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ルーメン 暁のダンジョン
141.最強の2人と2匹
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ルカはミリアを押し退け、口に含んだエリクサーをポーターの喉に流し込んだ。
「ルカさん・・何で?」
(何で・・うーん、なんか・・治療だってわかっちゃいたんだが、それはダメだって思ったんだよな。なんでかっつうとぉ・・うーん、いやちげえ。絶対ちがーう)
「えっ? あーっいやぁ。おっ効いてきたみてえだ。やっぱミリアのこれはよく効くよなぁ」
頬を染めたルカがポーターの顔を覗き込んでミリアの質問をはぐらかした。
(ルカさん、もしかして・・ううん、まさかそんな事ないし)
「あ、えっとその・・そうだ、目が覚めたら適当に誤魔化しとかないとまずいぞ」
「う・・うん」
ポーターがうっすらと目を開き覗き込んでいたルカと目が合った。
「ひいっ!」
「心配すんな。俺達は《白銀の嵐》とは関係ねえ。ギルド本部からの応援要請でお前を助けに来たんだ。意味わかるか?」
微かに頷いたポーターはほっとしたように体の力を抜いた。
「あの人達、俺を囮に・・」
「ああ、知ってる。んで残ってるのは3人で合ってるか?」
「3人です。俺のせいで魔法使いの人は」
「大丈夫だ、その話は外に出てからでいい。奴等は拘束してそこで寝てる。お前は俺達が外の魔物をやっつける間ここで待っててほしいんだが出来るか?」
ほんの少し首を動かして部屋を見回したポーターは拘束されて気絶している《白銀の嵐》を見つけた。
「あなた達にもしものことがあったら俺はあの人達と取り残されて・・」
ガタガタと震えはじめたポーターにミリアが1枚の護符を手渡した。
「もし彼等が目覚めて拘束を解きそうな気がしたらこれを使って逃げて下さい。でもそれ迄に必ず帰ってきますから」
ポーターが護符を見ながら頷いたのを確認したミリアとルカが立ち上がった。
「さて、そろそろ奴を片付けに行くか。アイツに待ちくたびれたって怒られそうだな」
ルカがドアを開けミリアと共に部屋に戻ってきたのに気づいたヨルムガンドが嬉しそうな声をあげた。
『終わった? やっちゃうぞ?』
「待たせてすまん。もうい・・」
ルカの言葉が終わる前にヨルムガンドは大きく飛び上がり巨大な氷の柱をウコバクに叩きつけた。ジュッと音を立ててウコバクの身体を包んでいた炎が消えたが次の瞬間ボッと音を立てて燃えはじめた。
「ギヒヒ」
再びヨルムガンドの氷がウコバクに激突し尻餅をつかせた。立ち上がったウコバクがスコップを振り回し辺り一面にバチバチと閃光が飛び散る。
「(やっぱり) 壺を壊して!」
ヨルムガンドがウコバクの横にある壺を目がけて巨大な氷を放つがもうもうと水蒸気が上がり溶けてしまった。
「みんなルカのとこに集まって! ルカ、結界の重ねがけをお願い!」
ヨルムガンドとヴァンがルカの元に集まりルカが結界を張った。
「多分壺が奴のエネルギー源だと思うの。あれを凍らせるけど長くは持たないかも」
ミリアはユグドラシルのワンドを構え範囲殲滅魔術を放った。
【アブソリュートゼロ】
壺から黒い煙が立ち上りパキパキと音を立てて凍りついていく。氷が広がる毎にウコバクの身体を包む炎が弱まり、振り回すスコップの中が空になった。部屋全体が音を立てて凍りつきルカの結界もピシピシと音を立てた。
「くそっ! 結界が凍るってなんだよ!」
冷気を纏って飛び出したヨルムガンドがウコバクの頭に噛みつき、後を追いかけたヴァンが腹を食い破った。
部屋に充満していた熱気が急激におさまり、ウコバクが倒れていた場所には小部屋で見た大きな衣装箱が現れた。壺のあった場所には満々と水を湛えた池が現れ天井近くまで水を噴き上げると、赤黒く光っていた壁や天井にうっすらと霜が降りはじめた。
『俺様の氷が効かない奴がいるなんて久しぶりに凄え楽しかった』
『下級悪魔だからと侮り過ぎておったからじゃ』
「元々は氷のダンジョンだったのか?」
凍りついた広い部屋には神秘的なスターダストが煌めきミリア達にゆっくりと降り注いだ。部屋の四方にはポーター達がいる小部屋のドアしかないように見えたが、ヴァンが厚い壁に閉ざされた向こうにあるドアを見つけた。
「それが本当のボス部屋の扉?」
「そうみたいだな。さて、この後どうするかだな? 《白銀の嵐》はほっといてもいいが、あんまり時間がかかるとポーターは可哀想だしな」
「ポーターだけ迎えに行ったらどうかな。で、彼の希望を聞いてみるとか」
衣装箱をアイテムバックに放り込みルカが歩きはじめると、衣装箱のあった場所がきらりと光った。
(何?)
ミリアがしゃがんでそれを拾い上げた。
(冒険者のギルドカードとネックレス・・ウコバクに殺られた人のかな? この色はEランク)
ミリアは取り敢えずそれをアイテムバックに放り込み大急ぎでルカを追いかけると、ヴァンとヨルムガンドは仔犬とぶち猫に変身してついて来た。
「終わったぜ」
「もう? ほんとにお二人で倒したんですか?」
「2人と2匹だな」
ちょこんと座って毛繕いをする仔犬とぶち猫を見たポーターが口をあんぐりとあけて固まった。
「さて、この後どうするか決めて欲しい。この部屋も直ぐに我慢できないほど寒くなる。本当のボス部屋を見つけはしたがそいつは後回しでも構わん」
「そうか、護符があるからボス部屋を攻略しなくても帰れるんですね」
「まあな。ポーションで怪我は治ってると思うがあんまり長いことこの寒さの中にいるのは良くないだろう。一旦ギルドに帰るか?」
「正直言って良ければ、帰りたいと言うかあの人達の側にいるのは不安です。でも・・」
「ルカさん・・何で?」
(何で・・うーん、なんか・・治療だってわかっちゃいたんだが、それはダメだって思ったんだよな。なんでかっつうとぉ・・うーん、いやちげえ。絶対ちがーう)
「えっ? あーっいやぁ。おっ効いてきたみてえだ。やっぱミリアのこれはよく効くよなぁ」
頬を染めたルカがポーターの顔を覗き込んでミリアの質問をはぐらかした。
(ルカさん、もしかして・・ううん、まさかそんな事ないし)
「あ、えっとその・・そうだ、目が覚めたら適当に誤魔化しとかないとまずいぞ」
「う・・うん」
ポーターがうっすらと目を開き覗き込んでいたルカと目が合った。
「ひいっ!」
「心配すんな。俺達は《白銀の嵐》とは関係ねえ。ギルド本部からの応援要請でお前を助けに来たんだ。意味わかるか?」
微かに頷いたポーターはほっとしたように体の力を抜いた。
「あの人達、俺を囮に・・」
「ああ、知ってる。んで残ってるのは3人で合ってるか?」
「3人です。俺のせいで魔法使いの人は」
「大丈夫だ、その話は外に出てからでいい。奴等は拘束してそこで寝てる。お前は俺達が外の魔物をやっつける間ここで待っててほしいんだが出来るか?」
ほんの少し首を動かして部屋を見回したポーターは拘束されて気絶している《白銀の嵐》を見つけた。
「あなた達にもしものことがあったら俺はあの人達と取り残されて・・」
ガタガタと震えはじめたポーターにミリアが1枚の護符を手渡した。
「もし彼等が目覚めて拘束を解きそうな気がしたらこれを使って逃げて下さい。でもそれ迄に必ず帰ってきますから」
ポーターが護符を見ながら頷いたのを確認したミリアとルカが立ち上がった。
「さて、そろそろ奴を片付けに行くか。アイツに待ちくたびれたって怒られそうだな」
ルカがドアを開けミリアと共に部屋に戻ってきたのに気づいたヨルムガンドが嬉しそうな声をあげた。
『終わった? やっちゃうぞ?』
「待たせてすまん。もうい・・」
ルカの言葉が終わる前にヨルムガンドは大きく飛び上がり巨大な氷の柱をウコバクに叩きつけた。ジュッと音を立ててウコバクの身体を包んでいた炎が消えたが次の瞬間ボッと音を立てて燃えはじめた。
「ギヒヒ」
再びヨルムガンドの氷がウコバクに激突し尻餅をつかせた。立ち上がったウコバクがスコップを振り回し辺り一面にバチバチと閃光が飛び散る。
「(やっぱり) 壺を壊して!」
ヨルムガンドがウコバクの横にある壺を目がけて巨大な氷を放つがもうもうと水蒸気が上がり溶けてしまった。
「みんなルカのとこに集まって! ルカ、結界の重ねがけをお願い!」
ヨルムガンドとヴァンがルカの元に集まりルカが結界を張った。
「多分壺が奴のエネルギー源だと思うの。あれを凍らせるけど長くは持たないかも」
ミリアはユグドラシルのワンドを構え範囲殲滅魔術を放った。
【アブソリュートゼロ】
壺から黒い煙が立ち上りパキパキと音を立てて凍りついていく。氷が広がる毎にウコバクの身体を包む炎が弱まり、振り回すスコップの中が空になった。部屋全体が音を立てて凍りつきルカの結界もピシピシと音を立てた。
「くそっ! 結界が凍るってなんだよ!」
冷気を纏って飛び出したヨルムガンドがウコバクの頭に噛みつき、後を追いかけたヴァンが腹を食い破った。
部屋に充満していた熱気が急激におさまり、ウコバクが倒れていた場所には小部屋で見た大きな衣装箱が現れた。壺のあった場所には満々と水を湛えた池が現れ天井近くまで水を噴き上げると、赤黒く光っていた壁や天井にうっすらと霜が降りはじめた。
『俺様の氷が効かない奴がいるなんて久しぶりに凄え楽しかった』
『下級悪魔だからと侮り過ぎておったからじゃ』
「元々は氷のダンジョンだったのか?」
凍りついた広い部屋には神秘的なスターダストが煌めきミリア達にゆっくりと降り注いだ。部屋の四方にはポーター達がいる小部屋のドアしかないように見えたが、ヴァンが厚い壁に閉ざされた向こうにあるドアを見つけた。
「それが本当のボス部屋の扉?」
「そうみたいだな。さて、この後どうするかだな? 《白銀の嵐》はほっといてもいいが、あんまり時間がかかるとポーターは可哀想だしな」
「ポーターだけ迎えに行ったらどうかな。で、彼の希望を聞いてみるとか」
衣装箱をアイテムバックに放り込みルカが歩きはじめると、衣装箱のあった場所がきらりと光った。
(何?)
ミリアがしゃがんでそれを拾い上げた。
(冒険者のギルドカードとネックレス・・ウコバクに殺られた人のかな? この色はEランク)
ミリアは取り敢えずそれをアイテムバックに放り込み大急ぎでルカを追いかけると、ヴァンとヨルムガンドは仔犬とぶち猫に変身してついて来た。
「終わったぜ」
「もう? ほんとにお二人で倒したんですか?」
「2人と2匹だな」
ちょこんと座って毛繕いをする仔犬とぶち猫を見たポーターが口をあんぐりとあけて固まった。
「さて、この後どうするか決めて欲しい。この部屋も直ぐに我慢できないほど寒くなる。本当のボス部屋を見つけはしたがそいつは後回しでも構わん」
「そうか、護符があるからボス部屋を攻略しなくても帰れるんですね」
「まあな。ポーションで怪我は治ってると思うがあんまり長いことこの寒さの中にいるのは良くないだろう。一旦ギルドに帰るか?」
「正直言って良ければ、帰りたいと言うかあの人達の側にいるのは不安です。でも・・」
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