✖️✖️の薬を作ったら牢に入れられました。ここで薬を作れ? それは嫌かなー。って事でさよならします

との

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アルスター侯爵家

126.あんなものない方がいいよね

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 従者にクラバットを結ばせながら冷たく言い切った侯爵はローラを見舞うこともなくそのまま出かけて行った。ルカは侯爵に無断で遠方から医者を呼び寄せたが時既に遅くローラは帰らぬ人となった。


 母の葬儀が終わり暫くして帰ってきた侯爵は医者を他領から呼んだ事を知りルカを殴りつけた。

「旅費・治療費・薬代、一体誰が払うと思っておるのだ! 来月から調教師が増えるんだぞ!」

「病気を治すことはできませんでしたが母上の苦しみを安らげることはできました。何度も父上に連絡をしたのに何故お戻りになられなかったのですか!」

「お前と違って私は忙しいんだ。どうせ長くない命にこんな無駄金を使いおって」


 翌日の朝早くルカは侯爵家を飛び出した。




 ジョージが話し終えた時、ルカは目を眇めて厩舎を見つめていた。青褪めて冷や汗を垂らす侯爵を全員が睨みつける中エレノアが口を開いた。

「あの厩舎がその時建てられたものなのですね?」

「はい、エレノア様の仰る通りでございます。井戸も厩舎の建設と同じ頃に掘られたものでございます」


 ルカが見つめているのは3棟建つ内で最も大きく屋敷に近い厩舎。オークの木を使った2階建てのそれに嵌め込まれた高価な窓ガラスは日の光を受けてキラキラと輝いていた。厩舎のすぐ横の井戸には手押しポンプまで設置されている。

「当時屋敷では井戸から釣瓶桶で水を汲み上げておりましたので初めて見た使用人が驚いておりました」

「・・ミリアさん、お願い」

 エレノアのか細い声を聞いたミリアが右手を厩舎に向けて伸ばした。ユグドラシルのワンドを真っ直ぐに厩舎に向け【スピリームエクスプロード】
 凄まじい爆発音と共に厩舎が砕け散り燃え残った残骸が辺り一面に飛び散った。

「ひぃー! なっなんて事を・・私の厩舎が! 馬達が! 誰か早く馬を・・馬を助けろ!」

 侯爵が叫んで駆け出したが誰もその場を動かなかった。

「見事なもんだ。厩舎だけが吹っ飛んでやがる。昔のちびすけなら辺り一面焼け野原だったぜ」

 ニヤリと笑ったルカが呟いた。

「ルカさんにコントロール教えて貰いましたから」

「ミリアさん、ありがとうございます」

 ディーが『ばーん!』と言いながらユグドラシルの枝を振りミリアの真似をすると、ヴァンの横にいた龍が笑い出した。

「これ知ってるぞ。人間界で言う『ざまあ』って言うやつだろ? ベルフェゴールとの戦い見てすっげえ奴だと思ってたが、想像以上じゃね?」

「ルカは完全に尻に敷かれるな。夫婦喧嘩したらチビに丸焦げにされる未来しか思い浮かばん」

 龍とヘルメースがゲラゲラ笑いながら茶々を入れてきた。


「この土地が平和の象徴として生まれ変わるよう願いを込めて、あの場所にサンダルフォン様から頂いたオリーブの苗を植えさせて頂きたいと思います」

「これから暫くは大変だと思うがエレノアならきっと上手くいく。屋敷の修繕費用は俺がなんとかするから心配するな」

「私も手伝わせて下さいね」

「いいえ、ミリアさん。わたくしが屋敷の修繕費用は出しましょう」

「俺も出す」

「我も。この度の詫びに出させて欲しい」

「オリーブが実ったらオリーブ油以外に石鹸も作ると良いと思うわ。結構高値で取引されてるから」

 爆発で抉れた地面の前に座り込み呆然としている侯爵をよそにマイア達からも声がかかった。


「資金はなんとかなるがこれからが大変だな」

「何でだ? 資金さえ集まりゃ簡単に直せるだろ?」

「ヘルメース達にはわかんねえんだろうな。人間の暮らしは信頼関係で成り立ってるんだ。戦いで家や畑が壊れたんならみんなで協力して直しゃいいが、一度失った信用ってのは簡単には取り戻せねえんだ」

「信頼ねえ・・確かに俺達にはあんまり興味ないな」

「天界では定められた役割と絶対的な階位が最も優先され、其々に思うところがあったとしても定めの中でしか動けません。人は自身の考えで全てを決められますがその根底にあるのは信頼関係」

 人間から天使になった異色の経歴を持つサンダルフォンには直ぐに理解できたようだが、今まで殆ど人間界と関わったことのないヘルメース達には理解できなかった。

「気に入らないなら別れりゃいいし別の奴を見つけるのもありだろ?」

「人間はアンタ達と違って永遠に生きられるわけじゃない。だから、上手くいかなかったからとっとと見切りをつけるってわけにはいかねえんだ。人間関係の再構築ってのは時間がかかるからな」

「それに心の傷を癒すのには時間がかかりますしね。私にできることがないか一軒ずつ声をかけてみようと思います」

 エレノアならきっと良い領主になるだろうと誰もがほっと胸を撫で下ろした。

「さて、取り敢えず屋敷の修復作業と村の様子を調べないとだな。それとギルド本部に連絡を入れなきゃなんねえんだが、ここにはギルドがねえんだよな」

 ミリアがアイテムバックから通信具を出しルカに手渡した。

「ん? 使えんの?」

「ここに来る前兄さんが設定してくれてたから大丈夫だと思います」

「相変わらずウォーカー様々だぜ。隙がないって言うかこっちの行動を読まれてるみたいでムカつくぜ」

 ルカが通信具の設定を確認しながらブツブツと文句を言っているとカリストーが声を上げた。

「あっ、アイツ!」

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