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アルスター侯爵家
119.大人数になりました
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「へっ? 約束がちげえだろうが!」
「約束は奴に手を貸さないのとお前達に害を与えないってのだったよな。見物するぶんには構わんだろ?」
「堪忍してくれ。気が散る」
「助かった。僕のリュートが役に立たなかったらペリの園に案内するつもりだったんだ」
「そんな事したら・・」
「ヘルメースの性格を考えたら大人しく観光をしただけで帰ってくれるとは思えないから追放されたと思う。
でも、絶対にヘルメースにミリアをあげたりしないって決めてたんだ」
「くそ、そっちも下手を打った。もうちょい粘れば・・」
「ふふん、約束は守ってもらうぜ!」
ルカが顎を上げてドヤ顔でヘルメースを見るとヘルメースもドヤ顔でルカを見返した。
「ふふん、俺が約束したのはお前ら二人だろ? ペリは入ってねえ」
「ペリも入ってますよ。私が守りたい全ての人・神獣・神・精霊・妖精などって言いましたもん」
「えっ、そうだったか?」
ヘルメースはたかが人間との一時的な契約だと侮っていたので真面目に聞いていなかった。
「だっ、だがな・・一時的な契約だろ? それが終わったらいくらでもペリを・・」
ミリアにジト目で見られたヘルメースは言いかけた言葉を飲み込んだ。
「生涯彼らに害をなさないと約束して下さい。でなければベルフェゴールは放置します。そうしたらヘルメースさんとの契約終わりませんから」
「ぐっ!」
「わかりましたね!」
ビシッとヘルメースを指差したミリアの手にはユグドラシルのワンドが握られていた。
「・・分かった。約束する」
ミリアが魔法契約を追加したのは言うまでもない。
「計略の神の負けだな。俺のちびすけを甘く見ると痛い目に遭う、覚えといたほうがいいぜ」
「「俺のちびすけぇ?」」
「へっ?」
ヘルメースの言葉通りマイアとカリストーはまだ帰らないと言い出し、離れには収容しきれないほどの人数になってしまった。
「旦那様は既に地下牢の中でございます。わたくしの腹心を監視につけておりますし鍵はわたくしが持っているもののみ。
宜しければ母家にお移りになられては如何でしょうか?」
「そうだな、そっちなら部屋もいっぱいあるし」
ジョージが既に客間の準備を整えていたので、それぞれの部屋に入り今日は休むことにした。簡単な夜食が届けられ、湯浴みを済ませたヘルメースは部屋のソファに寝転んでいるルカを見つけて驚いた。
「そこで何をしている?」
「見張り。お前の事は信用できねえからな、起き出して部屋を抜け出そうとしたら気がつくだろ?」
「魔法契約したのにか?」
「屁理屈捏ねないとは約束してないからなぁ。タチの悪い奴を信用して後で後悔するよりソファで寝たほうがマシだからな」
「足がはみ出してるぞ」
「ああ、いつもの事だ。冒険者なんて地べたで寝るのもしょっちゅうだしな」
言い終わったルカが毛布に潜り込んでヘルメースに背中を向けた。
「はぁ、そんなに大事ならとっとと自分のもんにすりゃ良いだろうに。人間ってのは訳の分からん生き物だな」
ヘルメースはベッドに潜り込んで朝まで起きてこなかった。
翌日、三々五々朝食を済ませた一行は其々自由行動をしていた。マイアとエレノアは不足している着替えの調達に部屋に篭り、カリストーはカノンを連れて馬場に行きカノンの弓の練習。
朝食の時マイアやカリストーと話し込んでいたミリアとペリは2人で何処かに出かけてしまった。ルカが居間に移動するとヘルメースがついて来た。
「随分と・・」
「はい、飾られていた絵画や置物など殆どがなくなりましたので」
部屋の様子に驚いたルカの後ろからジョージの声がした。見覚えのある絨毯は端が擦り切れ、くすんだ壁紙には絵画が外された跡がくっきりと残っていた。
「驢馬や牛の収益で部屋をなんとかしようとは思わなかったわけだ。どうせ馬だろ?」
「はい、優秀な種馬は非常に高価ですから。しかも旦那様は以前より良い血統の馬を狙っておられましたので」
ルカは見慣れたソファに座ったがクッションは潰れギシギシと音がして座り心地が悪かった。
「相変わらず最低だな。いっそ貴族なんかやめて調教師にでもなりゃいいんだ。腕がよけりゃ良い馬の世話ができる」
「やはりお戻りにはなられませんか? 奥方を娶り侯爵家を復興していただける日を心待ちにしておりましたが」
「ないな、俺は冒険者が天職だ。エレノアがいるんだ、アイツなら次期女侯爵として十分やっていける」
「ご本人にその気がなければ無理ではないかと」
「まあ、それはおいおい・・何とか」
「ルカさん、ここにいるって聞いたんだけど入っても良い?」
「おう、座ってくれ。邪魔者がいるが話し合わねえとな」
邪魔者と言われたヘルメースは片眉を上げただけで、暖炉に片腕を預け悠々と部屋を見回している。
「それで? 計画はあるのか?」
「計画ってほどでもないけど今度はルカさんの結界が重要になる」
「おう、それなら任せとけ」
「だったら・・」
話し合いが終わりミリアが居間を出て行くとコツコツと近づいて来る足音がしてヘルメースが話しかけて来た。
「なあ、いつもあんな感じなのか?」
「何が?」
「計画はチビ、実行もチビ主導」
ソファに腰掛けたヘルメースは優雅に足を組んみソファの背もたれに腕をかけ口を歪めた。
「男のくせに女に計画を丸投げして指示待ちか。それって情けなくないか? それともいつもは違うってことか?」
「この手のことに関しちゃあミリアの方が詳しいからな。誰が計画を練っても最後まで全員が無事ならそれで問題はない」
「ふーん、人間って面白い生き物だな。仲がいいのか悪いのかさっぱり分からん」
「ではわたくしは行ってまいります」
今回のキーマンとなるジョージが少し緊張した様子でミリアの後を追った。
「約束は奴に手を貸さないのとお前達に害を与えないってのだったよな。見物するぶんには構わんだろ?」
「堪忍してくれ。気が散る」
「助かった。僕のリュートが役に立たなかったらペリの園に案内するつもりだったんだ」
「そんな事したら・・」
「ヘルメースの性格を考えたら大人しく観光をしただけで帰ってくれるとは思えないから追放されたと思う。
でも、絶対にヘルメースにミリアをあげたりしないって決めてたんだ」
「くそ、そっちも下手を打った。もうちょい粘れば・・」
「ふふん、約束は守ってもらうぜ!」
ルカが顎を上げてドヤ顔でヘルメースを見るとヘルメースもドヤ顔でルカを見返した。
「ふふん、俺が約束したのはお前ら二人だろ? ペリは入ってねえ」
「ペリも入ってますよ。私が守りたい全ての人・神獣・神・精霊・妖精などって言いましたもん」
「えっ、そうだったか?」
ヘルメースはたかが人間との一時的な契約だと侮っていたので真面目に聞いていなかった。
「だっ、だがな・・一時的な契約だろ? それが終わったらいくらでもペリを・・」
ミリアにジト目で見られたヘルメースは言いかけた言葉を飲み込んだ。
「生涯彼らに害をなさないと約束して下さい。でなければベルフェゴールは放置します。そうしたらヘルメースさんとの契約終わりませんから」
「ぐっ!」
「わかりましたね!」
ビシッとヘルメースを指差したミリアの手にはユグドラシルのワンドが握られていた。
「・・分かった。約束する」
ミリアが魔法契約を追加したのは言うまでもない。
「計略の神の負けだな。俺のちびすけを甘く見ると痛い目に遭う、覚えといたほうがいいぜ」
「「俺のちびすけぇ?」」
「へっ?」
ヘルメースの言葉通りマイアとカリストーはまだ帰らないと言い出し、離れには収容しきれないほどの人数になってしまった。
「旦那様は既に地下牢の中でございます。わたくしの腹心を監視につけておりますし鍵はわたくしが持っているもののみ。
宜しければ母家にお移りになられては如何でしょうか?」
「そうだな、そっちなら部屋もいっぱいあるし」
ジョージが既に客間の準備を整えていたので、それぞれの部屋に入り今日は休むことにした。簡単な夜食が届けられ、湯浴みを済ませたヘルメースは部屋のソファに寝転んでいるルカを見つけて驚いた。
「そこで何をしている?」
「見張り。お前の事は信用できねえからな、起き出して部屋を抜け出そうとしたら気がつくだろ?」
「魔法契約したのにか?」
「屁理屈捏ねないとは約束してないからなぁ。タチの悪い奴を信用して後で後悔するよりソファで寝たほうがマシだからな」
「足がはみ出してるぞ」
「ああ、いつもの事だ。冒険者なんて地べたで寝るのもしょっちゅうだしな」
言い終わったルカが毛布に潜り込んでヘルメースに背中を向けた。
「はぁ、そんなに大事ならとっとと自分のもんにすりゃ良いだろうに。人間ってのは訳の分からん生き物だな」
ヘルメースはベッドに潜り込んで朝まで起きてこなかった。
翌日、三々五々朝食を済ませた一行は其々自由行動をしていた。マイアとエレノアは不足している着替えの調達に部屋に篭り、カリストーはカノンを連れて馬場に行きカノンの弓の練習。
朝食の時マイアやカリストーと話し込んでいたミリアとペリは2人で何処かに出かけてしまった。ルカが居間に移動するとヘルメースがついて来た。
「随分と・・」
「はい、飾られていた絵画や置物など殆どがなくなりましたので」
部屋の様子に驚いたルカの後ろからジョージの声がした。見覚えのある絨毯は端が擦り切れ、くすんだ壁紙には絵画が外された跡がくっきりと残っていた。
「驢馬や牛の収益で部屋をなんとかしようとは思わなかったわけだ。どうせ馬だろ?」
「はい、優秀な種馬は非常に高価ですから。しかも旦那様は以前より良い血統の馬を狙っておられましたので」
ルカは見慣れたソファに座ったがクッションは潰れギシギシと音がして座り心地が悪かった。
「相変わらず最低だな。いっそ貴族なんかやめて調教師にでもなりゃいいんだ。腕がよけりゃ良い馬の世話ができる」
「やはりお戻りにはなられませんか? 奥方を娶り侯爵家を復興していただける日を心待ちにしておりましたが」
「ないな、俺は冒険者が天職だ。エレノアがいるんだ、アイツなら次期女侯爵として十分やっていける」
「ご本人にその気がなければ無理ではないかと」
「まあ、それはおいおい・・何とか」
「ルカさん、ここにいるって聞いたんだけど入っても良い?」
「おう、座ってくれ。邪魔者がいるが話し合わねえとな」
邪魔者と言われたヘルメースは片眉を上げただけで、暖炉に片腕を預け悠々と部屋を見回している。
「それで? 計画はあるのか?」
「計画ってほどでもないけど今度はルカさんの結界が重要になる」
「おう、それなら任せとけ」
「だったら・・」
話し合いが終わりミリアが居間を出て行くとコツコツと近づいて来る足音がしてヘルメースが話しかけて来た。
「なあ、いつもあんな感じなのか?」
「何が?」
「計画はチビ、実行もチビ主導」
ソファに腰掛けたヘルメースは優雅に足を組んみソファの背もたれに腕をかけ口を歪めた。
「男のくせに女に計画を丸投げして指示待ちか。それって情けなくないか? それともいつもは違うってことか?」
「この手のことに関しちゃあミリアの方が詳しいからな。誰が計画を練っても最後まで全員が無事ならそれで問題はない」
「ふーん、人間って面白い生き物だな。仲がいいのか悪いのかさっぱり分からん」
「ではわたくしは行ってまいります」
今回のキーマンとなるジョージが少し緊張した様子でミリアの後を追った。
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