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ルーメン 暁のダンジョン
147.お宝回収
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(ヤバい、マジか? そんなすごい奴だったなんて)
「あの、私が子供に見えるのはよくあることなんで、ジャニスさんが勘違いされたのは仕方ないと言うか・・でも、パーティーを組むのに一番大事なのは信頼だと思うので、ジャニスさんのジェルソミーノへの参加はお断りします」
「ついでに言っとくとな、俺達とパーティー組みゃ冒険者になれるって言うお前の考えは所謂寄生ってやつだ。そう言う考えの奴もお断りだな」
「ジャニスってあんな奴だったっけ?」
「最低だな」
「そういやあ、結構裏表あったよな」
「うちらにはすっごい態度悪かったよ」
好意的だった野次馬の視線が冷たくなりジャニスへの陰口ばかりが聞こえてきはじめた。
「くそぉ! お前の、お前のせいだー」
ジャニスが短剣を構えてミリアに向けて突進してきた。咄嗟にクレイモアを抜き結界を張ろうとしたルカと牙を剥き出したヴァンの横で、口を大きく開けたヨルムガンドが猛毒を吐こうとした。
ルカ達の前に飛び出したミリアが構えたワンドから小さな火の玉が飛び出しジャニスの短剣だけが溶けていく。
「うっ、うわぁー!」
ジャニスが手を開くとドロドロに溶けた短剣がぼとりと地面に落ちジュッと音をたてながら黒い煙を上げた。
「うそっ、短剣だけが溶けた」
「詠唱破棄・・」
「初級魔法の【ファイアボール】じゃないの?」
「どんだけ高熱なんだよ」
呆然として膝をついて黒い煙を見つめていたジャニスが、ミリアのワンドの動きに合わせて宙に浮かび逆さまに吊り上げられた。
「うわあ、だっ、誰か助けてくれえ!」
背に背負っていたリュックの蓋が開き中身が地面にばら撒かれた。
「おい、あれは俺が失くしたナイフだ」
「私のもある!」
「俺のもだ! てめえが盗んだのか!」
野次馬の中から飛び出してきた冒険者がジャニスの荷物に飛びついた。
ジャニスのポケットの中から転がり出た大粒の宝石のついた指輪やネックレスは宙に浮いている。
「何、あれ・・」
「凄えお宝じゃん」
呆然と見上げる冒険者達と手を伸ばし飛びつこうとする冒険者。
「セオドラさん、後ろで遊んでないで回収をお願いします」
野次馬を掻き分けてセオドラが前に出てきた。
「魔法のコントロールが益々進化してますね。ジャニスさん、これらは今日ダンジョンから違法に持ち出した物で合ってますね?」
「あっ、合ってる。合ってるから助けてくれ! 落ちる、死んじゃうぅ」
セオドラが宙に浮いた宝に手を伸ばすとフワフワと落ちてきてセオドラの手に収まった。
「さて、再三の返還要求を無視したのでただの窃盗罪では済まされませんからね。
他にもここ一年の間に暁のダンジョンから持ち出したものがある方は本部へ自己申告して下さい。違法性があるかどうかにもよりますが、いずれにせよ申告しなかった場合は厳罰となります。情報をお持ちの方も隠匿すれば同罪となる可能性があると覚えておいて下さい下さい」
(ずるー、セオドラの奴ついでに問題片付けようとしてるぜ)
ミリアは【バインド】で拘束したジャニスを地面に降ろした。
「何でだよ? ダンジョンで見つけた物は冒険者の物だぞ!」
「非常に問題のある盗品の可能性があるのです。違法性がない場合は希望者には本部が通常の売値より高額で買取します」
「もう売った後だったらどうなるの?」
「その時は詳しい情報を報告に来て下さい」
「もし違法だってなったら?」
「処罰があるのは仕方のないことでしょう。
近々、冒険者ギルド本部から国・ギルド・冒険者へ緊急通達を出します。
隠し立てした場合ギルドカードの剥奪だけでなく、その後何が起きてもギルド本部とSランク冒険者は一切手助けをしない。これは貴族や一般市民にも適用されます。
それでも良いと言う覚悟があるならばご自由にどうぞ」
顔を見合わせヒソヒソと話し出す者や慌てて走り出す者で騒然となった。セオドラはミリアに頭を下げた後、ぐしゃぐしゃの顔で泣くジャニスを引き立ててギルドへ戻って行った。
「じゃ、行くか」
ルカが声をかけて歩き出すと遠巻きにしていた冒険者達の中から声がかかった。
「なあ、ダンジョンで何があったんだ? アンタ達がダンジョンに潜ったんだよな?」
「悪いが俺達には何も言えないんで質問は本部にしてくれ」
不安げな冒険者達を残し歩き出したミリア達に冒険者がまた近づいてきた。
「なあ、ダンジョンっていつから潜れる? それぐらいは知ってるんだろ?」
「いや、俺達は何も聞いてねえ」
「死活問題なんだ。アンタらも冒険者ならわかるだろ?」
「すまん、ほんとに何も知らないんだ。ギルドで聞いてくれ」
なんとか冒険者達をまいたミリア達は街外れの路地に逃げ込んだ。
「こんな事なら買い物なんかせずにギルドの転送陣で本部に行くべきだったな」
『転移するか?』
「だな。ちびすけもそれで良いか?」
ミリアが頷くとヴァンが全員を本部の保管庫に転移させてくれた。
ルカが衣装箱を出し保管庫の隅に置いているとギルド職員が剣やワンドを手に駆け込んできた。
「動くな! ってジェルソミーノ・・来るならギルドの転送陣を使って下さいよ。吃驚したじゃないですか」
「悪い悪い、ちょっとギルドの転送陣が使いにくかったんでね」
後からやってきた職員が前に出てきた。真っ白なシャツと折り目のついたズボン。髪をきっちりとかきあげた男は隙のない目で辺りを見回した。
「あの、私が子供に見えるのはよくあることなんで、ジャニスさんが勘違いされたのは仕方ないと言うか・・でも、パーティーを組むのに一番大事なのは信頼だと思うので、ジャニスさんのジェルソミーノへの参加はお断りします」
「ついでに言っとくとな、俺達とパーティー組みゃ冒険者になれるって言うお前の考えは所謂寄生ってやつだ。そう言う考えの奴もお断りだな」
「ジャニスってあんな奴だったっけ?」
「最低だな」
「そういやあ、結構裏表あったよな」
「うちらにはすっごい態度悪かったよ」
好意的だった野次馬の視線が冷たくなりジャニスへの陰口ばかりが聞こえてきはじめた。
「くそぉ! お前の、お前のせいだー」
ジャニスが短剣を構えてミリアに向けて突進してきた。咄嗟にクレイモアを抜き結界を張ろうとしたルカと牙を剥き出したヴァンの横で、口を大きく開けたヨルムガンドが猛毒を吐こうとした。
ルカ達の前に飛び出したミリアが構えたワンドから小さな火の玉が飛び出しジャニスの短剣だけが溶けていく。
「うっ、うわぁー!」
ジャニスが手を開くとドロドロに溶けた短剣がぼとりと地面に落ちジュッと音をたてながら黒い煙を上げた。
「うそっ、短剣だけが溶けた」
「詠唱破棄・・」
「初級魔法の【ファイアボール】じゃないの?」
「どんだけ高熱なんだよ」
呆然として膝をついて黒い煙を見つめていたジャニスが、ミリアのワンドの動きに合わせて宙に浮かび逆さまに吊り上げられた。
「うわあ、だっ、誰か助けてくれえ!」
背に背負っていたリュックの蓋が開き中身が地面にばら撒かれた。
「おい、あれは俺が失くしたナイフだ」
「私のもある!」
「俺のもだ! てめえが盗んだのか!」
野次馬の中から飛び出してきた冒険者がジャニスの荷物に飛びついた。
ジャニスのポケットの中から転がり出た大粒の宝石のついた指輪やネックレスは宙に浮いている。
「何、あれ・・」
「凄えお宝じゃん」
呆然と見上げる冒険者達と手を伸ばし飛びつこうとする冒険者。
「セオドラさん、後ろで遊んでないで回収をお願いします」
野次馬を掻き分けてセオドラが前に出てきた。
「魔法のコントロールが益々進化してますね。ジャニスさん、これらは今日ダンジョンから違法に持ち出した物で合ってますね?」
「あっ、合ってる。合ってるから助けてくれ! 落ちる、死んじゃうぅ」
セオドラが宙に浮いた宝に手を伸ばすとフワフワと落ちてきてセオドラの手に収まった。
「さて、再三の返還要求を無視したのでただの窃盗罪では済まされませんからね。
他にもここ一年の間に暁のダンジョンから持ち出したものがある方は本部へ自己申告して下さい。違法性があるかどうかにもよりますが、いずれにせよ申告しなかった場合は厳罰となります。情報をお持ちの方も隠匿すれば同罪となる可能性があると覚えておいて下さい下さい」
(ずるー、セオドラの奴ついでに問題片付けようとしてるぜ)
ミリアは【バインド】で拘束したジャニスを地面に降ろした。
「何でだよ? ダンジョンで見つけた物は冒険者の物だぞ!」
「非常に問題のある盗品の可能性があるのです。違法性がない場合は希望者には本部が通常の売値より高額で買取します」
「もう売った後だったらどうなるの?」
「その時は詳しい情報を報告に来て下さい」
「もし違法だってなったら?」
「処罰があるのは仕方のないことでしょう。
近々、冒険者ギルド本部から国・ギルド・冒険者へ緊急通達を出します。
隠し立てした場合ギルドカードの剥奪だけでなく、その後何が起きてもギルド本部とSランク冒険者は一切手助けをしない。これは貴族や一般市民にも適用されます。
それでも良いと言う覚悟があるならばご自由にどうぞ」
顔を見合わせヒソヒソと話し出す者や慌てて走り出す者で騒然となった。セオドラはミリアに頭を下げた後、ぐしゃぐしゃの顔で泣くジャニスを引き立ててギルドへ戻って行った。
「じゃ、行くか」
ルカが声をかけて歩き出すと遠巻きにしていた冒険者達の中から声がかかった。
「なあ、ダンジョンで何があったんだ? アンタ達がダンジョンに潜ったんだよな?」
「悪いが俺達には何も言えないんで質問は本部にしてくれ」
不安げな冒険者達を残し歩き出したミリア達に冒険者がまた近づいてきた。
「なあ、ダンジョンっていつから潜れる? それぐらいは知ってるんだろ?」
「いや、俺達は何も聞いてねえ」
「死活問題なんだ。アンタらも冒険者ならわかるだろ?」
「すまん、ほんとに何も知らないんだ。ギルドで聞いてくれ」
なんとか冒険者達をまいたミリア達は街外れの路地に逃げ込んだ。
「こんな事なら買い物なんかせずにギルドの転送陣で本部に行くべきだったな」
『転移するか?』
「だな。ちびすけもそれで良いか?」
ミリアが頷くとヴァンが全員を本部の保管庫に転移させてくれた。
ルカが衣装箱を出し保管庫の隅に置いているとギルド職員が剣やワンドを手に駆け込んできた。
「動くな! ってジェルソミーノ・・来るならギルドの転送陣を使って下さいよ。吃驚したじゃないですか」
「悪い悪い、ちょっとギルドの転送陣が使いにくかったんでね」
後からやってきた職員が前に出てきた。真っ白なシャツと折り目のついたズボン。髪をきっちりとかきあげた男は隙のない目で辺りを見回した。
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