するのに使えないかなって思って練習したんですけど、役に立って嬉しいです」
大量の砂糖が溢れ出したコーヒーカップを見つめながらルカが溜息をついた。
「杖なしでこんだけ魔法使えるならちびすけのワンドは用無しだな。帰ったらガンツに教えてやる」
食事の後、ジョージが母家からやって来た。
「カリストー様達が居られないので旦那様が不審がっておいでです。壊れた窓と関係があるのではないかと仰られまして自警団を召集するようにと」
「めんどくせえなあ、取り敢えず牢にでもぶち込んどくか。ミリア、速攻で役に立つ薬って何かないか?」
「寝ちゃうのはどうかな? 人によるけど30分以内には寝ちゃう。効き目は長い人で半日」
「よし、それでいこう。ジョージ頼んだぞ」
「畏まりました。自警団に連絡したことにして、旦那様のお茶に混ぜてしまいましょう」
「少し甘い匂いがするので、いつもとは違うお茶がいいと思います」
このお茶はカモミールとリンデンとスイサイヨウとちょっぴりのマンドラゴラ等で作る。分量を間違えると危険な薬の一つなので普段は余り人に提供しない。
「流石ちびすけ、強力そうなやつ持ってんな」
「褒められてる気がしないんだけど」
お茶の包みを持っていそいそとジョージが帰って行った。
「主人に一服盛るのを躊躇しない執事か・・」
「ミリア、ヘルメースが僕では納得できないとなったらどうなるんでしょうか?」
「えーっと、それは」
「そんときゃ何がなんでも力づくで止めるから心配すんな」
「ルカさんありがとう。兎に角何か代替え案も考えておく。相手は旅の神様だものね、用心に越したことはないから」
銀色に輝く髪は腰まで届きルビーのような赤い目が月の光に煌めいていた。真っ白い翼を広げ左手で抱えたリュートを宝石のように仄かに光る右手が奏でる音は、雨の滴に閉じ込められた太陽の光より美しく星の輝きより優しく響いた。
「神々しい威厳に満ちた美しさって言うのはほんとなんだな。女のペリが宝石が霞む程の目映い美しさを放つのも本当か?」
「その通りだと思います。僕らの種族はそのように生まれると定められていますから」
「女のペリにも会いたい。ペリの園に連れてってくれないか」
「好色な盗人の神を仲間に会わせることは出来ません。我らはヘルメース様の力には太刀打ちできませんから」
「はあ、契約成立だ。まさかペリを連れてくるとは思わなかった。一体どうやって知り合ったんだ?」
「母の幼馴染なんです」
ミリアがにっこりと笑うとヘルメースが『うっ』と、息を呑んだ。
「やっぱりチビを貰って行けばよかったか」
ヘルメースの呟きが聞こえたルカがヘルメースの胸ぐらを掴んだ。
「約束だからな、絶対にちびすけに手ぇ出すんじゃねえぞ」
ルカの気迫にヘルメースが固まった。
「おい、そんなにそのチビに惚れてるなら初めからそういや良いのに」
「は? え? 何言ってんだ?」
「気づいてないのか・・重症だな」
カリストーと同様に魔法契約を行いミリアが別れを告げた。
「約束を守って頂きありがとうございます。この後マイアさんとカリストーさんもこの地を離れると思います」
「そいつはどうかなあ」
「あー、どうだったか覚えてねえな。それよりペリだろ?」
「そう、ペリと言う妖精をご存知ですか?」
マイアとカリストーは顔を見合わせ首を振った。
「初めて聞きました。その妖精が何か?」
「ヘルメースさんも知らないと思いますか?」
「どうでしょうか? わたくしもカリストーもアルテミス様にお仕えしていたので知らないだけかもしれませんし」
申し訳なさそうなマイアとカリストーにミリアが慌てた。
「気にしないで下さい。本人に聞いてみます。ヴァン、頼めるかな?」
無言のままのヴァンの姿が消え、次に現れた時にはペリが隣に立っていた。
「やあ、久しぶりだね。僕に聞きたいことがあるって?」
「ヴァン、ありがとう。突然呼び出してごめんね。ヘルメースさんって知ってる?」
「ヘルメース。竪琴を発明した神だからね、名前だけは知ってる」
不思議そうな顔をしたペリにミリアが勢い込んで質問を続けた。
「会ったことはある?」
「ないよ。好色な神だからね他の仲間も会ったことないはず」
ミリアがルカを見上げるとルカが首を縦に振った。
「お願いがあるの。今、ヘルメースさんに目新しい事が見たいって言われてるの。ペリにあった事がないならペリの竪琴を聞いてもらうのはどうかなって」
「僕で良ければいくらでも手伝うよ。ミリアには助けて貰ったお礼がしたいって思ってたんだ」
「お礼なんてとんでもない。でも助けて貰えたらとっても助かるの」
みんなで朝食を囲み侯爵領についてからの状況を簡単に説明した。ペリは目を丸くしてミリアとルカを交互に見つめ呆れたような顔をした。
「確かミリアはグレーニアの為に、ディーは温泉の為に来たんじゃなかったっけ?」
「そう、不思議よねー。ルカさんの側にいると色んなものが吸い寄せられてくるみたい」
「俺のせいじゃねえよ。絶対ちびすけのせいだって」
「えー、私ハーミットに行くまでとっても大人しい薬師だったんですけど?」
「はあ? 毒好きの異常者だろ?」
ミリアが目を眇めると砂糖壺の中の砂糖が飛び出し、ルカのコーヒーの中にザバザバと落ちていった。
「私が毒好きなら、ルカさんは砂糖好きですもんね」
「どうしましょう、朝から楽しすぎて。今のも魔法ですの?」
「風魔法の応用です。物を移動するのに使えないかなって思って練習したんですけど、役に立って嬉しいです」
大量の砂糖が溢れ出したコーヒーカップを見つめながらルカが溜息をついた。
「杖なしでこんだけ魔法使えるならちびすけのワンドは用無しだな。帰ったらガンツに教えてやる」
食事の後、ジョージが母家からやって来た。
「カリストー様達が居られないので旦那様が不審がっておいでです。壊れた窓と関係があるのではないかと仰られまして自警団を召集するようにと」
「めんどくせえなあ、取り敢えず牢にでもぶち込んどくか。ミリア、速攻で役に立つ薬って何かないか?」
「寝ちゃうのはどうかな? 人によるけど30分以内には寝ちゃう。効き目は長い人で半日」
「よし、それでいこう。ジョージ頼んだぞ」
「畏まりました。自警団に連絡したことにして、旦那様のお茶に混ぜてしまいましょう」
「少し甘い匂いがするので、いつもとは違うお茶がいいと思います」
このお茶はカモミールとリンデンとスイサイヨウとちょっぴりのマンドラゴラ等で作る。分量を間違えると危険な薬の一つなので普段は余り人に提供しない。
「流石ちびすけ、強力そうなやつ持ってんな」
「褒められてる気がしないんだけど」
お茶の包みを持っていそいそとジョージが帰って行った。
「主人に一服盛るのを躊躇しない執事か・・」
「ミリア、ヘルメースが僕では納得できないとなったらどうなるんでしょうか?」
「えーっと、それは」
「そんときゃ何がなんでも力づくで止めるから心配すんな」
「ルカさんありがとう。兎に角何か代替え案も考えておく。相手は旅の神様だものね、用心に越したことはないから」
銀色に輝く髪は腰まで届きルビーのような赤い目が月の光に煌めいていた。真っ白い翼を広げ左手で抱えたリュートを宝石のように仄かに光る右手が奏でる音は、雨の滴に閉じ込められた太陽の光より美しく星の輝きより優しく響いた。
「神々しい威厳に満ちた美しさって言うのはほんとなんだな。女のペリが宝石が霞む程の目映い美しさを放つのも本当か?」
「その通りだと思います。僕らの種族はそのように生まれると定められていますから」
「女のペリにも会いたい。ペリの園に連れてってくれないか」
「好色な盗人の神を仲間に会わせることは出来ません。我らはヘルメース様の力には太刀打ちできませんから」
「はあ、契約成立だ。まさかペリを連れてくるとは思わなかった。一体どうやって知り合ったんだ?」
「母の幼馴染なんです」
ミリアがにっこりと笑うとヘルメースが『うっ』と、息を呑んだ。
「やっぱりチビを貰って行けばよかったか」
ヘルメースの呟きが聞こえたルカがヘルメースの胸ぐらを掴んだ。
「約束だからな、絶対にちびすけに手ぇ出すんじゃねえぞ」
ルカの気迫にヘルメースが固まった。
「おい、そんなにそのチビに惚れてるなら初めからそういや良いのに」
「は? え? 何言ってんだ?」
「気づいてないのか・・重症だな」
カリストーと同様に魔法契約を行いミリアが別れを告げた。
「約束を守って頂きありがとうございます。この後マイアさんとカリストーさんもこの地を離れると思います」
「そいつはどうかなあ」
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